真面目系委員長の同室は王道転校生⁉～王道受けの横で適度に巻き込まれて行きます～

第二章

2013年エイプリルフール・プロローグ

頭がぼんやりとする。

いつもの様に部活に行って、そのままジン先輩と食堂で夕飯を食べて……。
えーと……それでどうなったんだっけ？


「疲れて寝ちゃったんだよ」


あ、そうそう。
今日のメニューキツくて、それで寝ちゃったんだ。
先輩に教えられて、何となく思い出してきた。

でも、どこで？

「俺の部屋」

え、俺先輩の部屋にいたんでしたっけ？

「夕飯の後、ちょっと授業で分かんないところがあるって俺の部屋に来たんでしょ」

そうでした！
じゃあ俺はジン先輩の部屋で寝ちゃって……ん、あれ？
俺今寝てるんですよね？

何で先輩と話してるんですか？

「夢だよ、全部夢」

あー……ここは夢の中で本体は先輩の部屋で寝てるんですか。
つまりこれは覚醒夢とかそんな名前のアレなんですね。

「そ、まだ寝てていいよ。朝が来たら1番に起こしてあげる。そしたら皆が起きる前に寮に戻りな」

すみません、ありがとうございます。

「代わりに」

え……何ですか？

「今は夜中で皆寝てる」

はぁ。

「今日はね、嘘が許される日なんだ」

許すかどうかは嘘をつかれた本人が決めるもんですよ。

「それなら嘘と気づかれなければイイ。本人が勝手に見た夢ってことにしてね」

何か話の雲行きが怪しいんですけれど……。

「一晩だけ、イイ夢見させてあげたらどうかな。大丈夫、君は目が覚めたら何にも覚えてないし君がつく嘘は夢の中じゃ真実だよ」

うわー、質悪いですね。
だいたい、ソレ俺にも、先輩にもメリットありませんよね。

「いや、俺は楽しいから。それに君にもメリットはあるよ」

どんなですか？

「これからの参考にでもしてもらえれば、かな」

これから……って何ですか。
でも、俺に拒否権なんてあるんですか？

「ふふ、ないね」

やっぱり。
先輩そういう所ありますよね。ちょっとどうかと思うんです。

「嘘をついてる最中、君に罪悪感を感じさせないように嘘は真実にしといてあげるよ」


嘘が真実、ってちょっとよく分からないんですけど……。



「細かいことは気にせずに、ね。ほら、おやすみ」


はぁ……まぁ、行ってきます。




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