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最終章 世界の理は変わらない

勇者は泣く、全てを知って

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 私は泣いていた。
 声はきっと出てない。本当の悲しみの涙。
 全てを思い出したから。
 今まで、なんで忘れていたのかもわからないようなことを、私は忘れていた。
 これは、私の記憶で私の話。


 私は死ぬと、神に会った。

「ねえねえ、聞こえてますか?見えてますか?意識がありますか?返事できますか?一つでもできないんだったら、『消えますか』?」

「怖いよ!大丈夫、できるから」

「はい、わかりました。それでは、あなたは『死にました』」

「私は死にました。知ってます」

「それで、あなはたまたま三十代での死人、『十万人目』の人間です。なので、次の転生で好きなものを望めます。よかったですね。それでは、次の時の転生では何を望みますか?」

「私の妹って、死んじゃったかな?」

「まだですけど、死ぬでしょうね、もうじき」

「だったら、私のその特権を妹にあげて」

「いいんですか?」

「うん。助けてあげたかったけど、間に合わなかったお詫び、といいたいけど、あの子、今日誕生日だからプレゼント」

「それでは、これは私からあなたへのプレゼントです。あなたを、記憶を無くした勇者にします。そして、妹を魔王に。で、勇者のあなたには、少しだけ話をしましょう。妹を転生してから」

「神様って、思ったより優しいね」

 そうして、私はいろいろな話をした。
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