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第二章 イケメンスローライフ?
28.知らない加護
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「どこにもないにゃん」
俺達は王都に向かって移動しながら薬草を探している。
にゃんにゃん団のメンバーは薬草をみつけるのが苦手のようだ。
「ねぇ、これは何の動物なの?」
俺はリスに似た小動物に近づき、触ろうと手を近づけると大きく口を開けた。
「トモヤ危ない!」
急に口が大きく広がると、前歯からは紫色の液体が飛び散った。
それに気づいたニャンタが俺を庇うように抱え、小動物を剣で斬った。
「お前ちょこまかと動くなよ!」
「ごめん」
可愛い姿をしているのに急に毒のようなものを吐いてきたのだ。
「あれはポイズンスクワールという魔物だぞ」
名前のまま毒のリスっていう意味らしい。
リスが毒を吐く現実に驚きながら、これが騎士達が討伐している魔物なんだと初めて知った。
「この辺は植物も魔物も――」
「この花は……」
「お前、いい加減にしろー!」
近くにあった花に近づくと、またニャンタが駆け寄ってきた。
なんやかんやでニャンタが教えてくれるから俺は楽しくなっていた。
実はこれが初めてではなく、すでに5回ぐらいこれを繰り返している。
「ごめんね?」
「お前反省する気ないだろう。にゃんにゃん団の試験よりお前の相手の方があぁー!!」
俺のお守りをしているニャンタは大変そうだ。
俺だって見たことない異世界の動植物が気になるし、その間に勉強したいのだ。
そのためにはニャンタには犠牲になってもらおう。
そんなニャンタをチラッと見るとギロリとこちらを見ていた。
「もう、勝手な行動はさせないぞ」
いつのまにかニャンタは俺の手を握り、動けないようにしていた。
さすが冒険者なのか全く抜け出せないのだ。
「ははは、これで……えっ!」
俺は手を握ってきたニャンタの指に絡ませるように握り返した。
抜け出せないならしっかりと握ろうと思ったのだ。
日本では周りの目も気になるため、外で恋人繋ぎなんてしたことなかったしな。
「ニャンタどうしたの?」
「うっ……なんでもにゃい」
ニャンタは頬を恥ずかしそうに搔きながら照れていた。
どうやら恥ずかしいとネコっぽいとこが出るのだろう。
ちょうど動植物に飽きてきたため、俺はしばらくの間この時間を楽しむことにした。
イケメンと恋人繋ぎをすることもないしな。
「じゃあ、この辺で探すか」
あまりにもにゃんにゃん団が移動中に薬草を見つけられないため、採取をするために立ち止まった。
ちなみに近くに幻覚花であるうにょ花も近くにあるがみつけられないようだ。
『あいつら何をやっているの?』
「なんか薬草を探しているらしいよ」
俺は胸ポケットに入っているうにょ花であるカレンと話していた。
『へー、それは大変だね。手伝ってあげれば?』
少し言い方に棘があるが、採取することに対しては否定的ではないらしい。
「助けてもらったから俺も手伝うか」
俺は休憩しているニャンタの元へ向かった。
「お前、また何かしたのか?」
こいつの中では俺は何かをしでかすやつという扱いなのだろう。
まぁ、さっきまでやらかしまくったから仕方ない。
「俺も手伝っていいのか?」
依頼を手伝っていいのかもわからないため、とりあえずニャンタに聞いてみた。
「絶対にダメだ! お前が関わると碌なことがおきない」
俺はやらかしすぎたのだろう。
ニャンタの隣に座らせられて、また手を握られた。
異世界は手を繋ぐのが好きなのだろうか。
そもそも日本では男同士が外で手を繋いでいると変な目で見られるから、その感覚が俺にはわからない。
「あそこにもうにょ花あるのになー」
ケットが近くを探していると、うにょ花が動いているのが見えていた。
「うにょ花ってなんだ?」
俺はポケットから幻覚花を取り出した。
「これだよ? うにょうにょしてるでしょ?」
手に持った幻覚花であるカレンはうにょうにょ動いている。
「お前、これを食べたのか?」
食べた記憶は一切ない。
こんなうにょうにょ動く摩訶不思議な花を食べるのは流石に俺でも怖い。
「食べるはずがないよ」
「んー、そうか。俺には幻覚花は止まって見えるからな」
まさか他の人には動いているように見えないようだ。
「えっ!?」
やはり俺はどこかで口にして幻覚を見ているのだろうか……。
『それはトモヤが自然の加護があるからだよー』
「自然の加護?」
『自然の草木や精霊にとってトモヤは心地良いんだ』
どうやら俺には自然の加護というものがあるらしい。
異世界チートというやつなのだろうか。
それならもう少しはっきりした能力が欲しかった。
「おい、トモヤ大丈夫か? 一人で話してどうしたんだ?」
ニャンタはカレンと話している俺を心配していた。
顔を見ると顔面真っ青だ。
「大丈夫だよ?」
「どこが大丈夫なんだ! おい、幻覚見ているじゃないか?」
「この声ってニャンタには聞こえないの?」
「はぁ……お前って本当にやらかし放題だな」
どうやらカレンの声は俺にしか聞こえていなかった。
たしかに急に誰かと話し始めたら危ないやつと認定されるだろう。
さっきまでカレンが気を使っていたが、それを忘れていた。
「おーい、お前ら! トモヤが幻覚花を食べたからひとまずこの辺で野営の準備をするぞ!」
「「「にゃーにーー!?」」」
俺のせいですぐに野営の準備をすることになった。
こんなに迷惑をかけるなら、明日からはなるべく大人しくしようと俺は思った。
俺達は王都に向かって移動しながら薬草を探している。
にゃんにゃん団のメンバーは薬草をみつけるのが苦手のようだ。
「ねぇ、これは何の動物なの?」
俺はリスに似た小動物に近づき、触ろうと手を近づけると大きく口を開けた。
「トモヤ危ない!」
急に口が大きく広がると、前歯からは紫色の液体が飛び散った。
それに気づいたニャンタが俺を庇うように抱え、小動物を剣で斬った。
「お前ちょこまかと動くなよ!」
「ごめん」
可愛い姿をしているのに急に毒のようなものを吐いてきたのだ。
「あれはポイズンスクワールという魔物だぞ」
名前のまま毒のリスっていう意味らしい。
リスが毒を吐く現実に驚きながら、これが騎士達が討伐している魔物なんだと初めて知った。
「この辺は植物も魔物も――」
「この花は……」
「お前、いい加減にしろー!」
近くにあった花に近づくと、またニャンタが駆け寄ってきた。
なんやかんやでニャンタが教えてくれるから俺は楽しくなっていた。
実はこれが初めてではなく、すでに5回ぐらいこれを繰り返している。
「ごめんね?」
「お前反省する気ないだろう。にゃんにゃん団の試験よりお前の相手の方があぁー!!」
俺のお守りをしているニャンタは大変そうだ。
俺だって見たことない異世界の動植物が気になるし、その間に勉強したいのだ。
そのためにはニャンタには犠牲になってもらおう。
そんなニャンタをチラッと見るとギロリとこちらを見ていた。
「もう、勝手な行動はさせないぞ」
いつのまにかニャンタは俺の手を握り、動けないようにしていた。
さすが冒険者なのか全く抜け出せないのだ。
「ははは、これで……えっ!」
俺は手を握ってきたニャンタの指に絡ませるように握り返した。
抜け出せないならしっかりと握ろうと思ったのだ。
日本では周りの目も気になるため、外で恋人繋ぎなんてしたことなかったしな。
「ニャンタどうしたの?」
「うっ……なんでもにゃい」
ニャンタは頬を恥ずかしそうに搔きながら照れていた。
どうやら恥ずかしいとネコっぽいとこが出るのだろう。
ちょうど動植物に飽きてきたため、俺はしばらくの間この時間を楽しむことにした。
イケメンと恋人繋ぎをすることもないしな。
「じゃあ、この辺で探すか」
あまりにもにゃんにゃん団が移動中に薬草を見つけられないため、採取をするために立ち止まった。
ちなみに近くに幻覚花であるうにょ花も近くにあるがみつけられないようだ。
『あいつら何をやっているの?』
「なんか薬草を探しているらしいよ」
俺は胸ポケットに入っているうにょ花であるカレンと話していた。
『へー、それは大変だね。手伝ってあげれば?』
少し言い方に棘があるが、採取することに対しては否定的ではないらしい。
「助けてもらったから俺も手伝うか」
俺は休憩しているニャンタの元へ向かった。
「お前、また何かしたのか?」
こいつの中では俺は何かをしでかすやつという扱いなのだろう。
まぁ、さっきまでやらかしまくったから仕方ない。
「俺も手伝っていいのか?」
依頼を手伝っていいのかもわからないため、とりあえずニャンタに聞いてみた。
「絶対にダメだ! お前が関わると碌なことがおきない」
俺はやらかしすぎたのだろう。
ニャンタの隣に座らせられて、また手を握られた。
異世界は手を繋ぐのが好きなのだろうか。
そもそも日本では男同士が外で手を繋いでいると変な目で見られるから、その感覚が俺にはわからない。
「あそこにもうにょ花あるのになー」
ケットが近くを探していると、うにょ花が動いているのが見えていた。
「うにょ花ってなんだ?」
俺はポケットから幻覚花を取り出した。
「これだよ? うにょうにょしてるでしょ?」
手に持った幻覚花であるカレンはうにょうにょ動いている。
「お前、これを食べたのか?」
食べた記憶は一切ない。
こんなうにょうにょ動く摩訶不思議な花を食べるのは流石に俺でも怖い。
「食べるはずがないよ」
「んー、そうか。俺には幻覚花は止まって見えるからな」
まさか他の人には動いているように見えないようだ。
「えっ!?」
やはり俺はどこかで口にして幻覚を見ているのだろうか……。
『それはトモヤが自然の加護があるからだよー』
「自然の加護?」
『自然の草木や精霊にとってトモヤは心地良いんだ』
どうやら俺には自然の加護というものがあるらしい。
異世界チートというやつなのだろうか。
それならもう少しはっきりした能力が欲しかった。
「おい、トモヤ大丈夫か? 一人で話してどうしたんだ?」
ニャンタはカレンと話している俺を心配していた。
顔を見ると顔面真っ青だ。
「大丈夫だよ?」
「どこが大丈夫なんだ! おい、幻覚見ているじゃないか?」
「この声ってニャンタには聞こえないの?」
「はぁ……お前って本当にやらかし放題だな」
どうやらカレンの声は俺にしか聞こえていなかった。
たしかに急に誰かと話し始めたら危ないやつと認定されるだろう。
さっきまでカレンが気を使っていたが、それを忘れていた。
「おーい、お前ら! トモヤが幻覚花を食べたからひとまずこの辺で野営の準備をするぞ!」
「「「にゃーにーー!?」」」
俺のせいですぐに野営の準備をすることになった。
こんなに迷惑をかけるなら、明日からはなるべく大人しくしようと俺は思った。
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