30 / 76
第二章 イケメンスローライフ?
30.王都に到着
しおりを挟む
薬草を採取し終わると俺達は歩き出した。
「おいおい、お前そっちじゃねーよ!」
正しくは俺が勝手に歩いて、後ろからニャンタとにゃんにゃん団が付いてきている。
俺の子守りをニャンタがしているため、俺がどこかに行けばニャンタは自然と俺についてきていた。
そういえば、にゃんにゃん団は何か目的があった気がするんだが……。
そんなことはお構いなく俺は森を突っ切った。
「うぉー! やっと見えたー!」
勢いよく森を抜けると奥には外壁に囲まれた王都が見えていた。
正確に言えばカレンが言った見た通りに進んだだけだ。
「おい、お前止ま――」
「あっ、ニャンタ達も来たんだね」
「「「にゃーにーーー!」」」
はい、今回も頂きました。
さっきからずっと王都とは逆方向やら、行き先が違うやら言われていたが、最速で着くコースを選択していた。
「おま……どうして道がわかったんだ?」
「あー、なんかそんな気がしたから?」
ここでカレンが教えてくれたと伝えると、また幻覚花に影響されたと言われかねない。
だからここは適当に流すのがちょうどいいのだ。
「お前ならわかりそうだもんな」
やっぱり変な人扱いされてそうだな。
早く王都に着けばそれだけ野営しなくても済むから楽になる。
ちなみに王都についてからのお金の対策としてたくさんの薬草を採取してきた。
もちろん持ってるのは俺ではなくニャンタだけどな。
「ここから先は外套を纏え」
急にニャンタとにゃんにゃん団のメンバーは、マントで顔を隠すようにして王都に向かった。
俺はマントを持っていなかったため、そのままニャンタに着いていくことにした。
王都に入るまで、入り口の門前に長蛇の列ができていた。
その行列を見て思ったのは並んでいるのが全員男だったことだ。
初めてこの世界に来た時にウェンベルグ公爵家からは男性の方が多いと聞いていたが、いざ目撃すると実感が湧いてきた。
「おい、次はお前達だ」
ニャンタ達の順番になり、ニャンタとにゃんにゃん団のメンバーは何かカードを見せていた。
「冒険者達か! 獣人のくせに王都に来てなんの用だ」
「依頼できた」
「はぁん!? お前らみたいな汚い獣が入るとこじゃねーんだよ」
聞いている俺はイライラが収まらなかった。
どこからどう見ても獣人や半獣より、この男の方が獣以下の存在だ。
顔が良くても性格が悪ければ、ただの残念な男だ。
ニャンタ達はお前と違ってもふもふして可愛いからな。
「テメらみたいなのは俺らの――」
門番は手前にいたケットに殴りかかろうとしていた。
「お前、何様のつもりだ」
そのまま振り上げた手を俺は掴み上げた。
「なっ!?」
「今ケットに何しようとしたんだよ」
そのまま強く握ると男は狼狽した。
自分でもいつも以上に力が出ていることに驚いていたが、異世界に来て何かが関係しているのだろう。
「おい、トモヤやめろ」
そんな俺をニャンタが止めた。
それでも俺の怒りは収まりそうになかった。
「お前らもなんで黙ってるんだよ! こいつとお前らの何が違うんだ? 見た目か? そんなもん少し違うだけで価値が変わるのか!」
俺はニャンタ達に言っているが、きっと地球にいた頃の自分に対しても言っているのだろう。
たまたま好きになったのが同性だっただけで、世間からは冷たい目で見られていた。
見た目も同じ人間なのにそれだけで差別されてしまうのだ。
そんな中ずっと生きていても、生きた心地がしないままいつのまにか死んでいた。
きっとニャンタ達も似たような劣等感を持っているのだろう。
「くそ、小僧放せ!」
俺に向かって門番は腰につけていた剣を取り出した。
その場で斬られると思った瞬間、誰かが門番を強く突き飛ばした。
「誰が市民に手を出して良いって教えた? あん?」
聞こえた言葉は物騒だった。
成人男性が簡単に吹き飛ぶのも想定外の動きで俺はその場で固まってしまった。
「しかも将来有望そうな面構えと心持ちの小僧じゃねーか。希望を与える騎士様が何やってるんだ?」
またどこか勘違いされているような気がするぞ?
さすがにこんな修羅場の状態で言う勇気は俺にはない。
それにしても、突然現れた男も金髪に短髪とイケメンだった。
本当にこの国のイケメン率は高い。
その後も門番の人は剣の鞘で叩かれていた。
さっきまでの怒りもいつのまにか収まり、今はただの見学者だ。
「おい、お前ら変われ!」
「はい!」
男の後ろにいた騎士達がケット達のカードを確認して、列に並んでいる人達の手続きを代わりに始めた。
「おい、小僧!」
「はいっ!?」
隠れて王都に入ろうとしたが、男に呼ばれてしまった。
ついに不法侵入をしようとしたのがバレたのか?
だって、俺には冒険者カードみたいなのはないからな。
「よくやったな! だが、自衛目的でも騎士に手を挙げたら取り締まりをしないといけない仕組みになってるんだ」
「えっ……えーー!」
だからニャンタ達は何もせずに、ただ門番の言うことを聞いていたのだろう。
それを俺が勝手に止めたから反撃した扱いになっていた。
「だから少しだけ取調室に来てもらおうか?」
俺は急に体が軽くなったと思うと男に抱きかかえられた。
「えっ!?」
まさかお姫様抱っこの形で抱きかかえられるとは思わなかった。
そんなに重くないはずだが、大きさは成人男性だ。
そんな俺を軽々も持ち上げるとは……。
そして思ったよりも注目されすぎて恥ずかしい。
「やっぱり綺麗な顔をしているな」
イケメンにそんなことを言われるとさらに恥ずかしくなる。
今頃、顔は真っ赤になっているだろう。
あまりの恥ずかしさに俺はそのまま男の首に手をかけて顔を隠した。
これなら見られる心配はない。
「これはたまんないねー」
男は何か言っていたが、俺はそのまま首に手を回し目的地まで運ばれていく。
「おいおい、お前そっちじゃねーよ!」
正しくは俺が勝手に歩いて、後ろからニャンタとにゃんにゃん団が付いてきている。
俺の子守りをニャンタがしているため、俺がどこかに行けばニャンタは自然と俺についてきていた。
そういえば、にゃんにゃん団は何か目的があった気がするんだが……。
そんなことはお構いなく俺は森を突っ切った。
「うぉー! やっと見えたー!」
勢いよく森を抜けると奥には外壁に囲まれた王都が見えていた。
正確に言えばカレンが言った見た通りに進んだだけだ。
「おい、お前止ま――」
「あっ、ニャンタ達も来たんだね」
「「「にゃーにーーー!」」」
はい、今回も頂きました。
さっきからずっと王都とは逆方向やら、行き先が違うやら言われていたが、最速で着くコースを選択していた。
「おま……どうして道がわかったんだ?」
「あー、なんかそんな気がしたから?」
ここでカレンが教えてくれたと伝えると、また幻覚花に影響されたと言われかねない。
だからここは適当に流すのがちょうどいいのだ。
「お前ならわかりそうだもんな」
やっぱり変な人扱いされてそうだな。
早く王都に着けばそれだけ野営しなくても済むから楽になる。
ちなみに王都についてからのお金の対策としてたくさんの薬草を採取してきた。
もちろん持ってるのは俺ではなくニャンタだけどな。
「ここから先は外套を纏え」
急にニャンタとにゃんにゃん団のメンバーは、マントで顔を隠すようにして王都に向かった。
俺はマントを持っていなかったため、そのままニャンタに着いていくことにした。
王都に入るまで、入り口の門前に長蛇の列ができていた。
その行列を見て思ったのは並んでいるのが全員男だったことだ。
初めてこの世界に来た時にウェンベルグ公爵家からは男性の方が多いと聞いていたが、いざ目撃すると実感が湧いてきた。
「おい、次はお前達だ」
ニャンタ達の順番になり、ニャンタとにゃんにゃん団のメンバーは何かカードを見せていた。
「冒険者達か! 獣人のくせに王都に来てなんの用だ」
「依頼できた」
「はぁん!? お前らみたいな汚い獣が入るとこじゃねーんだよ」
聞いている俺はイライラが収まらなかった。
どこからどう見ても獣人や半獣より、この男の方が獣以下の存在だ。
顔が良くても性格が悪ければ、ただの残念な男だ。
ニャンタ達はお前と違ってもふもふして可愛いからな。
「テメらみたいなのは俺らの――」
門番は手前にいたケットに殴りかかろうとしていた。
「お前、何様のつもりだ」
そのまま振り上げた手を俺は掴み上げた。
「なっ!?」
「今ケットに何しようとしたんだよ」
そのまま強く握ると男は狼狽した。
自分でもいつも以上に力が出ていることに驚いていたが、異世界に来て何かが関係しているのだろう。
「おい、トモヤやめろ」
そんな俺をニャンタが止めた。
それでも俺の怒りは収まりそうになかった。
「お前らもなんで黙ってるんだよ! こいつとお前らの何が違うんだ? 見た目か? そんなもん少し違うだけで価値が変わるのか!」
俺はニャンタ達に言っているが、きっと地球にいた頃の自分に対しても言っているのだろう。
たまたま好きになったのが同性だっただけで、世間からは冷たい目で見られていた。
見た目も同じ人間なのにそれだけで差別されてしまうのだ。
そんな中ずっと生きていても、生きた心地がしないままいつのまにか死んでいた。
きっとニャンタ達も似たような劣等感を持っているのだろう。
「くそ、小僧放せ!」
俺に向かって門番は腰につけていた剣を取り出した。
その場で斬られると思った瞬間、誰かが門番を強く突き飛ばした。
「誰が市民に手を出して良いって教えた? あん?」
聞こえた言葉は物騒だった。
成人男性が簡単に吹き飛ぶのも想定外の動きで俺はその場で固まってしまった。
「しかも将来有望そうな面構えと心持ちの小僧じゃねーか。希望を与える騎士様が何やってるんだ?」
またどこか勘違いされているような気がするぞ?
さすがにこんな修羅場の状態で言う勇気は俺にはない。
それにしても、突然現れた男も金髪に短髪とイケメンだった。
本当にこの国のイケメン率は高い。
その後も門番の人は剣の鞘で叩かれていた。
さっきまでの怒りもいつのまにか収まり、今はただの見学者だ。
「おい、お前ら変われ!」
「はい!」
男の後ろにいた騎士達がケット達のカードを確認して、列に並んでいる人達の手続きを代わりに始めた。
「おい、小僧!」
「はいっ!?」
隠れて王都に入ろうとしたが、男に呼ばれてしまった。
ついに不法侵入をしようとしたのがバレたのか?
だって、俺には冒険者カードみたいなのはないからな。
「よくやったな! だが、自衛目的でも騎士に手を挙げたら取り締まりをしないといけない仕組みになってるんだ」
「えっ……えーー!」
だからニャンタ達は何もせずに、ただ門番の言うことを聞いていたのだろう。
それを俺が勝手に止めたから反撃した扱いになっていた。
「だから少しだけ取調室に来てもらおうか?」
俺は急に体が軽くなったと思うと男に抱きかかえられた。
「えっ!?」
まさかお姫様抱っこの形で抱きかかえられるとは思わなかった。
そんなに重くないはずだが、大きさは成人男性だ。
そんな俺を軽々も持ち上げるとは……。
そして思ったよりも注目されすぎて恥ずかしい。
「やっぱり綺麗な顔をしているな」
イケメンにそんなことを言われるとさらに恥ずかしくなる。
今頃、顔は真っ赤になっているだろう。
あまりの恥ずかしさに俺はそのまま男の首に手をかけて顔を隠した。
これなら見られる心配はない。
「これはたまんないねー」
男は何か言っていたが、俺はそのまま首に手を回し目的地まで運ばれていく。
72
お気に入りに追加
376
あなたにおすすめの小説
兄たちが弟を可愛がりすぎです~こんなに大きくなりました~
クロユキ
BL
ベルスタ王国に第五王子として転生した坂田春人は第五ウィル王子として城での生活をしていた。
いつものようにメイドのマリアに足のマッサージをして貰い、いつものように寝たはずなのに……目が覚めたら大きく成っていた。
本編の兄たちのお話しが違いますが、短編集として読んで下さい。
誤字に脱字が多い作品ですが、読んで貰えたら嬉しいです。
【完結済】(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。
キノア9g
BL
完結済。騎士エリオット視点を含め全10話(エリオット視点2話と主人公視点8話構成)
エロなし。騎士×妖精
※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。
気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。
木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。
色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。
ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。
捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。
彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。
少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──?
いいねありがとうございます!励みになります。
推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
兄たちが弟を可愛がりすぎです
クロユキ
BL
俺が風邪で寝ていた目が覚めたら異世界!?
メイド、王子って、俺も王子!?
おっと、俺の自己紹介忘れてた!俺の、名前は坂田春人高校二年、別世界にウィル王子の身体に入っていたんだ!兄王子に振り回されて、俺大丈夫か?!
涙脆く可愛い系に弱い春人の兄王子達に振り回され護衛騎士に迫って慌てていっもハラハラドキドキたまにはバカな事を言ったりとしている主人公春人の話を楽しんでくれたら嬉しいです。
1日の話しが長い物語です。
誤字脱字には気をつけてはいますが、余り気にしないよ~と言う方がいましたら嬉しいです。
【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺
福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。
目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。
でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい…
……あれ…?
…やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ…
前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。
1万2000字前後です。
攻めのキャラがブレるし若干変態です。
無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形)
おまけ完結済み
俺の伴侶はどこにいる〜ゼロから始める領地改革 家臣なしとか意味分からん〜
琴音
BL
俺はなんでも適当にこなせる器用貧乏なために、逆に何にも打ち込めず二十歳になった。成人後五年、その間に番も見つけられずとうとう父上静かにぶちギレ。ならばと城にいても楽しくないし?番はほっとくと適当にの未来しかない。そんな時に勝手に見合いをぶち込まれ、逃げた。が、間抜けな俺は騎獣から落ちたようで自分から城に帰還状態。
ならば兄弟は優秀、俺次男!未開の地と化した領地を復活させてみようじゃないか!やる気になったはいいが………
ゆるゆる〜の未来の大陸南の猫族の小国のお話です。全く別の話でエリオスが領地開発に奮闘します。世界も先に進み状況の変化も。番も探しつつ……
世界はドナシアン王国建国より百年以上過ぎ、大陸はイアサント王国がまったりと支配する世界になっている。どの国もこの大陸の気質に合った獣人らしい生き方が出来る優しい世界で北から南の行き来も楽に出来る。農民すら才覚さえあれば商人にもなれるのだ。
気候は温暖で最南以外は砂漠もなく、過ごしやすく農家には適している。そして、この百年で獣人でも魅力を持つようになる。エリオス世代は魔力があるのが当たり前に過ごしている。
そんな世界に住むエリオスはどうやって領地を自分好みに開拓出来るのか。
※この物語だけで楽しめるようになっています。よろしくお願いします。
配信ボタン切り忘れて…苦手だった歌い手に囲われました!?お、俺は彼女が欲しいかな!!
ふわりんしず。
BL
晒し系配信者が配信ボタンを切り忘れて
素の性格がリスナー全員にバレてしまう
しかも苦手な歌い手に外堀を埋められて…
■
□
■
歌い手配信者(中身は腹黒)
×
晒し系配信者(中身は不憫系男子)
保険でR15付けてます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる