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■第2章 冒険者の町の冒険者ギルド!
101 ここが冒険者ギルド (7)
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「四人はグレゴを追ってアプラスの森に入り、先にいたこの子たちを見つけたようですね。これは、この子の兄弟かな……連れには少年と、あと風耳種の女性が一人。この周りにいる見慣れないのは君たちの使い魔かな……。はあはあ、痛い目を見たくなければグレゴが死んだ証拠を渡せと。それで、グレゴの盗んだ魔法薬を脅し取った……」
「グレゴはどうした?」
「少年は大蛇に飲まれたと言ってますね。ふうん、それで証拠を奪い取って揚々とギルドへ戻ってきた。だがグレゴを倒したという証拠とするには不十分と言われたため、おやおや……、今度は闇討ちですね」
「闇討ち?」
「この子たちは町に入るための列に並んで隣になった家族と懇意にしていたようですが、ブルドン、エイト、ギリがこの子の鞄、アイテムボックスを奪ったようですね。証拠がまだここにあると思ったんでしょうか。あっ、うわぁ、家族の父親と娘が大変なことになりました」
それを聞いた美怜が今だというように、背中から今隠し持っていたものを取り出したかのようにして、ジルドの服とネルの血の付いた布と、ダガーを出した。
「これがそのときの証拠です。こっちのダガーは私たちが森で襲われたときのものです」
オージンがテーブルの上と美怜を交互に見た。
「そのふたりはどうなった?」
「少年のこれは……新たな使い魔ですかね、治療させています。ほう、ポーションで全回復させたようです。これで以上ですかね……」
「待ってください、そのあと……!」
美怜が言うと、すぐさまロアンドが口を挟んだ。
「ブルドンらの申し開きによって証言者を迎えに行った際、ブルドン、エイト、ギリが少女の連れらしき少年に殴打、足撃をくらわしています」
「ロアンド、なぜ止めなかった」
「ブルドン達からは、彼らにグレゴ捕獲の邪魔をされたから、すこしばかり痛い目を見せてやるつもりだと聞いていました。それが本当なら俺に止める理由はありません。少しばかりというには少々やりすぎたように思いましたが、火急速やかに本件を解決せよというギルマスの命令を遵守しました」
それでこの灰青狼は止めなかったのかと今さらわかり、戒律とやらに縛られたギルドの組織の在り方に、美怜は再び唇を噛んだ。そのあとすぐに、黙っているべきじゃないとすぐに気付いた。
「たった今見ていただき、提出した証拠の通り、私たちは彼らによって、複数回にわたり多大な被害と損害を被っています。さらに、無関係の人たちまで傷つき苦しみました。これらについてギルドはどのように処するつもりなのか考えを聞かせてください。私たちの要求に応える準備はありますか?」
再び、フーと長いため息が漏れた。サングラスをわずかに上げると、オージンが口を開く。
「状況はわかった。それで、君は我々になにを要求するつもりかね?」
「まずは謝罪です……。それから二度とこのような不条理なことが起こらないように、再発防止を求めます。そして、怪我を負った三名には心身に対する治療費と慰謝料を求めます。あと、私のリュックも返してください」
「それだけか?」
「グレゴはどうした?」
「少年は大蛇に飲まれたと言ってますね。ふうん、それで証拠を奪い取って揚々とギルドへ戻ってきた。だがグレゴを倒したという証拠とするには不十分と言われたため、おやおや……、今度は闇討ちですね」
「闇討ち?」
「この子たちは町に入るための列に並んで隣になった家族と懇意にしていたようですが、ブルドン、エイト、ギリがこの子の鞄、アイテムボックスを奪ったようですね。証拠がまだここにあると思ったんでしょうか。あっ、うわぁ、家族の父親と娘が大変なことになりました」
それを聞いた美怜が今だというように、背中から今隠し持っていたものを取り出したかのようにして、ジルドの服とネルの血の付いた布と、ダガーを出した。
「これがそのときの証拠です。こっちのダガーは私たちが森で襲われたときのものです」
オージンがテーブルの上と美怜を交互に見た。
「そのふたりはどうなった?」
「少年のこれは……新たな使い魔ですかね、治療させています。ほう、ポーションで全回復させたようです。これで以上ですかね……」
「待ってください、そのあと……!」
美怜が言うと、すぐさまロアンドが口を挟んだ。
「ブルドンらの申し開きによって証言者を迎えに行った際、ブルドン、エイト、ギリが少女の連れらしき少年に殴打、足撃をくらわしています」
「ロアンド、なぜ止めなかった」
「ブルドン達からは、彼らにグレゴ捕獲の邪魔をされたから、すこしばかり痛い目を見せてやるつもりだと聞いていました。それが本当なら俺に止める理由はありません。少しばかりというには少々やりすぎたように思いましたが、火急速やかに本件を解決せよというギルマスの命令を遵守しました」
それでこの灰青狼は止めなかったのかと今さらわかり、戒律とやらに縛られたギルドの組織の在り方に、美怜は再び唇を噛んだ。そのあとすぐに、黙っているべきじゃないとすぐに気付いた。
「たった今見ていただき、提出した証拠の通り、私たちは彼らによって、複数回にわたり多大な被害と損害を被っています。さらに、無関係の人たちまで傷つき苦しみました。これらについてギルドはどのように処するつもりなのか考えを聞かせてください。私たちの要求に応える準備はありますか?」
再び、フーと長いため息が漏れた。サングラスをわずかに上げると、オージンが口を開く。
「状況はわかった。それで、君は我々になにを要求するつもりかね?」
「まずは謝罪です……。それから二度とこのような不条理なことが起こらないように、再発防止を求めます。そして、怪我を負った三名には心身に対する治療費と慰謝料を求めます。あと、私のリュックも返してください」
「それだけか?」
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