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【幻影鏡界 ―Church of GHOST―】
1.秋晴れの放課後
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「……調子はどうだ、レイジ」
十月も終盤に差し掛かった、とある秋晴れの放課後。
鈴音学園の図書室で本を探していた俺――桜井令士の元へ、友人の西条創平が訪ねてきた。
情報の共有を図りたいという意味合いもあってか、ソウヘイは週に一度のペースで会いにくる。ただ、それでももう一人の友人よりは長いスパンだったが。
「なんか最近風邪気味だって聞いたぜ?」
「んー……まあ季節の変わり目だしな。すぐ治るとは思ってるけど」
体調を崩し始めているのは確かだ。ソウヘイにはまだ言ってなかったが、きっともう一人の友人が漏らしたのだろう。
そう思っていると、やはりその友人の名前が出てきた。
「俺にはうつすなよ? シグレくんはもう犠牲になったっぽいが」
「……俺のせいかよ」
「いやいや別に」
蒼木時雨。ほんの数週間前に出会ったばかりの男の子で、しかして俺の親友だ。
共に苦難を乗り越えた仲間として、ソウヘイとともに仲良くやっている。
……乗り越えた、というのは少し違うか。
「ところで、その本は?」
俺が手に持っている本が気になったようで、ソウヘイはふいに訊ねてくる。
「ああ?これは……京極秀秋って人が、自分の研究をまとめた本なんだと。ランとアヤちゃんが借りてて、ミス研に放置されてたことがあったから、どんなものかなと」
「はあ。……ってことは、オカルト関係か?」
「若干SF染みたところはあるけど、まだ正統派な量子力学ってところなのかな。この人は非科学的なことなんて信じないって人らしいし、詳しいことはさっぱり」
よくもまあ、ランやアヤちゃんはこんな小難しいものを読めていたなと感心する。
ランは闇の機関の研究員で、その実年齢さえ嘘だった可能性もあるし、実際はさぞ頭脳明晰だったんだろうが、アヤちゃんは多分ランが読んでいるから興味を持って、その中二心を擽られることになったんだろう。
ミステリ研究部のメンバーだった二人。
もう二度と道を同じくすることのない、二人。
「……もう、引き摺ってないか」
「ない、と一応言えるくらいにはな」
「そか、良かった良かった」
ソウヘイは満足げに笑い、
「色々と変わっちまっただろうが、お前はお前だからな」
「そう慰められると気色が悪い」
「ちっ、言わなきゃよかったか」
わざとらしく舌打ちをして拗ねたように言うソウヘイは、見ていて面白かった。
おかげで元気が出る。
「……そういや、例の事件関係のことなんだが」
話に一区切りついたところで、ソウヘイが切り出してくる。
例の事件といえば、黒影館で起きた事件をおいて他にない。
ミス研の部長である安藤蘭に誘われるまま、町外れに所在する、霊の噂が囁かれる黒影館へ探検に向かった俺を含む総勢七名は、深夜を迎えると同時に館内に閉じ込められ、そこで血も凍る連続殺人に巻き込まれてしまったのだ。
陳腐なミステリ染みた展開だが、事態はそう単純ではなく。黒影館はかつてGHOSTと称する裏組織が運営する研究施設であり、そこでは日夜霊魂に関する研究と実験が行われていたというのである。そして犠牲となった友人たちはみな、犯人に霊魂を改造され、その拒絶反応によって爆死するという悍しい最期を迎えることになったのである。
事件の裏で糸を引いていた犯人こそ、ミス研の部長で俺の親友だった安藤蘭。彼女は俺たちの前でGHOSTの研究員だと素性を明かし、これまでの交友の全てを偽りと切り捨てて、高笑いと共に行方をくらませたのだった……。
「……あれから、何か新しい情報でも?」
生還してからは特に怪しい動きや情報は得られず、もどかしい毎日ではあった。
ランの側から何らかのアクションでもあれば、たとえ罠だとしても乗ってやるつもりなのだが。
ただ、ソウヘイがもたらしたのはランやGHOSTの動向ではなく、シグレについてのことだった。
「関係があるのかは分からねえんだけどよ。シグレくんの両親が二年前に殺害された事件って、詳しいことは全然聞いてないだろ?」
「……事件? 事故って聞いてたんだけどな、確か」
「そのときは、心配されたくなかったからそう言ったんだろう」
なるほど、シグレの性格からすれば十分に有り得る話だ。結局タイミングがなくて、今も本当のことを言えずにいるのだろう。
「プライベートなことだし、あまり突っ込んだ話ができないのも仕方ないんだが。実はその事件って、鏡ヶ原実験の一ヶ月後に起きてるみたいなんだよ」
「一ヶ月後……」
「そうなると、ちょっと気になってくるだろ?
その殺人事件に、GHOSTが関わってるかもしれないってさ」
「確かに。……偶然の可能性はあるけど、調べてみないことには、だな」
歴史の裏で暗躍する謎めいた機関、GHOST。奴らの行いは非人道的であり、独善的だ。
障害になるもの、或いはなりそうなものを消し去ることは徹底してやりかねないと俺は思う。
シグレの両親も、奴らの毒牙にかかったのだろうか。
そうして彼は、家族を喪って。
「……過去にオカルト染みた経験をした人は、狙われるかもしれないな。それがGHOSTの研究だった場合には」
「仮にそれを逆手にとれれば……GHOSTの研究員とかに接触できたりするんかね」
「そうなったら……それで無事に話を聞き出せれば、もっと先に進めるんだろうが。今はまだ、何とも言えないな」
俺が溜め息を吐くのに、ソウヘイは苦笑で返してきた。
「ま、情報サンキュ。それとなく、シグレに話を聞いてみたりもしておくとするよ。そっちのことで何かあったときも情報は伝える」
「……おう。それなりに期待しとくぜ」
「はは……じゃあ、な」
ひらひらと手を振りながら、ソウヘイは図書室を出ていく。
後には、本を小脇に抱えた俺だけが残された。
――これからどうなるんだろうな。
黒影館事件からそろそろ三週間が経つ。
あの事件で多くのものが奪われ、多くのことが変わったけれど、ソウヘイの言うように俺は俺のままなのだろう。
例え俺が本当の桜井令士でなくとも。
背中に聖痕のある、人造魂魄であっても。
俺が生きてきた二年間がある限り、その俺を知る仲間は、俺をレイジと呼び続けてくれる。
そこが変わらなければ、俺は耐え忍ぶことができた。
「はー……しかし、本当にラン、こんな本理解できてたのかよ」
とりあえず本を借り、ミス研へ向かう道すがら、俺はぶつぶつと呟く。
「高次元がどうとか重力がどうとか……あいつが、なあ」
ミス研の部長だった彼女。
じゃじゃ馬のように元気だけが取り柄で、俺や周囲の人間を振り回していた彼女。
そんな彼女と、マッドサイエンティストという実態があまりにもかけ離れていて、俺は未だに悪夢でも見ているかのようだった。
「あー、引き摺ってなんかないからな」
頭を掻きながら、自分に言い聞かせるように独り言ちる。
虚しさはあったが、そうすることで少しは気持ちを紛らわせられる気がしていた。
十月も終盤に差し掛かった、とある秋晴れの放課後。
鈴音学園の図書室で本を探していた俺――桜井令士の元へ、友人の西条創平が訪ねてきた。
情報の共有を図りたいという意味合いもあってか、ソウヘイは週に一度のペースで会いにくる。ただ、それでももう一人の友人よりは長いスパンだったが。
「なんか最近風邪気味だって聞いたぜ?」
「んー……まあ季節の変わり目だしな。すぐ治るとは思ってるけど」
体調を崩し始めているのは確かだ。ソウヘイにはまだ言ってなかったが、きっともう一人の友人が漏らしたのだろう。
そう思っていると、やはりその友人の名前が出てきた。
「俺にはうつすなよ? シグレくんはもう犠牲になったっぽいが」
「……俺のせいかよ」
「いやいや別に」
蒼木時雨。ほんの数週間前に出会ったばかりの男の子で、しかして俺の親友だ。
共に苦難を乗り越えた仲間として、ソウヘイとともに仲良くやっている。
……乗り越えた、というのは少し違うか。
「ところで、その本は?」
俺が手に持っている本が気になったようで、ソウヘイはふいに訊ねてくる。
「ああ?これは……京極秀秋って人が、自分の研究をまとめた本なんだと。ランとアヤちゃんが借りてて、ミス研に放置されてたことがあったから、どんなものかなと」
「はあ。……ってことは、オカルト関係か?」
「若干SF染みたところはあるけど、まだ正統派な量子力学ってところなのかな。この人は非科学的なことなんて信じないって人らしいし、詳しいことはさっぱり」
よくもまあ、ランやアヤちゃんはこんな小難しいものを読めていたなと感心する。
ランは闇の機関の研究員で、その実年齢さえ嘘だった可能性もあるし、実際はさぞ頭脳明晰だったんだろうが、アヤちゃんは多分ランが読んでいるから興味を持って、その中二心を擽られることになったんだろう。
ミステリ研究部のメンバーだった二人。
もう二度と道を同じくすることのない、二人。
「……もう、引き摺ってないか」
「ない、と一応言えるくらいにはな」
「そか、良かった良かった」
ソウヘイは満足げに笑い、
「色々と変わっちまっただろうが、お前はお前だからな」
「そう慰められると気色が悪い」
「ちっ、言わなきゃよかったか」
わざとらしく舌打ちをして拗ねたように言うソウヘイは、見ていて面白かった。
おかげで元気が出る。
「……そういや、例の事件関係のことなんだが」
話に一区切りついたところで、ソウヘイが切り出してくる。
例の事件といえば、黒影館で起きた事件をおいて他にない。
ミス研の部長である安藤蘭に誘われるまま、町外れに所在する、霊の噂が囁かれる黒影館へ探検に向かった俺を含む総勢七名は、深夜を迎えると同時に館内に閉じ込められ、そこで血も凍る連続殺人に巻き込まれてしまったのだ。
陳腐なミステリ染みた展開だが、事態はそう単純ではなく。黒影館はかつてGHOSTと称する裏組織が運営する研究施設であり、そこでは日夜霊魂に関する研究と実験が行われていたというのである。そして犠牲となった友人たちはみな、犯人に霊魂を改造され、その拒絶反応によって爆死するという悍しい最期を迎えることになったのである。
事件の裏で糸を引いていた犯人こそ、ミス研の部長で俺の親友だった安藤蘭。彼女は俺たちの前でGHOSTの研究員だと素性を明かし、これまでの交友の全てを偽りと切り捨てて、高笑いと共に行方をくらませたのだった……。
「……あれから、何か新しい情報でも?」
生還してからは特に怪しい動きや情報は得られず、もどかしい毎日ではあった。
ランの側から何らかのアクションでもあれば、たとえ罠だとしても乗ってやるつもりなのだが。
ただ、ソウヘイがもたらしたのはランやGHOSTの動向ではなく、シグレについてのことだった。
「関係があるのかは分からねえんだけどよ。シグレくんの両親が二年前に殺害された事件って、詳しいことは全然聞いてないだろ?」
「……事件? 事故って聞いてたんだけどな、確か」
「そのときは、心配されたくなかったからそう言ったんだろう」
なるほど、シグレの性格からすれば十分に有り得る話だ。結局タイミングがなくて、今も本当のことを言えずにいるのだろう。
「プライベートなことだし、あまり突っ込んだ話ができないのも仕方ないんだが。実はその事件って、鏡ヶ原実験の一ヶ月後に起きてるみたいなんだよ」
「一ヶ月後……」
「そうなると、ちょっと気になってくるだろ?
その殺人事件に、GHOSTが関わってるかもしれないってさ」
「確かに。……偶然の可能性はあるけど、調べてみないことには、だな」
歴史の裏で暗躍する謎めいた機関、GHOST。奴らの行いは非人道的であり、独善的だ。
障害になるもの、或いはなりそうなものを消し去ることは徹底してやりかねないと俺は思う。
シグレの両親も、奴らの毒牙にかかったのだろうか。
そうして彼は、家族を喪って。
「……過去にオカルト染みた経験をした人は、狙われるかもしれないな。それがGHOSTの研究だった場合には」
「仮にそれを逆手にとれれば……GHOSTの研究員とかに接触できたりするんかね」
「そうなったら……それで無事に話を聞き出せれば、もっと先に進めるんだろうが。今はまだ、何とも言えないな」
俺が溜め息を吐くのに、ソウヘイは苦笑で返してきた。
「ま、情報サンキュ。それとなく、シグレに話を聞いてみたりもしておくとするよ。そっちのことで何かあったときも情報は伝える」
「……おう。それなりに期待しとくぜ」
「はは……じゃあ、な」
ひらひらと手を振りながら、ソウヘイは図書室を出ていく。
後には、本を小脇に抱えた俺だけが残された。
――これからどうなるんだろうな。
黒影館事件からそろそろ三週間が経つ。
あの事件で多くのものが奪われ、多くのことが変わったけれど、ソウヘイの言うように俺は俺のままなのだろう。
例え俺が本当の桜井令士でなくとも。
背中に聖痕のある、人造魂魄であっても。
俺が生きてきた二年間がある限り、その俺を知る仲間は、俺をレイジと呼び続けてくれる。
そこが変わらなければ、俺は耐え忍ぶことができた。
「はー……しかし、本当にラン、こんな本理解できてたのかよ」
とりあえず本を借り、ミス研へ向かう道すがら、俺はぶつぶつと呟く。
「高次元がどうとか重力がどうとか……あいつが、なあ」
ミス研の部長だった彼女。
じゃじゃ馬のように元気だけが取り柄で、俺や周囲の人間を振り回していた彼女。
そんな彼女と、マッドサイエンティストという実態があまりにもかけ離れていて、俺は未だに悪夢でも見ているかのようだった。
「あー、引き摺ってなんかないからな」
頭を掻きながら、自分に言い聞かせるように独り言ちる。
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