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第五章 もふもふはムンムン
64.暇なのは僕だけのようです
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次の日、朝からアリミアは何か道具を片手に部屋を訪れた。
「ゴブゥちゃんはいるかしら?」
初めはあれだけ嫌っていたのに、今は興味があるのかゴブゥにべったりとしている。その後もしばらくはゴブゥはアリミアの実験台になっていた。
わかったことは花を区別したらその匂いを放つことができるのと、匂いを混ぜることができるということだ。
食べた種類が多いほど、混乱してしまうという問題に直面した。
それを避けるために、まずはゴブゥが何を食べて、どの匂いなのかを覚えることになった。
そこでアリミアは熱心に匂いに番号をつけて、紙に書き出していた。一つ目が体臭、二つ目がイチンゴ、三つ目が薬草というような感じだ。
結果、一気に食べさせたのを後悔していた。化粧をしていても、目の下が黒くなっているのは見える。
ゴブゥは疲れた顔で敬礼する。昨日もクタクタになって、僕の元へ送り届けられたからな。
「今日は匂いをオイルにする魔道具を持ってきたわ」
アリミアの持っていたのは魔道具だった。普段はお風呂の時に髪の毛とかに使うオイルを抽出する物らしい。
ただ、花を多く使うため匂いが付いたオイルは貴族の中でも高価な贅沢品と言われている。三本程度あれば良いという認識らしい。
「ここにゴブゥちゃんのベッドも用意したからここで寝てもらってもいいかしら! 匂いは二つ目のイチンゴをお願いね」
小さなベッドに魔道具を取り付けると、小さな家のようになっている。そこにゴブゥは匂いを発しながら寝ていた。
しばらくすると魔道具の瓶にオイルが溜まっていく。
その瓶一本作るのに、普通はイチンゴが100個以上は必要になるらしい。それをゴブゥは材料なく、一時間ぐらいで作ってしまう。
ただ、嫌われ者のゴブリンがこうやって好かれているなら嬉しい。アリミアも夜寝る時に作って欲しいと番号を書いた紙を置いて戻って行った。
アリミアも何か考えたいことがあるらしい。
マリアは工房の準備、オーブナーはお店の準備。暇なのは僕だけらしい。
そんな中、ソフィアが家庭教師を始める前に、何を知っているのか一度確認したいという話になった。
「またここに来るとは思わなかったな」
僕は城の前でソフィアが来るのを待っていた。ただでさえ、あの事件があってから僕達の存在は貴族達に少しずつ広まってしまった。
もちろんあの現場を見ていた人しか顔は知らないだろうが、話は貴族達に広がっている。
「リック様ですか?」
僕はどこかの貴族だと思われる男性に声をかけられた。頷くとソフィアから手紙を渡して欲しいと言われたらしい。
「ソフィア様が図書室にお待ちしているそうです」
手紙を受け取ると中を確認する。そもそも文字が読めないため、手紙を受け取ってもどうしようもない。
もちろん城に出入りするのは三回目だが、図書室と呼ばれる部屋がどこにあるのかわからない。
まず図書が何かもわからない。それを聞こうとした時には、男性はどこかへ行ってしまった。
僕はとりあえず庭にいると思われるワシを目指して移動することにした。
その時に近くにいる人に聞けばよかったのに、気づかなかったのがいけなかった。
「ゴブゥちゃんはいるかしら?」
初めはあれだけ嫌っていたのに、今は興味があるのかゴブゥにべったりとしている。その後もしばらくはゴブゥはアリミアの実験台になっていた。
わかったことは花を区別したらその匂いを放つことができるのと、匂いを混ぜることができるということだ。
食べた種類が多いほど、混乱してしまうという問題に直面した。
それを避けるために、まずはゴブゥが何を食べて、どの匂いなのかを覚えることになった。
そこでアリミアは熱心に匂いに番号をつけて、紙に書き出していた。一つ目が体臭、二つ目がイチンゴ、三つ目が薬草というような感じだ。
結果、一気に食べさせたのを後悔していた。化粧をしていても、目の下が黒くなっているのは見える。
ゴブゥは疲れた顔で敬礼する。昨日もクタクタになって、僕の元へ送り届けられたからな。
「今日は匂いをオイルにする魔道具を持ってきたわ」
アリミアの持っていたのは魔道具だった。普段はお風呂の時に髪の毛とかに使うオイルを抽出する物らしい。
ただ、花を多く使うため匂いが付いたオイルは貴族の中でも高価な贅沢品と言われている。三本程度あれば良いという認識らしい。
「ここにゴブゥちゃんのベッドも用意したからここで寝てもらってもいいかしら! 匂いは二つ目のイチンゴをお願いね」
小さなベッドに魔道具を取り付けると、小さな家のようになっている。そこにゴブゥは匂いを発しながら寝ていた。
しばらくすると魔道具の瓶にオイルが溜まっていく。
その瓶一本作るのに、普通はイチンゴが100個以上は必要になるらしい。それをゴブゥは材料なく、一時間ぐらいで作ってしまう。
ただ、嫌われ者のゴブリンがこうやって好かれているなら嬉しい。アリミアも夜寝る時に作って欲しいと番号を書いた紙を置いて戻って行った。
アリミアも何か考えたいことがあるらしい。
マリアは工房の準備、オーブナーはお店の準備。暇なのは僕だけらしい。
そんな中、ソフィアが家庭教師を始める前に、何を知っているのか一度確認したいという話になった。
「またここに来るとは思わなかったな」
僕は城の前でソフィアが来るのを待っていた。ただでさえ、あの事件があってから僕達の存在は貴族達に少しずつ広まってしまった。
もちろんあの現場を見ていた人しか顔は知らないだろうが、話は貴族達に広がっている。
「リック様ですか?」
僕はどこかの貴族だと思われる男性に声をかけられた。頷くとソフィアから手紙を渡して欲しいと言われたらしい。
「ソフィア様が図書室にお待ちしているそうです」
手紙を受け取ると中を確認する。そもそも文字が読めないため、手紙を受け取ってもどうしようもない。
もちろん城に出入りするのは三回目だが、図書室と呼ばれる部屋がどこにあるのかわからない。
まず図書が何かもわからない。それを聞こうとした時には、男性はどこかへ行ってしまった。
僕はとりあえず庭にいると思われるワシを目指して移動することにした。
その時に近くにいる人に聞けばよかったのに、気づかなかったのがいけなかった。
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