22 / 71
22.飼い主、初めての宿屋
しおりを挟む
「ほら、いくよ?」
『んー! 俺は行かないぞ!』
『離れるの嫌だよー!』
『せめて服でも置いていきなさいよ!』
ケルベロスゥは脚に力を入れて歩こうとしなかった。
「シュバルツも手伝ってくれんか?」
『ヒヒン!』
シュバルツはケルベロスゥの後ろに回ると、頭で押し始めた。
『ぬあああああ!』
『裏切り者だあああ!』
『タマを食いちぎるわよ!』
『ブルン』
スゥの言葉にシュバルツは一度立ち止まった。
シュバルツにも猫のタマがいるのかな?
「ああ、言ってなかったけどシュバルツはメスだぞ?」
『へっ?』
今度はスゥがびっくりしていた。
『ちょ、お前力抜くなよ!』
『姉さん!』
スゥが力を抜いたことで、シュバルツにどんどんと押されていく。
正確にいえば転がされている。
ケルベロスゥって一人でも違う動きをすると、力が入りにくくなると言っていた。
本当に三匹が一匹になっているようだ。
「おいしいおにくもあるよ?」
『肉!』
『ちょ……兄さん!?』
気づいた時にはケルベロスゥは自ら歩いていた。
どうやらベロ以外は抵抗できなくなったようだ。
「おいしいごはんたべようね!」
『ココロオオオォォォ!』
ベロだけが遠吠えをしていたが、僕達は気にせず宿屋に向かった。
って言っても宿屋は町の入り口近くにあった。
立ち寄った人がどこにあるのか、すぐにわかるように一店舗は町の入り口か中央にあるのが一般的らしい。
『肉はまだか!?』
『ココロオオオォォォ!』
『性別を間違えるなんて淑女失格ね……』
ケルはウキウキしているけど、ベロはずっと遠吠えをしてるし、スゥは落ち込んでいる。
みんな感情が違う影響か尻尾がグルングルンと大きく回っていた。
喜んで良いのか、落ち込んで良いのか尻尾も迷子になっているのかな?
僕と同じだね。
ケルベロスゥはシュバルツにそのまま宿屋にある馬小屋に連れていかれた。
馬じゃないのに馬小屋で良いらしい。
「ココロは別の部屋に泊まるか?」
「ぼくおかねないよ?」
「うん? ああ、ビッグベアーを町まで運んできてもらっただろ?」
「うん。おててさんががんばってた」
「ビッグベアーは爪や皮が高く売れるからな。それに討伐されるだけで、討伐報酬がもらえるから別に問題はないぞ」
ビッグベアーを町まで運んだことで、宿屋のお金は必要ないらしい。
あとでおててさんにお礼を言わないといけないね。
ビッグベアーを置いてきちゃったら、今頃泊まるところもなかった。
まぁ、森で寝ていたから安全な町とは違うから、外で寝ても僕は気にしないよ?
「マービンさんはとなりにいる?」
「ああ、何かあったら俺のところに来たら良い」
「わかった!」
僕は言われた通り宿屋に泊まることにした。
宿屋は僕の家よりも大きく、たくさんの人が泊まっている。
一階は食事処になっているからか、おじさん達が集まってすでにお酒を飲んでいた。
「部屋はここを使ってくれ」
宿屋の人に案内してもらった部屋はとても広かった。
「僕の部屋よりも大きい……」
初めて泊まる宿屋は僕、兄ちゃん、姉ちゃんが使っていた部屋よりも広い。
こんなところで一人で寝れるかな。
今まで一人で寝ることがなかったため、寂しく感じてしまう。
やっぱりケルベロスゥがいないと、僕は寂しいな。
荷物も特にないため、部屋からすぐに出てケルベロスゥがいる馬小屋に向かう。
『グルルルルル!』
『兄さん、人間に何かしたらダメだよ』
『そうよ。ココロが悪者にされちゃうわ』
馬小屋からはケルベロスゥが何かに唸る声が聞こえてきた。
僕は心配になり、急いで馬小屋まで走った。
「ケルベロスゥ?」
馬小屋の前には鎧を着た男達三人がなぜか剣を握っていた。
『んー! 俺は行かないぞ!』
『離れるの嫌だよー!』
『せめて服でも置いていきなさいよ!』
ケルベロスゥは脚に力を入れて歩こうとしなかった。
「シュバルツも手伝ってくれんか?」
『ヒヒン!』
シュバルツはケルベロスゥの後ろに回ると、頭で押し始めた。
『ぬあああああ!』
『裏切り者だあああ!』
『タマを食いちぎるわよ!』
『ブルン』
スゥの言葉にシュバルツは一度立ち止まった。
シュバルツにも猫のタマがいるのかな?
「ああ、言ってなかったけどシュバルツはメスだぞ?」
『へっ?』
今度はスゥがびっくりしていた。
『ちょ、お前力抜くなよ!』
『姉さん!』
スゥが力を抜いたことで、シュバルツにどんどんと押されていく。
正確にいえば転がされている。
ケルベロスゥって一人でも違う動きをすると、力が入りにくくなると言っていた。
本当に三匹が一匹になっているようだ。
「おいしいおにくもあるよ?」
『肉!』
『ちょ……兄さん!?』
気づいた時にはケルベロスゥは自ら歩いていた。
どうやらベロ以外は抵抗できなくなったようだ。
「おいしいごはんたべようね!」
『ココロオオオォォォ!』
ベロだけが遠吠えをしていたが、僕達は気にせず宿屋に向かった。
って言っても宿屋は町の入り口近くにあった。
立ち寄った人がどこにあるのか、すぐにわかるように一店舗は町の入り口か中央にあるのが一般的らしい。
『肉はまだか!?』
『ココロオオオォォォ!』
『性別を間違えるなんて淑女失格ね……』
ケルはウキウキしているけど、ベロはずっと遠吠えをしてるし、スゥは落ち込んでいる。
みんな感情が違う影響か尻尾がグルングルンと大きく回っていた。
喜んで良いのか、落ち込んで良いのか尻尾も迷子になっているのかな?
僕と同じだね。
ケルベロスゥはシュバルツにそのまま宿屋にある馬小屋に連れていかれた。
馬じゃないのに馬小屋で良いらしい。
「ココロは別の部屋に泊まるか?」
「ぼくおかねないよ?」
「うん? ああ、ビッグベアーを町まで運んできてもらっただろ?」
「うん。おててさんががんばってた」
「ビッグベアーは爪や皮が高く売れるからな。それに討伐されるだけで、討伐報酬がもらえるから別に問題はないぞ」
ビッグベアーを町まで運んだことで、宿屋のお金は必要ないらしい。
あとでおててさんにお礼を言わないといけないね。
ビッグベアーを置いてきちゃったら、今頃泊まるところもなかった。
まぁ、森で寝ていたから安全な町とは違うから、外で寝ても僕は気にしないよ?
「マービンさんはとなりにいる?」
「ああ、何かあったら俺のところに来たら良い」
「わかった!」
僕は言われた通り宿屋に泊まることにした。
宿屋は僕の家よりも大きく、たくさんの人が泊まっている。
一階は食事処になっているからか、おじさん達が集まってすでにお酒を飲んでいた。
「部屋はここを使ってくれ」
宿屋の人に案内してもらった部屋はとても広かった。
「僕の部屋よりも大きい……」
初めて泊まる宿屋は僕、兄ちゃん、姉ちゃんが使っていた部屋よりも広い。
こんなところで一人で寝れるかな。
今まで一人で寝ることがなかったため、寂しく感じてしまう。
やっぱりケルベロスゥがいないと、僕は寂しいな。
荷物も特にないため、部屋からすぐに出てケルベロスゥがいる馬小屋に向かう。
『グルルルルル!』
『兄さん、人間に何かしたらダメだよ』
『そうよ。ココロが悪者にされちゃうわ』
馬小屋からはケルベロスゥが何かに唸る声が聞こえてきた。
僕は心配になり、急いで馬小屋まで走った。
「ケルベロスゥ?」
馬小屋の前には鎧を着た男達三人がなぜか剣を握っていた。
350
お気に入りに追加
808
あなたにおすすめの小説
家ごと異世界ライフ
ねむたん
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!
異世界着ぐるみ転生
こまちゃも
ファンタジー
旧題:着ぐるみ転生
どこにでもいる、普通のOLだった。
会社と部屋を往復する毎日。趣味と言えば、十年以上続けているRPGオンラインゲーム。
ある日気が付くと、森の中だった。
誘拐?ちょっと待て、何この全身モフモフ!
自分の姿が、ゲームで使っていたアバター・・・二足歩行の巨大猫になっていた。
幸い、ゲームで培ったスキルや能力はそのまま。使っていたアイテムバッグも中身入り!
冒険者?そんな怖い事はしません!
目指せ、自給自足!
*小説家になろう様でも掲載中です
宮廷から追放された聖女の回復魔法は最強でした。後から戻って来いと言われても今更遅いです
ダイナイ
ファンタジー
「お前が聖女だな、お前はいらないからクビだ」
宮廷に派遣されていた聖女メアリーは、お金の無駄だお前の代わりはいくらでもいるから、と宮廷を追放されてしまった。
聖国から王国に派遣されていた聖女は、この先どうしようか迷ってしまう。とりあえず、冒険者が集まる都市に行って仕事をしようと考えた。
しかし聖女は自分の回復魔法が異常であることを知らなかった。
冒険者都市に行った聖女は、自分の回復魔法が周囲に知られて大変なことになってしまう。
婚約破棄されたので森の奥でカフェを開いてスローライフ
あげは
ファンタジー
「私は、ユミエラとの婚約を破棄する!」
学院卒業記念パーティーで、婚約者である王太子アルフリードに突然婚約破棄された、ユミエラ・フォン・アマリリス公爵令嬢。
家族にも愛されていなかったユミエラは、王太子に婚約破棄されたことで利用価値がなくなったとされ家を勘当されてしまう。
しかし、ユミエラに特に気にした様子はなく、むしろ喜んでいた。
これまでの生活に嫌気が差していたユミエラは、元孤児で転生者の侍女ミシェルだけを連れ、その日のうちに家を出て人のいない森の奥に向かい、森の中でカフェを開くらしい。
「さあ、ミシェル! 念願のスローライフよ! 張り切っていきましょう!」
王都を出るとなぜか国を守護している神獣が待ち構えていた。
どうやら国を捨てユミエラについてくるらしい。
こうしてユミエラは、転生者と神獣という何とも不思議なお供を連れ、優雅なスローライフを楽しむのであった。
一方、ユミエラを追放し、神獣にも見捨てられた王国は、愚かな王太子のせいで混乱に陥るのだった――。
なろう・カクヨムにも投稿
回復しかできない私は需要がありますか?
初昔 茶ノ介
ファンタジー
看護師の山吹 桃(やまぶき もも)はブラック企業に近い勤務のせいで1年目にして心身ともにふらふらの状態だった。
そして当直終わりの帰り道、子供がトラックの前に飛び出したところ助けるため犠牲になってしまう。
目が覚めると目の前には羽が生えた女神と名乗る女性がいた。
若く人を助ける心を持った桃を異世界でなら蘇らせることができると言われて桃は異世界転生を決意した。
【完結】帝国から追放された最強のチーム、リミッター外して無双する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
スペイゴール大陸最強の帝国、ユハ帝国。
帝国に仕え、最強の戦力を誇っていたチーム、『デイブレイク』は、突然議会から追放を言い渡される。
しかし帝国は気づいていなかった。彼らの力が帝国を拡大し、恐るべき戦力を誇示していたことに。
自由になった『デイブレイク』のメンバー、エルフのクリス、バランス型のアキラ、強大な魔力を宿すジャック、杖さばきの達人ランラン、絶世の美女シエナは、今まで抑えていた実力を完全開放し、ゼロからユハ帝国を超える国を建国していく。
※この世界では、杖と魔法を使って戦闘を行います。しかし、あの稲妻型の傷を持つメガネの少年のように戦うわけではありません。どうやって戦うのかは、本文を読んでのお楽しみです。杖で戦う戦士のことを、本文では杖士(ブレイカー)と描写しています。
※舞台の雰囲気は中世ヨーロッパ〜近世ヨーロッパに近いです。
〜『デイブレイク』のメンバー紹介〜
・クリス(男・エルフ・570歳)
チームのリーダー。もともとはエルフの貴族の家系だったため、上品で高潔。白く透明感のある肌に、整った顔立ちである。エルフ特有のとがった耳も特徴的。メンバーからも信頼されているが……
・アキラ(男・人間・29歳)
杖術、身体能力、頭脳、魔力など、あらゆる面のバランスが取れたチームの主力。独特なユーモアのセンスがあり、ムードメーカーでもある。唯一の弱点が……
・ジャック(男・人間・34歳)
怪物級の魔力を持つ杖士。その魔力が強大すぎるがゆえに、普段はその魔力を抑え込んでいるため、感情をあまり出さない。チームで唯一の黒人で、ドレッドヘアが特徴的。戦闘で右腕を失って以来義手を装着しているが……
・ランラン(女・人間・25歳)
優れた杖の腕前を持ち、チームを支える杖士。陽気でチャレンジャーな一面もあり、可愛さも武器である。性格の共通点から、アキラと親しく、親友である。しかし実は……
・シエナ(女・人間・28歳)
絶世の美女。とはいっても杖士としての実力も高く、アキラと同じくバランス型である。誰もが羨む美貌をもっているが、本人はあまり自信がないらしく、相手の反応を確認しながら静かに話す。あるメンバーのことが……
狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~
一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。
しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。
流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。
その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。
右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。
この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。
数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。
元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。
根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね?
そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。
色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。
……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!
魔法使いの国で無能だった少年は、魔物使いとして世界を救う旅に出る
ムーン
ファンタジー
完結しました!
魔法使いの国に生まれた少年には、魔法を扱う才能がなかった。
無能と蔑まれ、両親にも愛されず、優秀な兄を頼りに何年も引きこもっていた。
そんなある日、国が魔物の襲撃を受け、少年の魔物を操る能力も目覚める。
能力に呼応し現れた狼は少年だけを助けた。狼は少年を息子のように愛し、少年も狼を母のように慕った。
滅びた故郷を去り、一人と一匹は様々な国を渡り歩く。
悪魔の家畜として扱われる人間、退廃的な生活を送る天使、人との共存を望む悪魔、地の底に封印された堕天使──残酷な呪いを知り、凄惨な日常を知り、少年は自らの能力を平和のために使うと決意する。
悪魔との契約や邪神との接触により少年は人間から離れていく。対価のように精神がすり減り、壊れかけた少年に狼は寄り添い続けた。次第に一人と一匹の絆は親子のようなものから夫婦のようなものに変化する。
狂いかけた少年の精神は狼によって繋ぎ止められる。
やがて少年は数多の天使を取り込んで上位存在へと変転し、出生も狼との出会いもこれまでの旅路も……全てを仕組んだ邪神と対決する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる