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ストーカーライフ

58. 大蛇という名の魔迷宮

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「やっとご主人様に会えましたー!」

「いやああああ、こっちに来ないでくれー!」

 無防備の俺にダンジョンは抱きついてきた。脳内ではこいつが男だとわかっている。

 わかっているはずだが見た目が完璧に女性と遜色ない。

 だってゴブリンもダンジョンに怯えているぐらいだ。

「女がいる……オラを殺しに来たんだ!?」

「せっかくご主人様に会えたのに……」

 ダンジョンは少し寂しそうにこちらを見ていた。

 俺は急いで自分に精神耐性を付与した。中が男とわかっているからなのか、今回は一回の付与で大丈夫そうだ。

「いや、別にお前が悪いわけじゃないんだぞ?」

「なら何がいけないんですか?」

「どう見てもお前の見た目がダメなんだ」

「なんでですかー! 私は立派な男じゃないですか!?」

 いやどこから見ても立派な女性だ。

 胸はソフィアと同様に目立たないが、細身の服を着ているからか、腰のくびれがはっきりとわかる。

 長くなびくその髪の毛もさらさらしている。

「いや、俺達は女性が苦手で――」

「なら男として証明すればいいんですね!」

 そう言ってダンジョンは自分の服に手をかけた。

「おい、やめろおぉぉ!」

「いやああああああ!」

 俺とゴブリンの声はダンジョンに響き渡った。

 一方コボルトは鼻の下が今までに見たことないぐらい伸びていた。コボルトだけど、こいつもしっかりと男のようだ。




 ダンジョンは新しいスキルを使ったら、人型の姿になったらしい。

「恐ろしい……」

「あれはあれで見るんじゃなかった」

「兄貴、オラのなんて人差し指ぐらいですよ」

「いや、お前の人差し指は大きいから大丈夫だ。俺の方が――」

 服を脱いで現れた裸体に俺達はこの世の絶望を感じた。

 ダンジョンの股間には、この世のものとは思えない凶悪な悪魔がついていた。

 俺が小指ならダンジョンについているのは大蛇だ。

 いや、俺も決して小さいわけではない。世の中サイズが全てではないはずだ。

 あの見た目にあの大きさは反則だ。むしろ女性の見た目をしていて怖いという感覚より、股間についているものの方が怖いと思った。

 ダンジョンの股間もダンジョンだったということだ。

「これで男とわかってもらえましたね」

「ああ、もう早く服を着てくれ」

「そんな……ご主人様はこんな時まで風邪をひかないように心配してくださるんですね。ダンジョンだから風邪を引かないのに――」

 ダンジョンはそのまま全裸のまま震えている。寒いなら早く服を着た方が良いが、着ないのは自身のダンジョンを自慢しているとしか思えない。

「そういえばご主人様の愛情でたくさんスキルを覚えたんです!」

 どうやらダンジョンはスキルを覚えたようだ。ただ、愛情とか誤解を招くようなことを言わないでほしい。

 コボルトが反応してしまう。

「ボス、浮気ですか? それは浮気ってやつですか?」

 すでに遅く、コボルトは嫉妬して爪を引っ掛けてきた。

「兄貴は浮気症なんですね。男としてダメですよ」

 別に浮気をしているわけではないため、ゴブリンにも後から躾が必要だ。

「あはは、やっぱり私も皆さんと仲間になれてよかったです」

 そんな様子を見てダンジョンは笑っている。

 笑っているのは良いが早く服は来た方が良いと思う。

 笑うたびにダンジョンもぶるんぶるんと揺れている。

「いや、お前は仲間じゃないからな!」

 俺達の気持ちは一緒だった。

 だってそんな大きな逸物を持ったやつを仲間と認めるわけがない。

 男は下半身の大きさにシビアなんだからな。
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