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序章 異能力者転生編

第10話 王都封鎖

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「見なさい二人とも、ようやく王都が見えてきたわよ」

ノアに言われた二階堂とエットは、馬車の窓から外の景色に視線を移す。
数日かけて馬車で移動を続けていた三人は、やっと目的の場所”王都“へたどり着いた。
王都の広大な面積と辺りを囲う高い防壁を見て、目を丸くし驚く二階堂。
そんな彼を他所に、手綱を引いたノアは馬車を王都の入り口である、大きな門の側まで近づけた。
すると入り口を見張る王都の門番が、ゆっくりと接近する三人の馬車に止まるよう指示する。

「おい!そこのお前たち!止まりなさい!」

「あ、あの門番さん?どうしたのよそんな慌てて、悪いんだけど私達王都に入りたいの。
 もし積荷が気になるなら調べてくれていいわ、別にやましいことなんてないし」

「何を言っているんだ!王都は現在封鎖だ、外部の者が立ち入ることは禁止されている!
 大人しく引き返しなさい!」

門番の言葉を聞き、二階堂達は顔を見合わせる。

「どういうことだ?王都ってのはそんな閉鎖的なモンなのか?」

「い、いいや、僕が知る限りだと別に入場許可証とかもいらないし、誰でも入れる街だったはずだけど…
 もしかして何かあったのかな?」

「ちょっと門番さん!どうして入れないのか説明してくれる?」

ノアが強めに問いただすと、門番が腕を腰に当てこう言う。

「昨今のアンデット騒動で、王国騎士団が警戒を強めているんだ。
 王都への立ち入りも見直されるまでは入ることが出来ない、悪いが諦めてくれ」

門番に告げられると、王都を目指していた三人は、立ち入りを拒否されてしまう。
ここまで続けていた旅路を棒に振るわけにもいかず、馬車の中で三人は話し合いを始めた。

「どうする?ここへ来てキッパリ諦められないわよ、私は王都に用があるんだから」

「でも国の決めたことに逆らうとなると、色々厄介だし…」

「うーん、何か手はねえもんかなぁ」

二階堂達が頭を抱えていると、後ろから別の荷馬車が門の方へ近づいてきた。
その荷馬車を見て、門の前に控えていた門番達が、書類などを手に持ち荷馬車へ歩み寄る。
すると停止を呼びかけた門番が、立ち往生していたノア達に再び話しかけた。

「そういうことだからお前たちはもう引き返してくれ、そこに居られると後ろの荷馬車が入れない」

「ちょ、ちょっと!私達はダメなのに、そこの荷馬車は王都に入れるの?どうしてよ?」

「あれは我々が向かわせた遠征隊なのでな。
 アンデット騒動を落ち着かせる為、地方に特効薬を取り寄せたのだ」

「ほう、そんな便利な薬があるのか。アンデットを人間に治す薬ってことか?」

「いや違う、アンデットの感染菌を体内に受けつけさせない、いわば予防薬だ。
 これさえあれば被害を減らすことが出来るだろう。さあ、もういい加減退いてくれないか?」

二階堂達の質問に答えた門番が、彼らに引き返すよう促してくる。三人が突きつけられた入場拒否という
現実に頭を悩ませていると、後ろの荷馬車の方から、不穏な空気が漂ってきた。

「お、おいどうした?早く積荷を見せてくれ、早いとこ届けるよう上から言われているんだ」

近づいた門番が、荷馬車を運転する遠征隊の男にそう指示すると、男は沈黙を貫いた。
疑問に思った門番が荷台に近づき、台を覆っていた布に手を捲って、取り寄せた薬を確認する。
しかし彼は、予想外の出来事に襲われることになった。

布の奥から青白い顔をした人が、門番の眼前まで飛び出してきたのだ。

「う、うああああああ!!!!?」

後ろの荷馬車で門番の叫び声が聞こえ、門の近くにいた者全員が警戒を強める。
すぐさま叫び声のあった元まで駆けつける門番達、彼らの視界の中には、衝撃的な光景が映り込んでいた。
遠征隊の服を着たアンデットが、叫び声を上げた門番の首を噛みついていたのだ。

「た…たすけ…」

青白い顔をして助けを求める噛まれた門番、異常事態の起こった現場を目にし、
門番達は武器を構えて、戦闘状態になった。

「き、緊急事態だ!!遠征隊の奴ら“アンデット”になってここまで近づいてきたんだ!」

「クソッ!!味方が一人噛まれちまったぞ!!どうすんだよおい!?」

「慌てるな!!誰か上に報告してこい!!この場は私たちが鎮圧する!!」

荷馬車の辺りが騒がしくなり、立ち往生していた二階堂達も顔を覗かせる。
すると異常事態の発生した周辺が、魑魅魍魎の地獄と化していた。
荷台から何人ものアンデットが姿を現し、門番達に襲い掛かっていたのだ。

「っ!?な、何なんだこれは!?」

「ま、マズイよ!!とにかく加勢しよう!!」

「ええ!」

馬車から降りた三人も、門番達の元へ駆けつける。
走って近づく二階堂とエットの後ろで、ノアはある予感を脳裏によぎらせていた。

(もしかしてこのアンデットって…まさか!?)

荷台から出てきたアンデット達が、門番達に襲い掛かる。
必死に抵抗する彼らだったが、門番の一人が地面に叩きつけられ、
狙いを定めたアンデットが噛みつこうと近づいていた。

「ひぃい!!た、助けてくれぇ!!」

アンデットが飛びかかろうとした刹那、
二階堂の飛び蹴りがアンデットの頭部を捉え、そのまま地面に吹き飛ばす。

「大丈夫か?微力だが手ぇ貸すぜ」

「二階堂くん!相手は噛まれたら感染するアンデットだよ!慎重に戦ってね!!」

「分かったよエット、お前は援護を頼む」

戦闘態勢に入った二階堂達三人は、王都を前にしてアンデットと対峙する。
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