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第00話 

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このお話は拙作『ナツノヒカリ  ~親友への片思いをこじらせる高校生男子・真島くんのひと夏の物語~』https://www.alphapolis.co.jp/novel/114322914/596749084
続編となっております。
初めての方はそちらからどうぞ。

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「げえ~マジかよ~~」

スマホチェックしていた真島がそう言って机につっぷした。

真島・灰谷・佐藤・田中、略してマジハイサトナカ。
いつものメンツで学校の昼休み、お腹も満たされ、まったりしている時の事だった。

「なになにどした? 真島?」

好奇心旺盛な佐藤が目をキラキラさせて声をかける。


「バイト先の店長から。今日もシフト入れないかって」

真島は顔も上げずにそう続ける。

「よっ!勤労少年!」
「よっ!副店長!」

早速サトナカから声が飛ぶ。

「ぐわ~いやだー。ゲーム~。ゲームして~~」真島は手足をバタバタさせた。


「子供か!自分で言ったんだろ。空いたシフト全部入れますって」

佐藤のめずらしいド正論だった。

「言ったけど~今日行くと五日連続になんだよ。イヤだ~~」

本当にイヤなのだろう、手足バタバタをくり返す。


「なになに? 灰谷きゅんの取り立て、そんなにキツいの?」
「よっ、ヤミ金ハイタニくん!」

この夏、真島と灰谷は原付バイクを購入した。
その費用は灰谷が立て替えた。
元々バイト代や小遣いを貯めたものだし。置いておくのも真島に貸すのも変わりはない。
いつでもいいよと真島に言った。
それに何より、自分が誰にも相談せずにしたことなのだ。

夏休み、一人で旅に出た真島が帰ってきた時、喜ぶかなと思ったから。
いや、早く帰りたいと思ってくれたらいいなと思ったから。
そんな単純な動機だった。
案の定、真島は喜んだ。メッチャ喜んだ。

だが、真島の母・節子にとって、事はそう簡単なことではなかった。
何せ真島が内緒で原付免許を取ったことがわかった時も、バイクは危険だと買わせなかったぐらいなのだ。
事後承諾をねらったが、話し合いはモメにモメた。


サトナカの灰谷イジリに「ちげえよ~」と真島がやっと顔を上げた。

「灰谷には母ちゃんが返したの、バイク代は。で、オレはいま、母ちゃんに返してんの」
「んじゃ、そんなに急がなくてもいいじゃん。ゆっくり返せばさ」と佐藤が言えば、
「だから、それがさ~。条件つけられてさ~。支払い終わるまで自由にはさせないって言われてんの!」

真島は机を叩く。

「なんだよそれ。なんで佐藤くんに怒るんだよ。おカド違いとはこの事だ!」

佐藤が机を叩き返す。

「はあ~つーか、しんどい~眠い~ゲームして~」と大あくびすると真島はまた机につっぷした。


「よっ、借金王(シャッキング)! ショッキング!」佐藤がはやし立てれば
「佐藤、さすがにそのダジャレ、キツい。オヤジギャグ」中田がツッコむ。
「なんだよ中田きゅん。ダブルツッコミじゃないと落ちないよ」


静観していた灰谷は口を開いた。

「オレ、代わってやろうか、シフト」
「え? マジ?」真島はくるりと首だけ回して灰谷を見た。

「オマエ、ここんとこ働きすぎだろ。いいよ。オレ出るよ」

「灰谷きゅん、カッコいい~」
「よっスパダリ!」


真島はガバリと起き上がり、「助かるわ~。頼む、灰谷。今日だけ。今日だけ頼む」と手を合わせた。

「いや別にいいけど。つうか佐藤の言う通り、そんなにムリして返さなくていいだろ」
「ダメだ。借金は借金。親しき仲にも礼儀あり。つうかオレは自分の好きにバイク乗りてえの!」

まあな、あの条件じゃあ無理もないか、と灰谷も思う。

「んじゃ、灰谷が行きますって連絡返しとくわ」
「おう」
「いやった~ゲームゲームゲーム三昧っ」

真島は小躍りしながらスマホに向かった。
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