私が魔王？いやいや、そんなわけないでしょ？えっ、本当なの？なら、『証明』してみなさいよ！

最終章 世界の理は変わらない

私が魔王？……っ、そんなわけないでしょ……！6

　それから、少し時間が経った。
　けど、いくら時間が経っても痛みを感じない。
　とても、嫌な予感がした。

　私は、恐る恐る目を開けると、目の前には予想打にしない光景が広がっていた。

「インクプス……！どうして、どうしてこんなところにいるの……！私は、勇者のパーティーの二人と戦うように言ったはずでしょ！」

　インクプスは私を庇って、聖剣で貫かれていた。
　聖剣の先からは、インクプスの血がたれ、口からは血を吐き出している。

「魔王、様……。ご無事、ですか……？」

「そんなこと、そんなことはどうでもいいでしょ……！どうして、私の命令を聞いてくれなかったの？ねぇ、どうして……！」

「それは、魔王様を、お守り、する、ためです。それ、が、私の、やく、め、ですから」

　喋るだけでインクプスは辛そうだった。
　息は荒く、いつ死んでもおかしくない。
　でも、私じゃインクプスを助けることはできない。

　私は魔王でも、なんでもできるわけじゃないから。

「魔王、様……。きっと、私は、もうすぐ
、死ぬ、でしょう。そんな、私から、一つだけ、質問、させて、ください」

「わかった」

「初めて、会った、ときのことは、覚えて、ますか？」

　私は、初めてインクプスと会ったときのことを思いだしてみる。
　でも、上手く思い出せなかった。