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生徒会企画編
9時20分 side倉科
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*9時20分*
先輩たちと行動を共にすることにして、俺達は第4校舎へと向かう。
学生ホールでは高得点の宝の位置を知ることができたらしい。それによれば第4校舎には15点の宝がある。事前に言われていた最高得点である20点の宝の位置は教えられなかったそうなのでとりあえずそこへ行くのがいいだろう、と。
恐らく、今は始まったばかりで同じように行動する奴らが多いだろうからその混乱に乗じていくらか得点を稼ぎたい所だ。
「相知先輩たちはこの後どうするつもりですか?」
「うーん、もし流れが出来てたらそこに混ざって行動しようかなー、とは思ってるよー」
「まぁコイツが捕まらなきゃだな。途中で捕まるだろうからドロボーの収容場所を探しつつ行き当たりばったりで宝探しをしても良いと思ってる」
「あー」
収容場所かぁ。確かに万が一を考えて探しておいた方がいいかもしれない。
万が一も無いかもしれないが別行動してるうちにジン先輩が捕まってたりしたら……いやまぁ本当にあり得無さそうだけれども。逆に自分が捕まったら場所を伝えるべきかもしれない。
「そうですね。第4から第5まではそこそこ距離ありますし、第5に向かいつつ収容場所を探すのがベターかもしれないですね」
「やっぱり第4から第5って流れが出来てそうだよね。真っ先に突っ込んでいった人たちが追われて手薄になってそうな今がねらい目かな?」
本館、第2、第4は渡り廊下で繋がっているが第3と第4は独立して立っているため目的地である第4校舎から第5校舎へ行くルートがいまいち確立されない。宝と収容場所を探しつつケーサツを避けて行くしか特に出来そうなことは無いだろう。
取り敢えず先輩と一緒に行動して10時が来たら先輩と落ち合う。それまでに何点かは稼いでおきたい。ジン先輩と得点を合わせて、恐らく何か考えがあるのだろうジン先輩に指示を仰ぐ。
行き当たりばったりでいいから得点を稼いで捕まらない。コレが今の自分にできることだろう。
「そう言えば、他のドロボーに会いませんね……」
「あー、集団行動するとこはもう事前に決めて固まっちゃってるのかな」
「生徒会長の親衛隊とかは完全に組織で動いてるみたいだな。本館から第4へ行く連中とは別に統率を取って動いてる奴等がいた」
「先輩たちは第4に行くグループと一緒に行かなかったんですか?」
「このアホがケーサツに追われたから撒くのに少し時間が掛かった」
「あー……」
だからさっきから勇海先輩は相知先輩に当たりが強かったのか。しかし相知先輩の頭をグリグリと強めに撫でまわすに留まってる辺り別に怒ってはいない様だ。本当に仲が良い。二人はどこで知り合ったのだろう。やはり図書館なのだろうか……。
などと考えてると前方からまたよく見た顔がやってきた。
「あれ、田中?」
「あ! 倉科くん!!」
中島と一緒に参加しているはずの田中が一人でとてとてと小走りに寄ってきた。
「中島は?」
「囮になってくれた。後から合流するつもり。で、あの、そちらの先輩は?」
相知先輩と勇海先輩を見て田中は小首を傾げた。
「えーと、図書委員の相知秋哉先輩とE組の勇海夏彦先輩。二人とも2年生だよ」
「へー。初めまして、1年A組の田中結です」
「はじめましてー」
「おー」
ニコニコと挨拶をする田中に相知先輩は緩い笑みで返事をし、勇海先輩は少し面白そうに返事をした。勇海先輩の見た目に怖がらないのが珍しいのかもしれない。
「じゃあ、僕は行くから! 今下の階に囮グループが行ったところだからまだ手薄だと思うよ。15点の宝は3階の第2美術室にあるから!」
「おー、情報提供ありがとー」
ニコニコしたまま田中は本館の方へと去っていく。
「いい子だねー」
「はい、嘘ついたり他人を嵌めて喜ぶタイプじゃないので今の情報も確かだと思いますよ」
「じゃあ第2美術室行ってみるか」
→
先輩たちと行動を共にすることにして、俺達は第4校舎へと向かう。
学生ホールでは高得点の宝の位置を知ることができたらしい。それによれば第4校舎には15点の宝がある。事前に言われていた最高得点である20点の宝の位置は教えられなかったそうなのでとりあえずそこへ行くのがいいだろう、と。
恐らく、今は始まったばかりで同じように行動する奴らが多いだろうからその混乱に乗じていくらか得点を稼ぎたい所だ。
「相知先輩たちはこの後どうするつもりですか?」
「うーん、もし流れが出来てたらそこに混ざって行動しようかなー、とは思ってるよー」
「まぁコイツが捕まらなきゃだな。途中で捕まるだろうからドロボーの収容場所を探しつつ行き当たりばったりで宝探しをしても良いと思ってる」
「あー」
収容場所かぁ。確かに万が一を考えて探しておいた方がいいかもしれない。
万が一も無いかもしれないが別行動してるうちにジン先輩が捕まってたりしたら……いやまぁ本当にあり得無さそうだけれども。逆に自分が捕まったら場所を伝えるべきかもしれない。
「そうですね。第4から第5まではそこそこ距離ありますし、第5に向かいつつ収容場所を探すのがベターかもしれないですね」
「やっぱり第4から第5って流れが出来てそうだよね。真っ先に突っ込んでいった人たちが追われて手薄になってそうな今がねらい目かな?」
本館、第2、第4は渡り廊下で繋がっているが第3と第4は独立して立っているため目的地である第4校舎から第5校舎へ行くルートがいまいち確立されない。宝と収容場所を探しつつケーサツを避けて行くしか特に出来そうなことは無いだろう。
取り敢えず先輩と一緒に行動して10時が来たら先輩と落ち合う。それまでに何点かは稼いでおきたい。ジン先輩と得点を合わせて、恐らく何か考えがあるのだろうジン先輩に指示を仰ぐ。
行き当たりばったりでいいから得点を稼いで捕まらない。コレが今の自分にできることだろう。
「そう言えば、他のドロボーに会いませんね……」
「あー、集団行動するとこはもう事前に決めて固まっちゃってるのかな」
「生徒会長の親衛隊とかは完全に組織で動いてるみたいだな。本館から第4へ行く連中とは別に統率を取って動いてる奴等がいた」
「先輩たちは第4に行くグループと一緒に行かなかったんですか?」
「このアホがケーサツに追われたから撒くのに少し時間が掛かった」
「あー……」
だからさっきから勇海先輩は相知先輩に当たりが強かったのか。しかし相知先輩の頭をグリグリと強めに撫でまわすに留まってる辺り別に怒ってはいない様だ。本当に仲が良い。二人はどこで知り合ったのだろう。やはり図書館なのだろうか……。
などと考えてると前方からまたよく見た顔がやってきた。
「あれ、田中?」
「あ! 倉科くん!!」
中島と一緒に参加しているはずの田中が一人でとてとてと小走りに寄ってきた。
「中島は?」
「囮になってくれた。後から合流するつもり。で、あの、そちらの先輩は?」
相知先輩と勇海先輩を見て田中は小首を傾げた。
「えーと、図書委員の相知秋哉先輩とE組の勇海夏彦先輩。二人とも2年生だよ」
「へー。初めまして、1年A組の田中結です」
「はじめましてー」
「おー」
ニコニコと挨拶をする田中に相知先輩は緩い笑みで返事をし、勇海先輩は少し面白そうに返事をした。勇海先輩の見た目に怖がらないのが珍しいのかもしれない。
「じゃあ、僕は行くから! 今下の階に囮グループが行ったところだからまだ手薄だと思うよ。15点の宝は3階の第2美術室にあるから!」
「おー、情報提供ありがとー」
ニコニコしたまま田中は本館の方へと去っていく。
「いい子だねー」
「はい、嘘ついたり他人を嵌めて喜ぶタイプじゃないので今の情報も確かだと思いますよ」
「じゃあ第2美術室行ってみるか」
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