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58.飼い主、お外でお散歩する
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「んー!」
僕は体を起こして背伸びをする。
すでにマービンとケルベロスゥは起きていてゴソゴソとしていた。
今日も剣の訓練をしたのかな?
マービンは腕の痛みがなくなってから、ケルベロスゥと剣の訓練をするようになった。
眠たいことが多くて散歩に行けてないから、良い運動になっているようだ。
「今日はなるべく早めに出ていくからな」
「はーい!」
この先王都に向かうまでは小さな町ばかりで、宿屋が少ないらしい。
今日は朝早くに動いて、一気に大きな町に向かうと言っていた。
着替えて荷物を整えれば、すぐに準備は万全だ。
今日のご飯は昨日の食事処で食べ物を用意してもらっていた。
門に向かう途中で教会がザワザワとしていた。
「なにかあったのかな?」
「ココロは気にしなくて良いぞ?」
『そっ……そそそうだ!』
『兄さん! ココロは気にしなくていいよ!』
『はぁー、男達はダメね』
なにかあったのかと思って見ていたが、なぜかケルベロスゥとマービンに邪魔された。
僕が嫌なことを思い出さないようにしてくれたのだろう。
「じゃあ、気をつけて王都に向かうんだぞ」
「うん!」
門番に挨拶して僕達は次の町に向かうことにした。
「おさんぽにいくぞおー!」
『『『ワオオオオオン!』』』
久しぶりにケルベロスゥに乗って次の町まで移動する。
「ココロ大丈夫か?」
「うん!」
しばらくシュバルツに乗せてもらっていたけど、今日はケルベロスゥの上でも大丈夫そうだ。
僕達は森と森の間を一瞬で過ぎていく。
時折、馬車を見かけるがやっぱりゆっくりじゃないといけないようだね。
「通りますね!」
声をかけないと冒険者達もびっくりしちゃうからね。
そのまま僕達は町に向かっていく。
いつもシュバルツの上で寝ていることが多かったが、こんなに速いスピードで町に向かっているとは思いもしなかった。
『ギュッと掴めよ』
『イーってしてね』
『口を開けたら危ないわよ』
ギュッと掴んで小さくなると、さらにスピードを上げていく。
『へへーい!』
『今日は気分が良いね!』
『久しぶりのお散歩だものね』
これがお散歩と言っても良いのかはわからない。
息をするのもやっとだが、ケルベロスゥが嬉しいのなら良いのか。
「あんまりはしゃぐなよー!」
『シュバルツは遅いもんな』
『兄さんそんなこと言ったら……』
振り返ると僕達を追いかけるように、シュバルツも走ってきた。
『あー、あれは大変よ』
鼻から煙が出ているのは怒っているからなのかな。
「ほらほら、シュバルツもがんばれー」
『ヒヒーン!』
いや、みんな楽しそうに散歩しているだけだね。
町から出たのは太陽が出てきて少し経った頃だったが、もうそろそろで真上に来そうだ。
「一回休憩を挟むか」
マービンの言葉に反応して、ゆっくりと速度を落としていく。
『はぁ……はぁ……』
『兄さんがはしゃぐから疲れたよ』
『さすが姉様も速いわね』
『ヒヒーン』
息を荒くしながらもケルベロスゥとシュバルツは話していた。
僕にはシュバルツの声は聞こえないけど、お互いを認めているような気がする。
ここまで休憩せずにずっと走っていたからね。
「ここなら休憩できそうだな」
少し道が開けた場所に行くと、ケルベロスゥから降りて地面に座る。
いくつか休憩できる場所があり、そこには魔物が寄りつかないように魔導具が埋められている。
ケルベロスゥの上にいたから、ふかふかしてお尻は痛くないけど、落ちないようにしていたから手が痛いや。
なにか紐で体を結びつけた方が良さそうだね。
『ちょっと休憩してくるぞ!』
『ついでになにか捕まえてくるね!』
『お水も飲んでくるわ』
「ああ、気をつけろよ」
それだけ伝えるとケルベロスゥは森の中に入っていく。
「なにしにいったの?」
「ココロはたくさん寝ていたから気づかなかったな。ケルベロスゥはああやって森に行っては、野ネズミを捕まえたり水を飲みに行ってるんだ」
僕が寝ていた時は、ケルベロスゥは好き勝手に遊んでいたらしい。
あれだけ動いていたら、朝の散歩もいらないのはわかるね。
それにケルベロスゥも魔獣だから、あまり近寄りたくないらしい。
何か変わったにおいがするんだって。
その間に僕達も休憩しながら食事を済ます。
「次の町まではもう少しだな。休めるうちにしっかり寝ておけよ」
「うん」
シュバルツとマービンが周囲を警戒している間に、僕はゆっくりと目を閉じる。
たくさん寝たはずなのに、いつもより疲れているのは何かあったのかな?
視界の縁ではおててさんとおででさんが手を振っていた。
僕は体を起こして背伸びをする。
すでにマービンとケルベロスゥは起きていてゴソゴソとしていた。
今日も剣の訓練をしたのかな?
マービンは腕の痛みがなくなってから、ケルベロスゥと剣の訓練をするようになった。
眠たいことが多くて散歩に行けてないから、良い運動になっているようだ。
「今日はなるべく早めに出ていくからな」
「はーい!」
この先王都に向かうまでは小さな町ばかりで、宿屋が少ないらしい。
今日は朝早くに動いて、一気に大きな町に向かうと言っていた。
着替えて荷物を整えれば、すぐに準備は万全だ。
今日のご飯は昨日の食事処で食べ物を用意してもらっていた。
門に向かう途中で教会がザワザワとしていた。
「なにかあったのかな?」
「ココロは気にしなくて良いぞ?」
『そっ……そそそうだ!』
『兄さん! ココロは気にしなくていいよ!』
『はぁー、男達はダメね』
なにかあったのかと思って見ていたが、なぜかケルベロスゥとマービンに邪魔された。
僕が嫌なことを思い出さないようにしてくれたのだろう。
「じゃあ、気をつけて王都に向かうんだぞ」
「うん!」
門番に挨拶して僕達は次の町に向かうことにした。
「おさんぽにいくぞおー!」
『『『ワオオオオオン!』』』
久しぶりにケルベロスゥに乗って次の町まで移動する。
「ココロ大丈夫か?」
「うん!」
しばらくシュバルツに乗せてもらっていたけど、今日はケルベロスゥの上でも大丈夫そうだ。
僕達は森と森の間を一瞬で過ぎていく。
時折、馬車を見かけるがやっぱりゆっくりじゃないといけないようだね。
「通りますね!」
声をかけないと冒険者達もびっくりしちゃうからね。
そのまま僕達は町に向かっていく。
いつもシュバルツの上で寝ていることが多かったが、こんなに速いスピードで町に向かっているとは思いもしなかった。
『ギュッと掴めよ』
『イーってしてね』
『口を開けたら危ないわよ』
ギュッと掴んで小さくなると、さらにスピードを上げていく。
『へへーい!』
『今日は気分が良いね!』
『久しぶりのお散歩だものね』
これがお散歩と言っても良いのかはわからない。
息をするのもやっとだが、ケルベロスゥが嬉しいのなら良いのか。
「あんまりはしゃぐなよー!」
『シュバルツは遅いもんな』
『兄さんそんなこと言ったら……』
振り返ると僕達を追いかけるように、シュバルツも走ってきた。
『あー、あれは大変よ』
鼻から煙が出ているのは怒っているからなのかな。
「ほらほら、シュバルツもがんばれー」
『ヒヒーン!』
いや、みんな楽しそうに散歩しているだけだね。
町から出たのは太陽が出てきて少し経った頃だったが、もうそろそろで真上に来そうだ。
「一回休憩を挟むか」
マービンの言葉に反応して、ゆっくりと速度を落としていく。
『はぁ……はぁ……』
『兄さんがはしゃぐから疲れたよ』
『さすが姉様も速いわね』
『ヒヒーン』
息を荒くしながらもケルベロスゥとシュバルツは話していた。
僕にはシュバルツの声は聞こえないけど、お互いを認めているような気がする。
ここまで休憩せずにずっと走っていたからね。
「ここなら休憩できそうだな」
少し道が開けた場所に行くと、ケルベロスゥから降りて地面に座る。
いくつか休憩できる場所があり、そこには魔物が寄りつかないように魔導具が埋められている。
ケルベロスゥの上にいたから、ふかふかしてお尻は痛くないけど、落ちないようにしていたから手が痛いや。
なにか紐で体を結びつけた方が良さそうだね。
『ちょっと休憩してくるぞ!』
『ついでになにか捕まえてくるね!』
『お水も飲んでくるわ』
「ああ、気をつけろよ」
それだけ伝えるとケルベロスゥは森の中に入っていく。
「なにしにいったの?」
「ココロはたくさん寝ていたから気づかなかったな。ケルベロスゥはああやって森に行っては、野ネズミを捕まえたり水を飲みに行ってるんだ」
僕が寝ていた時は、ケルベロスゥは好き勝手に遊んでいたらしい。
あれだけ動いていたら、朝の散歩もいらないのはわかるね。
それにケルベロスゥも魔獣だから、あまり近寄りたくないらしい。
何か変わったにおいがするんだって。
その間に僕達も休憩しながら食事を済ます。
「次の町まではもう少しだな。休めるうちにしっかり寝ておけよ」
「うん」
シュバルツとマービンが周囲を警戒している間に、僕はゆっくりと目を閉じる。
たくさん寝たはずなのに、いつもより疲れているのは何かあったのかな?
視界の縁ではおててさんとおででさんが手を振っていた。
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