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第三章 いざ、ダンジョン攻略へ

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「すっごく良い眺めだね、アリスティア!?」
 そうアルバートは呑気に階段を上がる終えて景色を楽しんでいる。
 すでに夕刻。
 太陽は西の地平線に姿を隠そうとしている、そんな時間だ。
 アリスティアはアルバートをみて、ためいきをついた。
 そんな、景色見ている場合じゃないでしょ、旦那様。
 そう思いながら、眼前にそびえる巨大な暗黒神を模した神像ともう片方は太陽神だろう。
 その二体が両側に並びたちーー
「ねえ、アルバート。
 この少女は誰なの?
 なんで、暗黒神と太陽神の像の合間にいるの?」
 不思議そうにアリスティアはアルバートに問いかけた。
 夫は不思議そうな顔で、自分とあまり背丈の変わらない少女の像を見つめている。
 人間、よね。
 でも、この二神よりも後ろいるということは、従えていた?
 人間が?
 そんな記憶は、リアルエルム様の中にはー‥‥‥一人だけ、いるにはいた。
 でも、いまはもういないはず。
 千年前に旅だったと、記憶にはあった。
 もしかしてー‥‥‥
「聖者サユキ???」
 アルバートはのんびりとした歩みでアリスティアの側に来ると、
「そうだよ、よくわかったね?
 この二神を従えていたのが聖者サユキ様、かな。 
 異世界の住人、時間を自在に操った神に近い存在。
 とは聞いているけど、僕もそこまでは詳しくないんだよね。
 でも、入り口は開いているし。
 どうする?」
「どうするって。
 あの入り口、なんで開いたの?」
 それは多分ーーとアルバートは推理する。
「条件、かな?」
「条件?」
「そう、この結界に入れるだけの力がない存在は、この地下神殿には入れないんだよ、多分ね。
 資格があるかないか。
 それを見極めるのがあの結界」
 だと、思う。
 そう、彼は言うがでもここに来たのはリアルエルム様の転移魔法でーー
 アリスティアは思いついた。
 アルバートが最初にしたことを。
「あ、だから‥‥‥結界に出入りさせたの?
 この門を開けるために?」
 そんなことまで彼は知り尽くしていた?
 もしそうなら、天眼使いは本当に‥‥‥凄い。
 アリスティアはそう思ってしまった。
「いや、それは・・・・・・ないよ。
 あの時は、出れてまたは入れなければ、諦めるしかない。
 そう思ってたんだ。
 リアルエルムの力なら出入りできても、僕らはわからないから」
 その返事にちょっとだけ、アリスティアはがっかりする。
 なあんだ、カッコいいって思ったのに、と。
「そう、まあいいわ。
 それでどうするの?
 あなた、体力もうないでしょ?」
 あ、バレてる?
 アルバートはえへへ、と年相応に自然に笑っていた。
 王子の仮面が消えている――?
 アリスティアは少しだけ嬉しくなる。
 それまで自分を捨てて生きていた夫が、少しずつ自分自身に戻っているのを見れたから。
「じゃあ、そうね。
 あの異空間で休みましょか、旦那様?」
 初めての夜になっちゃうな。
 この身体についている、いろんな傷跡、見られて幻滅されないかな?
 そんな不安が胸に沸いてくるが、彼を信じるしかない。
「え?
 うー、うん‥‥‥」
 結婚を申し込んだのは自分から。
 困ったなあ。
 夜の過ごし方なんてまったく知らない。
 嫌いですって言われないかな‥‥‥
 二者二様に不安と期待を抱えて、若い夫婦は異空間へと消えて行った。

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