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楽園への扉

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シルヴィオと共に舟から降りたアダルは、シルヴィオをとある場所へと案内する。

田舎町の、小高い丘に建てられた一軒家。
築十年ほどだが、町の人間に管理を任せてあるので綺麗に保たれていた。

「久しぶりですアダル様」
「ああ。連絡できず、申し訳ない」
「いえいえ」

アダルは管理人から鍵を受けとると、丁寧に玄関の鍵穴に入れてゆっくりと開ける。
ニオイがこおっておらず、掃除が行き届いているのがわかる。

アダルに続いて、シルヴィオが部屋の中に足を踏み入れた。

「玄関もだが、天井が高いな」
「あ、はい」

その言葉にアダルは気まずくなり、目を泳がせた。
ここまで来て秘密にするわけにはいかない。

そっとシルヴィオの手を引いて、各部屋を無言で見せていく。
居間、浴室、寝室、どの部屋も天井が高く、長身のシルヴィオでも余裕で身動きが取れる広さだ。
特に寝室の寝台を見て、シルヴィオに指摘されて戸惑う。

「これは明らかに、二人分の広さがあるな」
「は、はい」
「ここで結婚生活を考えていたのか?」
「実はですね……」

アダルは淡々と話し始めた。
十年程前、側近として務める事になり、シルヴィオの傍で日々を過ごすうちに、あらぬ妄想を繰り広げた結果、気付けば家を建てていた。

――いつか、シルヴィオ様とここで生活を。

「今思えば、何を考えていたのかわかりません」
「……そうか、ここに俺とこれて良かったか?」
「は、はい! それはもう、夢のようです!!」

アダルは激しく頷きながら叫び声を上げた。
思わず大きな声を出してしまい、両手で口を塞ぐと顔を振る。

「す、すみません」
「ならちょうどいいな」
「……」

シルヴィオがどんな意図を持ってその言葉を吐き出したのか、もう聞くまでもない。
アダルはきつく目を閉じて、意を決すると口を開く。

「じゅ、準備をしてきますので、こちらでお待ちください」




先に風呂で準備を済ませたアダルは裸で寝具にくるまり、シルヴィオが風呂から上がるのを寝室で静かに待つ。
物音一つしない部屋の中とは裏腹に、アダルの心臓はバクバクとうるさくてたまらない。

――陛下と身体を重ねるのは初めてではないのに、な、何故こんなにも緊張するのだ!?

気になっているのは『試す』という言葉だった。

それは、アダルがシルヴィオを満足させる事ができるのか、という事なのだろうか。
不安にさいなまれ、今更ながら逃げ出したくなる。
だが、残酷にも寝室の扉は勢いよく開かれてしまった。

「アダル、待たせたな!」
「ひっ」

シルヴィオは全裸でずんずん寝台へ歩み寄ってくると、有無をいわせずアダルに覆い被さり、首元に吸い付つく。

ぢゅうううううっ

「ほっひっいいいんっ♡」

びくビクンと身体が跳ねてあらぬ声を上げてしまうが、恥ずかしがる隙もなく、シルヴィオの舌と指に翻弄されてしまう。

アダルがどれだけ「待ってください」と懇願しても、食べられそうな勢いでまさぐられる。

体中に口づけをされて、四肢がびくびくと震えて、快感で思考が麻痺した。

――あぁっ……こ、こんなっ……い、しきが、とぶぅっ……っ♡

頭を撫でられ、頬にくちづけをされ、体の芯から甘くしびれていく。

「はうんっ♡ ふ、はあぁ……♡」
「そろそろ、下もかわいがってやろう」
「ひぃ」

ぐるんと体を反転させられ、うつぶせになり、尻を高くあげる体勢を強いられる。
自分のペニスが、期待ですでに勃起しているのを自覚して呆れた。

「私は、本当にシルヴィオ様が好き……っ!?」
「力をぬけ!」

腰をつかまれたかと思うと、早急な動きで極太の肉棒を、尻の奥深くへと埋められた。
アダルは魚のように全身を震わせて、はしたなく喘いで舌を突き出してしまう。

「ほひぃい~っ♡ ひぃいいっ♡」

両手で敷布をつかみ、のけぞって視線が泳ぐ。
尻が、腹がすさまじく熱くて……。

――あっぱくされりゅうううっ♡

きゅうきゅうっ
と愛しい男根を肉壁でしめつけ、快感の波に飲まれて泣きじゃくる。

「くひぃいいっ♡ あおおおっ♡」
「まだまだこれからだぞ!」
「は、はひぃいいいっ♡」

苦しい程の快楽に、アダルの理性は耐えることはできなかった。


気づくと白濁まみれにされたアダルは、シルヴィオに身体を擦り寄せて甘えていた。

「んう……しるヴぃおさまあ……っ♡」
「お前にしてはたえたほうだな、ルアだった時より、感じやすくないか?」
「んふぇっ♡」

アダルの腹はシルヴィオに吐き出された精液でぱんぱんに膨らみ、今にも口から溢れそうになるが、汚されるくらい愛された現実に満たされていた。

膨らんだ腹を優しく撫でられると、強く押され、口からゆっくり白濁を吐き出す。

「むぐえっ♡ ふえっ♡」
「いい子だ」

シルヴィオの優しくて欲望が滲む声に、アダルは心底幸せを感じていた。

――あぁあ……なかまで、しるヴぃおさまのでぇ……いっぱいっ♡

もう我慢できなかった。
アダルの側近としての誇りや、人としての理性は剥がれ落ち、ただ愛する者をむさぼる雄が顔を出す。

ガバッと起き上がり、シルヴィオを押し倒した。

「んおっ?」
「しゅきぃっ♡ しゅきですううっんうっぢゅうううっ♡」
「うぐぅっ!」

ぢゅるぢゅるるるっ♡

アダルはシルヴィオの男根を口いっぱいに含み、思いきりむさぼる。
舌に吸い付く肉の感触を存分に味わい、その愛液を飲み干す。

「上出来だ」

頭を撫でられて、アダルは意識がふわふわしたまま微笑む。

――あぁ……きもち、いい……っ♡

ずっとこうしてシルヴィオと二人きりで、快楽に浸っていたいと願った。

まるで楽園にいるような世界で、シルヴィオに抱かれながら優しく囁かれる。

「ここに住もう、二人で」

肌に直接触れる唇の感触に身を震わせ、アダルは今、自分がどこにいるのかわからなくなっていた。


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