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Tenth Chapter...7/28
地下に残されたもの
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自宅へ戻り、しばらくは普段通りに過ごしてから。
夜の十時。私は隠密行動を開始することにした。
こんな冒険をするのは、流石に生まれて初めてだ。
バレずに戻ってこれればいいけれど。
一度両親にパジャマ姿を見せてから、部屋で動きやすい服装に着替え直す。
蟹田さんから受け取った鍵をズボンのポケットにしまいこんで、私は部屋の窓を開けた。
玄関からこっそり靴を回収して来ている。ここから家を抜け出すのだ。
「……よーし」
靴を地面に置き、折り畳み傘を外で開いてから、窓をくぐる。こんなところから出たことはなかったが、窓って案外高い位置にあるもんだなあ。足を上げるのに苦労する。
何とか外に出たけれど、足が靴からずれてしまって土を払わなければいけなかった。
まあ、とりあえず脱出成功だ。親にも多分、バレていない。
いざ、永射邸跡に出発だ。
雨が止んでくれていればよかったのだが、空の気分が良かったのは昨日だけだったらしい。夜闇と雨で、視界が悪いのは諦めるしかない。
目的地が地下室なら、そこには雨も入ってこないはずだ。
時間も遅いので、通行人の姿もない。聞こえるのは雨音と、微かに虫の鳴き声だけ。傘をぎゅっと握り締めながら、私は北へ歩いていく。
時折風が吹く。夏といえども荒天の夜風は冷たく感じた。
誰にもすれ違うことなく、私は永射邸跡に辿り着いた。焼け落ちた邸宅跡は、辛うじて入口がどこだったかは分かるものの、どうやって入ったものかと迷ってしまう。
とりあえずは玄関部分から、床面を注視しながら進んでいこうか。
永射邸は二階建てだったが、上階はほぼ崩れてしまっていて、雨を防げる部分はあまりない。地下室を探すのは、傘を差したままになりそうだ。
懐中電灯を持って来るべきだった、と思いながら、スマホのライトで何とか代用して床を調べていく。左手に傘、右手にスマホ。不器用な私には中々大変だ。
床には大量の瓦礫が散らばっている。大小様々で、大きなものが積み重なっているところは除けるのも一苦労だ。隙間から下が覗けるところは放置して、怪しいところだけは瓦礫を除去していく。
一度も入ることはなかったが、永射邸の床面積はそれなりに広かったようだ。庭も含めると、三百平米以上はあるのではないだろうか。いかに田舎といっても、急激に人口と家が増加していっている街だ、これくらいの平米数を確保できるところは地位の高さを感じる。
コレクションルームだろうか。一際瓦礫が多く、美術品の残骸なども散見される場所。
その床面に、違和感があった。
高級なカーペットが一面に敷かれていたようだが、黒焦げになったそのカーペットの下に、枠のようなものが覗いているのだ。
恐らくは、これが……。
「……あった……!」
ビンゴだ。カーペットを引っぺがすと、そこに鉄製の扉が現れた。正方形のハッチで、鍵を開ければ引き開けることができるようになっている。
私は早速、蟹田さんから託された鍵を取り出し、鍵穴に挿入した。煤のせいか、鍵の入りは悪かったが、無理やり押し込むと何とか最後まで入った。
力を込めて、鍵をぐるりと回す。鈍かったが、確かにガチリと解錠される音がしたので、私は取っ手を掴んで扉を引き開けた。
ギイィ……と軋む音とともに、扉は上がっていく。
「……ほんと、デジャヴね」
鬼封じの池の廃墟と瓜二つだ。何というか、怪しいアジト的なものって地下空間にあると相場が決まっているものだなと思う。
まあ、ここがあの廃墟に似せているわけではないだろうが。
扉の下には、まず梯子があった。雨に濡れたら手が滑って落ちる危険があるので、私は傘を穴の上に置いて、雨が入ってこないようにする。
扉を閉めてもよかったのだが、結構重量があったし火事のせいで痛んでいる。仮に開かなくなったときのことが怖かったのだ。
梯子は十段程度と短かった。数メートルだけ下りてから、改めて下り階段が作られていたのだ。入口があれだと、最初は真下に下りなければ高さが確保できないものね。
とにかく、ここからは雨の心配がいらないので助かる。スマホをしっかりと前に掲げながら、その光を頼りにずんずん進んでいく。
不思議と、鬼封じの池ほどの恐怖心はなかった。あの場所と違い、ここは永射さんの家の地下なわけで、怖いイメージも湧き難いのだろう。
ここでまた、白骨死体でも現れたら事情は違うけれど。
階段を下りた先は、そのまま部屋になっていた。……秘密の地下室。入口すぐのところに電気のスイッチがあったが、オンに切り替えても電灯は点かなかった。火事のせいで、ここの電気系統もやられているようだ。
明かりはスマホのライトのみ。色々な物が乱雑に置かれた室内では、この細い光では心許なかったが、仕方がない。
「……しかし、こんなものがあったのね……」
永射邸の地下室。その室内には、大きめのデスクトップパソコンが複数置かれていたり、分厚い書籍が並ぶ本棚があったりと、書斎のようになっていた。明確な違いがあるとすれば、書籍のタイトルが怪しげなものばかりというところか。
背表紙に記されているのは、『魂の学問的理解』とか、『脳科学の深淵』とか、科学の皮を被ったオカルト本みたいなタイトルだ。実際、そういうものが多いのだと思われる。
まさか、これは永射さんの人には言えない趣味だったりするのだろうか? などと考えてもみたのだが、その場所の鍵を早乙女さんが持っている理由が不明だ。
十中八九、ここは『怪しげな実験』を進めていく上での作戦室で、永射さんが亡くなった今、病院の人間――恐らくは貴獅さん――が引き継いだというところか。そして、部下である早乙女さんに鍵を管理してもらっている……。
早乙女さんが関わっているのなら、双太さんも事情を知っているのかな。もしそうだったら、ちょっと裏切られた気分だ。誰にも言えない秘密なのは、分かるけれど。
彼らが完遂したい実験とは、一体どのようなものなんだろう。
それは、電波塔計画と表裏一体ものなのか、それとも。
「……ん」
パソコンの置かれたテーブルの上。
そこに、投げ出された分厚い書類の束があった。
本ではない。ダブルクリップで留められた資料。
ライトで照らしたその資料の表紙には――。
「……WAW、プログラム……!」
あった。
これが貴獅さんの話していた計画だ。
謎の実験。その概要がこの資料の中に。
衝撃の発見に、私は興奮が抑えられなかった。
全てを暴き出せることへの、喜びと恐怖。
どちらもが綯交ぜになって、心臓が潰れてしまいそうなほど早鐘を打つ。
ここに一体、何が記されているというのだろう?
パンドラの匣の中に詰まっているのは絶望か、それとも希望だけなのか。
いずれにせよ、資料のページ数は膨大なものだ。
大きいダブルクリップで留められているその束は、ゆうに百枚を超えている。
これは一度持ち帰って読み込まなければ把握できなさそうだ。
雨に濡れてしまいそうだが、ここまでの収穫があるとは考えていなかったので、鞄も袋も持ってきていない。なるべく傘で守りながら帰るしかないか。
他にめぼしいものはなく、パソコンを起動してもパスワードを求められたので、捜査はこれ以上できなさそうだった。オカルト本も幾つか持ち帰りたい衝動には駆られたが、流石に荷物が増えすぎる。十五分程度で捜査を打ち切った私は、『WAWプログラム』の資料を手に、地下室から抜け出した。
夜の十時。私は隠密行動を開始することにした。
こんな冒険をするのは、流石に生まれて初めてだ。
バレずに戻ってこれればいいけれど。
一度両親にパジャマ姿を見せてから、部屋で動きやすい服装に着替え直す。
蟹田さんから受け取った鍵をズボンのポケットにしまいこんで、私は部屋の窓を開けた。
玄関からこっそり靴を回収して来ている。ここから家を抜け出すのだ。
「……よーし」
靴を地面に置き、折り畳み傘を外で開いてから、窓をくぐる。こんなところから出たことはなかったが、窓って案外高い位置にあるもんだなあ。足を上げるのに苦労する。
何とか外に出たけれど、足が靴からずれてしまって土を払わなければいけなかった。
まあ、とりあえず脱出成功だ。親にも多分、バレていない。
いざ、永射邸跡に出発だ。
雨が止んでくれていればよかったのだが、空の気分が良かったのは昨日だけだったらしい。夜闇と雨で、視界が悪いのは諦めるしかない。
目的地が地下室なら、そこには雨も入ってこないはずだ。
時間も遅いので、通行人の姿もない。聞こえるのは雨音と、微かに虫の鳴き声だけ。傘をぎゅっと握り締めながら、私は北へ歩いていく。
時折風が吹く。夏といえども荒天の夜風は冷たく感じた。
誰にもすれ違うことなく、私は永射邸跡に辿り着いた。焼け落ちた邸宅跡は、辛うじて入口がどこだったかは分かるものの、どうやって入ったものかと迷ってしまう。
とりあえずは玄関部分から、床面を注視しながら進んでいこうか。
永射邸は二階建てだったが、上階はほぼ崩れてしまっていて、雨を防げる部分はあまりない。地下室を探すのは、傘を差したままになりそうだ。
懐中電灯を持って来るべきだった、と思いながら、スマホのライトで何とか代用して床を調べていく。左手に傘、右手にスマホ。不器用な私には中々大変だ。
床には大量の瓦礫が散らばっている。大小様々で、大きなものが積み重なっているところは除けるのも一苦労だ。隙間から下が覗けるところは放置して、怪しいところだけは瓦礫を除去していく。
一度も入ることはなかったが、永射邸の床面積はそれなりに広かったようだ。庭も含めると、三百平米以上はあるのではないだろうか。いかに田舎といっても、急激に人口と家が増加していっている街だ、これくらいの平米数を確保できるところは地位の高さを感じる。
コレクションルームだろうか。一際瓦礫が多く、美術品の残骸なども散見される場所。
その床面に、違和感があった。
高級なカーペットが一面に敷かれていたようだが、黒焦げになったそのカーペットの下に、枠のようなものが覗いているのだ。
恐らくは、これが……。
「……あった……!」
ビンゴだ。カーペットを引っぺがすと、そこに鉄製の扉が現れた。正方形のハッチで、鍵を開ければ引き開けることができるようになっている。
私は早速、蟹田さんから託された鍵を取り出し、鍵穴に挿入した。煤のせいか、鍵の入りは悪かったが、無理やり押し込むと何とか最後まで入った。
力を込めて、鍵をぐるりと回す。鈍かったが、確かにガチリと解錠される音がしたので、私は取っ手を掴んで扉を引き開けた。
ギイィ……と軋む音とともに、扉は上がっていく。
「……ほんと、デジャヴね」
鬼封じの池の廃墟と瓜二つだ。何というか、怪しいアジト的なものって地下空間にあると相場が決まっているものだなと思う。
まあ、ここがあの廃墟に似せているわけではないだろうが。
扉の下には、まず梯子があった。雨に濡れたら手が滑って落ちる危険があるので、私は傘を穴の上に置いて、雨が入ってこないようにする。
扉を閉めてもよかったのだが、結構重量があったし火事のせいで痛んでいる。仮に開かなくなったときのことが怖かったのだ。
梯子は十段程度と短かった。数メートルだけ下りてから、改めて下り階段が作られていたのだ。入口があれだと、最初は真下に下りなければ高さが確保できないものね。
とにかく、ここからは雨の心配がいらないので助かる。スマホをしっかりと前に掲げながら、その光を頼りにずんずん進んでいく。
不思議と、鬼封じの池ほどの恐怖心はなかった。あの場所と違い、ここは永射さんの家の地下なわけで、怖いイメージも湧き難いのだろう。
ここでまた、白骨死体でも現れたら事情は違うけれど。
階段を下りた先は、そのまま部屋になっていた。……秘密の地下室。入口すぐのところに電気のスイッチがあったが、オンに切り替えても電灯は点かなかった。火事のせいで、ここの電気系統もやられているようだ。
明かりはスマホのライトのみ。色々な物が乱雑に置かれた室内では、この細い光では心許なかったが、仕方がない。
「……しかし、こんなものがあったのね……」
永射邸の地下室。その室内には、大きめのデスクトップパソコンが複数置かれていたり、分厚い書籍が並ぶ本棚があったりと、書斎のようになっていた。明確な違いがあるとすれば、書籍のタイトルが怪しげなものばかりというところか。
背表紙に記されているのは、『魂の学問的理解』とか、『脳科学の深淵』とか、科学の皮を被ったオカルト本みたいなタイトルだ。実際、そういうものが多いのだと思われる。
まさか、これは永射さんの人には言えない趣味だったりするのだろうか? などと考えてもみたのだが、その場所の鍵を早乙女さんが持っている理由が不明だ。
十中八九、ここは『怪しげな実験』を進めていく上での作戦室で、永射さんが亡くなった今、病院の人間――恐らくは貴獅さん――が引き継いだというところか。そして、部下である早乙女さんに鍵を管理してもらっている……。
早乙女さんが関わっているのなら、双太さんも事情を知っているのかな。もしそうだったら、ちょっと裏切られた気分だ。誰にも言えない秘密なのは、分かるけれど。
彼らが完遂したい実験とは、一体どのようなものなんだろう。
それは、電波塔計画と表裏一体ものなのか、それとも。
「……ん」
パソコンの置かれたテーブルの上。
そこに、投げ出された分厚い書類の束があった。
本ではない。ダブルクリップで留められた資料。
ライトで照らしたその資料の表紙には――。
「……WAW、プログラム……!」
あった。
これが貴獅さんの話していた計画だ。
謎の実験。その概要がこの資料の中に。
衝撃の発見に、私は興奮が抑えられなかった。
全てを暴き出せることへの、喜びと恐怖。
どちらもが綯交ぜになって、心臓が潰れてしまいそうなほど早鐘を打つ。
ここに一体、何が記されているというのだろう?
パンドラの匣の中に詰まっているのは絶望か、それとも希望だけなのか。
いずれにせよ、資料のページ数は膨大なものだ。
大きいダブルクリップで留められているその束は、ゆうに百枚を超えている。
これは一度持ち帰って読み込まなければ把握できなさそうだ。
雨に濡れてしまいそうだが、ここまでの収穫があるとは考えていなかったので、鞄も袋も持ってきていない。なるべく傘で守りながら帰るしかないか。
他にめぼしいものはなく、パソコンを起動してもパスワードを求められたので、捜査はこれ以上できなさそうだった。オカルト本も幾つか持ち帰りたい衝動には駆られたが、流石に荷物が増えすぎる。十五分程度で捜査を打ち切った私は、『WAWプログラム』の資料を手に、地下室から抜け出した。
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