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将軍の熱い視線
しおりを挟む洞窟内に響き渡る己の甘い声に、ルネリクスはめまいを覚えた。
それでも触手の激しい責めは未だに終わりが見えず、がっちりと拘束されて尻孔の奥、腹の奥を突き上げられて、快楽の虜になっていた。
ごぢゅっ♡ ぼぢゅっ♡ ごっ♡ ごっ♡ ごっ♡ ごっ♡ ごっ♡
「おほっ♡ おほおおっ♡ んほぉおおお~っ♡」
――にゃにこりぇえ~っ♡ こんにゃのおっ♡ しらにゃああいいい~っ♡
神官は神に身を捧げる清き存在でなければならない。
そんな存在に、このような卑猥な神託を神がするはずがない。
ルネリクスは混乱しながらも太くてごつごつした触手に蕩けて、快感に甘く痺れる四肢に抗えず、ただ喘ぎ声を上げてしまう。
がばっと足を大きく広げられて、細い触手がペニスに巻き付いて、後孔と同時になぶられる。
視界がちかちかと明滅して、舌を突き出して絶叫した。
「おひぃいいいいいいい~っ♡」
――まりゃ! まりゃくりゅうううう~っ♡
快感に身を委ねるが、今度は射精せず、脳内が麻痺するような快感が全身へと広がっていく。
「ほへっ♡ あへええっ♡ ほへへへっ♡」
びくびくと四肢が踊り、触手は口の中にまで入り込むと、舌にねっとりと絡みつく。あらゆる体液を絞りとろうとしている様に蠢いた。
きゅうきゅう吸い付く触手に腰をくねらせて、甘えるような声で囁く。
「あぁ……ん……っっ♡ も、もっとぉお~っっ♡」
触手相手にもっとなぶってくれと懇願するなんて、神官失格だと、わずかな理性の声を聞いて、意識は沈んだ。
目を覚ますと、ルネリクスは解放されており、触手は大人しくなっていた。
触手の傍に、光輝くまるい物を見つけて、怠い四肢を引きずって確かめると、それは触手でできた籠であり、中に青い液体が揺れているのが見える。
ルネリクスは歓喜の声を上げた。
「やった! これは奇跡の水に違いない!」
両手に抱えて神殿に戻ったルネリクスは、意外な人物と鉢合わせする。
神殿の入り口に、縦横に自分の倍はある、赤髪の屈強な体躯の男の背中が見えた。
将軍のアロルフだ。彼は普段、国境付近の砦で魔獣退治の任務に就いているはずだが、その砦からは半日はかかるこの神殿に何の用事であろうか。
ふいに自分の姿を確認して、乱れた白いローブを念のためもう一度整えた。
汚れは泉で洗ったものの、甘い香りはうっすらと残り、勘の鋭いあの将軍には気付かれそうで怖い。
両手に抱えた触手でできた籠は隠す事はできないので、なるべく自然に挨拶を交わしてさっさと中へ入ってしまおうと考えた。
「あ、アロルフ様。こんにちは」
「ん? おお、ルネリクス殿か! もう正午過ぎだが、どこかに行っていたのか?」
「え、ええ。アロルフ様は今日はどうされたのですか?」
満面の笑みでしばしの間神殿の護衛につくと言い放った。
ルネリクスは硬直する。
――え、この人がこの神殿にずっといるって、いったいいつまで滞在するつもりなんだだろう。
この将軍には悪い噂がたくさんある。
その中の一つに、両刀使いであり、興味をもった相手に強引に迫るらしく、ルネリクスは以前から危険を感じていた。
今だって、視線が妙に熱いのを感じている。
神官である己の勘が、この男が危険だと告げているのだ。
「護衛だなんて……また魔獣が近隣に現れたのですか?」
「ああ! オーガの親玉が神殿を狙っているようだ。怪我人が出ていると聞いているが?」
「あ……はい」
実はそのオーガの軍団に怪我を負わされた村人達を、神殿の奥で保護しているのだ。
怪我の治りが遅く、手の施しようがない状態の人達をどうにか治したいと願い、眠りについた夜に夢で神託を受け、こうして治癒の水を手にする事ができた。
後は試してみるだけだが、この水の事は秘密にしておきたいので、どうやって悟られないようにするか悩む。
「おや? その手に抱えているのは、珍しい代物ですな?」
「そ、そうですか? ただの網籠ですよ?」
「ほう?」
「で、では、私はこれで!」
もう構っていられない。早く怪我人の元へ行かなければ。
背中にアロルフの刺さるような視線を感じていたが、無視して怪我人が運び込まれている大部屋に急いだ。
あの将軍には十分注意しなければと、身を引き締めた。
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