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1章 異世界転移

冒険者ギルドとジョブの話

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「あ、ステータスブック見たならジョブはわかったんでしょ? 差し支えなければ聞いても良い? 計算早いしやっぱり商人?」

「あ、いや、ノービスだったよ」

「へー、じゃあ冒険者だったのかしら?」

 ノービスとは初心者や新米的な意味のジョブだ、FADでは新米の冒険者としてチュートリアルを進めていく仕様だったのだ。
 ゲームでは0次職等と呼ばれる初期のジョブで、他の上位職と呼ばれるジョブに転職する前の基本職より、さらに前に該当するジョブだ。その為ステータスに特徴は無く平均的で特化する部分が無いため、一部のコアなプレイヤー以外は、条件を満たしたらすぐに別のジョブになるのが普通だ。
 俺はレベル1でジョブを変える間もなくこの世界に来たのでノービスのままなわけだ。
 FADではアップデートの度に増えていき、覚えきれないほどに非常に多彩なジョブがあった。
 複合職もあり多過ぎて全部は登録していないのだが、主要なジョブには一応チートツールを使って変更する事が出来る。
 だがしかし、ジョブを変えると当然ジョブに合わせてステータスが変化してしまうから、ちょっと……いや、かなり怖くてジョブを変える勇気はないけどな!

「冒険者だったんなら、ギルドに行けば登録情報があるんじゃない? 色々分かるかもしれないわね」

 無いと思います。

「でも、ジョブと実際の仕事が同じとは限らない……よな?」

 この世界でも同じかわからないが、FADでは、その自由度の高さから戦闘系のジョブだけど、生産系の人や、生産系のジョブなのに、前線でバリバリ戦っている人なども居たのである。ジョブと言いつつ、ちっとも職業ジョブではなかったのだ。

「それはまあ、確かに知り合いにファイターなのにお菓子作って売ってる人居るし……。でも可能性としてはあるでしょ?」

「そうだねって、そんな奴がいるんかい!」

「居るよ~、ジョブなんてそうそう変わるわけじゃないから、ジョブとやりたいことが一致することの方が少ないんじゃないかな?」

「え?ジョブって変えるの難しいの?」

 FADでは、難易度の差はあったが各ジョブに付随したイベントをクリアすることで、そのジョブになることが出来た。その後も一度なったジョブにはイベント進行中以外であれば自由に入れ替えることが可能だったのだが、この世界では違うらしい。
「そーだよ、ジョブはいつの間にかなってるもので、修行したり鍛えたりしてある程度方向性は決められたりするけど、選んでこのジョブに~とは出来ないわ。まあ、自分の才能がわかるガイドラインみたいなものかしら?」

「なるほど、才能に合わせた道を進むか、才能はなくても夢を追いかけるかみたいな感じか?世知辛いな……」

「そうそう、やりたいこととジョブが完全に一致してたらそれは幸運なことね。まぁ私みたいな冒険者は、どうしたって命がかかってるから、ジョブに合ったことをしている人が多いわよ? ちなみに私のジョブはレンジャーよ。弓の扱いと野外活動は任せて!」 

 一撃でデカイモンスターを屠るほどですね?頼りにしてます!

「でも、だとしたら、俺が冒険者とは限らないよね?」

「それはそうだけど、冒険者になりたくて見習いをしている子とか、戦闘系じゃないジョブだったけど冒険者になったとかの人が、新米の頃にノービスになっていることが結構多いのよ。一応剣の扱いも様になってたし、可能性としては高いんじゃないかな?」

 無いと思います。

「あ、レベルとかって、聞いたりするのもマナー違反?」

「そうね、基本的には信頼出来る仲間くらいにしか言わないわね。イオリも自分から言わない方が良いわよ?」

 確かに俺の場合上がるだけじゃなく下げる事も出来るから言うわけにはいかないから、都合は良いな。
 当分変える気は無いが……。

「じゃあ、冒険者の各ランクが大体レベルどのくらいなのか目安を教えてくれ」

「目安? そうだなあ、冒険者のランクはランク外の見習いを除けば、Gから始まるんだけど……」

 説明を纏めると
G 5〜10
F 10〜15
E 15〜25
D 25〜40
C 40〜60
B 60〜80
A 80〜100
S 100以上

 といった所だそうだ。もちろん、功績を上げて低いレベルでランクが上がることもあれば、逆もまたしかりだ。
 このレベルが表す強さと、俺のステータスのレベルでの強さは、多分一致してないんじゃ無いかと思う。Cランク間近と言っていたアリーセは、おそらくレベル40前後なんだろう。
 3倍から4倍で同等くらいだろうか? レベル160にするとか恐ろしくて考えたくないな。

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