私が魔王？いやいや、そんなわけないでしょ？えっ、本当なの？なら、『証明』してみなさいよ！

最終章 世界の理は変わらない

《幕間2》私の役割《ことわり》5

　私はいま、なんとか逃げようとしていた。
　マオ様との約束のために。
　私の魔力はもうなかった。

　あのあと、私はすぐに逃げることにした。
　マオ様が待っている城に。
　でも、まずは勇者パーティーを撒くことが先決だった。
　このまま城に行ってしまっては、せっかく稼いだ時間が無駄になってしまう。
　だけど、

「もう......無理かもしれませんね」

　私は今のあまりの状況に、そう一人ごちる。
　なんとかここまで逃げてきてはいるが、私の魔力はもう底をついていた。
　それに、

「私の仲間を......！わるいけど、見逃すわけには行かなくなったから、本気でヤらせてもらうよ！」

　そう叫びながら、私の場所まで真っ直ぐ近づいてきている。
　そんなとき、私の頭の中にはロノア様の顔が浮かんできた。
　私がロノア様に速攻でヤられた私。
　そのときの私と、今の私は少し変われたような気がする。
　ロノア様と出会って、マオ様と一緒に過ごして、私の世界は変わった。
　そんな、ロノア様とマオ様との記憶が一瞬にして私の頭を流れていく。
　ああ、私は幸せだったんだ。
　私がそう思ったとき、目の前が真っ暗になる。
　そこにいたのは、勇者で、

「私は、魔王以外は殺す気がなかったんだけどさ、さすがに仇ぐらいうたないと、あの子も救われないからさ。だから、ごめんね？」

　そう言って、私の頭を粉々に砕くようにして私は最後をむかえた。
　これが、私の役割ことわりだったのだから。
　変わることのない、運命だったのだから。