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生徒会企画編
side藤原
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*9時00分*
『時間になりましたので、ドロボーの皆様にはミッションが課されます』
最初の放送が終わって、榛名先輩と合流して俺は今第一体育館にいた。
第一体育館はかなり広いけれど、今は通常の入口しか開いていない。普段体育で使う時は横のドアも開いてるんだけれど、今は閉まってる……。
鬼ごっこをするには良いかもしれないが入口を塞がれたら逃げ場がない。
どうせならグラウンドにでも行けばよかったのに、此処を指定してきたのは榛名先輩だ。
『今回はお前らに重要なミッションを与える』
今までの事務的な説明終わってバ会長の棒読みになった。
『この学園にあるという宝を盗み出し、俺達に渡せ。このミッションに成功した暁には多大な報酬が与えられるだろう。諸君の健闘を祈る』
ブツッと嫌な音を立てて放送が切れた。
与えられた情報はかなり少なくてどうすればいいのか迷うけれど、此処で迷ってる時間は無い気もする。
『「こーんにーちはー! 第一体育館に集まったみなさーん!!」』
考えをまとめる間も無く、皐一……海老藁皐一会計の声がした。
放送の機械を通した声と実際に聞こえる生の声がダブって聞こえて、俺はその生の声が聞こえた方を振り返った。
『「第一体育館に集まるなんて度胸あるねー! でも大正解!! 此処では俺達生徒会役員の位置が分かっちゃうよ!!」』
皐一がそう言うと同時に舞台上の暗幕がゆっくりとはけて、スクリーンが下りていた。
そこにはこの学校全体を5つに色分けした地図が映されていた。
『「赤が生徒会長、青が副会長、黄色が僕、緑が沢村会計、黒が村海書記だよー!!」』
「……」
覚えられる自信は無いけど、大体の場所は把握した。
敷地内南の本館にバ会長、北の第三校舎に副会長の島咲、東の第一・第二体育館と第五校舎に皐一、西の第四校舎に沢村貴史会計、そして真ん中の第二校舎に村海文斗書記、だ。
『「俺と貴史が離れてるとかマジありえない感じだけどまぁ皆も頑張ってねー。まぁ……」』
相変わらず会計二人は仲が良いよなぁ……。
兄弟とか血が繋がってるワケじゃないどころかあの二人の実家同士はむしろ仲悪いみたいだけれど……。
まぁそんな事より島咲たちの位置忘れないうちにさっさと宝探しに行かないと……。
『「此処から無事逃げられたらだけど」』
「え……」
「あー、やっぱか」
皐一がそう言うと同時に、ドタバタと酷い足音がした。たぶん、鬼だろう。
足音の入口から。体育館の裏口はいつもしまってるハズだ。
ここは体育館内が乱闘騒ぎになってる中で何とか鬼の目を掻い潜って入口まで行くか……。
「藤原、こっちだ」
「え?」
逃げる算段を立てた所を、榛名先輩に手を引かれた。
「付いて来いよ」
「……はい」
榛名先輩の自信あり気な表情からたぶん何か作戦があるのかもしれない。
素直に従ってパニックになってる人の間を縫って先輩は舞台袖からこっそりと舞台裏へと逃げ込んだ。
まさか舞台裏に逃げ込むつもりなのか、でもそんなかくれんぼが通じるのか……。
「心配すんな確実に逃げれるから」
オレは心配そうな顔をしてしまっていたのか、先輩がフッと爽やかに笑ってくれた。その笑みに何となく安心して俺は先輩についていった。
すると、先輩は裏口のドアの前に立って、おもむろにポケットから鍵を取り出した。
「あ、だからそんな自信あり気だったんで……え? 何でそんなモン持ってんですか!?」
「ちょっと、な?」
また先輩は爽やかに微笑んで鍵を開けて外に出たので、仕方なく俺も一緒に外に出た。
そして先輩はまた鍵を閉めようとして……。
「え!? 閉めるんですか!?」
「ん、まずかったか?」
「流石に必要が無いなら開けといてあげましょうよ……」
「そうか? ライバルは少ない方が良いかと思ったんだが」
「……」
榛名先輩は爽やかお兄さん系とみせかけて意外と策士なのか……。
もうここは全部先輩の判断に任せちゃおう。
多分オレが考えるよりいい判断をするだろうし……。
もしかしたらさっきのもどっかにメモってあるのかもしれないなぁ……。
→
『時間になりましたので、ドロボーの皆様にはミッションが課されます』
最初の放送が終わって、榛名先輩と合流して俺は今第一体育館にいた。
第一体育館はかなり広いけれど、今は通常の入口しか開いていない。普段体育で使う時は横のドアも開いてるんだけれど、今は閉まってる……。
鬼ごっこをするには良いかもしれないが入口を塞がれたら逃げ場がない。
どうせならグラウンドにでも行けばよかったのに、此処を指定してきたのは榛名先輩だ。
『今回はお前らに重要なミッションを与える』
今までの事務的な説明終わってバ会長の棒読みになった。
『この学園にあるという宝を盗み出し、俺達に渡せ。このミッションに成功した暁には多大な報酬が与えられるだろう。諸君の健闘を祈る』
ブツッと嫌な音を立てて放送が切れた。
与えられた情報はかなり少なくてどうすればいいのか迷うけれど、此処で迷ってる時間は無い気もする。
『「こーんにーちはー! 第一体育館に集まったみなさーん!!」』
考えをまとめる間も無く、皐一……海老藁皐一会計の声がした。
放送の機械を通した声と実際に聞こえる生の声がダブって聞こえて、俺はその生の声が聞こえた方を振り返った。
『「第一体育館に集まるなんて度胸あるねー! でも大正解!! 此処では俺達生徒会役員の位置が分かっちゃうよ!!」』
皐一がそう言うと同時に舞台上の暗幕がゆっくりとはけて、スクリーンが下りていた。
そこにはこの学校全体を5つに色分けした地図が映されていた。
『「赤が生徒会長、青が副会長、黄色が僕、緑が沢村会計、黒が村海書記だよー!!」』
「……」
覚えられる自信は無いけど、大体の場所は把握した。
敷地内南の本館にバ会長、北の第三校舎に副会長の島咲、東の第一・第二体育館と第五校舎に皐一、西の第四校舎に沢村貴史会計、そして真ん中の第二校舎に村海文斗書記、だ。
『「俺と貴史が離れてるとかマジありえない感じだけどまぁ皆も頑張ってねー。まぁ……」』
相変わらず会計二人は仲が良いよなぁ……。
兄弟とか血が繋がってるワケじゃないどころかあの二人の実家同士はむしろ仲悪いみたいだけれど……。
まぁそんな事より島咲たちの位置忘れないうちにさっさと宝探しに行かないと……。
『「此処から無事逃げられたらだけど」』
「え……」
「あー、やっぱか」
皐一がそう言うと同時に、ドタバタと酷い足音がした。たぶん、鬼だろう。
足音の入口から。体育館の裏口はいつもしまってるハズだ。
ここは体育館内が乱闘騒ぎになってる中で何とか鬼の目を掻い潜って入口まで行くか……。
「藤原、こっちだ」
「え?」
逃げる算段を立てた所を、榛名先輩に手を引かれた。
「付いて来いよ」
「……はい」
榛名先輩の自信あり気な表情からたぶん何か作戦があるのかもしれない。
素直に従ってパニックになってる人の間を縫って先輩は舞台袖からこっそりと舞台裏へと逃げ込んだ。
まさか舞台裏に逃げ込むつもりなのか、でもそんなかくれんぼが通じるのか……。
「心配すんな確実に逃げれるから」
オレは心配そうな顔をしてしまっていたのか、先輩がフッと爽やかに笑ってくれた。その笑みに何となく安心して俺は先輩についていった。
すると、先輩は裏口のドアの前に立って、おもむろにポケットから鍵を取り出した。
「あ、だからそんな自信あり気だったんで……え? 何でそんなモン持ってんですか!?」
「ちょっと、な?」
また先輩は爽やかに微笑んで鍵を開けて外に出たので、仕方なく俺も一緒に外に出た。
そして先輩はまた鍵を閉めようとして……。
「え!? 閉めるんですか!?」
「ん、まずかったか?」
「流石に必要が無いなら開けといてあげましょうよ……」
「そうか? ライバルは少ない方が良いかと思ったんだが」
「……」
榛名先輩は爽やかお兄さん系とみせかけて意外と策士なのか……。
もうここは全部先輩の判断に任せちゃおう。
多分オレが考えるよりいい判断をするだろうし……。
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