11 / 32
序章 異能力者転生編
第10話 王都封鎖
しおりを挟む
「見なさい二人とも、ようやく王都が見えてきたわよ」
ノアに言われた二階堂とエットは、馬車の窓から外の景色に視線を移す。
数日かけて馬車で移動を続けていた三人は、やっと目的の場所”王都“へたどり着いた。
王都の広大な面積と辺りを囲う高い防壁を見て、目を丸くし驚く二階堂。
そんな彼を他所に、手綱を引いたノアは馬車を王都の入り口である、大きな門の側まで近づけた。
すると入り口を見張る王都の門番が、ゆっくりと接近する三人の馬車に止まるよう指示する。
「おい!そこのお前たち!止まりなさい!」
「あ、あの門番さん?どうしたのよそんな慌てて、悪いんだけど私達王都に入りたいの。
もし積荷が気になるなら調べてくれていいわ、別にやましいことなんてないし」
「何を言っているんだ!王都は現在封鎖だ、外部の者が立ち入ることは禁止されている!
大人しく引き返しなさい!」
門番の言葉を聞き、二階堂達は顔を見合わせる。
「どういうことだ?王都ってのはそんな閉鎖的なモンなのか?」
「い、いいや、僕が知る限りだと別に入場許可証とかもいらないし、誰でも入れる街だったはずだけど…
もしかして何かあったのかな?」
「ちょっと門番さん!どうして入れないのか説明してくれる?」
ノアが強めに問いただすと、門番が腕を腰に当てこう言う。
「昨今のアンデット騒動で、王国騎士団が警戒を強めているんだ。
王都への立ち入りも見直されるまでは入ることが出来ない、悪いが諦めてくれ」
門番に告げられると、王都を目指していた三人は、立ち入りを拒否されてしまう。
ここまで続けていた旅路を棒に振るわけにもいかず、馬車の中で三人は話し合いを始めた。
「どうする?ここへ来てキッパリ諦められないわよ、私は王都に用があるんだから」
「でも国の決めたことに逆らうとなると、色々厄介だし…」
「うーん、何か手はねえもんかなぁ」
二階堂達が頭を抱えていると、後ろから別の荷馬車が門の方へ近づいてきた。
その荷馬車を見て、門の前に控えていた門番達が、書類などを手に持ち荷馬車へ歩み寄る。
すると停止を呼びかけた門番が、立ち往生していたノア達に再び話しかけた。
「そういうことだからお前たちはもう引き返してくれ、そこに居られると後ろの荷馬車が入れない」
「ちょ、ちょっと!私達はダメなのに、そこの荷馬車は王都に入れるの?どうしてよ?」
「あれは我々が向かわせた遠征隊なのでな。
アンデット騒動を落ち着かせる為、地方に特効薬を取り寄せたのだ」
「ほう、そんな便利な薬があるのか。アンデットを人間に治す薬ってことか?」
「いや違う、アンデットの感染菌を体内に受けつけさせない、いわば予防薬だ。
これさえあれば被害を減らすことが出来るだろう。さあ、もういい加減退いてくれないか?」
二階堂達の質問に答えた門番が、彼らに引き返すよう促してくる。三人が突きつけられた入場拒否という
現実に頭を悩ませていると、後ろの荷馬車の方から、不穏な空気が漂ってきた。
「お、おいどうした?早く積荷を見せてくれ、早いとこ届けるよう上から言われているんだ」
近づいた門番が、荷馬車を運転する遠征隊の男にそう指示すると、男は沈黙を貫いた。
疑問に思った門番が荷台に近づき、台を覆っていた布に手を捲って、取り寄せた薬を確認する。
しかし彼は、予想外の出来事に襲われることになった。
布の奥から青白い顔をした人が、門番の眼前まで飛び出してきたのだ。
「う、うああああああ!!!!?」
後ろの荷馬車で門番の叫び声が聞こえ、門の近くにいた者全員が警戒を強める。
すぐさま叫び声のあった元まで駆けつける門番達、彼らの視界の中には、衝撃的な光景が映り込んでいた。
遠征隊の服を着たアンデットが、叫び声を上げた門番の首を噛みついていたのだ。
「た…たすけ…」
青白い顔をして助けを求める噛まれた門番、異常事態の起こった現場を目にし、
門番達は武器を構えて、戦闘状態になった。
「き、緊急事態だ!!遠征隊の奴ら“アンデット”になってここまで近づいてきたんだ!」
「クソッ!!味方が一人噛まれちまったぞ!!どうすんだよおい!?」
「慌てるな!!誰か上に報告してこい!!この場は私たちが鎮圧する!!」
荷馬車の辺りが騒がしくなり、立ち往生していた二階堂達も顔を覗かせる。
すると異常事態の発生した周辺が、魑魅魍魎の地獄と化していた。
荷台から何人ものアンデットが姿を現し、門番達に襲い掛かっていたのだ。
「っ!?な、何なんだこれは!?」
「ま、マズイよ!!とにかく加勢しよう!!」
「ええ!」
馬車から降りた三人も、門番達の元へ駆けつける。
走って近づく二階堂とエットの後ろで、ノアはある予感を脳裏によぎらせていた。
(もしかしてこのアンデットって…まさか!?)
荷台から出てきたアンデット達が、門番達に襲い掛かる。
必死に抵抗する彼らだったが、門番の一人が地面に叩きつけられ、
狙いを定めたアンデットが噛みつこうと近づいていた。
「ひぃい!!た、助けてくれぇ!!」
アンデットが飛びかかろうとした刹那、
二階堂の飛び蹴りがアンデットの頭部を捉え、そのまま地面に吹き飛ばす。
「大丈夫か?微力だが手ぇ貸すぜ」
「二階堂くん!相手は噛まれたら感染するアンデットだよ!慎重に戦ってね!!」
「分かったよエット、お前は援護を頼む」
戦闘態勢に入った二階堂達三人は、王都を前にしてアンデットと対峙する。
ノアに言われた二階堂とエットは、馬車の窓から外の景色に視線を移す。
数日かけて馬車で移動を続けていた三人は、やっと目的の場所”王都“へたどり着いた。
王都の広大な面積と辺りを囲う高い防壁を見て、目を丸くし驚く二階堂。
そんな彼を他所に、手綱を引いたノアは馬車を王都の入り口である、大きな門の側まで近づけた。
すると入り口を見張る王都の門番が、ゆっくりと接近する三人の馬車に止まるよう指示する。
「おい!そこのお前たち!止まりなさい!」
「あ、あの門番さん?どうしたのよそんな慌てて、悪いんだけど私達王都に入りたいの。
もし積荷が気になるなら調べてくれていいわ、別にやましいことなんてないし」
「何を言っているんだ!王都は現在封鎖だ、外部の者が立ち入ることは禁止されている!
大人しく引き返しなさい!」
門番の言葉を聞き、二階堂達は顔を見合わせる。
「どういうことだ?王都ってのはそんな閉鎖的なモンなのか?」
「い、いいや、僕が知る限りだと別に入場許可証とかもいらないし、誰でも入れる街だったはずだけど…
もしかして何かあったのかな?」
「ちょっと門番さん!どうして入れないのか説明してくれる?」
ノアが強めに問いただすと、門番が腕を腰に当てこう言う。
「昨今のアンデット騒動で、王国騎士団が警戒を強めているんだ。
王都への立ち入りも見直されるまでは入ることが出来ない、悪いが諦めてくれ」
門番に告げられると、王都を目指していた三人は、立ち入りを拒否されてしまう。
ここまで続けていた旅路を棒に振るわけにもいかず、馬車の中で三人は話し合いを始めた。
「どうする?ここへ来てキッパリ諦められないわよ、私は王都に用があるんだから」
「でも国の決めたことに逆らうとなると、色々厄介だし…」
「うーん、何か手はねえもんかなぁ」
二階堂達が頭を抱えていると、後ろから別の荷馬車が門の方へ近づいてきた。
その荷馬車を見て、門の前に控えていた門番達が、書類などを手に持ち荷馬車へ歩み寄る。
すると停止を呼びかけた門番が、立ち往生していたノア達に再び話しかけた。
「そういうことだからお前たちはもう引き返してくれ、そこに居られると後ろの荷馬車が入れない」
「ちょ、ちょっと!私達はダメなのに、そこの荷馬車は王都に入れるの?どうしてよ?」
「あれは我々が向かわせた遠征隊なのでな。
アンデット騒動を落ち着かせる為、地方に特効薬を取り寄せたのだ」
「ほう、そんな便利な薬があるのか。アンデットを人間に治す薬ってことか?」
「いや違う、アンデットの感染菌を体内に受けつけさせない、いわば予防薬だ。
これさえあれば被害を減らすことが出来るだろう。さあ、もういい加減退いてくれないか?」
二階堂達の質問に答えた門番が、彼らに引き返すよう促してくる。三人が突きつけられた入場拒否という
現実に頭を悩ませていると、後ろの荷馬車の方から、不穏な空気が漂ってきた。
「お、おいどうした?早く積荷を見せてくれ、早いとこ届けるよう上から言われているんだ」
近づいた門番が、荷馬車を運転する遠征隊の男にそう指示すると、男は沈黙を貫いた。
疑問に思った門番が荷台に近づき、台を覆っていた布に手を捲って、取り寄せた薬を確認する。
しかし彼は、予想外の出来事に襲われることになった。
布の奥から青白い顔をした人が、門番の眼前まで飛び出してきたのだ。
「う、うああああああ!!!!?」
後ろの荷馬車で門番の叫び声が聞こえ、門の近くにいた者全員が警戒を強める。
すぐさま叫び声のあった元まで駆けつける門番達、彼らの視界の中には、衝撃的な光景が映り込んでいた。
遠征隊の服を着たアンデットが、叫び声を上げた門番の首を噛みついていたのだ。
「た…たすけ…」
青白い顔をして助けを求める噛まれた門番、異常事態の起こった現場を目にし、
門番達は武器を構えて、戦闘状態になった。
「き、緊急事態だ!!遠征隊の奴ら“アンデット”になってここまで近づいてきたんだ!」
「クソッ!!味方が一人噛まれちまったぞ!!どうすんだよおい!?」
「慌てるな!!誰か上に報告してこい!!この場は私たちが鎮圧する!!」
荷馬車の辺りが騒がしくなり、立ち往生していた二階堂達も顔を覗かせる。
すると異常事態の発生した周辺が、魑魅魍魎の地獄と化していた。
荷台から何人ものアンデットが姿を現し、門番達に襲い掛かっていたのだ。
「っ!?な、何なんだこれは!?」
「ま、マズイよ!!とにかく加勢しよう!!」
「ええ!」
馬車から降りた三人も、門番達の元へ駆けつける。
走って近づく二階堂とエットの後ろで、ノアはある予感を脳裏によぎらせていた。
(もしかしてこのアンデットって…まさか!?)
荷台から出てきたアンデット達が、門番達に襲い掛かる。
必死に抵抗する彼らだったが、門番の一人が地面に叩きつけられ、
狙いを定めたアンデットが噛みつこうと近づいていた。
「ひぃい!!た、助けてくれぇ!!」
アンデットが飛びかかろうとした刹那、
二階堂の飛び蹴りがアンデットの頭部を捉え、そのまま地面に吹き飛ばす。
「大丈夫か?微力だが手ぇ貸すぜ」
「二階堂くん!相手は噛まれたら感染するアンデットだよ!慎重に戦ってね!!」
「分かったよエット、お前は援護を頼む」
戦闘態勢に入った二階堂達三人は、王都を前にしてアンデットと対峙する。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!
芽狐
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️
ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。
嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる!
転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。
新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか??
更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!
キャンピングカーで往く異世界徒然紀行
タジリユウ
ファンタジー
《第4回次世代ファンタジーカップ 面白スキル賞》
【書籍化!】
コツコツとお金を貯めて念願のキャンピングカーを手に入れた主人公。
早速キャンピングカーで初めてのキャンプをしたのだが、次の日目が覚めるとそこは異世界であった。
そしていつの間にかキャンピングカーにはナビゲーション機能、自動修復機能、燃料補給機能など様々な機能を拡張できるようになっていた。
道中で出会ったもふもふの魔物やちょっと残念なエルフを仲間に加えて、キャンピングカーで異世界をのんびりと旅したいのだが…
※旧題)チートなキャンピングカーで旅する異世界徒然紀行〜もふもふと愉快な仲間を添えて〜
※カクヨム様でも投稿をしております
SSS級宮廷錬金術師のダンジョン配信スローライフ
桜井正宗
ファンタジー
帝国領の田舎に住む辺境伯令嬢アザレア・グラジオラスは、父親の紹介で知らない田舎貴族と婚約させられそうになった。けれど、アザレアは宮廷錬金術師に憧れていた。
こっそりと家出をしたアザレアは、右も左も分からないままポインセチア帝国を目指す。
SSS級宮廷錬金術師になるべく、他の錬金術師とは違う独自のポーションを開発していく。
やがて帝国から目をつけられたアザレアは、念願が叶う!?
人生逆転して、のんびりスローライフ!
【R18】異世界魔剣士のハーレム冒険譚~病弱青年は転生し、極上の冒険と性活を目指す~
泰雅
ファンタジー
病弱ひ弱な青年「青峰レオ」は、その悲惨な人生を女神に同情され、異世界に転生することに。
女神曰く、異世界で人生をしっかり楽しめということらしいが、何か裏がある予感も。
そんなことはお構いなしに才覚溢れる冒険者となり、女の子とお近づきになりまくる状況に。
冒険もエロも楽しみたい人向け、大人の異世界転生冒険活劇始まります。
・【♡(お相手の名前)】はとりあえずエロイことしています。悪しからず。
・【☆】は挿絵があります。AI生成なので細部などの再現は甘いですが、キャラクターのイメージをお楽しみください。
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体・思想・名称などとは一切関係ありません。
※この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません
※この物語のえちちなシーンがある登場人物は全員18歳以上の設定です。
巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる