60 / 145
第二章 精霊イベント
60.NPC、性格が変わる
しおりを挟む
声をかけてきたのは子どもの中でも、比較的大きな女の子だ。
きっと彼女が小さな子達を気にかけていたのだろう。
「誘拐っていつから?」
「ここにきたのは二週間ほど前です。私は近くのセカンド町に住んでました」
二週間程度ってことは、勇者達が町にいる時期と同じぐらいだろう。
それにしてもセカンド町とは隣町のことを言うのだろうか。
俺の住んでいる町すら、名前を聞いたことがないため、どこの町なのかも分かりづらい。
――ぐぅー!
そんな中、どこかからお腹の音が鳴っていた。
きっと今まであまり食べさせてもらえなかったのだろう。
身なりもボロボロだし、ところどころ出血している箇所もある。
「ちょっと集まってきて」
俺の言葉に警戒しながらも、子ども達は集まってきた。
回復魔法をかけて傷を治した。
その後、解体師スキルで汚れを落としていく。
綺麗になっていく自分達の姿に、みんな喜んでいる。
「しぃー! 静かにしないとバレるからね」
俺の言葉に子ども達は小さく頷く。
みんな良い子のようだ。
それに種族もバラバラなのに仲が良さそう。
「それじゃあ、お家に帰ろうか」
このままアジトのボスを捕まえるのが一番良いのだろう。ただ、子ども達を危険な目に遭わすほどのことではない。
俺は警察官でもないからな。
モットーは〝いのちだいじに〟だ!
子ども達の命を守るのが、今の俺の役目だ。
ただ、そのままやつらを見逃すのも嫌な俺は、使ったことのない呪術師スキルを使うことにした。
「ひひひ」
「おおお兄さん!?」
突然の変化に子ども達は戸惑っている。
俺は静かにするように伝えると、ボスがいる部屋まで向かった。
「ははは、これだけ金と子どもがいたらこの町には用はないだろう」
「ボス、次はどこの町に行きますか?」
「この際、王都まで行くのはどうでしょう? 奴隷商人にも会わないといけませんし」
王都……?
それは東京都みたいなところだろうか。
同じようなニュアンスを感じる。
「ああ、そうだな」
どうやらあの子ども達は奴隷商人に売られる予定らしい。
この世界には奴隷がいるのだろう。
俺を助けてくれたのがバビットで良かったと改めて思う。
俺はスキルを発動させた。
「なっ……なんだ!?」
突然、男達が震えだした。
このスキルが何かはわからないが、前にジェイドが呪術師のスキルは呪う対象をずっとマーキングすることができると言っていた。
ええ、俺はエリックにマーキングされているらしい。
俺が近づくと裏エリックだった場合、逃げていくのはそういう仕組みのようだ。
よく一緒にいるジェイドだから、その変化に気づいたのだろう。
急に目の前にHUDシステムが現れて、地図と名前が表示された。
きっとあいつらの名前なんだろう。
これで俺の役目も終わりだ。
俺は急いで子ども達の元へ戻る。
――ガチャ!
「お兄さん?」
「ふへへへ」
「ヒイイィィィ!」
どうやら呪術師の感覚が抜けなかったのだろう。
子ども達を驚かせてしまった。
強制的に意識を戻し、問題ないかのように微笑む。
「こっ……怖いよ……」
あれ……?
呪術師の顔はとっくに投げ捨てたはずだが、そんなに俺の顔が怖いのか。
「本当にお兄さんですよね?」
「ああ、俺だぞ?」
どうやら急に人が変わったような感じがして怖かったのだろう。
狂戦士と呪術師は性格や行動が全く別人格のように変わるからな。
戦いの場面を見たら、もっと引かれそうな気がする。
「急いで帰るぞ!」
俺は子ども達を抱きかかえて、悪党のアジトを後にした。
子ども達は全員合わせて五人。
肩車するのに一人。
両脇に抱える二人。
そして、残りの二人は縄で体の前後に結びつけて移動する。
少し走っていると、突然HUDシステムが反応した。
「保育士……?」
どうやら子ども達と遊ぶと一般職である保育士のデイリークエストが出現したようだ。
呪術師同様、師匠に指導されずに出てくるデイリークエストに驚きだが、色々な才能があるのだろう。
まぁ、俺自身子どもは好きな方だったからな。
そんなことを思いながら、俺は隣町に向かった。
きっと彼女が小さな子達を気にかけていたのだろう。
「誘拐っていつから?」
「ここにきたのは二週間ほど前です。私は近くのセカンド町に住んでました」
二週間程度ってことは、勇者達が町にいる時期と同じぐらいだろう。
それにしてもセカンド町とは隣町のことを言うのだろうか。
俺の住んでいる町すら、名前を聞いたことがないため、どこの町なのかも分かりづらい。
――ぐぅー!
そんな中、どこかからお腹の音が鳴っていた。
きっと今まであまり食べさせてもらえなかったのだろう。
身なりもボロボロだし、ところどころ出血している箇所もある。
「ちょっと集まってきて」
俺の言葉に警戒しながらも、子ども達は集まってきた。
回復魔法をかけて傷を治した。
その後、解体師スキルで汚れを落としていく。
綺麗になっていく自分達の姿に、みんな喜んでいる。
「しぃー! 静かにしないとバレるからね」
俺の言葉に子ども達は小さく頷く。
みんな良い子のようだ。
それに種族もバラバラなのに仲が良さそう。
「それじゃあ、お家に帰ろうか」
このままアジトのボスを捕まえるのが一番良いのだろう。ただ、子ども達を危険な目に遭わすほどのことではない。
俺は警察官でもないからな。
モットーは〝いのちだいじに〟だ!
子ども達の命を守るのが、今の俺の役目だ。
ただ、そのままやつらを見逃すのも嫌な俺は、使ったことのない呪術師スキルを使うことにした。
「ひひひ」
「おおお兄さん!?」
突然の変化に子ども達は戸惑っている。
俺は静かにするように伝えると、ボスがいる部屋まで向かった。
「ははは、これだけ金と子どもがいたらこの町には用はないだろう」
「ボス、次はどこの町に行きますか?」
「この際、王都まで行くのはどうでしょう? 奴隷商人にも会わないといけませんし」
王都……?
それは東京都みたいなところだろうか。
同じようなニュアンスを感じる。
「ああ、そうだな」
どうやらあの子ども達は奴隷商人に売られる予定らしい。
この世界には奴隷がいるのだろう。
俺を助けてくれたのがバビットで良かったと改めて思う。
俺はスキルを発動させた。
「なっ……なんだ!?」
突然、男達が震えだした。
このスキルが何かはわからないが、前にジェイドが呪術師のスキルは呪う対象をずっとマーキングすることができると言っていた。
ええ、俺はエリックにマーキングされているらしい。
俺が近づくと裏エリックだった場合、逃げていくのはそういう仕組みのようだ。
よく一緒にいるジェイドだから、その変化に気づいたのだろう。
急に目の前にHUDシステムが現れて、地図と名前が表示された。
きっとあいつらの名前なんだろう。
これで俺の役目も終わりだ。
俺は急いで子ども達の元へ戻る。
――ガチャ!
「お兄さん?」
「ふへへへ」
「ヒイイィィィ!」
どうやら呪術師の感覚が抜けなかったのだろう。
子ども達を驚かせてしまった。
強制的に意識を戻し、問題ないかのように微笑む。
「こっ……怖いよ……」
あれ……?
呪術師の顔はとっくに投げ捨てたはずだが、そんなに俺の顔が怖いのか。
「本当にお兄さんですよね?」
「ああ、俺だぞ?」
どうやら急に人が変わったような感じがして怖かったのだろう。
狂戦士と呪術師は性格や行動が全く別人格のように変わるからな。
戦いの場面を見たら、もっと引かれそうな気がする。
「急いで帰るぞ!」
俺は子ども達を抱きかかえて、悪党のアジトを後にした。
子ども達は全員合わせて五人。
肩車するのに一人。
両脇に抱える二人。
そして、残りの二人は縄で体の前後に結びつけて移動する。
少し走っていると、突然HUDシステムが反応した。
「保育士……?」
どうやら子ども達と遊ぶと一般職である保育士のデイリークエストが出現したようだ。
呪術師同様、師匠に指導されずに出てくるデイリークエストに驚きだが、色々な才能があるのだろう。
まぁ、俺自身子どもは好きな方だったからな。
そんなことを思いながら、俺は隣町に向かった。
49
お気に入りに追加
1,333
あなたにおすすめの小説
転生王女は現代知識で無双する
紫苑
ファンタジー
普通に働き、生活していた28歳。
突然異世界に転生してしまった。
定番になった異世界転生のお話。
仲良し家族に愛されながら転生を隠しもせず前世で培ったアニメチート魔法や知識で色んな事に首を突っ込んでいく王女レイチェル。
見た目は子供、頭脳は大人。
現代日本ってあらゆる事が自由で、教育水準は高いし平和だったんだと実感しながら頑張って生きていくそんなお話です。
魔法、亜人、奴隷、農業、畜産業など色んな話が出てきます。
伏線回収は後の方になるので最初はわからない事が多いと思いますが、ぜひ最後まで読んでくださると嬉しいです。
読んでくれる皆さまに心から感謝です。
全能で楽しく公爵家!!
山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。
未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう!
転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。
スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。
※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。
※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。
英雄はのんびりと暮らしてみたい!!誤って幼児化した英雄は辺境貴族生活を謳歌する!
月冴桃桜
ファンタジー
史上最強の英雄は心底疲れていた。それでも心優しき英雄は人の頼みを断れない。例え、悪意ある者たちの身勝手な頼みだったとしても……。
さすがの英雄も決意する。……休みたいと……。
でも、自分が『最強』であり続ける限りは休めないと思い、《すべての力》を魔法石に移して、ある工夫で他人でも使えるようにしようと魔方陣を構築。大魔法を実行。
しかし、何故か幼児化してしまう。しかも、力はそのままに……。
焦るものの、ふとこのままでいいと思い、隠蔽魔法ですべてを隠蔽、証拠捏造。おそらく『自分の弟子』以外には見破れないと思う。
従魔と一緒に旅立つ準備中に屋敷を訪ねて来たとある辺境貴族。事情知った彼の辺境の領地で彼の子供として暮らすことに。
そこで幼児なのにチート級にやらかしていきーー!?
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
エリアスとドラゴンともふもふは、今日も元気に遊んでいます!?
ありぽん
ファンタジー
アルフォート家の3男、エリアス・アルフォート3歳は、毎日楽しく屋敷の広い広い庭を、お友達のぷるちゃん(スライム)とウルちゃん(ホワイトウルフ)と一緒に走り回っておりました。
そして4歳の誕生日の日。この日は庭でエリアスの誕生日パーティーが開かれていました。その時何処からかエリアスの事を呼ぶ声が。その声を前に聞いた事があるエリアスは、声のする庭の奥へ、ぷるちゃんとウルちゃんと3人進んで行きます。そこでエリアス達を待っていたものは?
剣と魔法そしてもふもふの溢れる世界で、繰り広げられるエリアスの大冒険。周りを巻き込みながら、今日もエリアスはやらかします!
*エリアス本人登場は2話からとなります。
田舎貴族の学園無双~普通にしてるだけなのに、次々と慕われることに~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
田舎貴族であるユウマ-バルムンクは、十五歳を迎え王都にある貴族学校に通うことになった。
最強の師匠達に鍛えられ、田舎から出てきた彼は知らない。
自分の力が、王都にいる同世代の中で抜きん出ていることを。
そして、その価値観がずれているということも。
これは自分にとって普通の行動をしているのに、いつの間にかモテモテになったり、次々と降りかかる問題を平和?的に解決していく少年の学園無双物語である。
※ 極端なざまぁや寝取られはなしてす。
基本ほのぼのやラブコメ、時に戦闘などをします。
異世界に召喚されたけど、聖女じゃないから用はない? それじゃあ、好き勝手させてもらいます!
明衣令央
ファンタジー
糸井織絵は、ある日、オブルリヒト王国が行った聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界ルリアルークへと飛ばされてしまう。
一緒に召喚された、若く美しい女が聖女――織絵は召喚の儀に巻き込まれた年増の豚女として不遇な扱いを受けたが、元スマホケースのハリネズミのぬいぐるみであるサーチートと共に、オブルリヒト王女ユリアナに保護され、聖女の力を開花させる。
だが、オブルリヒト王国の王子ジュニアスは、追い出した織絵にも聖女の可能性があるとして、織絵を連れ戻しに来た。
そして、異世界転移状態から正式に異世界転生した織絵は、若く美しい姿へと生まれ変わる。
この物語は、聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界転移後、新たに転生した一人の元おばさんの聖女が、相棒の元スマホケースのハリネズミと楽しく無双していく、恋と冒険の物語。
2022.9.7 話が少し進みましたので、内容紹介を変更しました。その都度変更していきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる