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第八章 魔人決戦篇
EP217 奇跡の世界 <キャラ立ち絵あり>
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その日、都内某所の高層ビルの一室で、一人の中年男性が居眠りをしていた。
歳の割に引き締まった体と、ピッタリと整えられたスーツ。机の上は整理されており、几帳面な性格が窺える。
「社長、お時間です。」
「ん?・・・あぁ、もうこんな時間か。」
「もう既に、皆さま会場に集まっているようです。」
「毎年毎年、この日のせいで白髪が増えるな・・・。」
「そうですね・・・。」
「今日は荒れるぞ。覚悟しておけよ。」
「分かっております・・・。」
執事か秘書と思わしき、同じく中年の男性の呼びかけに応じた男は、身支度を整えた。
開け放たれた扉を抜けて、閑静な廊下を歩んで行く。その先に、淡い青の光が漏れ出ている扉が見えた。
男が今一度身だしなみを整えて中に入ると、中には既に大勢が集まっていた。
その全ての視線が彼に注がれ、目線で体を貫こうとしているように思える。
男が壇上の座席に座ると、ついに司会の者が号令を掛けた。
「大変長らくお待たせいたしました。
これより、"第47回吹雪カンパニー株主総会"を開始します。」
~~~~~~~~~~
結論から言おう、その日の株主総会は予想通りの大荒れになった。
「"新事業"とはどういう事だ!私は聞いてないぞ!!!」
「責任者を連れて来い!盛充郎を出せ!」
「お前の次の社長候補は、もう決まってるんだろうな!次は無いぞ!!!」
「皆様、静粛にお願いします!
今回の新事業について、当社の社長より話があります!」
我先にと物申す株主を押さえ付けるように、司会は社長を壇上に押し上げた。
「突然の発表で驚かせてしまい、申し訳ありません。社長の"悠王"です。」
吹雪悠王、即ち征夜の父だ。
24歳の息子がいる年齢なので、当然ながら若くはない。
以前は何事に対してもパワフルに臨んでいた彼も、"一人息子の死後"は眉間のシワが増えたように思える。
「お前なんか呼んでない!盛充郎を出せ!」
「会長は今、山奥の別荘で療養中です。ここに呼ぶのは難しいかと。」
「お前の親父だろう!何とでもなる筈だ!」
「しかしですね・・・。」
「言い訳など聞くか!」
盛充郎は悠王の父、つまり征夜の祖父だ。
吹雪カンパニーを立ち上げ、たった一代で日本有数の企業にまで押し上げた敏腕経営者。
その男もまた、最近では心臓を患って病床に伏せっていた。
「色々とご意見があるでしょうが、まずは新事業の説明を・・・。」
「俺らは株主だぞ!」
「説明しろ!どういう経緯で立ち上げた事業だ!」
「絶対に認めんからな!!!」
「吹雪カンパニーは従来のウィンタースポーツで続けるべきだ!」
「訴えるぞぉッ!!!」
正に言い放題、言われ放題である。
新事業の説明をしようにも、迂闊に事を進めれば訴訟を起こされかねない。
八方塞がりになった悠王は、ただ株主から浴びせられる暴言を受け止める事しか出来ないのだ。
「ウィンタースポーツで継続?ご冗談でしょう?」
突然、株主たちが座る席の背後から、多大な侮蔑を含んだ声が響いた。
「な、何だこのガキ!つまみ出せ!」
「私の説明を聞いてからでも、遅くないでしょう?
この"ジェネシス計画"が、いかに素晴らしいのか。あなた方は分かっていないようだ。」
小学生ほどと思われる小柄な少年は、少し小馬鹿にしたような調子で株主を嗜めると、足早に壇上へと駆け上がった。
悠王に対して手を伸ばし、マイクを差し出すようにジェスチャーする彼は、どこか不思議な貫禄を漂わせている。
そして、いよいよ彼のプレゼンテーションが始まった。
「私の名前は"吹雪改世"。
以前より養子として引き取られ、現在は吹雪カンパニーの運営に携わっています。」
「このガキが・・・?」
「嘘だろ・・・?」
「前の御曹司よりは賢そうだが・・・。」
確かに、立ち振る舞いからして、小学生とは思えないほど落ち着いている。
むしろ、義兄である征夜の方がよっぽど落ち着きが無いと言えるだろう。
そう、彼こそが征夜亡き後の吹雪カンパニーを任された少年、"吹雪改世"なのだ。
今はまだ幼いが、その魂には既に"帝王の器"を宿している――。
「"新規半導体開発・製造プロジェクト"を立ち上げたのは、他でもない私なのです。
しかし、これは絵空事として思い描かれた物ではない事を、最初に理解して頂きたい。」
そこまで言うと、株主たちは一斉に静まり返った。もちろん"期待"ではなく、"好奇心"を刺激されたのだ。
この幼い少年は、一体どんな計画を立てたのだろう。これほどまでに自信を持っているのは、何が根拠なのだろう。
そう思わせる迫力そのものが、"帝王の器"と言っても差し支えないだろう――。
「先月、福島県で新たに発見された"レアメタル・ジェネシス"を覚えていますでしょうか?
既に他国から調査隊が派遣され、新たな鉱産資源の値踏みをしている段階です。
恐らく、既に半導体産業の大規模なノウハウを持っている某国が産出の計画を立て、政府と契約して採掘の権利を持っていくでしょう。
元より宗教関連でズブズブな関係ですから、想像に難く無い結果です。
・・・本当に、それで良いのでしょうか?」
身振り手振りを用いた、見事なプレゼンだった。
身長も低く、小柄な少年だが、話し方に芯が通っており聞きやすい。
「我が国の資源を利用するのは、我が国の企業であるべき。
それをみすみす他国に売り渡すような事をして、それで良いのでしょうか?
放っておけば、一ヶ月と経たずにジェネシス産業は持って行かれます。
それは採掘だけでなく、ジェネシスにより製造される製品の契約先すらも、持っていかれると言う事です。」
「・・・たしかに。」
「いや、でもガキの言う事ですよ・・・?」
「だが、言ってる事は正しいんじゃないか・・・?」
国益が云々と言う話はともかく、他国に産業を持って行かれるのが悔しいと言うのは、国民なら誰もが思う事だろう。
それに加え、レアメタルは"情報社会を支配する物質"と言っても過言ではない。
そんな物が、日本で取れるのならば、国内産業で利用するべきなのは道理だ。
「我々の手で新たな資源を独占し、世界のシェアを奪い取る。
そして、他国の企業を市場から完全に締め出し、日本を"産業大国"に押し戻す。
・・・それこそが、本計画の最終目標です。」
「な、なるほど・・・。」
「デッカい夢だな・・・。」
「流石に無理があるんじゃ・・・。」
期待と落胆の入り混じった、様々な感情が株主席を渦巻き始めた。
これは良い兆候だ。最初は気にも留めていなかった少年の戯言が、少しずつ皆の関心を集め始めているのだから――。
「それではこれより、私が自らの手で研究と実験を重ねて得たジェネシスの特性と有効利用について、新規事業の概要も含めて解説したいと思います。」
改世が小さく会釈すると、背後に巨大なスクリーンが現れた。
彼の合図で起動したプロジェクターからは、簡潔にまとまったスライドが映写されている。
「最初に言っておきますと、このレアメタルは確実に世界を席巻します。
そして、今後100年の地球において、利用され続ける物になるでしょう。」
簡単な前置きを述べた後、彼はすぐに本題へと移った。
「ジェネシスは、日本国の土壌と放射線照射により生じる、従来には無い性質を兼ね備えたレアメタルです。
発見されたのが福島県であったと言う事実が、これを裏付けています。
あのいたましい事故が日本に与えた物は、決して"災い"だけではなかったという事を、私は理解しました。」
話し方が、どうにも掴みどころが無い。
謙虚すぎず、不遜すぎず、良い塩梅で落ち着いている。
あまりにも安定した口調であるせいか、その場に居た誰もが気付かなかった。
改世の年齢からして、"あの震災を体験している事は有り得ない"と言う事実に――。
「地中深くを掘る必要は無く、無尽蔵に湧いて出る資源。そして、役目を終えたジェネシスは固形の土に帰り、また放射線を浴びせる事で活性化する。
これぞまさに、世界が求めていた"持続可能な鉱産資源"なのです。」
「おい!ちょっと待て!
土に戻っちまったら、他の国でも簡単に再利用できちまうぞ!
それに!放射線の照射なんて、製品として売り出すには危険過ぎるだろ!」
この時、株主の間に漂う空気が一変した。
この男は既に、ジェネシス計画そのものは"認めている"のだ。その上で、軽微な点に対してダメ出しをしている。
そう、既に彼らは"改世のペース"に飲まれているのだ――。
「ご安心ください。
ジェネシスに浴びせるのは、人体に比較的無害な特殊放射線です。また、今後の研究では"超音波"でも同じ事が出来るとの見通しが立っています。
第二のご指摘に関してですが、ジェネシスが市場を支配した後、そこに残るのは焼け野原です。
現存する半導体関連の企業は、一つ残らず叩き潰します。なので、大々的に商品化するのは無理です。
某国の十八番として技術盗用を受けた場合は、然るべき法的処置を徹底的に用いて、小さな芽から着実に潰します。」
「ジェネシス一つで、他国の企業を潰せるのか!?」
「えぇ、潰せます。
正確には、ジェネシスに魅せられた民衆と、政府を動かす世論が、自らの意思で潰すんですよ。」
「どう言う事だ・・・?」
「循環型社会を目指す現代において、ジェネシスの特性は驚異的でしょう。
それでいて、欧州を始めとする世界全体が鉱産資源の持続性に思いを馳せている。これは、千載一遇のチャンスだとは思いませんか?
"安価でエコなレアメタル"と、"高価で時代に逆行したレアメタル"、後者は民衆の意識の中で埋もれ、勝手に潰されるんですよ。」
「もっと分かりやすく!」
「SDGSに過敏になった企業と国家は、ジェネシスに飛び付く事でしか道を見出せないと言う事ですよ。」
改世曰く、環境への配慮に敏感な国際社会において、旧来のレアメタルは勝手に消失すると言う事のようだ。
それならば、それを利用する企業も経営が悪化するのも当然だろう。
「世界各国のシェアを奪い取るには、日本国内に拠点を持つ企業が必要です。
そうすれば、数多の半導体産業に日本の影響力を及ぼす事も出来ます。
・・・では、その先頭に立つべきは誰か!それは!他でもない吹雪カンパニーなのです!
誰かに任せるのでもなく!自分達では出来ないと諦めるのでもなく!我々の手で!世界を掴もうではありませんか!!!」
改世は一気に、自らの持論を爆発させた。
大袈裟な身振り手振りと、張り上げるような声で株主を圧倒し、彼らの意思を扇動していく。
「し、しかしだね!改世くん!
吹雪カンパニーは創業以来、ずっとスポーツ1本でやって来た!
これからの軌道修正が、本当に出来ると思うかい!?」
「温暖化が進む現代において、ウィンタースポーツで採算が取れなくなるのは、時間の問題でしょう。
今後50年の事業を思い浮かべれば、多少の改革は割りの良い投資とは思えませんか?
なにせ、元より工業のノウハウはあるわけですから、製造ラインの改築をすれば良いだけです。
・・・勿論、民間だけでは無理でしょう。しかし、国からの援助を受けたのなら、不可能とは言えませんよ。」
「国からの援助!?そんな事が出来るのか!?」
「私には、政財界へのコネが有ります。
その件に関しては、私を信用して頂きたい。」
株主たちは、改世の提案に夢中になっていた。
この計画が結実すれば、この夢想が成就すれば、吹雪カンパニーは世界規模の巨大企業として君臨できる。
そして、自分たちはその株主。つまり、世界を牛耳るほどの巨大権力を持つ者へと至れるのだ。
彼らは、まだ知らなかった。いや、欲に目が眩んで見えなかったのだ。
目の前に立つ少年が、やがて"世界を征する帝王"になる事を――。
~~~~~~~~~~
その後の総会は、滞りなく進んだ。
それどころか、終了直後から改世の周囲には大勢が集まり、ジェネシスについての情報を仰いだ。
数時間後、株主たちが帰路に立ち、人混みが捌けた後になって、改世は社長室に呼び出された。
「出て来るなと言った筈だ、改世・・・。」
「しかし、僕が出て行かなければ、新事業は通りませんでしたよ?」
「・・・。」
ぐうの音も出ない。
確かに改世の大立ち回りが無ければ、ジェネシス計画は"無知な株主"によって潰されていただろう。
「大体、コネとは何だ?私は・・・そんなの聞いてないぞ・・・。」
「老いぼれた政治家の家に通うのも、多少の役には立つと言う事ですよ。
なんせ、心が貧しい連中ですからね。孫ほどの年齢の者に親切されると、コロリと騙される。」
飛び切りの侮蔑を込めた嘲笑が、改世の口角を歪めた。
言葉の節々より、これから利用する事になる政治家たちを見下す心意気が溢れ出していた。
しかし、息子の不道徳を見過ごすような悠王ではない――。
「"老いぼれ"だと!?一体どこで、そんな言葉を覚えたんだ!
せい・・・お前の兄は、そんな言葉は知らなかったぞ!」
「教養の問題でしょう?"清也兄さん"は、それ程の教養だったと言う事です。」
改世にとって、征夜は会った事も無い義兄。
しかし悠王にとっては、大切な妻の忘れ形見にして、命よりも大切な実子だ。
お世辞にも"優秀"と言える息子ではなかったが、"教養が無い"とまで言われる筋合いは無い。
「なっ!取り消しなさい改世!兄に対するその失言は、見過ごせる物ではない!」
「・・・失言?何の事ですか?」
「故人とは言え!義兄とは言え!仮にも歳上なのだ!それに対し、教養が無いとは何だ!!!」
「・・・僕の教養が"暴言を知るほど下賤"と、言いたかったのですが?」
「・・・ッ!」
改世は少し困惑した表情で悠王を見上げながら、強烈な不快感を浴びせ掛けた。
まさに、"言葉の綾"と言うべき物だろう。悠王は自身の手で、征夜を無教養であると肯定してしまったのだ。
改世が、この落着を予期していたのかは分からない。
しかし、動揺する悠王の様子を気にも留めていない事は分かる。
社長室の窓辺に立った改世は、雲一つ無い青空を指差して、満面の笑みを浮かべて呟いた。
「父さん、今日は空が綺麗だね・・・!」
「え?あ、あぁ・・・。」
突然の変貌ぶりに、悠王の感情は反応が追い付かない。
先ほどまで謀略を吐いていたのと同じ口から、驚くほど無邪気な言葉が飛び出して来たのだ。困惑するのも無理は無い。
「こんな良い日には、何かが起こりそうな気がするよ。」
改世が、そんな事を言った直後――。
ドオォォォォォンッ!!!!!
その時、東京の上空が割れた。
"空が割れた"としか、表現のしようが無いのだ。
盛大な炸裂音と共に、突如として出現した"巨大な城"。
東京と言うコンクリートの樹海に出現したそれは、まさに"異世界の産物"と呼ぶに相応しい物だった――。
~~~~~~~~~~
「な、なんだっ!?何が起こってる!?」
人生を折り返す齢に至った悠王とて、未だ見ぬ異常事態。流石の彼も、慌てずに居られないようだ。
それに引きかえ改世は、相変わらず冷静だった。
「中世の城みたいだね。動力も無く空を浮いてるなんて、まるで魔法みたいだ。
きっと、緊急のニュースが流れて来るよ。テレビを付けようか。」
改世の予想とした通り、テレビ各局は即座に緊急ニュースを開設していた。
改世たちがそれに見入っていると、近くのヘリポートから飛び立ったと思わしきヘリが吹雪カンパニーの上空を掠め、城の方へ向かって行く。
どうやら、それはテレビ局のヘリのようだ。
搭乗した女性キャスターは長い髪を靡かせながら、マイクを握りしめて叫んでいる。
「ザザッ・・・見えますかぁっ!聞こえますかぁっ!
ザザザザッ・・・私たちは今・・・謎の城・・・近くに来て、ザザザッ・・・あっ!今、何かが光っ」
チューンッ!!!
突如として城から放たれた七色の閃光が、軽快な音と共にヘリコプターに直撃した。
画面に写っていた美しい女性キャスターの姿は、見るも無惨な消し炭に変わり、そこで映像が固まっている。
「子供が見てはいかん!」
悠王は咄嗟に改世の目を覆った。それも当然だろう。
カメラの故障と思われるが、誰がどう見ても放送事故なのだ。子供に見せられる映像ではない。
映像はすぐに、スタジオに切り替わった。
慌てた調子でカメラを見つめる男性アナウンサーの頬には、脂汗が溢れ出ている。
「し、失礼しました!どうやら、当番組のヘリは撃墜されたようで・・・・・・えっ?自衛隊?・・・了解です。
・・・皆さん!自衛隊の出撃が発令されました!
東京都新宿区、および近隣にお住まいの方は、ただちに避難して下さい!数分後より、"迎撃作戦"が開始されます!」
話している途中で持ち込まれた新しい情報を、アナウンサーは即座に読み上げた。
「こ、これは・・・大変な事になった・・・。」
「自衛隊の出動・・・意外と判断が早いな。
本当に迎撃が目的なら・・・これは面白いぞ。」
呆然とした様子で画面を見つめる事しか出来ない悠王とは対照的に、改世は何かを考え込んでいる。
「武力行使目的での自衛隊の活用は、延々と議論されて来た問題。
それが、こうもアッサリと・・・なるほど・・・暴力か・・・あぁやって世界は・・・。」
「改世・・・?」
「思い付いたんだ。"世界を変える方法"を。」
「な、何を言ってるんだ!?」
「・・・何でも無いよ。」
息子の不審な言動に困惑する悠王を置き去りにして、改世は父のデスクから望遠鏡を取り出した。
悠王が社長室から鳥を鑑賞する際に使う物だが、今はもっと重要な事がある。
望遠鏡の倍率を最大まで拡大した改世は、興味津々な様子で城を見つめている――。
「・・・ん?誰か戦ってるな。」
「なに!?もう自衛隊が!?早く避難するぞ改世!」
「違うよ父さん、人だ。"生身の人間"が斬り合ってる。」
「は!?」
言っている意味がまるで分からない悠王は、息子から望遠鏡を引ったくった。
そして、改世と同じように城の方へと視線を注ぎ、濁った老眼で凝視する。
「ほら、城の部屋。割れたステンドグラスの奥だ。
青髪の男と、白髪の男が、生身で斬り合ってるだろ?」
「青髪・・・白髪・・・アレは・・・・・・清也!?」
髪色も、体格も、服装も、まるで違う。しかし、すぐに確信した。
悠王の瞳に映る"誰かと死闘を繰り広げる男"は、間違いなく死んだ筈の"息子"だった――。
―――――――――――――――――
―――――――――――――――――
※ この物語はフィクションです。
実在する国家や組織とは、一切の関係がありません。
また、それを揶揄する目的で書かれた物でもありません。
そもそも、"慶田学園"って言う架空の大学が出て来る時点で、フィクションなんですけどね(^_^;)
歳の割に引き締まった体と、ピッタリと整えられたスーツ。机の上は整理されており、几帳面な性格が窺える。
「社長、お時間です。」
「ん?・・・あぁ、もうこんな時間か。」
「もう既に、皆さま会場に集まっているようです。」
「毎年毎年、この日のせいで白髪が増えるな・・・。」
「そうですね・・・。」
「今日は荒れるぞ。覚悟しておけよ。」
「分かっております・・・。」
執事か秘書と思わしき、同じく中年の男性の呼びかけに応じた男は、身支度を整えた。
開け放たれた扉を抜けて、閑静な廊下を歩んで行く。その先に、淡い青の光が漏れ出ている扉が見えた。
男が今一度身だしなみを整えて中に入ると、中には既に大勢が集まっていた。
その全ての視線が彼に注がれ、目線で体を貫こうとしているように思える。
男が壇上の座席に座ると、ついに司会の者が号令を掛けた。
「大変長らくお待たせいたしました。
これより、"第47回吹雪カンパニー株主総会"を開始します。」
~~~~~~~~~~
結論から言おう、その日の株主総会は予想通りの大荒れになった。
「"新事業"とはどういう事だ!私は聞いてないぞ!!!」
「責任者を連れて来い!盛充郎を出せ!」
「お前の次の社長候補は、もう決まってるんだろうな!次は無いぞ!!!」
「皆様、静粛にお願いします!
今回の新事業について、当社の社長より話があります!」
我先にと物申す株主を押さえ付けるように、司会は社長を壇上に押し上げた。
「突然の発表で驚かせてしまい、申し訳ありません。社長の"悠王"です。」
吹雪悠王、即ち征夜の父だ。
24歳の息子がいる年齢なので、当然ながら若くはない。
以前は何事に対してもパワフルに臨んでいた彼も、"一人息子の死後"は眉間のシワが増えたように思える。
「お前なんか呼んでない!盛充郎を出せ!」
「会長は今、山奥の別荘で療養中です。ここに呼ぶのは難しいかと。」
「お前の親父だろう!何とでもなる筈だ!」
「しかしですね・・・。」
「言い訳など聞くか!」
盛充郎は悠王の父、つまり征夜の祖父だ。
吹雪カンパニーを立ち上げ、たった一代で日本有数の企業にまで押し上げた敏腕経営者。
その男もまた、最近では心臓を患って病床に伏せっていた。
「色々とご意見があるでしょうが、まずは新事業の説明を・・・。」
「俺らは株主だぞ!」
「説明しろ!どういう経緯で立ち上げた事業だ!」
「絶対に認めんからな!!!」
「吹雪カンパニーは従来のウィンタースポーツで続けるべきだ!」
「訴えるぞぉッ!!!」
正に言い放題、言われ放題である。
新事業の説明をしようにも、迂闊に事を進めれば訴訟を起こされかねない。
八方塞がりになった悠王は、ただ株主から浴びせられる暴言を受け止める事しか出来ないのだ。
「ウィンタースポーツで継続?ご冗談でしょう?」
突然、株主たちが座る席の背後から、多大な侮蔑を含んだ声が響いた。
「な、何だこのガキ!つまみ出せ!」
「私の説明を聞いてからでも、遅くないでしょう?
この"ジェネシス計画"が、いかに素晴らしいのか。あなた方は分かっていないようだ。」
小学生ほどと思われる小柄な少年は、少し小馬鹿にしたような調子で株主を嗜めると、足早に壇上へと駆け上がった。
悠王に対して手を伸ばし、マイクを差し出すようにジェスチャーする彼は、どこか不思議な貫禄を漂わせている。
そして、いよいよ彼のプレゼンテーションが始まった。
「私の名前は"吹雪改世"。
以前より養子として引き取られ、現在は吹雪カンパニーの運営に携わっています。」
「このガキが・・・?」
「嘘だろ・・・?」
「前の御曹司よりは賢そうだが・・・。」
確かに、立ち振る舞いからして、小学生とは思えないほど落ち着いている。
むしろ、義兄である征夜の方がよっぽど落ち着きが無いと言えるだろう。
そう、彼こそが征夜亡き後の吹雪カンパニーを任された少年、"吹雪改世"なのだ。
今はまだ幼いが、その魂には既に"帝王の器"を宿している――。
「"新規半導体開発・製造プロジェクト"を立ち上げたのは、他でもない私なのです。
しかし、これは絵空事として思い描かれた物ではない事を、最初に理解して頂きたい。」
そこまで言うと、株主たちは一斉に静まり返った。もちろん"期待"ではなく、"好奇心"を刺激されたのだ。
この幼い少年は、一体どんな計画を立てたのだろう。これほどまでに自信を持っているのは、何が根拠なのだろう。
そう思わせる迫力そのものが、"帝王の器"と言っても差し支えないだろう――。
「先月、福島県で新たに発見された"レアメタル・ジェネシス"を覚えていますでしょうか?
既に他国から調査隊が派遣され、新たな鉱産資源の値踏みをしている段階です。
恐らく、既に半導体産業の大規模なノウハウを持っている某国が産出の計画を立て、政府と契約して採掘の権利を持っていくでしょう。
元より宗教関連でズブズブな関係ですから、想像に難く無い結果です。
・・・本当に、それで良いのでしょうか?」
身振り手振りを用いた、見事なプレゼンだった。
身長も低く、小柄な少年だが、話し方に芯が通っており聞きやすい。
「我が国の資源を利用するのは、我が国の企業であるべき。
それをみすみす他国に売り渡すような事をして、それで良いのでしょうか?
放っておけば、一ヶ月と経たずにジェネシス産業は持って行かれます。
それは採掘だけでなく、ジェネシスにより製造される製品の契約先すらも、持っていかれると言う事です。」
「・・・たしかに。」
「いや、でもガキの言う事ですよ・・・?」
「だが、言ってる事は正しいんじゃないか・・・?」
国益が云々と言う話はともかく、他国に産業を持って行かれるのが悔しいと言うのは、国民なら誰もが思う事だろう。
それに加え、レアメタルは"情報社会を支配する物質"と言っても過言ではない。
そんな物が、日本で取れるのならば、国内産業で利用するべきなのは道理だ。
「我々の手で新たな資源を独占し、世界のシェアを奪い取る。
そして、他国の企業を市場から完全に締め出し、日本を"産業大国"に押し戻す。
・・・それこそが、本計画の最終目標です。」
「な、なるほど・・・。」
「デッカい夢だな・・・。」
「流石に無理があるんじゃ・・・。」
期待と落胆の入り混じった、様々な感情が株主席を渦巻き始めた。
これは良い兆候だ。最初は気にも留めていなかった少年の戯言が、少しずつ皆の関心を集め始めているのだから――。
「それではこれより、私が自らの手で研究と実験を重ねて得たジェネシスの特性と有効利用について、新規事業の概要も含めて解説したいと思います。」
改世が小さく会釈すると、背後に巨大なスクリーンが現れた。
彼の合図で起動したプロジェクターからは、簡潔にまとまったスライドが映写されている。
「最初に言っておきますと、このレアメタルは確実に世界を席巻します。
そして、今後100年の地球において、利用され続ける物になるでしょう。」
簡単な前置きを述べた後、彼はすぐに本題へと移った。
「ジェネシスは、日本国の土壌と放射線照射により生じる、従来には無い性質を兼ね備えたレアメタルです。
発見されたのが福島県であったと言う事実が、これを裏付けています。
あのいたましい事故が日本に与えた物は、決して"災い"だけではなかったという事を、私は理解しました。」
話し方が、どうにも掴みどころが無い。
謙虚すぎず、不遜すぎず、良い塩梅で落ち着いている。
あまりにも安定した口調であるせいか、その場に居た誰もが気付かなかった。
改世の年齢からして、"あの震災を体験している事は有り得ない"と言う事実に――。
「地中深くを掘る必要は無く、無尽蔵に湧いて出る資源。そして、役目を終えたジェネシスは固形の土に帰り、また放射線を浴びせる事で活性化する。
これぞまさに、世界が求めていた"持続可能な鉱産資源"なのです。」
「おい!ちょっと待て!
土に戻っちまったら、他の国でも簡単に再利用できちまうぞ!
それに!放射線の照射なんて、製品として売り出すには危険過ぎるだろ!」
この時、株主の間に漂う空気が一変した。
この男は既に、ジェネシス計画そのものは"認めている"のだ。その上で、軽微な点に対してダメ出しをしている。
そう、既に彼らは"改世のペース"に飲まれているのだ――。
「ご安心ください。
ジェネシスに浴びせるのは、人体に比較的無害な特殊放射線です。また、今後の研究では"超音波"でも同じ事が出来るとの見通しが立っています。
第二のご指摘に関してですが、ジェネシスが市場を支配した後、そこに残るのは焼け野原です。
現存する半導体関連の企業は、一つ残らず叩き潰します。なので、大々的に商品化するのは無理です。
某国の十八番として技術盗用を受けた場合は、然るべき法的処置を徹底的に用いて、小さな芽から着実に潰します。」
「ジェネシス一つで、他国の企業を潰せるのか!?」
「えぇ、潰せます。
正確には、ジェネシスに魅せられた民衆と、政府を動かす世論が、自らの意思で潰すんですよ。」
「どう言う事だ・・・?」
「循環型社会を目指す現代において、ジェネシスの特性は驚異的でしょう。
それでいて、欧州を始めとする世界全体が鉱産資源の持続性に思いを馳せている。これは、千載一遇のチャンスだとは思いませんか?
"安価でエコなレアメタル"と、"高価で時代に逆行したレアメタル"、後者は民衆の意識の中で埋もれ、勝手に潰されるんですよ。」
「もっと分かりやすく!」
「SDGSに過敏になった企業と国家は、ジェネシスに飛び付く事でしか道を見出せないと言う事ですよ。」
改世曰く、環境への配慮に敏感な国際社会において、旧来のレアメタルは勝手に消失すると言う事のようだ。
それならば、それを利用する企業も経営が悪化するのも当然だろう。
「世界各国のシェアを奪い取るには、日本国内に拠点を持つ企業が必要です。
そうすれば、数多の半導体産業に日本の影響力を及ぼす事も出来ます。
・・・では、その先頭に立つべきは誰か!それは!他でもない吹雪カンパニーなのです!
誰かに任せるのでもなく!自分達では出来ないと諦めるのでもなく!我々の手で!世界を掴もうではありませんか!!!」
改世は一気に、自らの持論を爆発させた。
大袈裟な身振り手振りと、張り上げるような声で株主を圧倒し、彼らの意思を扇動していく。
「し、しかしだね!改世くん!
吹雪カンパニーは創業以来、ずっとスポーツ1本でやって来た!
これからの軌道修正が、本当に出来ると思うかい!?」
「温暖化が進む現代において、ウィンタースポーツで採算が取れなくなるのは、時間の問題でしょう。
今後50年の事業を思い浮かべれば、多少の改革は割りの良い投資とは思えませんか?
なにせ、元より工業のノウハウはあるわけですから、製造ラインの改築をすれば良いだけです。
・・・勿論、民間だけでは無理でしょう。しかし、国からの援助を受けたのなら、不可能とは言えませんよ。」
「国からの援助!?そんな事が出来るのか!?」
「私には、政財界へのコネが有ります。
その件に関しては、私を信用して頂きたい。」
株主たちは、改世の提案に夢中になっていた。
この計画が結実すれば、この夢想が成就すれば、吹雪カンパニーは世界規模の巨大企業として君臨できる。
そして、自分たちはその株主。つまり、世界を牛耳るほどの巨大権力を持つ者へと至れるのだ。
彼らは、まだ知らなかった。いや、欲に目が眩んで見えなかったのだ。
目の前に立つ少年が、やがて"世界を征する帝王"になる事を――。
~~~~~~~~~~
その後の総会は、滞りなく進んだ。
それどころか、終了直後から改世の周囲には大勢が集まり、ジェネシスについての情報を仰いだ。
数時間後、株主たちが帰路に立ち、人混みが捌けた後になって、改世は社長室に呼び出された。
「出て来るなと言った筈だ、改世・・・。」
「しかし、僕が出て行かなければ、新事業は通りませんでしたよ?」
「・・・。」
ぐうの音も出ない。
確かに改世の大立ち回りが無ければ、ジェネシス計画は"無知な株主"によって潰されていただろう。
「大体、コネとは何だ?私は・・・そんなの聞いてないぞ・・・。」
「老いぼれた政治家の家に通うのも、多少の役には立つと言う事ですよ。
なんせ、心が貧しい連中ですからね。孫ほどの年齢の者に親切されると、コロリと騙される。」
飛び切りの侮蔑を込めた嘲笑が、改世の口角を歪めた。
言葉の節々より、これから利用する事になる政治家たちを見下す心意気が溢れ出していた。
しかし、息子の不道徳を見過ごすような悠王ではない――。
「"老いぼれ"だと!?一体どこで、そんな言葉を覚えたんだ!
せい・・・お前の兄は、そんな言葉は知らなかったぞ!」
「教養の問題でしょう?"清也兄さん"は、それ程の教養だったと言う事です。」
改世にとって、征夜は会った事も無い義兄。
しかし悠王にとっては、大切な妻の忘れ形見にして、命よりも大切な実子だ。
お世辞にも"優秀"と言える息子ではなかったが、"教養が無い"とまで言われる筋合いは無い。
「なっ!取り消しなさい改世!兄に対するその失言は、見過ごせる物ではない!」
「・・・失言?何の事ですか?」
「故人とは言え!義兄とは言え!仮にも歳上なのだ!それに対し、教養が無いとは何だ!!!」
「・・・僕の教養が"暴言を知るほど下賤"と、言いたかったのですが?」
「・・・ッ!」
改世は少し困惑した表情で悠王を見上げながら、強烈な不快感を浴びせ掛けた。
まさに、"言葉の綾"と言うべき物だろう。悠王は自身の手で、征夜を無教養であると肯定してしまったのだ。
改世が、この落着を予期していたのかは分からない。
しかし、動揺する悠王の様子を気にも留めていない事は分かる。
社長室の窓辺に立った改世は、雲一つ無い青空を指差して、満面の笑みを浮かべて呟いた。
「父さん、今日は空が綺麗だね・・・!」
「え?あ、あぁ・・・。」
突然の変貌ぶりに、悠王の感情は反応が追い付かない。
先ほどまで謀略を吐いていたのと同じ口から、驚くほど無邪気な言葉が飛び出して来たのだ。困惑するのも無理は無い。
「こんな良い日には、何かが起こりそうな気がするよ。」
改世が、そんな事を言った直後――。
ドオォォォォォンッ!!!!!
その時、東京の上空が割れた。
"空が割れた"としか、表現のしようが無いのだ。
盛大な炸裂音と共に、突如として出現した"巨大な城"。
東京と言うコンクリートの樹海に出現したそれは、まさに"異世界の産物"と呼ぶに相応しい物だった――。
~~~~~~~~~~
「な、なんだっ!?何が起こってる!?」
人生を折り返す齢に至った悠王とて、未だ見ぬ異常事態。流石の彼も、慌てずに居られないようだ。
それに引きかえ改世は、相変わらず冷静だった。
「中世の城みたいだね。動力も無く空を浮いてるなんて、まるで魔法みたいだ。
きっと、緊急のニュースが流れて来るよ。テレビを付けようか。」
改世の予想とした通り、テレビ各局は即座に緊急ニュースを開設していた。
改世たちがそれに見入っていると、近くのヘリポートから飛び立ったと思わしきヘリが吹雪カンパニーの上空を掠め、城の方へ向かって行く。
どうやら、それはテレビ局のヘリのようだ。
搭乗した女性キャスターは長い髪を靡かせながら、マイクを握りしめて叫んでいる。
「ザザッ・・・見えますかぁっ!聞こえますかぁっ!
ザザザザッ・・・私たちは今・・・謎の城・・・近くに来て、ザザザッ・・・あっ!今、何かが光っ」
チューンッ!!!
突如として城から放たれた七色の閃光が、軽快な音と共にヘリコプターに直撃した。
画面に写っていた美しい女性キャスターの姿は、見るも無惨な消し炭に変わり、そこで映像が固まっている。
「子供が見てはいかん!」
悠王は咄嗟に改世の目を覆った。それも当然だろう。
カメラの故障と思われるが、誰がどう見ても放送事故なのだ。子供に見せられる映像ではない。
映像はすぐに、スタジオに切り替わった。
慌てた調子でカメラを見つめる男性アナウンサーの頬には、脂汗が溢れ出ている。
「し、失礼しました!どうやら、当番組のヘリは撃墜されたようで・・・・・・えっ?自衛隊?・・・了解です。
・・・皆さん!自衛隊の出撃が発令されました!
東京都新宿区、および近隣にお住まいの方は、ただちに避難して下さい!数分後より、"迎撃作戦"が開始されます!」
話している途中で持ち込まれた新しい情報を、アナウンサーは即座に読み上げた。
「こ、これは・・・大変な事になった・・・。」
「自衛隊の出動・・・意外と判断が早いな。
本当に迎撃が目的なら・・・これは面白いぞ。」
呆然とした様子で画面を見つめる事しか出来ない悠王とは対照的に、改世は何かを考え込んでいる。
「武力行使目的での自衛隊の活用は、延々と議論されて来た問題。
それが、こうもアッサリと・・・なるほど・・・暴力か・・・あぁやって世界は・・・。」
「改世・・・?」
「思い付いたんだ。"世界を変える方法"を。」
「な、何を言ってるんだ!?」
「・・・何でも無いよ。」
息子の不審な言動に困惑する悠王を置き去りにして、改世は父のデスクから望遠鏡を取り出した。
悠王が社長室から鳥を鑑賞する際に使う物だが、今はもっと重要な事がある。
望遠鏡の倍率を最大まで拡大した改世は、興味津々な様子で城を見つめている――。
「・・・ん?誰か戦ってるな。」
「なに!?もう自衛隊が!?早く避難するぞ改世!」
「違うよ父さん、人だ。"生身の人間"が斬り合ってる。」
「は!?」
言っている意味がまるで分からない悠王は、息子から望遠鏡を引ったくった。
そして、改世と同じように城の方へと視線を注ぎ、濁った老眼で凝視する。
「ほら、城の部屋。割れたステンドグラスの奥だ。
青髪の男と、白髪の男が、生身で斬り合ってるだろ?」
「青髪・・・白髪・・・アレは・・・・・・清也!?」
髪色も、体格も、服装も、まるで違う。しかし、すぐに確信した。
悠王の瞳に映る"誰かと死闘を繰り広げる男"は、間違いなく死んだ筈の"息子"だった――。
―――――――――――――――――
―――――――――――――――――
※ この物語はフィクションです。
実在する国家や組織とは、一切の関係がありません。
また、それを揶揄する目的で書かれた物でもありません。
そもそも、"慶田学園"って言う架空の大学が出て来る時点で、フィクションなんですけどね(^_^;)
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