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二人のアーシュの会話劇

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くすくす・・ふふっ
楽しそうだな…ふふ

長い黒の髪が風に揺らめく

長い髪のアーシュがバルコニーの縁に座り込み

愉しそうにアジェンダ達や癒しの神殿の長達が
食事をしながら会話してる様子を眺めてる

衣装は古代の服を着てる…

ふふ…お前も時の法に違反したんじゃないか…くすくす

俺は散々、バステイルに怒られ、一時間説教だった

ああ、アリシア姫の巫女の能力に引かれ

現世に堕ちてしまったリーヴニア姫の魂は
無事に確保したみたいだな

まさか、アリサの最初の前世が
アジェンダ様の妻のアリシア姫とはな…

アリシア姫の事は安息の場所(天界)に行くまで
その生い立ちは歴史の闇に消えて…

こちらでは王族の血を引くが貧しい黒の貴族の娘で

どうゆう経由でアジェンダ王と出逢ったかは不明だった…

素晴らしい絵や絵本などを
残し…また巫女の力についても知られるが…

その巫女の力だな…

俺の方に属するアリシア姫は
転生して、俺の妹アリサになったのは…

俺の黒の王族の血に反応した

そして…アジェンダ様と結ばれるのは…運命か


ああ、そうだな
もう一人の俺のアーシュ…
姫の魂は無事に確保したぞ

先程やっと解ったが…
アリサ、アリシア姫
彼女の転生の幾つかは
癒しの神殿で予知に優れた者になっている

俺の出現を父王に告げた
先読みの巫女も彼女だった…

最初の生涯と今回のアリサに
なった以外は誰とも結ばれない

巫女として独身を貫くか
若死にしてる…

宿命か…

微笑みながら、彼は
髪型以外は自分に瓜二つに似ている長い髪の少年を見る

互いに顔を見る


ふふ…俺はバステイルから
特別許可をもらってる

生憎だが、小言は無い
悪いな…ふふっ

何せ時空間がおかしくなり
歴史の修正の真っ最中で

俺の母リジャの先祖や俺の竜人セルトの先祖の運命まで変わった

火山の最初の爆発は百年後だったし
飢饉の危機も先の時代のはずだった…固定した以上

被害を最小限にしないと
今後の歴史にどこまで影響が響く事か

緊急事態だからな…


リジャ母上か…そちらでは
魂は消滅したそうだな

こちらでは…俺の有り様を
知ってしまったリジャ母上は

泣きながら時の狭間に行ったまま
行方不明だ

時の狭間で消滅したか
転生してるだろうな


俺のアーシュ…
横に座り、そっと背中を撫でる

しかし、アリサ…アリシア姫が
あの手の作品だが…
有名な名作の本当の作者とはな…

まぁ…まだ執筆前だが…

乙女の秘密の意味が良く分かった…ふふ

アジェンダ様もお前も
言わば共犯だな…

還ったら、アリサを
少し虐めるかな

口元を歪め、苦笑いの本来の運命を辿った
髪の短い方のアーシュ…


やめておけ…やり過ぎたら
藪ヘビをつつく事になるから

暗黒の黒猫二匹の王に女王(アラシャとアシャの事)に、お前の妻たちに

異界の人魚の子孫でファりの妹リリーシュに

俺の分身たち3人

こちらのアルやエイルも
はまった…俺の事で軽い系だが

更には二人の火焔の女王様も

皆さま、素敵なお仲間な同士様

分身の内の一人
女王様の孫のレンは
絵も文章も漫画もお上手…

既に作家としてデビュー済み
レンは実体験があるし

超ハード系が好み…
暗黒の黒猫アラシャも一緒だな

リリーシュは
BL出版社の超幹部…
作ったのはアラシャ

アシャも加わり、3つの世界で作家探しに作品のアニメ化やら

BL文化推進中…


で…アラシャはともかく

お前の妻たちや火焔の女王様は怖いだろうが…


俺も彼女達が怖いぞ


…暗黒の黒猫の女王様なお嬢様

お前の姉さん女房の最後の女リュース公で水の女王様

恐ろしき火焔の王女様と
火焔の女王様…

そうだな…
やはり、癒しの女神のはずなのだが…
呪いの料理人な白の王女様も侮れない

案外、狂暴だった…うん

まあ、じゃじゃ馬なのは
最初に会った時から知ってたが


目を見開き、青くなり
言葉を失うアーシュ

女王様の孫の方アシュ・・幼くして死んだアシュテイア王子は
俺の方は遠い異界で俺の分身レンとして転生したが…

こちらでは見つかってないな…

黒の王族の血に引かれ
俺の方の世界で転生する可能性もあるが…

まだ時の狭間にいるのだろうか…

狭間で力を増す場合もあるが
消滅した例も少なくない

狭間で発見した直後に
数分で消えた者も多い…


どうだろうな…
俺の方の黒の王族の子孫の血は絶えたから

血に引かれる事はないな…
俺の方で可能性があるのは
傍系の者達か…

あれだけ魔力が強いと
普通の者達に生まれ変わる事はあり得ない

そうだな…

そう言えば
偶然、ほぼ同時に
こちらとそちらで見つかったな

火焔の女王様の初恋の…
女性

ああ…ティエ姫か

銀色の髪に紫色の瞳の美女
二代目リュース公の双子の弟ワイア伯爵の長女

運悪く、不味い時に
白の国に父親に会いに来て
酷い12年を送ったな

その12年は
俺の囚われの14年と似てる

とても同情され、優しい言葉をくれたよ二人とも

髪の短い方のアーシュは
そっと背中を再び撫でる

見つかって良かったな

ああ…

本来の運命を辿ったお前の方は
にゃんこ族の娘になってた

白猫耳としっぽで、それ以外は最初の前世のまま…名前も偶然、一緒

魔法ギルドの上級クラスの魔法使いとして

俺たち世話役に選ばれ

火焔の女王ヴァルジニテ様と三代目リュース公ワイアットと鉢合わせて

二人が大泣きしながら抱き締めいたな…


こちらは、別荘の方に
魔法ギルドから派遣され

世話係として来た

レンを見て自分の前世を思い出して
泣きながらレンを抱き締めた

直系の血を持つ人族の娘…
普通の耳以外はこちらも名前も姿も一緒

ヴァルジニテ女王が来て、二人は大泣きしながら、抱き締めあった


ティエ姫の生涯だが
ヴァルジニテ女王が戦死後は、全く分からない

本人も転生を繰返し
ヴァルジニテ女王の死で哀しみ…そこまでは覚えてるが
どちらも忘れたそうだ

ん…こちらも歴史は同じだな

ヴァルジニテ女王の日記は残ってるが
本人テイエ姫の日記は残ってない

三代目リュース公の日記は後半生の分は残ってない

女王や息子の水の王に
散々こき使われ
白の国や地方に滞在する事が多く…

老年期の頃に
一人息子を連れた国境の街で急な病で病死だ

国境の街が直ぐに白の国に襲われ
三代目リュース公ワイアットの遺体を持って帰るのがやっとで…

その時に日記は喪われた

まあ…ワイアットに聞くか

バステイルに聞くしかないな

そうだな…何でもワイアットは女王の下僕の一人だという

以前、本人から聞いた…
ヴァルジニテ女王の父王の風の王ヴァルーダにもからかわれ、弄ばれ(?)

女王には 彼女が六歳の時に
叩きのまされ、彼女に
これから、下僕だと宣言されたらしい…

なんと言っても
ヴァルジニテ女王の火焔の力と戦闘能力は飛び抜けてる

神達は竜人の守護者を二人与え

子孫の火焔の王、火竜王アジェンダ様とほぼ同格の力を与えた…

最終世代の俺達を覗けば
火焔の世代として最大だ…

救世主となる運命に
必要なものを惜しまなかった

勝てる訳がない


ワイアットは口には出さなかったが
心の記憶が見えた

風の王は、なかなかお茶目な
古タヌキの一面があった


ふぅん…あの心が広くて
天使の様な方がねぇ…以外

先日、羊羮と緑茶を召しておられたが…

にゃんこ族に混じり
のほほん、のんびりされてな

俺は頭に花の幻が見えたぞ
と髪の長い方のアーシュ


二十歳過ぎの健康な男は
範疇外だそうだ…

笑える…

髪の短い方のアーシュが苦笑する


正直だな…くすくす

そうだな…ふふ

さて、これからどうする気だ?

まだ舞踏会の事件も起こってないが…

髪の長いアーシュが問う


まだ、しばらく様子をみる…

アシャと代わった方が良くないか
俺のアーシュ

一時的に身体を回復させたが

お前は生身で、まだ治癒が必要だ
足は大丈夫か?

有難う…俺のアーシュ
心配をかけるな…

足は分身達の体の細胞から
出来た有機系生物機械の神経移植で まだ大丈夫だ
笑う髪の長いアーシュ
 
バイオテクノロジーか…先年以上の未来の世界の進歩・・
ファリたちの世界・・異界の科学力は凄まじい・・・
肩をすくめる髪の短い方のアーシュ


もう少し傍で見守りたい

とても…俺の妹でもあるアリサ
アリシア姫が心配だ

分かった

アリシア姫がアジェンダ様より
少しだけ早く先に逝くのは…

あの子にとって幸福なのか…どうなのか…

息子の黄金の王ソリシア様は
その時に13才だ
二人が心配だった事だろうな…

だが、あのアジェンダ様の惨い死に様は知る事も

首や胴体の酷い有り様も
知らずにいたはずだが…

もしかすると…ふぅ

ああ、巫女の力がある
十分にあり得る…

アジェンダ様とソリシア様を魂だけの存在となり…
見守り守っていた可能性も高い


二人は再び、アジェンダの方を見る


数日後の事である…

初めてして、偉大なる火焔の王、火竜王
黒の王アジェンダ王様

お目通りが叶い
光栄に存じ上げます…

私の名前はエルサ二アと申します…

美しい美貌の娘
横髪を少しだけ残しウェーブを描く黒髪を結い上げ
瞳は緑色…
完璧なまでのプロポーション

今年で19才の娘

初めまして姫君
養父のルアン公爵には、とても世話になっている

ふむ…とても麗しい姫君だな
舞踏会では若い黒の貴族の若者達が大騒ぎするだろう
ではまた…
軽く笑みを浮かべアジェンダは立ち去る

赤くなり、ため息をつく
エルサニア

なんて美しい火焔の瞳
それに素敵な青年の王様

あの顔に触れてみたい…

王様が夢中なあの奴隷娘は どんな小娘なのか知らね
逢うのが楽しみだ事…くすくす

エルサニア姫が立ち去る


性格…悪そうだ

ああ…

二人のアーシュが頷き会う

で…アリシア姫の方は
ダンスの稽古や作法の復習で、てんてこ舞い

ちょっと休憩をした方が良いでしょうね
大丈夫ですか?姫

心配そうにリュース公ヴンレトが聞く

だ・・大丈夫です ヴェントレ様

舞踏会まで あと少し 正式な社交界へのデビュー

アジェンダ様に迷惑が掛からぬように ひたすら必死で頑張ってるアリシア姫



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