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最終章 世界の理は変わらない

私が魔王?……っ、そんなわけないでしょ……!4(前編)

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 私は、どこで見たことがあるのか、そんなことを考えながら城の奥へと歩いていた。
 彼女が勇者ということは、見たのはこの世界じゃないのかもしれない。


 今はもう、インクプスも、ロノアも、いない。
 つまり、後ろから勇者が来ているということは、いつでも魔王である私を殺すチャンスがあるということだ。

 でも、彼女はそうしなかった。
 いや、彼女がそういうことをしないとわかっていた。


「ここが、その場所。ここなら、きっと本気で戦える」

「それじゃ、始めよう。勇者と魔王の最後の戦いを……!」

 彼女はそういうと、私の方を気にする。
 どう仕掛けてくるのか、どんな戦いをするのか、それを観察しているのだろう。

 ただ、それは私も同じだった。
 相手がどう仕掛けてくるのか、それを見ている。

 少しの間、睨み合いが続いた。

 先にしびれを切らしたのは、彼女だった。

「もう我慢できない……!そっちから来ないなら、こっちから行くよ!」

 そう一言だけ言うと、彼女は宣言通り仕掛けてくる。

 まだ、見切れる速さ。
 彼女の一閃を私は左にかわし、右手で峰打ちする。

 ただ、峰打ちをしたはずなのに、手応え一つなかった。
 きっと、避けたのだ。
 あの状況で。

「この程度じゃ、魔王はやられないか……。本気で行くよ!」
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