ゲームを始めたはずの私は、なぜか異世界で勇者《最弱職》になりました

二章 ダンジョン探索は冒険者のロマンでしょ？

なぜか、喫茶店でバイトすることになりました25

　マギアの誕生日会を終え、私はサティーと二人きりでいた。

「シズちゃんのパーティー、いいですね。いえ、私なんかがなんか意見するなんて、おこがましいですよね」

「いやいや、そんなことはないよ。でも、サティー、わかったでしょ？」

「はい。皆さんがシズさんのことをお慕いしてる理由がわかった気がします」

　マリアも同じようなことを言ってた気がする。私はそんなに、立派な人間じゃないけど……。
　だって、この世界に来る前は、陰キャのオタクだったんだから。

「それに、皆さんはなんか、家族みたいです」

「そうかな？」

「はい。皆さん優しくて、支え合っていて。まるで、紐が一つに繋がり、円環を模してるかのように」

　サティーはどこか遠くを見るような目でそう言った。
　私には、サティーのことが、どこか儚げに映った。

「すいません。私なんかが駄目ですよね。他の人なんかに干渉しちゃ」

「いいんじゃない」

「えっ？」

「サティーはサティーなりに、他の人と仲良くなったらいいんじゃない？」

「……っ！」

「人それぞれ、歩く速度が違うように、サティーにはサティーなりの進み方があるんだよ。そうやって、少しずつでも進めるんだったら、それでいいじゃん」

「シズちゃんは、お姉ちゃんではなく、親友のような気がします。だから、私の初めての友達に、なってもらえませんか？　も、もちろん嫌だったら──」

「喜んで」

　サティーの目には、キラキラと輝くものが流れていた。