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Fourteenth Chapter...8/1
崩壊の兆し
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「虎牙はさっき帰ってきたところだ」
「ですよね。私も頼まれてた用が終わったんで、報告に」
「ふむ。……すまないな」
「いえ、好きでやってることですから」
果たしてその好きは、どっちの意味やら。自分でそう考えたのに、途端に恥ずかしくなってしまった。
ええい、これは自分の疑いを晴らすために必要なことなのだ。
佐曽利さんは私を、虎牙の部屋まで案内してくれる。思えばあいつの部屋に私だけで入ったことは初めてじゃないか。こんなタイミングで上がり込むことになろうとは、人生分からないものだ。
「虎牙。龍美ちゃんだ」
「龍美? ……ああ、入ってくれ」
扉を開けると、窓付きの縦型エアコンに体を近付け、汗を拭っている虎牙の姿があった。それがあまりにも無防備なものだから、思わずこちらが目を逸らしてしまうほどだった。
「ちょっと、もー! やっぱりデリカシーないわね」
「って、急に来るんだからしゃーねえだろ。暑いんだよ」
「すまんな。何か飲み物を持ってくる」
佐曽利さんなりに気を遣ってくれているようだ。仏頂面ながらそう言うと、彼は台所へ引っ込んでいった。
涼しい部屋に冷たいジュース。一仕事終わった後の体には最高のご褒美だ。
「……さてと」
オレンジジュースが運ばれてくるのを待ってから、私は虎牙と話を始める。
虎牙もやっと汗がひいたようで、服をパタパタさせるのは止めていた。
「八木さんと外でちょっとだけ話したわ。成果はあったみたいね?」
「……まあ、な」
虎牙にしては歯切れが悪い。八木さんは、三鬼村に眠っていた秘密を掴めたと評していたが、その秘密はやはりショッキングなことなのか。
彼の表情を見る限りは、そんな風に思える。
「それより龍美、お前がこっちに来たってことは、道標の碑を数え終わったってことか?」
「あ、うん。ちゃんと全部数えてきたわよ」
「……結果は?」
「ご明察ってとこかしらね」
そう言いながら、私は虎牙の前に一所懸命完成させた地図を差し出した。
「ほら、これが書き終わった地図よ」
「……ええと、何個あるんだ?」
あ。言われてみれば、丸はいっぱい書き記したけれど、最後に合計を書き入れるのを忘れていた。
画竜点睛ってやつだ。いけない、いけない。
「八百二。ずっと私たちを悩ませ続けてる数字と一緒よ」
「――なるほど」
予想通り、という風に虎牙は頷いた。それから手で額を覆い、溜息を吐く。
「そういうことなんだな。……道標、ねえ」
「虎牙にはもう、あの碑がどういうものなのか分かったのね」
「こんな事件さえなけりゃ、知らずに済んだんだ」
三鬼村の秘密。
かつてこの街が、鬼の祟りを信じる閉鎖的な寒村だったころの、闇。
ああ、それは口にするのも憚られるような忌まわしきものに違いないのだ。
虎牙の一挙手一投足が、それを物語っている。
「ねえ、虎牙。それって――」
一体、どんな秘密なの。
私は躊躇いがちに、そう訊ねようとした。
まさに、その瞬間だった。
「――あッ……!?」
「うおッ?」
世界が、鳴動する。
のた打ち回る生物のように、ぐわんぐわんと揺れ動く。
耳朶はとてつもない轟音で満ち満ちて。
突如襲い掛かったその恐怖に、私は情けない悲鳴を上げながら床に這いつくばるしかなかった。
――地震だ……!
「でかいな……!」
虎牙も、近くの机に手をつきながら言う。初めはコップが倒れるのを止めようとしていたが、揺れがあまりに大きいので結局諦めて、自分の身を優先していた。だから、テーブルの上には飲みかけだったジュースがぶち撒けられている。
縦揺れは、ともすれば永遠に続くかのようにも思われたが、実際には二十秒程度の時間だった。ただ、大地の震動するあの轟音は長い間耳に残り続けたし、実際どこか遠くで音も揺れも継続しているようでもあった。
突然のことに、全てが収まっても私と虎牙はしばらく口を開けず。
ただ、呆然と互いの驚いた顔を見つめていることしかできなかった。
「……もう、揺れてないわよね?」
「ああ……」
一分ほどが経って、ようやく我に返った私たちは、まず慌てて溢れたジュースを拭き取る。後で雑巾を使わなければいけないだろうが、とりあえずこの場にあるティッシュでできる限りは綺麗にしておいた。
他にも倒れているものが幾つかあったので、虎牙はさっさとそれらを元通りの位置へなおしていく。
「まさか、あんなでけえのがくるとはな」
「でも、千代さんの話じゃ周期的にそろそろ大地震がくるらしいし、怖いわね」
「土砂崩れだってあったしな……」
……土砂崩れ。
虎牙の言葉を聞いて、私は胸騒ぎがするのを感じた。
さっきの揺れは、大きな縦揺れが終わった後も僅かな震動と音が続いてはいなかっただろうか?
それは、むしろ地震ではなく連動して起きた土砂崩れだったとは考えられないか……?
「二人とも、大丈夫か」
そのとき、佐曽利さんが部屋に入ってきた。緊急事態なので仕方ないが、ノックもなくいきなり来たので少しだけ焦ってしまう。
「だ、大丈夫です」
「それより、何かあったのか?」
恐らく、虎牙はただ地震が起きたくらいでは佐曽利さんがこうして様子を伺いにくることはないと了解しているのだろう。彼の予想通り、佐曽利さんは私たちに伝えることがあるようだった。
「外に出てくれ」
言われるがまま、私たちは玄関から外へ出る。すると佐曽利さんは、山の東側をゆっくりと指差した。
「……あれはまずい」
「え……」
一瞬、目の前の光景が理解できなかった。
この目に映る景色を、頭が拒絶したような。
でも、何度目を瞬いてもそれが変わることはなく。
ただ佐曽利さんの指差す方角には、絶望があるばかりだった。
「土砂崩れじゃねえか……!」
さっきの予想が当たってしまった。
そしてそれは、私たちの予想以上に絶望的なものだった。
「あそこ、観測所が建ってたところよね!?」
「ああ、間違いねえ……」
電波塔よりも東。
私がさっきまでいた、今は八木さんが帰っているはずの観測所があった場所。
まさにその真上にある土砂がごっそりと削れ……建物ごと崩れ落ちてしまっていた。
それまで木々と建物の上部が僅かに見えていた場所は今、土の層が露出していて。
あの場所に観測所があったことが、最早分からないまでになっていた。
「八木さんが!」
頭が真っ白になって、私はただ名前を叫ぶ。虎牙も佐曽利さんも、観測所に八木さんが帰ったのは知っていたので、
「すぐ救助に向かおう」
と提案してくれた。
勿論、その提案を断るわけもない。私はすぐさま頷いて、三人で現場に急ぐことになった。
まさか、観測所が土砂崩れに巻き込まれるなんて。
そんな不運で悲劇的なことが、こんなタイミングで起こってしまうのか。
あたかも全てが仕組まれた悪意のようにすら感じられて。
夏の暑さの中、全力で走っているはずの私は、思わず身震いをしてしまった。
――無事でいてよ、八木さん。
息苦しさを必死で堪え、私はただ一心に無事を祈りながら観測所へと走った。
「ですよね。私も頼まれてた用が終わったんで、報告に」
「ふむ。……すまないな」
「いえ、好きでやってることですから」
果たしてその好きは、どっちの意味やら。自分でそう考えたのに、途端に恥ずかしくなってしまった。
ええい、これは自分の疑いを晴らすために必要なことなのだ。
佐曽利さんは私を、虎牙の部屋まで案内してくれる。思えばあいつの部屋に私だけで入ったことは初めてじゃないか。こんなタイミングで上がり込むことになろうとは、人生分からないものだ。
「虎牙。龍美ちゃんだ」
「龍美? ……ああ、入ってくれ」
扉を開けると、窓付きの縦型エアコンに体を近付け、汗を拭っている虎牙の姿があった。それがあまりにも無防備なものだから、思わずこちらが目を逸らしてしまうほどだった。
「ちょっと、もー! やっぱりデリカシーないわね」
「って、急に来るんだからしゃーねえだろ。暑いんだよ」
「すまんな。何か飲み物を持ってくる」
佐曽利さんなりに気を遣ってくれているようだ。仏頂面ながらそう言うと、彼は台所へ引っ込んでいった。
涼しい部屋に冷たいジュース。一仕事終わった後の体には最高のご褒美だ。
「……さてと」
オレンジジュースが運ばれてくるのを待ってから、私は虎牙と話を始める。
虎牙もやっと汗がひいたようで、服をパタパタさせるのは止めていた。
「八木さんと外でちょっとだけ話したわ。成果はあったみたいね?」
「……まあ、な」
虎牙にしては歯切れが悪い。八木さんは、三鬼村に眠っていた秘密を掴めたと評していたが、その秘密はやはりショッキングなことなのか。
彼の表情を見る限りは、そんな風に思える。
「それより龍美、お前がこっちに来たってことは、道標の碑を数え終わったってことか?」
「あ、うん。ちゃんと全部数えてきたわよ」
「……結果は?」
「ご明察ってとこかしらね」
そう言いながら、私は虎牙の前に一所懸命完成させた地図を差し出した。
「ほら、これが書き終わった地図よ」
「……ええと、何個あるんだ?」
あ。言われてみれば、丸はいっぱい書き記したけれど、最後に合計を書き入れるのを忘れていた。
画竜点睛ってやつだ。いけない、いけない。
「八百二。ずっと私たちを悩ませ続けてる数字と一緒よ」
「――なるほど」
予想通り、という風に虎牙は頷いた。それから手で額を覆い、溜息を吐く。
「そういうことなんだな。……道標、ねえ」
「虎牙にはもう、あの碑がどういうものなのか分かったのね」
「こんな事件さえなけりゃ、知らずに済んだんだ」
三鬼村の秘密。
かつてこの街が、鬼の祟りを信じる閉鎖的な寒村だったころの、闇。
ああ、それは口にするのも憚られるような忌まわしきものに違いないのだ。
虎牙の一挙手一投足が、それを物語っている。
「ねえ、虎牙。それって――」
一体、どんな秘密なの。
私は躊躇いがちに、そう訊ねようとした。
まさに、その瞬間だった。
「――あッ……!?」
「うおッ?」
世界が、鳴動する。
のた打ち回る生物のように、ぐわんぐわんと揺れ動く。
耳朶はとてつもない轟音で満ち満ちて。
突如襲い掛かったその恐怖に、私は情けない悲鳴を上げながら床に這いつくばるしかなかった。
――地震だ……!
「でかいな……!」
虎牙も、近くの机に手をつきながら言う。初めはコップが倒れるのを止めようとしていたが、揺れがあまりに大きいので結局諦めて、自分の身を優先していた。だから、テーブルの上には飲みかけだったジュースがぶち撒けられている。
縦揺れは、ともすれば永遠に続くかのようにも思われたが、実際には二十秒程度の時間だった。ただ、大地の震動するあの轟音は長い間耳に残り続けたし、実際どこか遠くで音も揺れも継続しているようでもあった。
突然のことに、全てが収まっても私と虎牙はしばらく口を開けず。
ただ、呆然と互いの驚いた顔を見つめていることしかできなかった。
「……もう、揺れてないわよね?」
「ああ……」
一分ほどが経って、ようやく我に返った私たちは、まず慌てて溢れたジュースを拭き取る。後で雑巾を使わなければいけないだろうが、とりあえずこの場にあるティッシュでできる限りは綺麗にしておいた。
他にも倒れているものが幾つかあったので、虎牙はさっさとそれらを元通りの位置へなおしていく。
「まさか、あんなでけえのがくるとはな」
「でも、千代さんの話じゃ周期的にそろそろ大地震がくるらしいし、怖いわね」
「土砂崩れだってあったしな……」
……土砂崩れ。
虎牙の言葉を聞いて、私は胸騒ぎがするのを感じた。
さっきの揺れは、大きな縦揺れが終わった後も僅かな震動と音が続いてはいなかっただろうか?
それは、むしろ地震ではなく連動して起きた土砂崩れだったとは考えられないか……?
「二人とも、大丈夫か」
そのとき、佐曽利さんが部屋に入ってきた。緊急事態なので仕方ないが、ノックもなくいきなり来たので少しだけ焦ってしまう。
「だ、大丈夫です」
「それより、何かあったのか?」
恐らく、虎牙はただ地震が起きたくらいでは佐曽利さんがこうして様子を伺いにくることはないと了解しているのだろう。彼の予想通り、佐曽利さんは私たちに伝えることがあるようだった。
「外に出てくれ」
言われるがまま、私たちは玄関から外へ出る。すると佐曽利さんは、山の東側をゆっくりと指差した。
「……あれはまずい」
「え……」
一瞬、目の前の光景が理解できなかった。
この目に映る景色を、頭が拒絶したような。
でも、何度目を瞬いてもそれが変わることはなく。
ただ佐曽利さんの指差す方角には、絶望があるばかりだった。
「土砂崩れじゃねえか……!」
さっきの予想が当たってしまった。
そしてそれは、私たちの予想以上に絶望的なものだった。
「あそこ、観測所が建ってたところよね!?」
「ああ、間違いねえ……」
電波塔よりも東。
私がさっきまでいた、今は八木さんが帰っているはずの観測所があった場所。
まさにその真上にある土砂がごっそりと削れ……建物ごと崩れ落ちてしまっていた。
それまで木々と建物の上部が僅かに見えていた場所は今、土の層が露出していて。
あの場所に観測所があったことが、最早分からないまでになっていた。
「八木さんが!」
頭が真っ白になって、私はただ名前を叫ぶ。虎牙も佐曽利さんも、観測所に八木さんが帰ったのは知っていたので、
「すぐ救助に向かおう」
と提案してくれた。
勿論、その提案を断るわけもない。私はすぐさま頷いて、三人で現場に急ぐことになった。
まさか、観測所が土砂崩れに巻き込まれるなんて。
そんな不運で悲劇的なことが、こんなタイミングで起こってしまうのか。
あたかも全てが仕組まれた悪意のようにすら感じられて。
夏の暑さの中、全力で走っているはずの私は、思わず身震いをしてしまった。
――無事でいてよ、八木さん。
息苦しさを必死で堪え、私はただ一心に無事を祈りながら観測所へと走った。
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