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第1部 婚約破棄&処刑されて転生しましたけれど、家族と再会し仲間もできて今はとっても幸せです
新たなる旗と粛清と(1)(※)(ラルフ視点)
しおりを挟む――セントライト王国、王宮の地下牢。
粛清によって狩り出された者たちを詰め込むだけ詰め込んだ。
処刑する者よりも、処刑される者の数のほうが圧倒的に多く、要された時間は相当なものだった。
これほどまでに多く血が処刑台に流れたことが国史上あっただろうか。
すべては、あの日から始まったのだ。
我が手で剣を打ちおろしたあの瞬間から。
「くそぉぉぉおおおっ、ラルフゥゥゥッ……! 離せ、離せえぇぇぇっ! 俺は認めん! 許さんぞ! ラルフゥゥーーッ!!」
私が始めたのならば、この血は我が手で止めるほかない。
兄上、さらば――。
処刑上の晒し台には、ローやアイリーンも漏れなく並んだ。
捉われたローは、牢に囲われてもなお猛々しかった。
「ラルフ陛下、置き土産に教えて差しあげましょう。
貴賤貧富に問わずして人間を最も苦しめる毒の名を……。それは孤独です。
孤独に蝕まれた人の心は、効かぬとわかっていても仮初めの薬すらも欲するようになる。
アドルフ様が慮外者の私の薬を進んでお飲みになったのは、ごくありふれた毒のためです。
お気をつけ召され。
孤独という毒は、どこにでも転がっている……。陛下が毒されぬという保証はどこにもありませんよ……」
ローばかりでなく、アイリーンもまるで死の淵では気味の悪いほどの落ち着きを供えていた。
もはや、兄がなぜそこまでに、孤独であったかを知る由もない。
だが、ローのいう毒がこれほどまでの損害を我が国に与えた事実は、決して軽んじることはできない。
せいぜい私も気を付けるとしよう。
しばらくの間はそのようなことに目を向けている暇もない程に忙しくなるであろうが……。
晒し台に最後を並べ加えて、私は高らかに宣言をした。
「我が国に巣くっていた妄執はすべて屠った。これよりセントライト王国は新たな歴史を歩むことを宣言する。
我が名は、ラルフ・アブソルート国王! 我が使命はこの国の復興と我が国民の安寧にあり!」
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