お金を知らない子

マー坊

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二十話

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「何でもやれる人になるってことだよ」
「あ~そうですね。そういうことです」
 
 
「稔君の世界では教育費も無いから良いよな~」
「そうですね。何でも体験できるから楽しいです」
「入学試験ってあるの?」
「入学試験って?」
「学校には入る人数が決まってるんだよ。だから試験を受けて点数の高い人から決まった人数だけ学校に入れるんだよ」
「へ~。そんなことをするんですか」
「そうだよ」
「僕たちの学校では自由に入れるんです。でもね卒業する時試験があるんです。知識や技術が身に付いているかの試験です」
「ほ~そのほうが納得できるな~(笑)」
 
 
健司はコックとして働いていてそう思った。
専門学校で一人前になって欲しいと。
 
 
「それ以上の学びを望む人はどうなるの?」
「専門学校へ行ってももっと上を目指す人は大学とか行ってもっと高度の勉強するんです」
「そっか~惰性で大学行くんじゃないんだね」
「惰性でって?」
「みんなが大学行くから自分も行くって感じね」
「そうなんですか。自分は自分なのにね(笑)」
「そうだね~」
 
 
会話が弾んでいる間に車は自宅に着いた。
 
 
家の中に入ると停電は回復していた。
居間のテレビでは国会中継が放送されていた。
大雪に対する対応を議論しているようだった。
国家予算が足りないから除雪作業も行き届かない。
国会中継は予算委員会だった。
 
 
健司は稔に政治に興味はあるのか聞いてみた。
 
 
「なあ稔君」
「はい」
「君たちは政治に興味はあるの?」
「はい、お父さんが僕にも意見を聞きますよ」
「お父さんが子供に意見を聞くの?」
「はい、子供の意見も聞いたほうが良いって」
「どうしてだろう?」
「大人は政治家に提案することになってるんです」
「それは僕たちの世界でも同じだな~(笑)」

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