38 / 41
番外篇
――海――
しおりを挟む
――遠くで私を呼ぶ声がする。
目が覚めたとき、私は私ではなかった。
頬に触れればひんやりとした感触はあるし、皮膚を抓れば痛い。至る所に負っていた傷に触れれば、じんとした痛みと、何故だか少し、寂しさも感じる。
でも、私は私を覚えていなかった。
私は自身のことを、何一つ思い出せなかったのだ。
名前を呼ぶ声に、目が開いたとき、視界に広がったのは病室の天井だった。私は怪我のため、治療を受けているようだった。そういう状況は理解できても、自分がなぜそうなってしまったのか、そもそも自分が何者なのか、その記憶が一切、消え去ってしまっていたのだった。
その異常さに呆けてしまった私の隣には、一人の少年がいた。私と同じくらいの、赤毛の少年だった。そして、彼と目を合わせた瞬間、私は私の意識と無関係に、涙が溢れてくるのを感じた。
――ごめんなさい。
私はなにに謝っているのかも分からないまま、そう彼に告げていた。
彼は言葉もなく、ただ静かに、だけど力強く、私を抱きしめた。
彼は――ワタルくんは、毎日私の病室へやって来て、話を聞かせてくれた。それは、生まれたときからあの日に至るまで、ずっと共に過ごしてきた、二人と、友人たちとの日々のお話だった。私はそのお話に、とても心が温まる思いを感じながらも、どうしても、それを自分の過去だと受け入れることができなかった。彼が話す日々は、心地の良い物語めいて聞こえていたのだった。
それでも、彼が聞かせてくれるものは全て、私が存在した確かな証であるはずだった。だから、私はその物語を手放さないように、私が生きた事実を手放さないように、真剣になって、話を聞き続けた。覚え続けた。
けれど――たった一つだけ、どうしようもなく埋めがたい空白があった。取り戻そうとする度、耐え難い頭痛が襲い、その記憶が戻ることを拒絶してくるのだった。ワタルくんがそれから何度も口にしたように、そのときの出来事こそが、私が全てを失う原因だったのであり、知ろうと努力するほどに本能がそれを拒否することも、無理からぬことなのだった。
記憶が戻らぬまま、私は退院し、ワタルくんと一緒に生活することとなった。まだ十五歳の子供なのに、どうして自分だけの家も、お金もあるのかと訊ねたことがあったが、当然ながらワタルくんは答えをはぐらかした。思えばそのときにはもう、彼の中で一つの思いが、計画が芽生えていたのかもしれない。
そしてまた、ワタルくんの思いとは裏腹に、そのときからもう、私の精神は虫食いのように穴を開け始めていたのだった。
ワタルくんは私をとても大切にしてくれた。家を出ることすら困難な私に、自由な時間の殆どを費やしてくれていた。なのに私は、段々とその事実を認識できなくなっていった。彼が側にいてくれる温かさが、日毎に感じられなくなってしまったのだ。
そして、ふつりと消える。
私の精神がどうしようもなく壊れてしまったのは、四年ほどが経ったときのことだ。でも、そこには決して劇的な何かがあったわけではなくただただ蓄積されたものが、限界を超えてしまったというだけなのだと思う。
私は大切な人を目の前にしたまま、その意識を手放した。縋りつこうとしていたものに、最後まで縋りつくことができなかったのだった。
そのときから長い長い間、私の記憶は欠落している。それは今でも完全に戻ることはない。けれど、かさぶたが張り、やがては傷口が塞がっていくように、僅かずつ蘇りはしているのだ。
抜け落ちた時間の中にも、とても大切なことが沢山ある。
それは、悲しい記憶であったり、楽しい記憶であったり、恥ずかしい記憶であったりと、思い出す度に色々な気持ちにさせられるけれど。
そこから生まれた全てを、私は大切にしていきたいのだ。
私達はもう、家族になっていたのだから。
*
車は、緩やかなカーブを走り続けている。運転席にはワタルくんがいて、助手席に私が座っている。その背後には、大人しく腰を沈めている子供たちがいた。
今日は、初めての家族旅行だ。私が退院して、真っ先にやりたいと子供たちが口を揃えたのが旅行だった。まだまだ健康な体になったとは言えないため、日帰り旅行ということに落ち着いたが、それでも子供たちは喜んでくれた。その笑顔に、私とワタルくんも嬉しくなった。
「だからさ、ヒカルのやつに言ってやったんだよ。男は度胸だってさ」
「ワタルってば、人の恋愛に口挟みすぎちゃうんだよ。ヒカルくんのこと好きなんだよね」
「こら、ツバサ。誤解を招くようなことは言うな」
「ワタルも早く、いい人見つけないとね?」
「そういうお前もな」
子供たちは、未だに私たちの名前で呼び合っている。ヒカルくんやクウちゃんと仲良くしているから、その方がしっくりくるということらしい。確かに、今更本名で呼んでもらうよりかは、今まで通り呼び合えた方が気が楽なのかもしれない。私たちとしては、少し気恥ずかしくもなるのだけど。
「さあ、もうすぐ着くぞ」
ワタルくんが、ハンドルをゆっくり戻しながら言う。その言葉に、右手側の窓の外を眺めると、そこには陽を受けてきらきらと輝く、広い、青い海が広がっていた。
海が見たい。
それが、子供たちの望みだった。
島の中から見ていた海ではなく、この場所から見る海の景色。それを家族で見てみたいのだと。そうすることで、私たちが今、自由に生きていることを感じたいのだと。
広い世界から、かつて私たちが過ごした鳥籠に思いを馳せる。
不思議な気持ちだけれど、それは決して不快なものではなかった。
道路脇に車を停め、私たちは海岸沿いを四人、ゆっくりと歩いていく。そして、海を一望できる場所までくると、シートを敷いてそこに腰を下ろした。
手製の弁当は、娘と一緒に作ったものだ。ワタルくんと息子が起きだす前に、二人でこっそり、けれども楽しみながら作っていた。割合大きめの弁当箱が置かれると、男二人は揃って感心の声を上げるのだった。
美味しい、と何度も口にする二人に、私たちは照れ臭くなりながらも、幸せに満たされた気持ちになる。大きな幸せは望まない。ただ、この場所にささやかな幸せが、長く続いてほしいと、私はそう願わずにいられないのだ。
決して偽りの形でなく、こうして本当の気持ちでもって、家族が過ごせる日常。それは途方も無い歳月の果てに、ようやく得ることのできたものだったけれど、これ以外の道はなかったのだと、私は思っている。だから、例え後ろを振り返っても、戻りたいとは考えない。大丈夫、これからも私たちは、真っ直ぐに飛んでいく。
あのときは、謝ってばかりいたみたいだけれど。
今は、感謝の気持ちでいっぱいだ。
ありがとう、ヒカルくんに、クウちゃん。それに、本当のヒカルくんも。
ありがとう、私たちを救ってくれた人たち。私たちが巻き込んでしまった人たち。
ありがとう、子供たち。
そして、ずっとずっと、ありがとう。私の大切な――
「どうした、ぼーっとして」
近くで声が聞こえ、私は少しだけどきりとする。すると彼は、面白そうに微笑んで、私の頭を撫でた。
「何でもないよ。……懐かしいな」
優しく撫でられる感触。とても久々だったけれど、私はその感触を覚えている。その心地よさも、覚えている。
ねえ、ワタルくん。こうしてやっと取り戻せた幸せを、目一杯感じていようね。
やっと果たせた約束の先を、四人で見ていようね。
大丈夫、私たちはどこまででも、飛んでゆけるから。
だから、見えない未来に怯えることなく、幸せを噛み締めていよう。
あなたに訪れる、さいごのそのときまで。
――私の大切な、ワタルくん。
目が覚めたとき、私は私ではなかった。
頬に触れればひんやりとした感触はあるし、皮膚を抓れば痛い。至る所に負っていた傷に触れれば、じんとした痛みと、何故だか少し、寂しさも感じる。
でも、私は私を覚えていなかった。
私は自身のことを、何一つ思い出せなかったのだ。
名前を呼ぶ声に、目が開いたとき、視界に広がったのは病室の天井だった。私は怪我のため、治療を受けているようだった。そういう状況は理解できても、自分がなぜそうなってしまったのか、そもそも自分が何者なのか、その記憶が一切、消え去ってしまっていたのだった。
その異常さに呆けてしまった私の隣には、一人の少年がいた。私と同じくらいの、赤毛の少年だった。そして、彼と目を合わせた瞬間、私は私の意識と無関係に、涙が溢れてくるのを感じた。
――ごめんなさい。
私はなにに謝っているのかも分からないまま、そう彼に告げていた。
彼は言葉もなく、ただ静かに、だけど力強く、私を抱きしめた。
彼は――ワタルくんは、毎日私の病室へやって来て、話を聞かせてくれた。それは、生まれたときからあの日に至るまで、ずっと共に過ごしてきた、二人と、友人たちとの日々のお話だった。私はそのお話に、とても心が温まる思いを感じながらも、どうしても、それを自分の過去だと受け入れることができなかった。彼が話す日々は、心地の良い物語めいて聞こえていたのだった。
それでも、彼が聞かせてくれるものは全て、私が存在した確かな証であるはずだった。だから、私はその物語を手放さないように、私が生きた事実を手放さないように、真剣になって、話を聞き続けた。覚え続けた。
けれど――たった一つだけ、どうしようもなく埋めがたい空白があった。取り戻そうとする度、耐え難い頭痛が襲い、その記憶が戻ることを拒絶してくるのだった。ワタルくんがそれから何度も口にしたように、そのときの出来事こそが、私が全てを失う原因だったのであり、知ろうと努力するほどに本能がそれを拒否することも、無理からぬことなのだった。
記憶が戻らぬまま、私は退院し、ワタルくんと一緒に生活することとなった。まだ十五歳の子供なのに、どうして自分だけの家も、お金もあるのかと訊ねたことがあったが、当然ながらワタルくんは答えをはぐらかした。思えばそのときにはもう、彼の中で一つの思いが、計画が芽生えていたのかもしれない。
そしてまた、ワタルくんの思いとは裏腹に、そのときからもう、私の精神は虫食いのように穴を開け始めていたのだった。
ワタルくんは私をとても大切にしてくれた。家を出ることすら困難な私に、自由な時間の殆どを費やしてくれていた。なのに私は、段々とその事実を認識できなくなっていった。彼が側にいてくれる温かさが、日毎に感じられなくなってしまったのだ。
そして、ふつりと消える。
私の精神がどうしようもなく壊れてしまったのは、四年ほどが経ったときのことだ。でも、そこには決して劇的な何かがあったわけではなくただただ蓄積されたものが、限界を超えてしまったというだけなのだと思う。
私は大切な人を目の前にしたまま、その意識を手放した。縋りつこうとしていたものに、最後まで縋りつくことができなかったのだった。
そのときから長い長い間、私の記憶は欠落している。それは今でも完全に戻ることはない。けれど、かさぶたが張り、やがては傷口が塞がっていくように、僅かずつ蘇りはしているのだ。
抜け落ちた時間の中にも、とても大切なことが沢山ある。
それは、悲しい記憶であったり、楽しい記憶であったり、恥ずかしい記憶であったりと、思い出す度に色々な気持ちにさせられるけれど。
そこから生まれた全てを、私は大切にしていきたいのだ。
私達はもう、家族になっていたのだから。
*
車は、緩やかなカーブを走り続けている。運転席にはワタルくんがいて、助手席に私が座っている。その背後には、大人しく腰を沈めている子供たちがいた。
今日は、初めての家族旅行だ。私が退院して、真っ先にやりたいと子供たちが口を揃えたのが旅行だった。まだまだ健康な体になったとは言えないため、日帰り旅行ということに落ち着いたが、それでも子供たちは喜んでくれた。その笑顔に、私とワタルくんも嬉しくなった。
「だからさ、ヒカルのやつに言ってやったんだよ。男は度胸だってさ」
「ワタルってば、人の恋愛に口挟みすぎちゃうんだよ。ヒカルくんのこと好きなんだよね」
「こら、ツバサ。誤解を招くようなことは言うな」
「ワタルも早く、いい人見つけないとね?」
「そういうお前もな」
子供たちは、未だに私たちの名前で呼び合っている。ヒカルくんやクウちゃんと仲良くしているから、その方がしっくりくるということらしい。確かに、今更本名で呼んでもらうよりかは、今まで通り呼び合えた方が気が楽なのかもしれない。私たちとしては、少し気恥ずかしくもなるのだけど。
「さあ、もうすぐ着くぞ」
ワタルくんが、ハンドルをゆっくり戻しながら言う。その言葉に、右手側の窓の外を眺めると、そこには陽を受けてきらきらと輝く、広い、青い海が広がっていた。
海が見たい。
それが、子供たちの望みだった。
島の中から見ていた海ではなく、この場所から見る海の景色。それを家族で見てみたいのだと。そうすることで、私たちが今、自由に生きていることを感じたいのだと。
広い世界から、かつて私たちが過ごした鳥籠に思いを馳せる。
不思議な気持ちだけれど、それは決して不快なものではなかった。
道路脇に車を停め、私たちは海岸沿いを四人、ゆっくりと歩いていく。そして、海を一望できる場所までくると、シートを敷いてそこに腰を下ろした。
手製の弁当は、娘と一緒に作ったものだ。ワタルくんと息子が起きだす前に、二人でこっそり、けれども楽しみながら作っていた。割合大きめの弁当箱が置かれると、男二人は揃って感心の声を上げるのだった。
美味しい、と何度も口にする二人に、私たちは照れ臭くなりながらも、幸せに満たされた気持ちになる。大きな幸せは望まない。ただ、この場所にささやかな幸せが、長く続いてほしいと、私はそう願わずにいられないのだ。
決して偽りの形でなく、こうして本当の気持ちでもって、家族が過ごせる日常。それは途方も無い歳月の果てに、ようやく得ることのできたものだったけれど、これ以外の道はなかったのだと、私は思っている。だから、例え後ろを振り返っても、戻りたいとは考えない。大丈夫、これからも私たちは、真っ直ぐに飛んでいく。
あのときは、謝ってばかりいたみたいだけれど。
今は、感謝の気持ちでいっぱいだ。
ありがとう、ヒカルくんに、クウちゃん。それに、本当のヒカルくんも。
ありがとう、私たちを救ってくれた人たち。私たちが巻き込んでしまった人たち。
ありがとう、子供たち。
そして、ずっとずっと、ありがとう。私の大切な――
「どうした、ぼーっとして」
近くで声が聞こえ、私は少しだけどきりとする。すると彼は、面白そうに微笑んで、私の頭を撫でた。
「何でもないよ。……懐かしいな」
優しく撫でられる感触。とても久々だったけれど、私はその感触を覚えている。その心地よさも、覚えている。
ねえ、ワタルくん。こうしてやっと取り戻せた幸せを、目一杯感じていようね。
やっと果たせた約束の先を、四人で見ていようね。
大丈夫、私たちはどこまででも、飛んでゆけるから。
だから、見えない未来に怯えることなく、幸せを噛み締めていよう。
あなたに訪れる、さいごのそのときまで。
――私の大切な、ワタルくん。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
【連作ホラー】幻影回忌 ーTrilogy of GHOSTー
至堂文斗
ホラー
――其れは、人類の進化のため。
歴史の裏で暗躍する組織が、再び降霊術の物語を呼び覚ます。
魂魄の操作。悍ましき禁忌の実験は、崇高な目的の下に数多の犠牲を生み出し。
決して止まることなく、次なる生贄を求め続ける。
さあ、再び【魂魄】の物語を始めましょう。
たった一つの、望まれた終焉に向けて。
来場者の皆様、長らくお待たせいたしました。
これより幻影三部作、開幕いたします――。
【幻影綺館】
「ねえ、”まぼろしさん”って知ってる?」
鈴音町の外れに佇む、黒影館。そこに幽霊が出るという噂を聞きつけた鈴音学園ミステリ研究部の部長、安藤蘭は、メンバーを募り探検に向かおうと企画する。
その企画に巻き込まれる形で、彼女を含め七人が館に集まった。
疑いつつも、心のどこかで”まぼろしさん”の存在を願うメンバーに、悲劇は降りかからんとしていた――。
【幻影鏡界】
「――一角荘へ行ってみますか?」
黒影館で起きた凄惨な事件は、桜井令士や生き残った者たちに、大きな傷を残した。そしてレイジには、大切な目的も生まれた。
そんな事件より数週間後、束の間の平穏が終わりを告げる。鈴音学園の廊下にある掲示板に貼り出されていたポスター。
それは、かつてGHOSTによって悲劇がもたらされた因縁の地、鏡ヶ原への招待状だった。
【幻影回忌】
「私は、今度こそ創造主になってみせよう」
黒影館と鏡ヶ原、二つの場所で繰り広げられた凄惨な事件。
その黒幕である****は、恐ろしい計画を実行に移そうとしていた。
ゴーレム計画と名付けられたそれは、世界のルールをも蹂躙するものに相違なかった。
事件の生き残りである桜井令士と蒼木時雨は、***の父親に連れられ、***の過去を知らされる。
そして、悲劇の連鎖を断つために、最後の戦いに挑む決意を固めるのだった。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
この満ち足りた匣庭の中で 二章―Moon of miniature garden―
至堂文斗
ミステリー
それこそが、赤い満月へと至るのだろうか――
『満ち足りた暮らし』をコンセプトとして発展を遂げてきたニュータウン、満生台。
更なる発展を掲げ、電波塔計画が進められ……そして二〇一二年の八月、地図から消えた街。
鬼の伝承に浸食されていく混沌の街で、再び二週間の物語は幕を開ける。
古くより伝えられてきた、赤い満月が昇るその夜まで。
オートマティスム、鬼封じの池、『八〇二』の数字。
ムーンスパロー、周波数帯、デリンジャー現象。
ブラッドムーン、潮汐力、盈虧院……。
ほら、また頭の中に響いてくる鬼の声。
逃れられない惨劇へ向けて、私たちはただ日々を重ねていく――。
出題篇PV:https://www.youtube.com/watch?v=1mjjf9TY6Io
この欠け落ちた匣庭の中で 終章―Dream of miniature garden―
至堂文斗
ミステリー
ーーこれが、匣の中だったんだ。
二〇一八年の夏。廃墟となった満生台を訪れたのは二人の若者。
彼らもまた、かつてGHOSTの研究によって運命を弄ばれた者たちだった。
信号領域の研究が展開され、そして壊れたニュータウン。終焉を迎えた現実と、終焉を拒絶する仮想。
歪なる領域に足を踏み入れる二人は、果たして何か一つでも、その世界に救いを与えることが出来るだろうか。
幻想、幻影、エンケージ。
魂魄、領域、人類の進化。
802部隊、九命会、レッドアイ・オペレーション……。
さあ、あの光の先へと進んでいこう。たとえもう二度と時計の針が巻き戻らないとしても。
私たちの駆け抜けたあの日々は確かに満ち足りていたと、懐かしめるようになるはずだから。
姉らぶるっ!!
藍染惣右介兵衛
青春
俺には二人の容姿端麗な姉がいる。
自慢そうに聞こえただろうか?
それは少しばかり誤解だ。
この二人の姉、どちらも重大な欠陥があるのだ……
次女の青山花穂は高校二年で生徒会長。
外見上はすべて完璧に見える花穂姉ちゃん……
「花穂姉ちゃん! 下着でウロウロするのやめろよなっ!」
「んじゃ、裸ならいいってことねっ!」
▼物語概要
【恋愛感情欠落、解離性健忘というトラウマを抱えながら、姉やヒロインに囲まれて成長していく話です】
47万字以上の大長編になります。(2020年11月現在)
【※不健全ラブコメの注意事項】
この作品は通常のラブコメより下品下劣この上なく、ドン引き、ドシモ、変態、マニアック、陰謀と陰毛渦巻くご都合主義のオンパレードです。
それをウリにして、ギャグなどをミックスした作品です。一話(1部分)1800~3000字と短く、四コマ漫画感覚で手軽に読めます。
全編47万字前後となります。読みごたえも初期より増し、ガッツリ読みたい方にもお勧めです。
また、執筆・原作・草案者が男性と女性両方なので、主人公が男にもかかわらず、男性目線からややずれている部分があります。
【元々、小説家になろうで連載していたものを大幅改訂して連載します】
【なろう版から一部、ストーリー展開と主要キャラの名前が変更になりました】
【2017年4月、本幕が完結しました】
序幕・本幕であらかたの謎が解け、メインヒロインが確定します。
【2018年1月、真幕を開始しました】
ここから読み始めると盛大なネタバレになります(汗)
【連作ホラー】伍横町幻想 —Until the day we meet again—
至堂文斗
ホラー
――その幻想から、逃れられるか。
降霊術。それは死者を呼び出す禁忌の術式。
歴史を遡れば幾つも逸話はあれど、現実に死者を呼ぶことが出来たかは定かでない。
だがあるとき、長い実験の果てに、一人の男がその術式を生み出した。
降霊術は決して公に出ることはなかったものの、書物として世に残り続けた。
伍横町。そこは古くから気の流れが集まる場所と言われている小さな町。
そして、全ての始まりの町。
男が生み出した術式は、この町で幾つもの悲劇をもたらしていく。
運命を狂わされた者たちは、生と死の狭間で幾つもの涙を零す。
これは、四つの悲劇。
【魂】を巡る物語の始まりを飾る、四つの幻想曲――。
【霧夏邸幻想 ―Primal prayer-】
「――霧夏邸って知ってる?」
事故により最愛の娘を喪い、 降霊術に狂った男が住んでいた邸宅。
霊に会ってみたいと、邸内に忍び込んだ少年少女たちを待ち受けるものとは。
【三神院幻想 ―Dawn comes to the girl―】
「どうか、目を覚ましてはくれないだろうか」
眠りについたままの少女のために、 少年はただ祈り続ける。
その呼び声に呼応するかのように、 少女は記憶の世界に覚醒する。
【流刻園幻想 ―Omnia fert aetas―】
「……だから、違っていたんだ。沢山のことが」
七不思議の噂で有名な流刻園。夕暮れ時、教室には二人の少年少女がいた。
少年は、一通の便箋で呼び出され、少女と別れて屋上へと向かう。それが、悲劇の始まりであるとも知らずに。
【伍横町幻想 ―Until the day we meet again―】
「……ようやく、時が来た」
伍横町で降霊術の実験を繰り返してきた仮面の男。 最愛の女性のため、彼は最後の計画を始動する。
その計画を食い止めるべく、悲劇に巻き込まれた少年少女たちは苛酷な戦いに挑む。
伍横町の命運は、子どもたちの手に委ねられた。
桜の花びら舞う夜に(毎週火・木・土20時頃更新予定)
夕凪ゆな@コミカライズ連載中
ライト文芸
※逆ハーものではありません
※当作品の沖田総司はSっ気強めです。溺愛系沖田がお好きな方はご注意ください
▼あらすじ
――私、ずっと知らなかった。
大切な人を失う苦しみも、悲しみも。信じていた人に裏切られたときの、絶望も、孤独も。
自分のいた世界がどれほどかけがえのないもので、どんなに価値のあるものだったのか、自分の居場所がなくなって、何を信じたらいいのかわからなくて、望むものは何一つ手に入らない世界に来て初めて、ようやくその価値に気付いた。
――幕末。
それは私の知らない世界。現代にはあるものが無く、無いものがまだ存在している時代。
人の命は今よりずっと儚く脆く、簡単に消えてしまうのに、その価値は今よりずっと重い。
私は、そんな世界で貴方と二人、いったい何を得るのだろう。どんな世界を見るのだろう。
そして世界は、この先私と貴方が二人、共に歩くことを許してくれるのだろうか。
運命は、私たちがもとの世界に帰ることを、許してくれるのだろうか。
――いいえ……例え運命が許さなくても、世界の全てが敵になっても、私たちは決して諦めない。
二人一緒なら乗り越えられる。私はそう信じてる。
例え誰がなんと言おうと、私たちはもといた場所へ帰るのだ……そう、絶対に――。
◆検索ワード◆
新撰組/幕末/タイムスリップ/沖田総司/土方歳三/近藤勇/斎藤一/山南敬助/藤堂平助/原田左之助/永倉新八/山崎烝/長州/吉田稔麿/オリキャラ/純愛/推理/シリアス/ファンタジー/W主人公/恋愛
この満ち足りた匣庭の中で 三章―Ghost of miniature garden―
至堂文斗
ミステリー
幾度繰り返そうとも、匣庭は――。
『満ち足りた暮らし』をコンセプトとして発展を遂げてきたニュータウン、満生台。
その裏では、医療センターによる謎めいた計画『WAWプログラム』が粛々と進行し、そして避け得ぬ惨劇が街を襲った。
舞台は繰り返す。
三度、二週間の物語は幕を開け、定められた終焉へと砂時計の砂は落ちていく。
変わらない世界の中で、真実を知悉する者は誰か。この世界の意図とは何か。
科学研究所、GHOST、ゴーレム計画。
人工地震、マイクロチップ、レッドアウト。
信号領域、残留思念、ブレイン・マシン・インターフェース……。
鬼の祟りに隠れ、暗躍する機関の影。
手遅れの中にある私たちの日々がほら――また、始まった。
出題篇PV:https://www.youtube.com/watch?v=1mjjf9TY6Io
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる