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2.少年と不運の少女
少年と不運の少女
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——歌舞伎町ダンジョン、三階。
歌舞伎町ダンジョンは一階は草原、二階は森のフィールドになっている。そして三階。
「あーやだやだ。やっぱり予想した通りじゃないか」
二階の森も木に囲まれている所は暗かったけど、光が葉っぱの間から差し込んできいて、雰囲気は悪く無かった。——でも三階は。
「暗いしジメジメしてるし、足場も悪い……」
三階はとにかく暗い。真っ暗ではないけれど、せいぜい月が明るい夜くらいの明るさしかなく、先が見えにくい。
魔道具のランプは持っているが、僕は索敵スキルもないからこの明るさだと視界頼りで魔物を見つけるのが難しい。
「あー、怖くなってきた。1人で来るとこじゃないよここ……」
ダンジョンや魔物の発生した世界で何を言ってるんだ、と思うかもしれないが——僕は、幽霊が少し苦手だ。
「ん?アレ何だろう?」
僕の視線の先には白いモヤモヤした、何かが浮かんでいる。
それは、雲のような、霧のような何かだ。
「白いせいで明らかに目立ってるんだけど、これがゴーストかな?」
スッと近づいて、攻撃される前に聖剣で白いモヤを横薙ぎに分断する。
イメージ通り、空気を切るのと変わらず何の抵抗も無い——が。
しばらくして白いモヤは薄くなって消えていった。そこに残ったのは、親指の先の大きさで、黒と紫の中間のような色をした石。
見た目は黒曜石に近い。
「"鑑定"」
□魔石(下級)□
様々な用途に使われる、魔素の結晶。
「やっぱりこれが魔石か。じゃあこれがゴーストかな?グンセさんの話より一回り大きい気がするけど……ま、良いか」
どうせ小指か親指か程度の違いしかないし、誤差かな。
そして——僕はそのまま、白いモヤを乱獲していった。
ーーーーーー
「マジックバッグが限界になったな……」
しばらくの間乱獲した事で、マジックバッグは魔石でパンパンになっている。更に入れようと押し込んでも、ぺっと吐き出されてしまう。そろそろ帰り時だろう。
——そんな時、どこかから誰かが叫ぶ声が聞こえる。
「……誰か——!誰か助けて!」
「まさか……」
緊急だと思い入らなかった魔石を放って、僕はすぐに声のした方向へと駆け出していく。
——幸いそこまで遠く無く目視でギリギリ分かる範囲に声の主が居た。そこには白いモヤに魔法を放つ、僕と同世代位の黒髪の女性。
彼女はモヤに取り憑かれないよう、距離を取りながら初級魔法を放つ。だがそれでは決定打にならず、倒し切れないでいるようだ。
その顔は一目で分かるくらいに青ざめ、疲れ切っている。
「——助けます!」
僕は——彼女と白いモヤの間へと飛び込んでいった。
ーーーーーー
「大丈夫でしたか?」
僕は白いモヤを倒した後、彼女のへ顔を向けて様子を伺う。
彼女の容姿は、凛とした顔立ちに前髪を程よく切りそろえた長い髪。そして女性にしては背が高く、スラリと伸びた手足。更には透き通るような白い肌。
男なら誰もが美人と言うであろう容姿で、僕も一瞬目を奪われそうになる。
ただ何故彼女は、お嬢様学校の制服を着ているのだろうか?
「ハァ…ハァ……。ええ、ありがとう。本当に助かったわ」
「いえいえ。無事で良かったですよ。ここにはゴースト狩りに?」
「そうよ。最初は順調にゴーストを倒していたのに、突然デイドリームが出て来るなんて……運が悪かったわ」
(ん?デイドリーム?)
「あの、あれは……ゴーストじゃ無いんですか?」
「あなた、ここに居るのにゴーストを見ていないの?普通のゴーストなら黒い姿をしているわ。あれはデイドリームって言う、ゴーストのレアポップよ」
「え、レアポップ……?」
衝撃の事実に、僕は唖然とした表情をして固まってしまった。
歌舞伎町ダンジョンは一階は草原、二階は森のフィールドになっている。そして三階。
「あーやだやだ。やっぱり予想した通りじゃないか」
二階の森も木に囲まれている所は暗かったけど、光が葉っぱの間から差し込んできいて、雰囲気は悪く無かった。——でも三階は。
「暗いしジメジメしてるし、足場も悪い……」
三階はとにかく暗い。真っ暗ではないけれど、せいぜい月が明るい夜くらいの明るさしかなく、先が見えにくい。
魔道具のランプは持っているが、僕は索敵スキルもないからこの明るさだと視界頼りで魔物を見つけるのが難しい。
「あー、怖くなってきた。1人で来るとこじゃないよここ……」
ダンジョンや魔物の発生した世界で何を言ってるんだ、と思うかもしれないが——僕は、幽霊が少し苦手だ。
「ん?アレ何だろう?」
僕の視線の先には白いモヤモヤした、何かが浮かんでいる。
それは、雲のような、霧のような何かだ。
「白いせいで明らかに目立ってるんだけど、これがゴーストかな?」
スッと近づいて、攻撃される前に聖剣で白いモヤを横薙ぎに分断する。
イメージ通り、空気を切るのと変わらず何の抵抗も無い——が。
しばらくして白いモヤは薄くなって消えていった。そこに残ったのは、親指の先の大きさで、黒と紫の中間のような色をした石。
見た目は黒曜石に近い。
「"鑑定"」
□魔石(下級)□
様々な用途に使われる、魔素の結晶。
「やっぱりこれが魔石か。じゃあこれがゴーストかな?グンセさんの話より一回り大きい気がするけど……ま、良いか」
どうせ小指か親指か程度の違いしかないし、誤差かな。
そして——僕はそのまま、白いモヤを乱獲していった。
ーーーーーー
「マジックバッグが限界になったな……」
しばらくの間乱獲した事で、マジックバッグは魔石でパンパンになっている。更に入れようと押し込んでも、ぺっと吐き出されてしまう。そろそろ帰り時だろう。
——そんな時、どこかから誰かが叫ぶ声が聞こえる。
「……誰か——!誰か助けて!」
「まさか……」
緊急だと思い入らなかった魔石を放って、僕はすぐに声のした方向へと駆け出していく。
——幸いそこまで遠く無く目視でギリギリ分かる範囲に声の主が居た。そこには白いモヤに魔法を放つ、僕と同世代位の黒髪の女性。
彼女はモヤに取り憑かれないよう、距離を取りながら初級魔法を放つ。だがそれでは決定打にならず、倒し切れないでいるようだ。
その顔は一目で分かるくらいに青ざめ、疲れ切っている。
「——助けます!」
僕は——彼女と白いモヤの間へと飛び込んでいった。
ーーーーーー
「大丈夫でしたか?」
僕は白いモヤを倒した後、彼女のへ顔を向けて様子を伺う。
彼女の容姿は、凛とした顔立ちに前髪を程よく切りそろえた長い髪。そして女性にしては背が高く、スラリと伸びた手足。更には透き通るような白い肌。
男なら誰もが美人と言うであろう容姿で、僕も一瞬目を奪われそうになる。
ただ何故彼女は、お嬢様学校の制服を着ているのだろうか?
「ハァ…ハァ……。ええ、ありがとう。本当に助かったわ」
「いえいえ。無事で良かったですよ。ここにはゴースト狩りに?」
「そうよ。最初は順調にゴーストを倒していたのに、突然デイドリームが出て来るなんて……運が悪かったわ」
(ん?デイドリーム?)
「あの、あれは……ゴーストじゃ無いんですか?」
「あなた、ここに居るのにゴーストを見ていないの?普通のゴーストなら黒い姿をしているわ。あれはデイドリームって言う、ゴーストのレアポップよ」
「え、レアポップ……?」
衝撃の事実に、僕は唖然とした表情をして固まってしまった。
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