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4.本物の悪役令嬢にダメ王子を押し付けて本当に良かった……あとは任せた!私、幸せになります!
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◇◇◇
一月後。ジェームズは伯父であり、現トットランドの国王夫妻の養子として、隣国の王太子になることが決まった。現国王陛下には最愛の王妃との間に子どもがいないため、かねてよりジェームズに養子の打診をしていたらしい。
トットランドの王宮でジェームスの事務官になっていたリアナは、その話を聞いて仰天した。
「ちょ、ちょっと待って!ジェームズ、あなたが王太子になるなんて聞いてなかったんだけど」
「うーん、僕もそんなつもりはなかったんだけどね。伯父夫婦に子どもがいないことは知っていただろう?」
「そ、それは知っていたけど、てっきり王弟殿下のマクバリー公爵閣下が後継者になると思っていたから」
ジェームズの実の伯父であるトットランドの現国王には後継となる子どもがいないため、次代の王は王弟のマクバリー公爵閣下が有力視されているという話は聞いたことがあった。トットランドの将軍として王国軍を率いる彼は民の人気も高く、アレクの養い親でもあるらしい。
「マクバリー公爵は素晴らしい人だが、いかんせん彼も子どもに恵まれなくてね。後妻の連れ子である公爵令嬢はあの通りの人だし……」
「ああ……」
無事アーロンの婚約者に治まったティーナは学園内のみならず、ラグランド国内で女王のようにふるまい、あまりの傲慢さにアーロンさえ音を上げるほどだとか。けれども皆の前で大々的に婚約発表をして迎えた婚約者のため、無碍にもできずに困り果てているらしい。
中には「トットランドが我が国を内側から崩壊させるために送り込んだ刺客なのでは!?」と噂する人もいるとか。もし彼女がトットランドに残ったままなら、ジェームズの婚約者候補になることも十分考えられたわけで……
「まあ、兄上は他人に振り回される人の気持ちを少しは学んだらいいと思うよ」
「そ、そう、ですわね」
リアナはにっこり微笑むジェームズから思わずそっと目を逸らした。
「それでリアナにお願いがあるんだけど」
ジェームズはそっとリアナの手を取ると、上目遣いに見つめてくる。
「あ、ごめんなさい。なにかしら?私にできることならもちろんなんでも協力するわ」
「もう一度、王太子の婚約者になってくれないかな?今度は僕の。ダメ、かな?」
ジェームズのストレートな言葉にきゅんとする。あれからジェームズは遠慮なくリアナにぐいぐい迫ってきており、その子犬のような愛らしい瞳で見つめられるとリアナは弱いのだ。どんなお願いでも叶えてしまいそうになるから。
「だめ……では、ありませんわ」
こほん、っと咳払いすると、嬉しそうに抱き着いてくるジェームズ。
「ありがとう!絶対に大切にするからね!あ、君の家族もトットランドで暮らせるように手配しておいたから。君の父上には僕が相続した母の領地経営を任せたいと思っているんだ。君の弟はマクバリー公爵が引き受けてくれるらしいし、安心してお嫁においで」
「ジェームズ……」
ああ、やはりこの人を選んでよかった。例え国を裏切っても、後悔なんてしていないわ。
「褒めてくれる?」
「大好き!」
リアナはジェームズの腕の中に飛び込んでにっこりと微笑む。
全部誰かの計算通り。けれどもこの恋心だけは、まぎれもなく本物だから。あとは本物の悪役令嬢に全てお任せするわ!
おしまい
一月後。ジェームズは伯父であり、現トットランドの国王夫妻の養子として、隣国の王太子になることが決まった。現国王陛下には最愛の王妃との間に子どもがいないため、かねてよりジェームズに養子の打診をしていたらしい。
トットランドの王宮でジェームスの事務官になっていたリアナは、その話を聞いて仰天した。
「ちょ、ちょっと待って!ジェームズ、あなたが王太子になるなんて聞いてなかったんだけど」
「うーん、僕もそんなつもりはなかったんだけどね。伯父夫婦に子どもがいないことは知っていただろう?」
「そ、それは知っていたけど、てっきり王弟殿下のマクバリー公爵閣下が後継者になると思っていたから」
ジェームズの実の伯父であるトットランドの現国王には後継となる子どもがいないため、次代の王は王弟のマクバリー公爵閣下が有力視されているという話は聞いたことがあった。トットランドの将軍として王国軍を率いる彼は民の人気も高く、アレクの養い親でもあるらしい。
「マクバリー公爵は素晴らしい人だが、いかんせん彼も子どもに恵まれなくてね。後妻の連れ子である公爵令嬢はあの通りの人だし……」
「ああ……」
無事アーロンの婚約者に治まったティーナは学園内のみならず、ラグランド国内で女王のようにふるまい、あまりの傲慢さにアーロンさえ音を上げるほどだとか。けれども皆の前で大々的に婚約発表をして迎えた婚約者のため、無碍にもできずに困り果てているらしい。
中には「トットランドが我が国を内側から崩壊させるために送り込んだ刺客なのでは!?」と噂する人もいるとか。もし彼女がトットランドに残ったままなら、ジェームズの婚約者候補になることも十分考えられたわけで……
「まあ、兄上は他人に振り回される人の気持ちを少しは学んだらいいと思うよ」
「そ、そう、ですわね」
リアナはにっこり微笑むジェームズから思わずそっと目を逸らした。
「それでリアナにお願いがあるんだけど」
ジェームズはそっとリアナの手を取ると、上目遣いに見つめてくる。
「あ、ごめんなさい。なにかしら?私にできることならもちろんなんでも協力するわ」
「もう一度、王太子の婚約者になってくれないかな?今度は僕の。ダメ、かな?」
ジェームズのストレートな言葉にきゅんとする。あれからジェームズは遠慮なくリアナにぐいぐい迫ってきており、その子犬のような愛らしい瞳で見つめられるとリアナは弱いのだ。どんなお願いでも叶えてしまいそうになるから。
「だめ……では、ありませんわ」
こほん、っと咳払いすると、嬉しそうに抱き着いてくるジェームズ。
「ありがとう!絶対に大切にするからね!あ、君の家族もトットランドで暮らせるように手配しておいたから。君の父上には僕が相続した母の領地経営を任せたいと思っているんだ。君の弟はマクバリー公爵が引き受けてくれるらしいし、安心してお嫁においで」
「ジェームズ……」
ああ、やはりこの人を選んでよかった。例え国を裏切っても、後悔なんてしていないわ。
「褒めてくれる?」
「大好き!」
リアナはジェームズの腕の中に飛び込んでにっこりと微笑む。
全部誰かの計算通り。けれどもこの恋心だけは、まぎれもなく本物だから。あとは本物の悪役令嬢に全てお任せするわ!
おしまい
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