爺ちゃんとミノルの会話

マー坊

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「爺ちゃんとミノル」の会話(2)~1

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(35)
 
 
「ミノルはおるか~」
「は~い。お爺ちゃんピンポンくらい鳴らしてよ」
「ま!え~じゃないか(笑)」
「雨の日の運転大丈夫なの?」
「運転は50年やっちょるから大丈夫じゃ♪」
「それでも高齢者の事故は多いよ」
「安全運転には気を付けちょるから心配せんでもええ」
 
 
「いまは農作業は無いの?」
「晴耕雨読じゃ」
「せいこううどく?」
「晴れた日は農作業をやって雨が降りゃあ本でも読もうということじゃ」
「雨が降ったら作業が出来ないから家の中でのんびりってことなんだね」
「そういうこと。本は読まんからミノルの所へ来たんじゃ」
「そうなんだ。お爺ちゃんが言っていた気になるニュースの話なんだけどね」
「気になるのがあったか?」
「うん。総裁選挙って何?」
「あ~、もうそういう時期か。あれは自民党の代表を決める選挙なんじゃ」
「総理と総裁って違うの?」
「総理は国会議員の代表で総裁は自民党の代表なんじゃ」
「あ~それで納得したよ」
「じゃから、自民党だけで選挙をするんじゃ」
 
 
 
(36)
 
 
「お父さんから聞いたんだけど、お爺ちゃんって政治家になろうとしたことあるの?」
「若い頃の話じゃけどの、環境運動をしようる頃本気で思うちょったんじゃ」
「でも何でならなかったの?」
「それはの、年配の政治家に言われたんじゃ」
「何て?」
「本気で世の中を良くしたいのなら政治家になるなって。おかしいじゃろう?(笑)」
「世の中を良くしたいから政治家になるんじゃないの?」
 
 
「いまの世の中を見てミノルはどう思う?」
「どう思うって?」
「いまの世の中は良いと思うかってことなんじゃ」
「良いか悪いかと聞かれたら僕は良いと思うよ」
「そうじゃろうの~。住む家もあるし、毎日食べることは出来るし、毎日お風呂も入れるからの~」
「そういうことなんか~。自分のことしか考えてなかったね」
「友だちの中にも給食代が払えないって子がいたじゃろうが?」
「そうだよね。この間のニュースで仕事が無くなって住む家も無くなった人がいるって」
 
 
 
(37)
 
 
「今まで世の中を良くするために政治家になったのに良うなってないじゃろうが」
「そう言われればそうだよね」
「何で良うならんかわかるか?」
「それは・・・僕にはわからないよ(笑)」
「それはの~お金がないと何も出来ん社会じゃからなんじゃ」
「やっぱりそれなの?(笑)」
「政治はお金を使う経済活動で成り立っているんじゃ」
「それはこのあいだ聞いたよね」
 
 
「政治家によって政策が違うのはお金の使い方の違いでもあるんじゃ」
「道路や橋を作るにも老人の医療介護を助けるのも教育を充実するためにもいっぱいお金が要るんじゃ」
「それはわかるよ。学校で習ったから」
「国に入るお金が限られちょるから使うお金も限られちょるんじゃ」
「あ~収入と支出の関係だよね。これも学校で習ったよ」
「子供から年寄りまで安心して暮らせるにはお金が足りんのんじゃ」
「それでお金のない社会が良いっていうことなんだね」
「そうなんじゃ。誰が政治家になっても世の中が良うならんのんじゃ」
「そういうことなんか~。わかったよ」
「国は国債を作ってお金に変えて借金としてお金を使うとるんじゃ」
「それが国の借金ということなんだね」
「その借金を返すために税金を上げて返しちょるんじゃ」
「税金が増えると国民の生活が苦しくなるよ」
「変ちくりんな話じゃろうが(笑)」
 
 
 
(38)
 
 
「ホント変ちくりんだね(笑)」
「これから先もっともっと借金は増えるど」
「なんでそう思うの?」
「働く人口が減り税金を納める人は減るじゃろうが」
「高齢社会って言ってたね」
「高齢者は年金で生活するんじゃけどの。高齢者が増えると年金を支給する金が足らんのんじゃ」
「じゃあ国はどうするの?」
「年金がもらえる年齢を引き上げて高齢者にも働いて税金を払ってもらうんじゃ」
「なんだか死ぬまで働いて税金を払わなきゃいけないみたいじゃないか」
 
 
「じゃからの。年金だけじゃあ生きていけんから生活保護を申請する老人が増えるんじゃ」
「どう考えてもこんなシステムは変だと思う」
「じゃからニュースを見てよう考えんにゃあいけんって言うちょるんじゃ」
「じゃあ僕たちはどうすれば良いの?」
「国民主権って習ったか?」
「うん学校で習ったけど詳しいことはわからないよ。選挙で政治家を選ぶ権利だったかな?」
「インターネットで調べてみ」
「うん。やってみる・・・いろいろあるけど長い文章が書いてあるよ」
 
 
 
(39)
 
 
「じゃあ短い文章だけ読んでみ」
「国民主権とは国民が国の政治を決定する権利を持つという原理ですって書いてあるよ」
「国民が政治を決めるっちゅうことなんじゃ」
「でも、普通の国民は決めることが出来ないから政治家に任せているってことなの?」
「そういうことじゃの~。政治家も国民じゃからの~」
「政治家って国民から選ばれた国民なんだね」
「そういうことじゃの。それでも世の中が良うならんのは国民が変わらんにゃあいけんのんじゃ」
「どういうふうに変わらないといけないの?」
「それをミノルにも考えて欲しいんじゃ」
「お爺ちゃんが政治家にならなかったことに関係あるの?」
 
 
「さっき読んだように国民が政治を決めるのが国民主権じゃろう?」
「うん」
「国民が政治を決めちょるのに世の中が良うならんのは国民の考え方を変えんにゃあならんのよ」
「どのように変えたら良いんだろう?」
「それが問題じゃのう」
「でもお爺ちゃんはわかっているんでしょ?」
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