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第二章
1 後期前夜
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一週間の秋休みが終わって数日、俺は今寮の自室に……はいなかった。
「先輩、なんですか?」
俺が今いるのはジン先輩の部屋だった。
何度か先輩の部屋には入ったことがあったがこんな時間には初めてだ。
現在22時30分。
こんな時間に一応立ち入り禁止となっている上級生の寮にいるのは不味い。非常に不味い。
どのくらい不味いかって言うと良くて掃除当番、悪くて停学になりそうなくらい不味い。俺は特待生だぞ。何てことさせやがる。
ジト目で見れば先輩はニコリと良い笑みを浮かべた。
「誠、今夜泊まってけ」
「は……?」
口を開けばまさかのお泊り指示。
ジン先輩はそんなに真面目な方ではないが今まで俺に規則を破らせるようなことは無かった。多分。
その先輩がまさかのお泊り指示。
先輩には恋人がいるので下心なんて無いことは分かり切っているが解せない。今日は金曜だから明日に響くこともないが、いったい何故、と疑問符ばかりが頭に浮かぶ。
用事があるなら朝早くに呼び出せばいい。メールでも何でもしてくれれば俺は素直に従うだろう。
きっとジン先輩は俺に何か用事があるワケじゃない。
なら……。
「俺を部屋から連れ出して、何か今日あるんですか? 1年の寮、もしくは俺の部屋で」
「お、よく分かったな」
ニヤリと先輩が笑う。
ワルそうな顔だ。先輩は時々こういう表情をする。まるでアニメ映画か何かの悪役に出てくる猫みたいだ。いや、いい人だけど。誠実とは言い難いが。
「今日さ、多分生徒会の奴ら……。と言っても咲矢と島咲以外なんだけど、がお前等の部屋に突撃するとかいう情報を入手したんだよ」
「うげ……」
なんて迷惑な。
出かけた言葉はのどに押しとどめた。わざわざ口にすることでもない。
「藤原は知ってんですか?」
「さぁな? まぁ今日はお前を帰す気はねぇよ」
先輩はセクシーに色気たっぷり言ってのけるが、まぁ気にすることは無い。
からかってるだけだ、この人の場合。
「仕方ないですね、藤原にはメッセだけしておきます」
そういえば、生徒会メンバーとは咲矢先輩と島咲副会長としかしっかりと話したことがない。
一回殴りかかられたが避けたし。そのあとのが大変だったからアレが生徒会の誰だったのかもよく覚えていない。藤原関係とは意外と話したことがない。あいつの友好関係なんて生徒会と仲がいいぐらいしか知らないかもしれない。
To :藤原
本文:今日は先輩のとこに泊まります。なんかそっち大変なことになってねぇ?
こんなもんかと作った文字を確認、送信する。
行先は伝えてあるから何先輩かは分かるだろう。
「生徒会……まず何人いましたっけ?」
「会長、副会長、書記に会計が2人の計5人だな」
あの時の誰かを含め俺が知らないのは3人か。
一応朝礼やらで見たことはあったがしっかりとは覚えていない。
「誠はホント興味ないんだなー」
「まぁ今まで関わる事もありませんでしたしね」
藤原が来る前までは。
迷惑だとは思ったことはないが、本当にアイツは厄介ごとを運んでくる。逆に咲矢先輩みたいに知り合えて良かったと思える相手だっている。そういうこともある、ソレだけだ。
「ふーん? で、会っちゃった今は興味ある感じ?」
「どうでしょうね。藤原がお世話になってるからなんてほど俺は藤原の保護者じゃあありませんし。でもこれから関わらざるを得ない気もしますしねぇ」
事実、先輩が俺を呼び出さなきゃ今日俺は残り3人と出くわしていただろう。
「そんなことよりさぁ」
「はい?」
「イイことしね?」
「は?」
とん、と先輩が俺をベッドに押し倒した。
→
「先輩、なんですか?」
俺が今いるのはジン先輩の部屋だった。
何度か先輩の部屋には入ったことがあったがこんな時間には初めてだ。
現在22時30分。
こんな時間に一応立ち入り禁止となっている上級生の寮にいるのは不味い。非常に不味い。
どのくらい不味いかって言うと良くて掃除当番、悪くて停学になりそうなくらい不味い。俺は特待生だぞ。何てことさせやがる。
ジト目で見れば先輩はニコリと良い笑みを浮かべた。
「誠、今夜泊まってけ」
「は……?」
口を開けばまさかのお泊り指示。
ジン先輩はそんなに真面目な方ではないが今まで俺に規則を破らせるようなことは無かった。多分。
その先輩がまさかのお泊り指示。
先輩には恋人がいるので下心なんて無いことは分かり切っているが解せない。今日は金曜だから明日に響くこともないが、いったい何故、と疑問符ばかりが頭に浮かぶ。
用事があるなら朝早くに呼び出せばいい。メールでも何でもしてくれれば俺は素直に従うだろう。
きっとジン先輩は俺に何か用事があるワケじゃない。
なら……。
「俺を部屋から連れ出して、何か今日あるんですか? 1年の寮、もしくは俺の部屋で」
「お、よく分かったな」
ニヤリと先輩が笑う。
ワルそうな顔だ。先輩は時々こういう表情をする。まるでアニメ映画か何かの悪役に出てくる猫みたいだ。いや、いい人だけど。誠実とは言い難いが。
「今日さ、多分生徒会の奴ら……。と言っても咲矢と島咲以外なんだけど、がお前等の部屋に突撃するとかいう情報を入手したんだよ」
「うげ……」
なんて迷惑な。
出かけた言葉はのどに押しとどめた。わざわざ口にすることでもない。
「藤原は知ってんですか?」
「さぁな? まぁ今日はお前を帰す気はねぇよ」
先輩はセクシーに色気たっぷり言ってのけるが、まぁ気にすることは無い。
からかってるだけだ、この人の場合。
「仕方ないですね、藤原にはメッセだけしておきます」
そういえば、生徒会メンバーとは咲矢先輩と島咲副会長としかしっかりと話したことがない。
一回殴りかかられたが避けたし。そのあとのが大変だったからアレが生徒会の誰だったのかもよく覚えていない。藤原関係とは意外と話したことがない。あいつの友好関係なんて生徒会と仲がいいぐらいしか知らないかもしれない。
To :藤原
本文:今日は先輩のとこに泊まります。なんかそっち大変なことになってねぇ?
こんなもんかと作った文字を確認、送信する。
行先は伝えてあるから何先輩かは分かるだろう。
「生徒会……まず何人いましたっけ?」
「会長、副会長、書記に会計が2人の計5人だな」
あの時の誰かを含め俺が知らないのは3人か。
一応朝礼やらで見たことはあったがしっかりとは覚えていない。
「誠はホント興味ないんだなー」
「まぁ今まで関わる事もありませんでしたしね」
藤原が来る前までは。
迷惑だとは思ったことはないが、本当にアイツは厄介ごとを運んでくる。逆に咲矢先輩みたいに知り合えて良かったと思える相手だっている。そういうこともある、ソレだけだ。
「ふーん? で、会っちゃった今は興味ある感じ?」
「どうでしょうね。藤原がお世話になってるからなんてほど俺は藤原の保護者じゃあありませんし。でもこれから関わらざるを得ない気もしますしねぇ」
事実、先輩が俺を呼び出さなきゃ今日俺は残り3人と出くわしていただろう。
「そんなことよりさぁ」
「はい?」
「イイことしね?」
「は?」
とん、と先輩が俺をベッドに押し倒した。
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