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第一章 天空大陸の主
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「あの、竜王様。
青龍王神が存在しないとは‥‥‥本当ですか?
ルケードは大地母神ですが、この付近の大陸国家の多くは、そのーー」
言いづらそうにするアリスティアに、竜王はそうだねえ、と少し思案して答えた。
「まず、神は二種類ある。
世界の誕生と共に神として存在したもの、後から神になったもの。
後からと言うのは、信仰からであったり、その力の大きさから神格を得て神に迎え入れられるもの。
そういう意味だ。
正確な意味で言うならば、竜神は一万年よりもう少し前に滅んでいる。
その子はいたが、我等、竜族は幾つかに別れて地上やあの青い月、そして地下や海の底へと移動した。
竜にも王はたくさんいるのだよ、魔族にも多くいたように」
はるかな過去を懐かしむように竜王は月を眺めてそう答える。
仲間は減ってしまった、とも。
「では、あの竜公国の竜族は一体‥‥‥???」
それは難しい質問だ。
悲し気な目をしてリアルエルムは言う。
「あれは、人の手で作りだされた、竜族の亜種だ。
竜は本来、国など作らない。
力が大きい存在が集まればそれだけで災いをもたらす。
はるかな過去に竜神が滅ぼされたのも、それが原因だ」
「あ、あれだけの偉大な力を持ちながら‥‥‥亜種!!??」
驚きを隠せないアリスティアにアルバートが知識を補足するように伝えようとする。
「アリスティア、あの竜公国の竜族はね?
まだ魔法大国があった頃に、作りだされたものなんだよ。
だから、天眼ができたんだ。亜種を制御して使うためにね?」
「では、亜種を制御するって‥‥‥アルバートは天眼があったけど。
あれも竜族には、本物にはーー???」
「まったく、意味をなさないね。
だって、魔力の質が違いすぎる。
天眼で制御できるのは言うなればコップの水程度。
竜族の力は海ほどだよ。無理だね」
立ち上がり挨拶をしていたアリスティアは、へなへなとその場に座り込んでしまう。
目の前にいる存在のあまりの強大さに。
何よりもー‥‥‥
「アルバート、あなたは、そのーー
怖くはないのですか、リアルエルム様が。
申し訳ございません、リアルエルム様。わたしはその‥‥‥」
「怖いと言えば怖いけど、僕らはもう六年も毎夜、話していたしねえ。
ねえ、リアルエルム?」
ちょっと、そんな気楽にーー
アリスティアの尾が更に膨らみそうで、アルバートは面白そうにそれを見ていた。
青龍王神が存在しないとは‥‥‥本当ですか?
ルケードは大地母神ですが、この付近の大陸国家の多くは、そのーー」
言いづらそうにするアリスティアに、竜王はそうだねえ、と少し思案して答えた。
「まず、神は二種類ある。
世界の誕生と共に神として存在したもの、後から神になったもの。
後からと言うのは、信仰からであったり、その力の大きさから神格を得て神に迎え入れられるもの。
そういう意味だ。
正確な意味で言うならば、竜神は一万年よりもう少し前に滅んでいる。
その子はいたが、我等、竜族は幾つかに別れて地上やあの青い月、そして地下や海の底へと移動した。
竜にも王はたくさんいるのだよ、魔族にも多くいたように」
はるかな過去を懐かしむように竜王は月を眺めてそう答える。
仲間は減ってしまった、とも。
「では、あの竜公国の竜族は一体‥‥‥???」
それは難しい質問だ。
悲し気な目をしてリアルエルムは言う。
「あれは、人の手で作りだされた、竜族の亜種だ。
竜は本来、国など作らない。
力が大きい存在が集まればそれだけで災いをもたらす。
はるかな過去に竜神が滅ぼされたのも、それが原因だ」
「あ、あれだけの偉大な力を持ちながら‥‥‥亜種!!??」
驚きを隠せないアリスティアにアルバートが知識を補足するように伝えようとする。
「アリスティア、あの竜公国の竜族はね?
まだ魔法大国があった頃に、作りだされたものなんだよ。
だから、天眼ができたんだ。亜種を制御して使うためにね?」
「では、亜種を制御するって‥‥‥アルバートは天眼があったけど。
あれも竜族には、本物にはーー???」
「まったく、意味をなさないね。
だって、魔力の質が違いすぎる。
天眼で制御できるのは言うなればコップの水程度。
竜族の力は海ほどだよ。無理だね」
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目の前にいる存在のあまりの強大さに。
何よりもー‥‥‥
「アルバート、あなたは、そのーー
怖くはないのですか、リアルエルム様が。
申し訳ございません、リアルエルム様。わたしはその‥‥‥」
「怖いと言えば怖いけど、僕らはもう六年も毎夜、話していたしねえ。
ねえ、リアルエルム?」
ちょっと、そんな気楽にーー
アリスティアの尾が更に膨らみそうで、アルバートは面白そうにそれを見ていた。
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