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第20話 朝帰り
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男と別れて翌日の昼前、オレは自宅にたどり着いた。
いやあ……セックスって……エゲツな……ケツに……オレ、あんな声……。
昨日のモロモロが頭の中でリフレイン……。
ちょっとゲロ吐きそう。
「おい」
急に声をかけられてビックリして振り返る。
灰谷だった。
今、一番顔を見られたくないし、見たくない男の顔が……。
「昨日オマエなんで電話に出ねえんだよ」
「朝っぱらから、うっせえよ」
カギカギ。家のカギが見つからない。
ポケットを探る。
「つうかもう昼だ昼。どこ行ってたんだよ。メシか?」
「うっせえな、オマエはオレの母ちゃんか」
「節子じゃねえよ」
「人の母親呼び捨てにすんな」
あっ、あった。
早く逃げたい。
「節子はオレが節子っていうと喜ぶぞ」
「ババアだからだよ」
カギをあけて中に入ろうとすると灰谷がついて来ようとする。
「なんだよ」
「え?何が?メシ食おうぜ」
コンビニの袋を見せる。
「腹減ってねえよ」
言ったそばからグ~と腹が鳴ってしまった。
「なっ」
灰谷が言う。
何が 『なっ』 だ。
灰谷のやつ、なんでいつもより気持ちテンション高いんだよ。
「オレ、コーヒー」
「自分で淹れろ。着替えてくっから」
「ウッス」
あ……。
台所に向かう灰谷からふわりと……。
階段を上る。
腰がダルい。ケツが痛い。股関節が痛い。つうかなんかダルい。
部屋に入るとTシャツを脱ぎ捨てる。
チクショウなんでいるんだよ。
昨日来れねえって言ったの自分じゃねえか。
つうか……ヤってんじゃねえよ!
灰谷からは昼だというのに、ほのかにボディーシャンプーのニオイがした。
そういうことだろ?
まあオレもか。
もういいや。どうでもいい。
オレはベッドに座りこみ頭を抱えてふーっと息を吐いた。
疲れた。頭まわんねえ。
*
灰谷がコーヒーを淹れ終わり、しばらく経っても真島は降りて来なかった。
「おーい真島~。真島~。全部食っちまうぞ~」
灰谷は二階に向かって叫んだ。
返事はない。
「無視かよ。上等だ」
トントントン灰谷は二階に上がる。
「お~い真島~」
真島は眠っていた。
上半身裸のままベッドで汗をかきながら爆睡していた。
なんで裸?
つうかこいつ、色白いな。
灰谷は改めて思った。
真島は高梨明日美より白かった。
そして女みたいに細いカラダ。
薄ピンクの乳首。
見ようによってはエロかった。
その時、真島はう~んと寝返りを打って、股の間に両腕をはさむポーズになった。
灰谷から笑みがもれた。
真島は子供の頃から、寝る時、このポーズだった。
眠る真島の額に汗がにじんでいる。
灰谷は窓を閉めて、エアコンをつけた。
タオルケットを腹にかけてやろうとしたところで、灰谷はそれに気がついた。
首の後ろ、真後ろ、その少し下。
Tシャツでぎりぎり隠れるところ。
でも絶対に自分ではつけれないところ。
真島の白い肌にクッキリと残る薄ピンクのうっ血した痕。
――キスマーク。
こいつももしかして昨日……。
そっかそっか。
童貞卒業か。
ん?
昨夜具合悪そうに歩いてたって言ってなかったか?高梨さん。
やっぱ見間違いか?
♪~
灰谷のスマホの通知音が鳴った。
クレーンゲームでとってやったぬいぐるみを抱えて微笑む明日美の写真とメッセージ。
『灰谷くん、スキ♥』
スキ……か。
スキ、ねえ。
灰谷はベッドの脇に腰を下ろし、返信した。
『うん』
♪~
明日美からすぐ返信が来た。
『また後でね♥』
『うん』と送り返し、灰谷はふーっと息を吐いた。
灰谷は昨夜の明日美とのセックスを思い返した。
よかった……よなあ。
気持ちよかった。うん。
初めての中学二年の時はあまり余裕がなくてよくわからないまま終わってしまったけれど今回は……。
高梨明日美の胸は佐藤の言っていたようにかなり大きかった。
感触は特大のマシュマロのようで。
そして甘い声。
自分の一挙手一投足に反応する甘い声とやわらかいカラダ。
何より自分の事を好きなのがジワジワと伝わってきた。
一生懸命でとてもカワイかった。
でも……スキなのかと問われると……?
もちろんキライではないけれど。
ああ、こんなこと思っちゃ高梨さんに悪いなと灰谷は思う。
あんなに必死の思いで『初めて』をくれたんだ。
大切にしよう。
大事にしなきゃな。
灰谷は真島の寝顔を見つめる。
真島はどうだったんだろう。
なあ良かった?セックス。
好きなやつとしか付き合えねえとか言ってたけど。
真島は本当に好きなやつとできたのかな?
「フーッ。暑っちい」
灰谷は胸元をパタパタさせた。
でもな。
究極、性欲がなかったら、女なんか要らないような気もする。
話つまんねえし。
ぶっちゃけ真島たちと遊んでる方が面白いのは面白い。
……まあ違うベクトルの話なんだろうな。
それにしても。
真島は子供みたいに無防備に眠っていた。
眠る真島の顔は女みたいにキレイだと思う。
真島。
真島がもし女だったら。
この間の話みたいに、真島マコだったら……。
違う気がした。
きっと女じゃないから、いっしょにいられるのだろう。
対等でそれぞれの足でキッチリ立った男と男同士だから。
何より友達は恋人と違って別れがない。
歳をとっても仕事を持って家庭を持っても真島とはツルんでたいし、遊びたい。
灰谷は思った。
にしても真島、よく寝てんな。
ふわ~。
灰谷は大きなあくびをした。
眠い。
明日美と一晩過ごしてみて自分が他人といるとよく眠れない事を灰谷は知った。
いやあ……セックスって……エゲツな……ケツに……オレ、あんな声……。
昨日のモロモロが頭の中でリフレイン……。
ちょっとゲロ吐きそう。
「おい」
急に声をかけられてビックリして振り返る。
灰谷だった。
今、一番顔を見られたくないし、見たくない男の顔が……。
「昨日オマエなんで電話に出ねえんだよ」
「朝っぱらから、うっせえよ」
カギカギ。家のカギが見つからない。
ポケットを探る。
「つうかもう昼だ昼。どこ行ってたんだよ。メシか?」
「うっせえな、オマエはオレの母ちゃんか」
「節子じゃねえよ」
「人の母親呼び捨てにすんな」
あっ、あった。
早く逃げたい。
「節子はオレが節子っていうと喜ぶぞ」
「ババアだからだよ」
カギをあけて中に入ろうとすると灰谷がついて来ようとする。
「なんだよ」
「え?何が?メシ食おうぜ」
コンビニの袋を見せる。
「腹減ってねえよ」
言ったそばからグ~と腹が鳴ってしまった。
「なっ」
灰谷が言う。
何が 『なっ』 だ。
灰谷のやつ、なんでいつもより気持ちテンション高いんだよ。
「オレ、コーヒー」
「自分で淹れろ。着替えてくっから」
「ウッス」
あ……。
台所に向かう灰谷からふわりと……。
階段を上る。
腰がダルい。ケツが痛い。股関節が痛い。つうかなんかダルい。
部屋に入るとTシャツを脱ぎ捨てる。
チクショウなんでいるんだよ。
昨日来れねえって言ったの自分じゃねえか。
つうか……ヤってんじゃねえよ!
灰谷からは昼だというのに、ほのかにボディーシャンプーのニオイがした。
そういうことだろ?
まあオレもか。
もういいや。どうでもいい。
オレはベッドに座りこみ頭を抱えてふーっと息を吐いた。
疲れた。頭まわんねえ。
*
灰谷がコーヒーを淹れ終わり、しばらく経っても真島は降りて来なかった。
「おーい真島~。真島~。全部食っちまうぞ~」
灰谷は二階に向かって叫んだ。
返事はない。
「無視かよ。上等だ」
トントントン灰谷は二階に上がる。
「お~い真島~」
真島は眠っていた。
上半身裸のままベッドで汗をかきながら爆睡していた。
なんで裸?
つうかこいつ、色白いな。
灰谷は改めて思った。
真島は高梨明日美より白かった。
そして女みたいに細いカラダ。
薄ピンクの乳首。
見ようによってはエロかった。
その時、真島はう~んと寝返りを打って、股の間に両腕をはさむポーズになった。
灰谷から笑みがもれた。
真島は子供の頃から、寝る時、このポーズだった。
眠る真島の額に汗がにじんでいる。
灰谷は窓を閉めて、エアコンをつけた。
タオルケットを腹にかけてやろうとしたところで、灰谷はそれに気がついた。
首の後ろ、真後ろ、その少し下。
Tシャツでぎりぎり隠れるところ。
でも絶対に自分ではつけれないところ。
真島の白い肌にクッキリと残る薄ピンクのうっ血した痕。
――キスマーク。
こいつももしかして昨日……。
そっかそっか。
童貞卒業か。
ん?
昨夜具合悪そうに歩いてたって言ってなかったか?高梨さん。
やっぱ見間違いか?
♪~
灰谷のスマホの通知音が鳴った。
クレーンゲームでとってやったぬいぐるみを抱えて微笑む明日美の写真とメッセージ。
『灰谷くん、スキ♥』
スキ……か。
スキ、ねえ。
灰谷はベッドの脇に腰を下ろし、返信した。
『うん』
♪~
明日美からすぐ返信が来た。
『また後でね♥』
『うん』と送り返し、灰谷はふーっと息を吐いた。
灰谷は昨夜の明日美とのセックスを思い返した。
よかった……よなあ。
気持ちよかった。うん。
初めての中学二年の時はあまり余裕がなくてよくわからないまま終わってしまったけれど今回は……。
高梨明日美の胸は佐藤の言っていたようにかなり大きかった。
感触は特大のマシュマロのようで。
そして甘い声。
自分の一挙手一投足に反応する甘い声とやわらかいカラダ。
何より自分の事を好きなのがジワジワと伝わってきた。
一生懸命でとてもカワイかった。
でも……スキなのかと問われると……?
もちろんキライではないけれど。
ああ、こんなこと思っちゃ高梨さんに悪いなと灰谷は思う。
あんなに必死の思いで『初めて』をくれたんだ。
大切にしよう。
大事にしなきゃな。
灰谷は真島の寝顔を見つめる。
真島はどうだったんだろう。
なあ良かった?セックス。
好きなやつとしか付き合えねえとか言ってたけど。
真島は本当に好きなやつとできたのかな?
「フーッ。暑っちい」
灰谷は胸元をパタパタさせた。
でもな。
究極、性欲がなかったら、女なんか要らないような気もする。
話つまんねえし。
ぶっちゃけ真島たちと遊んでる方が面白いのは面白い。
……まあ違うベクトルの話なんだろうな。
それにしても。
真島は子供みたいに無防備に眠っていた。
眠る真島の顔は女みたいにキレイだと思う。
真島。
真島がもし女だったら。
この間の話みたいに、真島マコだったら……。
違う気がした。
きっと女じゃないから、いっしょにいられるのだろう。
対等でそれぞれの足でキッチリ立った男と男同士だから。
何より友達は恋人と違って別れがない。
歳をとっても仕事を持って家庭を持っても真島とはツルんでたいし、遊びたい。
灰谷は思った。
にしても真島、よく寝てんな。
ふわ~。
灰谷は大きなあくびをした。
眠い。
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