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■第1章 突然の異世界サバイバル!

020 ならずもの冒険者

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 昨晩のシェルターはユリアが寝るスペースも考えて大きく取った。幹と幹の間に蔓草で作ったロープを渡して、大きな葉や枝で風よけを作る。使える材料をまたしまっておけば、いつでもまたシェルターを作ることができる。美怜のインベントリは本当に大活躍だ。

(いつも思うけど、本当に布が欲しいなぁ。形だけならベッドも作れるけど、マットレスの代わりになるものがないんだよね。布団にもテントにも、怪我をしたときの包帯にも。改めて布って本当に人類にとって欠かせないものって実感するよ……。私がインベントリの中で布を作るにしても、まず、麻や木綿が手に入らないと無理なんだよね……。町に入ればもうそんな心配もいらないかもだけど)

 そんなことを考えながら、三人でシェルターを解体する。無論一緒くたにインベントリの中へ片付けることはできるが、ユリアの手前一応解体をしてリュックに入れることにしている。

「あれ、銀ちゃん、ここも解くんだっけ?」
「あ、ここのリーフノットは解かなくていいんだよ。こっちを外してくれる?」
「あ、そっか。こっちバタフライノットを解くんだね」

 銀河はイラストを描くときに学んだというロープワークを機会があるごとに美怜に教えている。美怜の作る飾り紐もそうだが、紐の結び方にも、布と同じように人間の知恵が詰まっている。リーフノットというのは二本のロープを繋げるための結び方、バタフライノットはロープの中間点に輪を作る結び方だ。それ以外にも、長さを調整できる結び方や、傷病者を担ぐ方法、高い所から安全に降りる懸垂下降など、さまざまに役立つ、それがロープなのだ。と言いつつも、銀河も当時覚えたロープワークの半分くらいはもう忘れてしまっているのだが……。それでも役立つことには変わりない。【※80】

 シェルターの片づけが終わると、朝食づくりだ。美怜が気を使って炊事を買って出たので、その間、銀河はユリアともに弓の練習にいそしんだ。ユリアの教え方が上手いおかげか、銀河でもまっすぐに矢を飛ばせるようになっている。

「ご飯できたよ~」
「ありがとう、みれちゃん! お腹すいちゃったよ~!」
「いい匂い! ミレイ、昨日の金鳥の肉、まだ残っていたの?」

 鶏の匂いがするスープを覗き込んでユリアがまばたきする。

「昨日残った骨を煮て、スープをとったんだよ。具は一夜干しのお魚を焼いてほぐしたのと野草だよ。はい、どうぞ」
「へえ……! 骨でスープをとるなんてはじめてよ。ミディアム種って本当に細かなことにきづくのねぇ。うんっ!? なにこれ、すごくおいしい! 魚も噛み応えがあってすごく味が、なんていうの? ぎゅっと詰まっているわ!」
「みれちゃん、鶏ガラスープ最高だよ! これでラーメンが入ってたら本当に最高なんだけど!」
「塩ラーメンかぁ、いいね! エンファになら麺があるかもね」

 ヒシャラとカクラも気に入ったようだが、いかんせん量が足りなかったらしい。早々に食事を終えたあと、自分で魚やカワミーを捕えては丸飲みしていた。食事の片づけを終えると、いよいよ転移魔法だ。

「よし、荷物はまとめたな。それじゃあ、みんな一旦戻れ、セーブ!」

 銀河の掛け声でブーンズがすべてその場から姿を消した。

「エンファに一足飛びっていうのは嬉しいけど、お金が心配だな……。私たちの手持ちのもので、ちゃんと今晩の宿がとれるといいけど」
「ミレイの持っている武器を売れば、宿代は充分足りると思うわよ?」
「本当? 鉄じゃなくて石だけど、それでも売れると思う?」
「少なくとも、この矢は本当になかなかよくできているわ。これほど均一な出来なら欲しいという弓使いは結構いるはずよ」
「そっか……、それなら少し安心」

 美怜がほっとすると、ユリアがにこっとほほ笑んでその肩に手をやった。

「エンファが初めての町だから緊張しているのね。それはそうと、初めてなら登録が必要になるけれど、許可証の準備はできているの?」
「許可証の準備?」

 ユリアの言葉に二人が同時に振り向いた。

「国を出るときに、あなたたちの身分を証明するものを持ってきてないかしら? 私の国では国王が、我が国の民であることを示すっていう証明をくれるの。町へ入る許可証を作るときにそれを見せると、比較的早く入れるわ」
「え……、そ、そんなものがいるの……?」
「私たち持ってない……」

 いきなり異世界に飛ばされてきた銀河と美怜が都合よくパスポートなど持っているはずがない。ふたりの顔色にユリアがなだめるような口調で言う。

「大丈夫、あなたたちみたいに辺境や小さな国では、そもそも王がいなかったり、国で暮らせないから移民としてやってくる人もいるから。時間はかかるけど、ちゃんと許可証を出してもらえるはずよ。ただ、証明書なしの列はいつも行列がすごいから、町に入るまでに時間がかかるみたい。聞くところによると、少なくとも二、三日は門の前で待たされるらしいわ」
「二、三日……」
「それでも許可証がもらえるならいいよね、銀ちゃん」
「うん、まあ……。でも今夜はベッドで寝れると思ったのにな……」

 がくっと肩を落とした銀河が、なにかにきづいて、ハッと顔を上げた。美怜の耳元に手をやると小さく囁く。

「みれちゃん、勝手にパスポート作っちゃったらどうかな? どうせ、僕達のこと知っている人はいないんだし」
「でも、下手なことを書いたら、その国はどこにあるのとか、この字はどこの字だとか、ってならない? あとで説明がつかないものを提出したってことがばれたら、町を追い出されちっゃたりしない?」
「……た、確かに……ありうるね……」

 パスポートの作成はあきらめ、証明書なしルートで町に入ることにした。ユリアはすでに許可証があるから、門の近くに転移したら、そこで別れることになる。弓もそこで受け取ればいいだろう。ユリアが小刀の柄で、地面に三人が入れるくらいの大きな魔法陣を書いている。

「もう少しかかるから待っててね……」

 そのとき、銀河の眼鏡にアラートが表示された。

「なにか、近づいてくるみたいだ……!」
「えっ……、私はなにも感じないけど」

 ユリアは不思議そうに顔を上げたが、銀河は素早くタブレットを表示させた。サーチ機能画面のレーダーには、これまでのモンスターとは違うと思われるの赤い点が三つそろってこちらへ向かってきていた。その大きさは約二倍。スライムよりは明らかに強い個体だということに違いない。

「ううん、三体のモンスター……いや、なにかはわからないけど、こっちへ向かってきているよ!」
「えっ、ちょっと見せて? えっ、すごいわね、こんな探査スキルをもっているの!? でもそうね、私は調子の良い時でも、半径百メートルくらいしか気配感知できないの。早くわかってよかったわ。急いでこれを書き上げるわね!」
「銀ちゃん、この大きさって……」

 美怜の不安そうな顔を見て、銀河は素早く頷いた。初級のモンスターでないことははっきりしているが、これがいったいどのくらいの強さなのか、今の時点では全く分からない。

「この個体のステータスを偵察スカウトはできないのか……!?」

 希望だけで赤い点をタップすると、コネクト付きのポップアップが現れた。たった今新たに機能が追加されたらしい。相変わらず、タブレットは必要なときになると都合よく働いてくれる。いっそ、このタブレットがパスポート代わりにでもならないのだろうか。そんなことが一瞬頭をよぎりつつ、銀河の目は素早く数字を追った。

 個体名の欄は、????。
 HP2229。
 MP1899。

「HPが先……ってことは、モンスターじゃない! 人間だ!」
「えっ……? 人間がなんで赤い点なの……?」

 美怜が目を丸くしている。銀河は残りの二つの点もタップした。

 個体名、????。
 HP4012。
 MP814。

 さらに、個体名、????。
 HP2424。
 MP3849。


 ちなみに、ユリアのステータスは出会ったときすでにスキャンしている。

 ユリア・マルグリッド。
 Lv16。
 HP2548。
 MP6047。

 恐がりで少し迂闊なユリアだが、身体能力の高さや魔法スキルはそれなりに高いということがわかっている。元A級の冒険者のカクラもそういうのだから間違いないだろう。

「ヒシャラとカクラを呼ぼう。コール、カラコマ。いでよヒシャラ、カクラ!」

 銀河の呼び声で素早く二体が現れた。鼻が利くのか、すぐに警戒モードに入ったようだ。ステータスと比較してみよう。

 タカラコマ001、ヒシャラ。
 BP5535。
 LP2841。
 MP20661。
 HP31543。

 大蛇のときのレベルは継承しておらず、現在Lv5だ。

 タカラコマ002、カクラ。
 Lv2。
 BP2003。
 LP1346。
 HP18977。
 MP2448。

 元人種だったせいか、ヒシャラと違ってMPよりHPが前に表示されている。
 カクラを基準に考えれば、個体????の三人それぞれの単純なHPの強さは明らかにA級以下だ。だが、ここは異世界。魔法や魔道具がある以上、見かけの数字だけに惑わされるのは危険だろう。銀河は美怜とユリアにも共有のために早口で伝えた。
 
「ひとりだけHP4000のやつがいるけど、あとのふたりはユリアと同じくらいだと思う。ただし、ひとりMPが約4000のやつがいるから、なにかしら魔法を使うはずだ。みれちゃん、よく聞いてくれ。僕らふたりは一番弱い奴と体力はそれほど変わらない。万が一戦うことになったら……」
「た、戦う……っ!?」

 一瞬で美怜の顔が恐怖と焦りに塗り替わった。モンスターと戦う事は想定していても、まさか人と戦うこと考えていなかったのだろう。だが、すぐにグレコのときのことを思い出し、青い顔でリュックのファスナーを急ぎ下しはじめた。

「……え、えと、……えと…! い、い、石……投げる……!」
「みれちゃん、落ち着いて」
「魔法陣はあと少しで書けるわ。大丈夫よ、ミレイ。その三人が来たときには、私たちはもうここにいないから安心して。それに私は弓使いよ。射程範囲に入ったらただでは済まさないわ」

 ユリアは美怜を落ち着かせようとそう言ったが、その顔にはかなり緊張が走っている。銀河は改めて息をを調えた。

「ヒシャラ、カクラ、注意を怠たるな。僕たち三人が無事転移で町に行けるように守ってくれ」
「フンス!」
「承知ですぜ!」
「みれちゃん、僕らも一応武器を準備しよう。ただし、クナイや手裏剣はだめだ。僕らの投擲とうてき技術じゃ相手をけん制するどころか、相手に武器を渡してしまうことになりかねない。みれちゃんは石、僕はマキビシと槍を持つよ。出してもらえる?」
「う、うん……!」

 地面に置いたリュックから美怜が器に入ったマキビシと、石、そして槍を順番に取り出す。パニックにならないように必死で自分を制御しようとしている顔つきだ。マキビシの器と槍を両手に持って、銀河のほうへ振り向いたそのときだった。
 ――ヒュオッ。
 空気を切り裂く音がしたと同時に、美怜に向かってなにかが飛んできた。素早く反応したヒシャラとカクラが同時に銀河と美怜それぞれをかばうように立ちはだかる。美怜は恐怖ですくみ、悲鳴を上げてしゃがみ込んでいた。

「きゃあっ!」

 ――ガスッ!
 次の瞬間鋭く突きたたったのは鉤縄かぎなわのような金属の鉤だった。ハッとした時には、縄が巻き上げられ、鉤に引っかかったリュックが素早く茂みに引き寄せられていくところだった。

「お嬢のアイテムボックスが!」
「どうしてっ!? あの方角にマーカーは出てなかったのに……えっ!?」

 改めて眼鏡のレーダーを確認した時、ごく近距離に点滅を繰り返す新たな赤い点が出現していた。アラートがたった今鳴る。攻撃を受けるまでレーダーに感知しないなんて、ゲームで言ったら雲隠れや不可視インビジブルといったスキルや魔法としか思えない。

「まずいな、相手にそんな能力があるやつが何人もいるなら、ひょっとして僕らはもっとたくさんの的に敵に取り囲まれているかも……。ユリア、君の気配探知はどう?」
「私も攻撃されるまでわからなかった! たぶんやつらの仲間に隠密スキルを持つ者がいるわ。けれど人数が多ければ多いほど私は気配を読み取れるの。そんなにたくさんいるとは思えないわ。それより、早く美怜のアイテムボックスを取り戻さなきゃ!」
「俺が行きますぜ!」
「カクラ、行かないで!」

 駆けだそうとするカクラの袖を美怜が必死の顔つきでとどめた。

「リュックよりカクラのほうが大事だよ! 行っちゃダメ!」
「お、お嬢……」
「そうだよ、カクラ。まだ敵の全貌がわからない。むやみに追うのは得策じゃない」
「で、ですが……! あれはお嬢の大事な収納スキルの魔道具ですぜ!?」
「いいから! ただの鞄よりカクラのほうが大事だよ!」

 美怜がさらにきつくカクラの袖を握った。カクラが目を丸くして信じられないものを見たというように小さく息を吸った。まるで雨に濡れたように目が光る。

「お、お嬢……、お、俺は今、猛烈に感動していますぜ……。あんなすげぇ魔道具よりも、この俺なんざの心配をして下さるとは……」
「ミレイ、使い魔が主人たちのために働くのはあたりまえよ。早くそのカクラに敵を追わせてアイテムボックスを取り戻さなきゃ! まだそう遠くに行ってないはずよ!」

 ここでまさかリュックをアイテムボックスに見せかけていたことの弊害が現れるとは。銀河と美怜が説明に迷う間に、カクラは踵を返していた。

「心配はいりやせん! 俺の脚はそんじょそこらの冒険者とは訳が違うんです。必ず、お嬢のアイテムを取り戻してきやすぜ!」
「あっ、カクラ!」

 縄の跡を追ってカクラがものすごい勢いで茂みに消えて行った。銀河は今にも泣き出しそうな美怜の手を握る。

「みれちゃん、今はカクラを信じよう……」
「う……」
「ギンガ、ミレイ、魔法陣が書けたわ。詠唱するから、陣を消さないように中に入って!」
「うんっ!」
「う、うん……」

 ユリアが神経をとがらせるようにして細い息を吐いた。そして、木々のざわめきに乗せるように、静かな旋律が言葉となって流れてくる。

「 高き天 広きたいら 深き地に 
  遠長とおながし遥かあまねく たな引きします 命のみなもと
  無色いろなしの蝶 波の乙女 縁の下 火片ひへんあるじ
  はかなし我が世 御蔭みかげにて
  日々寄る辺 得んことを喜べり 
  我が名は オルガナータにいしずえを置く
  デボア・マルグリットがずえ ユリア
  願いたもうことのよし
  よろずともに 聞きこしめせと 畏かしこみも申す 」

 詠唱呪文とはその名の通りで、歌うように紡がれる呪文は、地球で言えば神社の祝詞のような抑揚や、教会の讃美歌のような音の響き、そして厳かな雰囲気がある。この歌を遮ることなく聞いていたい、そんな気がしてくる。呼びかけたのはMPの魔法元素だろうか。無色の蝶、波の乙女、縁の下、火片の主。恐らく、風、水、土、火の元素に違いない。

「 契りのうた うたごとを
  かくらば…… 」

 そのとき、ヒシャラがバッと茂みに目を向けたと同時になにかを薙ぎ払った。ユリアがギクッと体を揺らし、その方向を睨み、すばやく弓と矢を構える。手を握りあう美怜が、ぎゅっと力を込めたのが銀河にはわかった。音を鳴らして大地に落ちてたのは、使い込まれた両刃短剣ダガー。まともにくらえば、間違いなくただではすまない。銀河はごくりと喉を鳴らし、美怜は怯えながら、ダガーの飛んできた方を見る。ユリアの見事な詠唱に聞き惚れてしまっていたが、いつの間にか銀河の眼鏡に表示されている三つの赤い点はもう間近にあった。

「ぐふー……」
「くくっ……」
「キキキ……」

 三人の男たちの低い笑い声が聞こえてきた。同時に三本の幹からぞれぞれが半身を顕わにした。HP4000はあの小太りの巨漢で、側頭には豚のような耳があり、鼻が丸く大きく上を向いている。MP4000は三白眼のローブの男。もう一人は猿のように腰が重心が低い痩せ男だ。
 小太りが探るように話し出す。

「怪しい……、怪しいな、そう思わないか?」
「今の反応、まさに」
「俺の探査スキルによれば、こいつらグレゴとなにか関わりがある。それは間違いない」

 ハッとしたのは銀河と美怜だけではなかった。ユリアが矢を向けたまま鋭く言い放った。

「その顔、どこかで見たと思ったら、パーティ募集の課題を聞きに来ていた奴らね!」
「ぐふ。ああ、覚えているとも。仲間と早々に仲たがいしていた風耳だよな。仲間に見離されて今度はガキを引き入れたのか?」
「私は冒険者になるつもりはないの。訳あってこの子たちと一緒にいるけれど、逃亡者のことなんてなにひとつ知らないわ。さっさとこの子の魔道具を返しなさい!」

 痩せ男が、キキッと笑った。

「俺の探査スキルをなめないでもらおう。この森でもうグレゴの血の付いたボロ布も外された足枷も見つけてるんだ。まさかお前たちが倒したのか? その使い魔はかなり強そうだなぁ」
「だからグレゴなんて逃亡者知らないって言っているでしょ!」

 三白眼が下から気味悪い目つきをした。

「なに、俺達はグレゴが死んだという証拠を持って帰れりゃあそれでいいんだ。お前たちが殺したなら死体のありかを教えてくれりゃあいい。まだ生きてるんなら、どこで見たかを教えてくれ。素直に教えてくれたら悪いようにはしない」
「なに勝手なことを言っているの! あんたの常識ではものを頼むときに、人に仇をなしてから頼むのかしら? お里が知れるわね。いいからさっさとリュックを返しなさい! さもないと無傷で帰れないわよ」
「相手の補給路を断つのは戦の初歩。だが、お前たちが素直に情報を渡してくれりゃあ、考えないこともないんだぜ」

 どうやら彼らはソレイユと同様に冒険者パーティー加入の試験を受けている者たちで、グレゴを追う道中、銀河と美怜とユリアの動向を探っていたらしい。今までこちらに気配を気づかせないとは、やはり冒険者ということか。そのとき、美怜が銀河の手を引いた。

「ぎ、銀ちゃん……。あのとき拾った魔法薬と水晶みたいなやつって……」
「う、うん……」

 グレゴが大蛇に飲み込まれたとき、グレゴが投げ放った魔法薬の瓶は草陰に落ちたせいで割れずに残っていた。しかも、それに絡まるように水晶のようなペンダントが落ちていた。恐らく投げるときにポケットの中で絡んで、そのまま投げてしまったのだろう。それをなにかのときに使えるかもしれないと思い、銀河と美怜は一応とっておいたのだ。改めてカクラに確めてはいなかったが、あれがグレゴが死んだことの証明にはならないだろうか。銀河は厳しい表情のユリアの隣に立った。

「あんたたちがリュックを返してここから立ち去ってくれるなら、交換に情報を与えてもいい」
「ぐふ……、やはり知ってたな」
「それにはリュックの中身を確認する必要がある。まずは無事リュックを返せ。話しはそれからだ」
「それは無理な話だ。そのアイテムボックスは相当な容量があるそうじゃねぇか」
「だから……っ、その中にグレゴの残したものが入ってるから確かめるって言ってるんだよ!」
「ほう……!」

 小太りが、にやっと笑った。それを見た途端、銀河もまずいと気が付いた。自分では落ち着いているつもりだったけど、状況が状況なだけに、知らずに気が動転していたらしい。言わなくていいことを言ってしまった。

「くくっ、だったらなおさら返すわけにいかないな」
「つまり、お前たちの使い魔がグレゴを倒したって、そういうわけなんだな?」

 ユリアが心配そうに銀河に視線を投げた。インベントリのスキルにリュックは関係ないから別に奪われても大して害ではない。だが、彼らがこのままリュックを持ち去ったとしても、そこから魔法薬やペンダントは出てこない。それがわかったら、彼らはまた追いかけてくるだろう。たった一度の失言で状況は一気にまずくなった。今さらリュックはもういらないとは言えないし、グレゴの遺物のことを取り消すこともできない。

「おい、どうなんだよ、ガキ」
「……ギンガ、もういいわ。こいつらと話をするだけ無駄。魔道具を返すつもりなんて最初からないのよ。だって、複数ある手配書の中から、一番懸賞金の低いグレゴを、しかも何人もで狙わなきゃ捕まえる自信がないような輩よ。こんなだから冒険者をやろうだなんて連中は、低俗ばかりなのよ!」
「黙って聞いてりゃあ、てめぇ、なにさまだ!」
「ぐふっ、お前の連れだって冒険者だろうがよ! あの頼りねぇ細身のガキ、きっと今頃返り討ちにあってるんじゃねぇか!?」
「なんですってぇ!」

 ――ビュオッ、ザズッ!
 ユリアの怒りの矢が小太りの隠れる幹をかすめていった。辛くも身を隠して難を逃れた小太りだったが、次に顔を出したとき、その表情は明らかに怒気に満ちていた。

「俺達とやる気か? 良い度胸じゃねぇか、あぁん?」
「言っておくけどね、ソレイユはあんたたちの何倍も強いわよ! それにザコ逃亡者なんて目じゃないの。ひとりでだってきっと必ず、大物逃亡者を捕まえてみせるわ!」
「はぁ……っ!? お前たち、仲たがいしたんじゃなかったのかよ?」
「うるさいわね、あんたたちに関係ないでしょ! いいから、さっさともう一人の仲間が奪っていったリュックをすぐに返しなさい!」

 木陰から三人が一斉に武器を取り出したのが見え、銀河は一気に体温が遠のく気がした。自分の失言もひどかったが、頭に血の上ったユリアはさらにひどい。このままでは本当に血を見ずには終われない。そう思ったとき、背後から足音が聞こえた。まさか新手か、と思ったが、そこにいたのはリュックを手にしたカクラだった。

「お嬢、取り戻しましたぜ!」
「カクラ……ッ!!」

 それを見た途端、三人の男たちの顔色が変わった。カクラがそばへやってくると、美怜は一も二もなく抱きしめた。その目からはポロポロと大粒の雫が溢れている。

「心配したよぉ……! 怪我は、ない? 大丈夫!?」
「へぇ、この通り、ピンピンしていますぜ!」
「もう、勝手に行っちゃダメ! ひとりになっちゃダメだからね!?」
「お、お嬢……! な、泣かねぇでください。俺は平気ですぜ!」
「私が平気じゃないよ! カクラが無事でよかったぁ……!」
「へ、へぇ……!」

 抱かれながら、美怜の涙と温もりに、じんときていた。カクラには当然元A級としての勝算があった訳だが、それでも全力で心配してくれた美怜によって、自分が大切にされていることを実感する。胸に温かいものが満ちていくのがわかった。銀河がそれを見つめながらほっとしたように笑った。

「よくやった、カクラ! お手柄だよ!」

 銀河の眼鏡にはカクラのステータスが爆上がりする通知が届いていた。ブーンズが増えて通知音がうるさいので音は切っていたが、カクラの顔を見ればそんなものがなくてもすぐわかる。銀河は素早く、美怜に耳打ちをした。美怜がリュックを開けて、中で魔法薬とペンダントを掴んだ。

「あっ、それは……」

 気づいたカクラに美怜が早口に説明した。

「あの人たち、グレゴを追ってきたらしいの。これを渡してとりあえず引き取ってもらおうと思ってる」
「そ、それは……」

 カクラがにわかに無言の難色を示した。

「思い出の品なの?」

 魔法薬はともかく、あれほど満身創痍のグレゴがペンダントのような装飾品を持ち歩いていたとなると、なにか思い入れのあるものではないかという予想はついていた。ふたりの前ではカクラでいたいと望んだグレゴの手前、これまであえて改めなかった。それでも、いつか本来の自分に戻る日が来たとき、このペンダントをきっと思い返すことになるのではと思ったのだ。あるいは、その価値すらもなかったら、売ってお金に換えられるかもしれないという心積もりもあった。

「そいつは俺の組合員票ギルドタグです。俺の認識札みたいなもんで……」【※81】

 見た目にはなんの変哲もない水晶、あるいは五センチほどの細長いガラスに見える。水晶だと思ったのは透かした物が二重に見えるからだ。これがギルドの組合員である証だとは銀河も美怜も少しも思い至らなかった。しかし、それならなおさらこれはグレゴに戻ったときにはきっと手放せないはずだ。美怜は魔法薬だけをとると、リュックから取り出して銀河に渡した。三人の男たちが素早く銀河の手元に目をやった。

「それは? それがグレゴの遺品かなにかか?」
「ただで教えてやる義理はないな」
「ちっ……!」
「こうしてリュックは無事に戻って来たし、見ての通り僕の使い魔は強いよ? もう既に一人消えたみたいだけど、残りの頭数で僕らに勝てそう?」
「ガキが、いい気になるなよ!」
「でも、まあ。僕らもこんなつまらないことで足止めを食うことは望んでない。これは、僕らがグレゴを最後に見たとき拾ったものだ」
「最後? やはりお前たちがグレゴをやったのか?」
「いや……」

 銀河はわずかにヒシャラに目をやった。

「僕が見たのは、逃亡者が大蛇に飲み込まれた場面だ。この魔法薬はその逃亡者がどこかから盗んだかして手に入れたものなんじゃないかな。大蛇に投げつけたけど命中しなくて、そのまま草陰に割れずに残っていたんだ」
「大蛇だと……? この始まりの森にか?」
「そうだよ。僕らも襲われたけど、なんとか逃げ切れた」
「おい、嘘いうと承知しねぇぞ」

 全部が嘘ではない。言える範囲のことは全て本当だ。ユリアがギリッと弓を鳴らして睨みつけた。

「ちょっと、あんたたち! この子たちが嘘を言ってると言うの? これ以上文句があるなら、あんたたちの口にこの矢をお見舞いするわよ!」
「ちっ、わかったよ」
「おいガキ、その魔法薬をよこせ!」
「僕らに二度と関わらないって約束しろ」
「わかったよ! 証拠さえ手に入ればこっちはなんも文句はねぇ。さっさと寄こせ」
「投げるぞ」

 銀河は野球の投球フォームを構えたが、内心では割れちゃえと思いながら投げた。

「うおっ、危ねぇ!」
「ノーコンか、ガキ!」
「ぐふーっ、まあいい、引き揚げるぞ」

 痩せ男が俊敏だったらしく辛くもキャッチして、魔法薬の瓶は割れずに済んだ。三人の男たちが後ずさりしながら、森の奥に消えて行った。銀河の眼鏡に映し出されるレーダーから赤い点が遠ざかっていく。ようやく、ほっと息がつけた。
 
「はぁー……っ! なんとかしのげて、よかったわぁ……! ふう……今頃冷や汗が……」
「ユリア、ありがとう。弓の牽制のおかげで、みんな無傷ですんだよ」
「それにしても、よかったの? その使い魔たちならあの三人をやっつけられたかもしれないのに。魔法薬をギルドに持ち込んで今の説明をすれば、懸賞金はあなたたちがもらえたかもしれないのよ? それに、一般市民に刃を向けるなんて、ギルドに報告したら処罰もののはずよ」
「そんなことより……っ、みんなが無事で、本当によかった~……!」

 ようやく緊張が解けたのか、美怜がへたっと尻もちをついた。その途端、ユリアと銀河が同時にあっと声を上げた。

「みれちゃん、魔法陣が……」
「あっ……、ご、ごめん、ユリアさん……」
「うふふっ、これくらいすぐ書き直せるわ」

 改めてヒシャラとカクラを戻し、書きなおした魔法陣の上でユリアが呪文を唱える。先ほどの呪文が、魔法の元素への働きかけ、つまり挨拶文のようなものだとしたら、後半部分がどんな魔法を行いたいのかを願う文言らしい。

「  契りのうた うたごとを
  かくらば

  色無いろなしの蝶は 天に至る門を叩き 地に至る門を押しらきて
  八重雨雲やえあまぐもを 千別ちわきに千別ちわきて 
  高山短山たかやまひきやま 速川大海原はやかわおおうなばらの 
  いほりをき けて 聞こしめさん

  願いたもう 我がともがら三人みたり
  目たたく露のまにまに かの地へ だしやりたもう 」

 呪文の途中からほのかに輝きだした魔法陣から、さらに強い光が溢れてきた。ユリアがふたりに声をかけた。

「転移が終わるまでは魔法陣から出ないでね。次に目を開けたときには町の門の前よ」

 その言葉が終わった次の瞬間だ。
 瞬く光が靄のように立ち消えたと思ったら、銀河と美怜の目の前には二メートルとはあろうかという石造りの壁があった。その一か所には長い行列ができており、大門が開かれているのがわかった。

「ひ、人が……」
「こんなにたくさん……!」

 銀河と美怜は大げさではなく本当に感激した。人の営みがこれほどまでに安堵をくれるとは。美怜に至ってはまた目に涙を浮かべている。ざっと見たところ、壁伝いに入場を待つ人の列は二百人はいそうだった。その手前を進んでいくのが、既に許可証を持つ人たちの列らしい。ユリアが明るく言った。

「それじゃあ、約束通り弓を渡すわね」
「あっ、う、うん」
「ギンガ、私が教えたこと忘れないで練習を続けてね」
「うん、ありがとう……。あっ、魔草を、みれちゃん」

 すでに準備していた美怜がユリアに手渡した。

「ユリアさん、はいどうぞ」
「ありがとう、ミレイ。ありがとう、ギンガ」

 ユリアはそれを確かめて、ポシェットの中にしまう。それが済むと、眉を下げて、得意のお姉さんらしい面構えでふたりを見下ろした。

「さっきのあいつらと同じとは言わないけれど、町の人たちもみんなが善良とは限らないわ。気を付けてね。もしなにか困ったことがあったら『ピスパーの宿と飯』を訪ねて。もうしばらくはこの町に滞在しているから」
「うん、ありがとう、ユリア」
「ああもう……、どうしてかしら、たった一日なのに離れがたいわ。特にミレイ、私の話を聞いてくれてありがとう」
「ユリアさん、こちらこそ、たくさん、たくさんありがとう。ソレイユさんとうまくいくといいね」

 ユリアがうなづき、そしてスカートをつまんで挨拶をすると、美怜も頭を下げて挨拶をした。互いに顔を合わせ、にこっと笑うと、どちらともなく一歩進んで抱きしめあう。言葉は通じなくても礼の心や親しみが人と人をつなぐ、まさに感動的な一場面だ。銀河は自分もと思って前に出たが、ユリアからは、にっこりとほほえみと共に手が差し伸べられた。見事に美女エルフとの別れのハグをスルーされたが、がっかりした顔は見せずに笑顔で握手に努める、見た目は子供頭脳は大人な銀河なのだった。



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【※80】ロープの結び方 …… 情報613 
【※81】ギルドタグ …… アイテム018

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【更新休止中】 三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が 過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。 神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。 目を開けると日本人の男女の顔があった。 転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・ 他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・ 転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。 そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語 ※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。

転生させて貰ったけど…これやりたかった事…だっけ?

N
ファンタジー
目が覚めたら…目の前には白い球が、、 生まれる世界が間違っていたって⁇ 自分が好きだった漫画の中のような世界に転生出来るって⁈ 嬉しいけど…これは一旦落ち着いてチートを勝ち取って最高に楽しい人生勝ち組にならねば!! そう意気込んで転生したものの、気がついたら……… 大切な人生の相棒との出会いや沢山の人との出会い! そして転生した本当の理由はいつ分かるのか…!! ーーーーーーーーーーーーーー ※誤字・脱字多いかもしれません💦  (教えて頂けたらめっちゃ助かります…) ※自分自身が句読点・改行多めが好きなのでそうしています、読みにくかったらすみません

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。 『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。 魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。 しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も… そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。 しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。 …はたして主人公の運命やいかに…

平凡冒険者のスローライフ

上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。 平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。 果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか…… ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。

異世界楽々通販サバイバル

shinko
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最近ハマりだしたソロキャンプ。 近くの山にあるキャンプ場で泊っていたはずの伊田和司 51歳はテントから出た瞬間にとてつもない違和感を感じた。 そう、見上げた空には大きく輝く2つの月。 そして山に居たはずの自分の前に広がっているのはなぜか海。 しばらくボーゼンとしていた和司だったが、軽くストレッチした後にこうつぶやいた。 「ついに俺の番が来たか、ステータスオープン!」

辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~

Lunaire
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壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。 他作品の詳細はこちら: 『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】 『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】 『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】

いきなり異世界って理不尽だ!

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 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

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