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3章 ダンジョンアタック

アルケミーショップ(給湯器屋)

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 猫耳娘のワトスンが経営するアルケミーショップにやって来た。


「いらっしゃいませー、本日のオススメは給湯器となっておりまーす」


「いつだって給湯器推しじゃねーか!」


 なんでこんなにも給湯器ばかり充実してんだか……。


「あー君かー、大活躍だったみたいだね。 あの後、君の魔道銃と同じものが無いかって問い合わせが何件か来たよ」


「そうか、魔道銃に店の名前でもデカデカと書いておけばもっとたくさん人が来たかもな良かったか?」


「君は天才かー!」


 ワトスンは、それは名案だとばかりに、耳がピンと立ち目を見開いている。
 そう言えばこの店の名前なんだったけな?
 特に看板とか出て無かったはずだが、店の名前を書いて、この店だってわかるのだろうか?


「あーそうそう、ご注文の品はまだ出来て無いよ、やっと機関部が出来たぐらいかな」


「時間がかかるだろってのはわかってるから大丈夫だ。 今日は別件で来たんだ」


「それなら、新型の給湯器があるよー」


「増えたんかい! というか、給湯器ってそんなに売れるのか?」


 俺が要らないだけで、実は密かな人気が出てきたとかか?


「何を言ってるんだ、あんまり売れないからオススメしてるんじゃないかー」


「売れないのに新しい給湯器が増えたのかよ!?」


「携行水作るのに使うからねー、日々効率を考えて新型の制作をしてるのさ。 新しいのが出来たら、前のは使わないわけだからココで売ってるんだよ」


「あれ全部中古だったのかよ!」


 謎は解けたが、ツッコミは止らない。


「それで、どの給湯器を買ってくの?」


「買わねえよ!?」


 あー、でも家貰ったら風呂用と飲食用にに2つくらい買っても良いかもしれないな。


「スタンピードの原因のダンジョンを探す依頼を受けてな、なんか特殊な魔力?だかそういうのを探知する魔道具で発見出来ないかと思ってな」


「なるほど、ダンジョン探しかー。 そういう事であれば、この、アンドレア・ワトスン・ゴールデン・ローゼンタールにおまかせあれだよ」


 また後半の名前が違うけど、もう突っ込まないぞ。


「それで、そのダンジョン探しには、今日すぐに行っちゃう感じなのかな? 流石にダンジョンを探すような物のご用意は無いから今すぐってわけにはいかないよー、それに魔道銃の制作も後回しになっちゃうんだけど構わない?」


 無いけど作れるってことだよな? でも、どの位で作れるかにもよるか……。
 金額はともかく流石に何年も時間がかかるなら本末転倒だ。


「時間はどのくらい掛かかりそうだ? 一応まだ情報集めやら準備やら始めたばかりだから今日中にってことはないが、面子が揃って情報が集まり次第出発になるはずだから早ければ明日、遅くとも3日くらいでなんとかなるなら、頼みたいんだが」


「給湯器だったら販売から設置、その後の訪問アフターケアまで今すぐ対応可能なんだけどね。 でも有り物の調整とかで対応可能だと思うから、今日一日時間がもらえるなら大丈夫だよー」


「そうか、それは助かる、金額はそっちの言い値で構わない」


「じゃー、幾らか考えとくね、あと依頼に出るなら携行水のご入用はー?」


 特に出すことも無かったせいで、水ならアイテムボックスに大量に入ってる。


「あーすまんが、そっちは他で大量に準備済みだ」


「それは残念、この街で一番安くて品質が良いのはうちだから、次の機会があったらよろしくねー」


 随分と自信があるようだが、水だったらタダで手に入るからな。ミネラル分を残してるから味も悪くないし。


「まあ機会があったらよろしくな」


「準備が整ったらギルドに知らせに行くね」


「それは助かる」


 パーティで行動するなら必用になるかもしれないと、人前で使うようの一般的な薬品類を一通りと、明かりの魔道具を購入したら、お得意様だからとオマケで持ち運びに便利な給湯器をくれた。
 結構な値段がついていたと思うが良いのだろうか?
 まあ、良いのだろうな、自作な上に中古なわけだし……。


 薬草などから作られている薬品類はアイテムボックスに入らないので、そのまま持ち運ぶハメになったが、LVでステータスが上がっているせいかそこまで重いと感じることもなく持つことが出来た。


「あとは、エーリカを探して声をかけてみる以外に何すりゃ良いかな?」


 慌てて動こうとした時すっ転んだから、ドグラスの親父さんの所で、今使ってる靴にスパイクをつけて貰った方が良いか。


 探す方はともかく、発見したら軽くとはいえ情報のないダンジョンに潜るというのだから、そのための準備もしておかなければならないだろう。
 魔導銃を自重無く撃ったら落盤とか起こりそうだし、武器も考えないと駄目だな。
 そうやって、改めて考えてみると、結構準備しなければならないものが多いようだ、流石にゲームと同じ感覚で準備するわけにもいかないので、考えつく範囲で準備をして、あとでアリーセに聞いたほうが良さそうだ。


 役に立ちそうなスキルとかも、痛い目に合わないで取れそうなものを取って、有効に使えそうなアイテム類を用意しておくか。


 考え事をしながら歩いていたら、いつの間にか白兎亭の前まで来ていた。
 無意識に足が向いたようだ。


「家を貰うってなったけど、ここでの生活は気に入ってるんだよなぁ。 風呂はないけど掃除も洗濯も食事の用意もしてくれるし……」


 家を貰ったらそれらは自分でやらねばならないと思うと、貰うだけ貰ったらそっちは放置してこっちに住み続けようかとも考えてしまう。


「まあ、まだ貰ってないし、今はダンジョンのことを考えよう」


 そんなわけで、俺は白兎亭の自分の部屋に戻り、チートツールとにらめっこしながらしばしの間引きこもるのだった。
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