8 / 28
共通ルート
EP3_② <♡>
しおりを挟む「たった3分で……俺が……5回も……!?」
「私の勝ちですね!」
ただの手コキの筈なのに、その破壊力は凄まじかった。
根本から精液を掻き出され、抗う事の出来ない潮流が流れ出る感覚。
射精の快感とは別に、欲望という"毒"を吐き出す治療のような感触だった。
「それじゃ、私とのセックスはお預けです!」
「残念だなぁ……まぁ良いか! 気持ち良かったし! それにしても凄い技だね! 本職は風俗かな?」
「普段は、貴族を相手にした娼婦をさせて頂いてます。」
「高級娼婦か! 確かに君、ただの娼婦には見えないね!」
「お褒めに預かり光栄ですわ。」
セレアは少し微笑んで、男に対して礼を尽くす。
「ふむふむ……言葉遣いも綺麗だし、割と育ちが良さそうに見える。 小さい頃から教育されて…………あぁ! 君もしかして、"オルゼのアゲハ蝶"か!?」
「あら、ご存知でしたか。」
「ヴィルが娼婦を貰ったとは聞いたが、アンタだったとは!……なるほど、確かに。」
「と言うと?」
「いや、見れば一発で分かるってのは、本当なんだね。
コバルトブルーの瞳、"両手"でも収まらない爆乳、バックで犯すと最高な尻、そして何より綺麗な紫の長髪。
なるほど!"世界最高の娼婦"ってのは、本当らしい!」
「ウフフ♡ 最上級の褒め言葉ですね♡」
「自己紹介してなかった。
俺はヴィルヘルムの兄……と言っても、腹違いだけどね。 "アウレスタ"だ。よろしく。」
「よろしくお願いしますね、アウレスタ様。 セレアティナ=バイオレットです。」
「ヴィルは童貞だからね。 下手だろ? 溜まってるんじゃないか?」
「まだ本番はしてないんです。」
「こんな素敵な体を使わないなんて、勿体無いね。 俺なら毎朝毎晩、抱いてあげるよ?」
「……それは、お誘いですか?」
「そうだ。 俺の奴隷妻にならないか? それなら、もっと気持ち良くしてやれるよ。」
ヴィルは確かに、かなり奥手だ。
だがセレアは、そんな彼だからこそ気に入っていた。
セックスの相手ではなく、謂わば"生徒"のように接しているのだ。
目の前にいる貴族はハンサムで、確かに魅力的。甘い言葉で誘いながら、自分の物にしようと画策している。
(この人……なんか信用できないわね。)
だがセレアとしては、申し出を受ける気にはならなかった。女の勘が、娼婦としての経験が、目の前の男を怪しんでいる。
「いえ、私はあの方に借りがあるので。 そのお誘いは、断らせて頂きますわ。」
「……そうか。 もしアイツに愛想を尽かしたら、いつでも俺の元に来で良いよ。」
「えぇ、分かりました。……一つ質問をしても良いですか?」
「何だい?」
「先ほどから言われている単語、奴隷妻とは何ですか?」
「あぁ、ここら一帯の貴族の風習さ。
縁談が無かったり、貴族の正妻に飽きたり、子供が生まれなかったり。 色んな理由で、貴族以外の女と同居したり、子作りする時がある。」
「ふむふむ。」
「だが、城は貴族の神聖な土地。
そんな場所に、"下賎な庶民"を住まわせているのだから、女には"代償"を負わせる。 それが、奴隷としての身分と、何らかの魔法誓約なんだ。」
「あぁ、なるほど。」
話の筋が、少しずつ見えて来た。
「大方、借金を負わされたってとこかな? 庶民で良い女を見つけて、強制的に連れて来る時に良く使う手だよ。
で、連れて来た女は奴隷な訳さ。 だから主人に逆らえないように、魔法の手枷を付けたりする。」
「だから、自動で体を隠した訳ですね。」
「でも、タダの奴隷って訳でもない。
君たちは妻として夫に奉仕し、子供を産む身分。 だから、"奴隷&妻"って事で奴隷妻。」
「なるほどぉ。」
(すっごい男尊女卑……!)
やはり貴族は、未だに根強い前時代的意識に支配されているようだ。
女性を物としか見ていない者が、大勢居るのだと理解出来る。
この城は彼女が今いる風呂場と同じ。
多くの人間が権力と富に満たされた風呂桶に浸かり、どこか狂っている。そんな場所なのだと。
一般的な考えを持つ庶民を排斥して、無尽蔵に溢れ出る富を享受していれば、こうも成るだろう。
例え、真っ当な心を持つ"清水"が入り込んでも、シャワーから絶え間なく溢れ続ける"泥水"に握りつぶされて、濁った浴槽の中に消えて行く。
彼女が居るのは、そんな悪意の浴槽なのだ――。
(貴族の中でも、特に凄い城に来ちゃった……///)
嫌悪感と興奮が、同時に襲って来た。
見下され、不当な扱いを受ける嫌悪感と、それすらも快感に変えてしまうマゾヒスティックな興奮。
自らの肉体に、歪み切った欲情が向けられている事が理解出来る。
女から全ての自由を奪い、身も心も支配し、孕ませようとする男たちの群れに、自分は紛れ込んでいるのだ。
(それはそれで……興奮しちゃうかも……///)
ヴィルはそんな男ではないと思うが、やはり城に住む大多数は歪んでいる。
ドス黒い汚水で満たされた浴槽に、裸で浸かり無防備な姿を晒している。そう考えると、淫魔としての情欲が抑えられなくなる。
「因みに、奴隷妻ではない奴隷と言うのは、この城にいるのですか?」
「まぁ、居ない事もないよ。 男の奴隷は森林の開拓と鉱山に駆り出されてるから、数は少ないけど。」
「では、女は城に居るのですか?」
「あぁ、地下牢に囚われてる。」
「力仕事には使えないと思うのですが、やはりHな奉仕をするんですか?」
「そうだね。 奴隷妻より雑に使えるから、重宝してるさ。 怪我や病気に構わなくて良いから、過激なプレイもしやすい。
あとは下っ端兵士の性処理とか、その子供を産ませたりしてるね。 ソイツを育てて、次世代の兵士にする。
乳が出るようになったら搾って、色々と利用させてもらう。」
「子供を産ませて、お乳を搾るなんて、まるで家畜ですね……。」
搾乳機に繋がれ、乳を噴きながら犯されている自分を想像すると、少しだけ楽しそうだと思ってしまう。
だが同時に、とても怖く感じる。
一切の反撃が出来ない状態で一生をそのまま過ごす事になったら、かなり辛いのだろうと、容易に想像できるのだ。
("プレイ"としては悪くないけど、主導権が無いのは怖いわね……。)
もし自分が人間だったら、今の話を聞いて笑っていられないだろうと思った。
悪魔としての血脈に裏打ちされた腕力と魔力を以ってこそ、興奮する"余裕"が出来るのだ。
「他にも色々あるが、1番の違いは何だろう?
う~ん……奴隷妻が体で奉仕するなら、性奴隷は"命"で奉仕する存在って所かな?」
「命で……奉仕……。」
言葉の響きが、どこまでも不気味だ。
確かに家畜は、その命を人間に捧げる事を運命付けられた存在。
だが、それを人間に適用するとなると、急に恐ろしくなる。
「まぁ、成らないに越した事はないと思うよ。」
「警告、感謝いたします……。」
「それじゃ、俺は上がるよ! 抜いてくれてありがとな!」
「いえいえ、こちらこそ約束を守って頂けて良かったです。」
ここだけの話、セレアは敗北した彼が逆上して襲って来る事も予想していた。
その為、いつでも彼に反撃する構えを取っていたのだ。
だが思いの外、素直に負けを認めて風呂から上がってくれたので、正直言って助かった。
(嫌な人だけど、ちょっと身構え過ぎたかな……。)
今思うと、言葉の節々に棘が有り過ぎた気がして、少し後悔した。
あからさま過ぎる愛想笑いも、恐らく堪えたのだろう。どこか、寂しそうにしていた気がする。
(ヴィル君……ごめん!)
「アウレスタ様……!」
「ん?なんだい?」
男が引き戸を潜り抜けようとした時、背後から声がした。
振り返ると、セレアは右肘を付いて側頭部を支えながら、浴槽のそばにある椅子にて横向きに寝そべっていた。
どこか妖艶な笑みを浮かべながら、体の前面を男に見せ付けるセレア。
相変わらず秘所と胸は隠しているとは言え、このポーズが恐ろしい破壊力を持っているのは、想像に難くない。
括れた腹と、たおやかな尻、程よく肉付いた太腿と、豊かな乳房。その曲線美が全て、横倒しに連鎖しているのだ。
立って向かい合っただけでは、決して拝む事の出来ない画角。
その希少性とも呼ぶべき物が、元より豊穣な彼女の体を、どこか神聖に思わせる。
「また勝負しましょうね……ちゅっ♡」
セレアは、そのまま左手で投げキッスを放った。
その表情の淫靡さもさる事ながら、彼の目線は顔ではない部分に注がれていた。
そう、右肘を付いて左手を唇に付けたと言う事は――。
「綺麗なピンク色……舐め回したくなる乳首だ……!」
「やだ、見られちゃった……///」
偶然を装っているが、勿論ワザとである事は彼にも分かっていた。
その証拠にセレアは、今もなお自らの乳房を晒している。
刺し貫くような欲情の視線を浴びせられ、流石のセレアも少し火照ってしまう。
「ウフフ♡ おっぱい見過ぎです……変態なんだから……♡」
「もしかして、誘ってるのかい?」
「残念ですが、私とエッチしたいならゲームに勝たないと。」
「よし!次は俺が勝つよ!」
「頑張ってくださいね、簡単には負けませんよ……!」
一切の邪魔を受ける事なく、最高級の乳房を拝む事が出来たアウレスタ。
何はともあれ、プライドの高い女に"自らの体を差し出させる事"に成功したのだ。
脳裏を包み込む支配欲、征服欲を満たされた事で、彼はかなり気分を良くした。そうして満足げに笑いながら、彼は浴場を後にした。
0
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました
フルーツパフェ
大衆娯楽
とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。
曰く、全校生徒はパンツを履くこと。
生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?
史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる