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第一章 婚約破棄と新たなる幸せ
第十七話 奴隷に堕ちた伯爵令嬢
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「シルド!!!
黙れ。
恥知らずは、お前だ‥‥‥!!!
まだ神聖ムゲール王国の恥をさらしたいのか?!!!
お前は侯爵家令息、私は侯爵だ。
いまはその口を、閉じろ‥‥‥」
と、エルムンド侯は悲しそうにシルド様の肩に手をおかれます。
「くっーーー!!!???」
家柄を示されては、シルド様も黙らないわけには参りません。
そのお顔を怒りと恥ずかしさで染めながら、静かに下をうつむかれます。
そして、エルムンド侯はエイシャに向かい言われます。
「こたびの後始末。
帝国にお任せしたとあっては、大公家にも帝国にもご迷惑がかかる。
これからは、我が家のはした女として面倒をみることにようと思いますがーー」
と、許可を求められるようにハーベスト大公とお父様を見られます。
「ほおおう、さすが、銀鎖の闇、第二師団長。
なかなかの漢義(おとこぎ)ですな」
と、わたしの前にいた御二方の一人、ルサージュ侯が声を上げられます。
「ふんー‥‥‥もう少し、いじめたほうが面白いのだがなーー」
なあ、ユニス?
と殿下は意地悪くわたしを見て言われます。
わたしはフワフワと宙に浮いたまま、いつまでこの状態が続くのかと思いながら、
「はい、そうですね、殿下」
とついつい微笑んでしまいました。
そして、城内ではエイシャが肩を落とし、貴族からはした女。
つまり、農奴と同じ、貴族の邸宅で生涯を下働きをして過ごす奴隷。
その身分に堕とされた事実を黙って噛み締めていました。
これ以上、叫び続けて立場を悪くしても仕方ないと観念したのでしょう。
お父様はエルムンド侯に一礼すると、
「エイシャ。
いや、元エイシャよ。
壮健でなー‥‥‥」
と、寂しく別れを告げられて背を向けられました。
しかし、まだシルド様はおさまりがつかないご様子。
「では、エイシャ殿との婚約はなかった、ということでよろしいか。
エシャーナ伯?」
と聞いたのです。
お父様はその言葉に、向き直れられーー
「さて、どうですかな?
まだ婚約が成立していた訳でもないようですしな。
何より、お忘れではないかな、フレゲード侯爵令息シルド殿。
ユニス大公公女様とあなた様の婚約は、両国間を通じて勧められたもの。
それを一方的に破棄なされたのは、そちら様ですぞ?
まあ、受けるかどうかはユニス様が、お決めになられる事」
と、何やら探すような仕草をなさいます。
「そういえば‥‥‥大公公女ユニス様はーー」
と、そこでテラスを指差されるお父様。
「どうやら、あちらにいらっしゃるご様子。
おや、誰か殿方がーー
おお、あれは皇太子殿下のようであらせられるが‥‥‥」
と、お父様はわたしたちがいるテラスを指差して言われます。
そして、観衆の視線はこのテラスに向きーー
黙れ。
恥知らずは、お前だ‥‥‥!!!
まだ神聖ムゲール王国の恥をさらしたいのか?!!!
お前は侯爵家令息、私は侯爵だ。
いまはその口を、閉じろ‥‥‥」
と、エルムンド侯は悲しそうにシルド様の肩に手をおかれます。
「くっーーー!!!???」
家柄を示されては、シルド様も黙らないわけには参りません。
そのお顔を怒りと恥ずかしさで染めながら、静かに下をうつむかれます。
そして、エルムンド侯はエイシャに向かい言われます。
「こたびの後始末。
帝国にお任せしたとあっては、大公家にも帝国にもご迷惑がかかる。
これからは、我が家のはした女として面倒をみることにようと思いますがーー」
と、許可を求められるようにハーベスト大公とお父様を見られます。
「ほおおう、さすが、銀鎖の闇、第二師団長。
なかなかの漢義(おとこぎ)ですな」
と、わたしの前にいた御二方の一人、ルサージュ侯が声を上げられます。
「ふんー‥‥‥もう少し、いじめたほうが面白いのだがなーー」
なあ、ユニス?
と殿下は意地悪くわたしを見て言われます。
わたしはフワフワと宙に浮いたまま、いつまでこの状態が続くのかと思いながら、
「はい、そうですね、殿下」
とついつい微笑んでしまいました。
そして、城内ではエイシャが肩を落とし、貴族からはした女。
つまり、農奴と同じ、貴族の邸宅で生涯を下働きをして過ごす奴隷。
その身分に堕とされた事実を黙って噛み締めていました。
これ以上、叫び続けて立場を悪くしても仕方ないと観念したのでしょう。
お父様はエルムンド侯に一礼すると、
「エイシャ。
いや、元エイシャよ。
壮健でなー‥‥‥」
と、寂しく別れを告げられて背を向けられました。
しかし、まだシルド様はおさまりがつかないご様子。
「では、エイシャ殿との婚約はなかった、ということでよろしいか。
エシャーナ伯?」
と聞いたのです。
お父様はその言葉に、向き直れられーー
「さて、どうですかな?
まだ婚約が成立していた訳でもないようですしな。
何より、お忘れではないかな、フレゲード侯爵令息シルド殿。
ユニス大公公女様とあなた様の婚約は、両国間を通じて勧められたもの。
それを一方的に破棄なされたのは、そちら様ですぞ?
まあ、受けるかどうかはユニス様が、お決めになられる事」
と、何やら探すような仕草をなさいます。
「そういえば‥‥‥大公公女ユニス様はーー」
と、そこでテラスを指差されるお父様。
「どうやら、あちらにいらっしゃるご様子。
おや、誰か殿方がーー
おお、あれは皇太子殿下のようであらせられるが‥‥‥」
と、お父様はわたしたちがいるテラスを指差して言われます。
そして、観衆の視線はこのテラスに向きーー
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