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明日は帰国

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レッドと宿に戻ると、マスカットとサニカルが待っていた。

「まーちゃん!」

「コットン!!王宮は大丈夫だった?」

「うん、全然平気」

「なら、良かった」ホッ

「まーちゃんとサニカルさんは婚約はどんな感じ?」

「ふふ、自国のお父様にはオッケー貰ったわ!!」

「良かったね!!!おめでとう」

「ありがとう!!!」


二人は抱き合った…それをお互いの婚約者にべりっと剥がされた。

「おい、ここは道の往来だぞ」

「場所をかんがえろよ…邪魔だろ…」

えーこんなに隅にいるのに


「まぁ、いいけど疲れたし……部屋でゆっくりするわ…」

「私も……」

「じゃぁ、また会いに行くよマスカット」

「うん、またねサニカル」

案外まーちゃんはさっぱりしてて…さっさと宿に戻っていく……
サニカルさん…哀愁ただよってるわ…。

「コットン早く!!!」

「あ、うん、今行く!!サニカルさんまたね」手をふりマスカットを追いかける。


「お前の…婚約者…結構ドライだな……」

「ああ……結構どころか…かなりな…手も握らせてくれないんだ…」


「まじか!?コットンは手ぐらいなら握らせてくれるぞ…」


「…………なんかこう……鉄壁なんだ」

「なるほど……まぁ…ファイト…」


「おう……がんばるよ…」


「じゃ、またな!」

「おう!」

サニカルが帰っていった。


んーーー、番を作る竜人と人間は
少し感覚が違うのかもなぁ~

コットンもドライ気味だしな…
人間じゃないけど…。

「レッドおやすみなさい」

「おやすみコットン」

チュッ
とおでこに挨拶のキスを落とし
お互い部屋に入る。


「さ~てと、温泉入る?」


「入る!!!!」

さっさと二人で体を洗い
温泉に入った。

「で、サニカルさんはどうなの?婚約したんでしょ?」

「んーー、婚約はしたんだけど」


「だけど?」


「見た目はすごく好みなのに…中身が……」


「中身が微妙なの???」


「なんていうのかな~リードしてくれないし……完全受け身なの…」

あーーーーー。それはキツイ


「全部さ、こっちが決めるわけよ。それってイライラしない?」

「する……非常にする…」


「でっしょ~やばいよね」

「でも…婚約したのね…」


「だって、しつこくてさ……最悪帰ってから解消してもいいかなって…」

「まぁね~全てが自分の思い通りにしたい女性にはいいかもしれないけど、基本的にはリードしてほほしいよね」

「でしょ!!!!何を食べに行くか、どこに行くか全てが受け身なの!!!!!で、こっちが聞くと、なんでもいいよなんて言って微笑むのよ……ドン引きよ」

「まーちゃんお疲れ様…」


「ほんとよ!!!!」

確かに…私もそれなら引くかもなぁ……。シナモンもリードしてくれるし…受け身ボーイって周りにはいないかも……。


「もはや…生理的レベルで無理かも…」

「うわぁ……キツイね…」

「でしょ……」


「やばい、のぼせるあがろ?」

「うん」

ざばぁぁと音を立ててあがる。

魔法で乾かして着替えて、飲み物片手にベッド

「じゃ、もう解消したら?」

「うん、とりあえず明日戻ったらすぐする」


「そうね……」

相性もあるものね……

なかなか難しいわね~

「この際、ペガーノの天馬族とかどうなの?」

「んー、でも天上には行けないし……でも、そうか。お兄様が継げば行ける!!」

「そうよね」


「イケメンいる!?」

「わりと沢山いると思うよ、それに天馬族はリードしたがりが多いかも」子供の頃からそう教育されているものね。

「えーーー!!最高!!」

「ふふ、なら卒業するまで待てる?卒業したらペガーノに連れて行ってあげる」

「待ちます!!!待てます!!」

「クスクス ならそうしましょ?その方がまーちゃんにも会えるし」


「ほんとね!!!!わぁ~楽しみ~」

「ということで、とりあえず寝ますか」

「うん!!おやすみ!」


悩みも解決したからかマスカットもコットンもグッスリ熟睡できた。

そして、翌日早々と朝食を済ませて、お土産も買いレッドと共に戻ってきました!!


「ただいま~落ち着く~」

「ただいま~ほんとね!」


「クスクス 少しそれは寂しいけど、しょうがない…じゃまたな~」

「うん、ありがとう!またね!」


「ありがとうございました!また!」


パッ


すぐさまマスカットは婚約解消の
手紙を自国に出した…。
魔法手紙だから明日にはつくだろう。それに、卒業後ペガーノに
留学許可も得たことも書いた。
これはコットンがきちんとお父様に許可を得ておいた。もちろん

そして……翌々日……すぐ返信が届き…婚約が解消されたこと…

ペガーノに留学許可については、
大喜びとの事だった。

今までいないものね 苦笑

そのままそこで旦那をつかまえておけとも書いてあったらしい…
苦笑

マスカットと似てるわね………
さすが親子…。



その頃……



「ううっ……振られた……こんなすぐに婚約解消だなんて……ひどい」
ボロボロ


「おい……泣きすぎだぞ……何かやらかしたのか?」

全てを聞いたレッドは…深いため息をついた。

「それなら…振られるわ……」

「なっ、なんで!!!」

「あのなぁ……なんで全てが受け身なんだよ……相手に合わせているように一見見えるが…単なる手抜きデートだ…」

「だって……」グズグズ…


「だってもへったくりもない…」


「うわぁぁぁぁん…」

大泣きである……。


「しょうがない…やつだな……お前といい……兄上といい…」

世話のやける……

ピコン

ん?魔法手紙か…


レッド~ごめんね。
まーちゃんがサニカルさん生理的に無理レベルみたいでさ…。
慰めてあげてね……。
天馬族の男は全てリードする男だから卒業したら天上に留学に来ることになったの。そこで婚約者できると思う。
私も卒業してもまーちゃんといたいからその方が嬉しいし…。

とにかく……サニカルさんよろしく!!
レッド愛してるわ コットンより


読むとぱあぁぁぁっと消えていく…。


「愛してるわって……嬉しいな…」
ほんのり顔を赤くしたレッドを見て……サニカルがさらに泣いた


しまった……サニカルいたんだった。

「お前…自分が幸せだからって…ずるいぞ!!!」ボロボロ

「そういう性格だから……だめなんだよ…」やれやれ……

「もっとこう……大人になれよ…せっかく見た目はいいのに…」

「どうせ…中身はなよっぽくて…面白みもないよ…ぐそ~!!」


「分かった……そのうちお前に合う女の子をみつけてやるから……」

ピクッ


「ほんと?」

「ああ……」

「絶対?」

「ああ…」

「約束ね」

「しつこいぞ!!!約束だ!」

「なら…もう帰る…疲れたし」

「切り替え早いな!!おい!」

「だって、去るもの追っても得ないし」

「こういう時だけ男らしくなるな!!」


「言えてる…クスクス」

「だろ?クスクス」

「明日も仕事だし、帰るわ!ありがとな」

「おう、目を冷やしてから寝ろよ」

「うん、そーする」


「じゃぁな」

「またね~」


しかし……約束したものの……

女の子か……。

どうしたものか………

別に竜人だっていいもんな…

そうだ…王宮の女官とかに聞いてみよう……それがいいな!!

あいつ…実はそれなりに…人気あるはずだし!

これで解決だな!!!!


翌日


「だめだ……だるい…」


「私も……やっと半日終わったね…」

二人は旅行の疲れなのか……
食堂でグッタリしていた。


「おいお前ら顔色良くないぞ??早退して寝てろ…」

「ダージリン……」

「先生…」

「俺が伝えておいてやるから…シナモン君に付き添ってもらって戻れ」

「ありがとう……ダージリン」

「ありがとうございます先生」

二人はシナモンに付き添ってもらって部屋に帰ってきた…。

とりあえず…部屋着に着替えて…

シナモンがレモン水を入れてくれて二人でそれを飲んで…

一眠りした…。

気がつくと外がうっすら暗くなっていた。


「あー、なんかだいぶ回復したかも」


「んーー、コットンおはよ」


「まーちゃんどう?」

「うん、だいぶ回復した」

「やっぱり疲れだよね」

「だね~」

シナモンが…また転移で軽めの夕食を運んでくれたり…沢山動いてくれたのをまーちゃんはしっかり見ていて……。留学するのをとても楽しみにしているようだった。

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