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第3章 おてんば姫の冒険録
43 束の間の平和
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♢♢♢
「それで、国王陛下にはどこまでお話したの?」
気を取り直してアデルに向き直るティアラ。アデルはまだ、ティアラを見つめて目を潤ませていたため、ミハエルが代わりに言葉を繋ぐ。
「エスドラドの現状と周辺諸国への警戒。後は魔物の異常発生に対して、教会が何らかの関与をしている可能性がある……ってところかな」
「教会の関与……」
魔物の発生にアリステア教会の関与を示唆され、考え込むティアラ。アリステア教会は、回復魔法こそ女神の祝福を受けた至高の魔法としている。そのため、各地に誕生する聖人や聖女を保護名目で囲い込み、これまでに力を付けてきた。
ティアラにも、これまで何度となく教会に帰依するように勧告がきた。その力を教会に捧げないのは罪であると言わんばかりに。
そのたびに、父や兄たち、エリックが退け、助けてくれたのを知っている。だからこそ、回復魔法が特別なものになりすぎないように、ポーションの開発を急いだのだ。誰でも気軽に怪我を治せるように。
様々な病に聞く薬草の開発も進み、この数年でアリシア王国の医学は劇的に進化を遂げた。後は、栽培方法と製造方法を広めれば、今よりもっと多くの命が助かるはずだ。
だが、教会にとって、果たしてそれは良いことだったのだろうか……。誰もが教会に助けを求めずにはいられない状況こそ、教会が望む民との関わりなのだとしたら。
「それが本当なら、なんて、愚かなの……」
思わずポツリと漏らしたティアラの言葉に、誰もが口をつぐんだ。
♢♢♢
「はいあなた、あーん」
「こらこら、客人がいらっしゃるんだぞ?」
「あら、いけない!私ったらつい、いつもの癖で……」
その夜、ぜひ食事をともに、と誘われたティアラとアデルは、国王一家とともに晩餐の席についていた。本当は久し振りの一家団欒を邪魔したくなかったのだが、なぜか二人に一緒にきて欲しいと頼まれたのだ。
ちなみにエリックとセバスはそれぞれ用事があると出掛けてしまった。
「はぁ。相変わらずですね」
「だから嫌だったんだ。なんのために師匠とティアラを呼んだと思ってる。いい加減恥ずかしいからやめろ」
しかし、息子たちの冷えきった視線をものともしない、仲睦まじい国王夫妻の様子に、ティアラはほっこりしていた。
「いいじゃない。ご夫婦がお互いを想い合うのは素敵なことでしょ」
「限度があんだよ」
「仲が良いのは結構だけど、年がら年中見せ付けられると流石に……」
息子たちの苦言にも、リアナ王妃は涼しい顔だ。
「あら、自分達が好きな子に相手にされていないからって、僻むのはやめて頂戴」
ピシャリと言われて、うぐっと言い澱む二人。笑ってはいけないと思いつつ、つい笑ってしまうと、「お前が笑うな!」「誰のせいだと思ってるの?」と軽く睨まれてしまい、慌ててすました顔を作る。
ノイエ王国での時間は、和やかに過ぎていった。
♢♢♢
「でも寂しいわ。せっかく逢えたんだもの。もう少しゆっくりできたら良かったのに」
飛竜に乗ったティアラたちを、国王夫妻と宰相、わずかな護衛の兵が見送ってくれる。数日後、慌ただしくノイエ王国での調査を終えた一行は、次なる地を目指して旅立つことになった。
「申し訳ございません、王妃様。事態は一刻の猶予も許さないようです。教会の動きも気になる今、一刻も早くアリステア王国に向かう予定です」
「うむ。何かあればノイエ王国としても支援を惜しまない。ジャイル、ミハエル。己が信じる道を行け」
「おう。またな」
「父上と母上も、身辺十分お気を付け下さい」
「なに、案ずるな。この国ひとつ、守れずして何が王か」
「私たちは大丈夫。でも、ちゃんと小まめに連絡を寄越すのよ。こちらから連絡してもちっとも出ないし、城にも帰ってこないし。本当に息子なんて薄情なんだから。あなたたちはいつも……」
「ストップ!分かったよ。もっとちゃんと連絡する」
「……絶対よ?」
まだ言い足りないと言わんばかりのリアナ王妃の肩を、ノイエ国王がそっと抱く。
「リアナ、大丈夫だ。息子たちは良い男に育っている。案ずるな。なすべきことを果たせば、いずれ戻る。今は、笑顔で送ってやれ」
「あなた……はい。行ってらっしゃい、二人とも。必ず、帰ってらっしゃい」
「ああ」
「ありがとう母上」
「本当に、愛想も無いんだから」
リアナ王妃はそっと涙を拭うと、笑顔で手を振る。
「ティアラちゃんも。また絶対に逢いましょうね」
リアナ王妃の言葉に瞳が揺れる。
「……ええ。きっと。そう、願っています」
王妃たちは、空高く飛び立った飛竜を、いつまでも見送っていた。
「また行ってしまったわね」
「ああ。寂しいもんだな」
「本当に、子どもなんてあっという間に大きくなるのね。好きな子を見付けたら、親なんて放ったらかし」
「息子たちのことは責められんな。私もお前の側はいつだって離れがたい」
「……あなたったら。愛しているわ。息子たちにも、いつか愛する人が微笑んでくれると良いわね」
「ああ」
「それで、国王陛下にはどこまでお話したの?」
気を取り直してアデルに向き直るティアラ。アデルはまだ、ティアラを見つめて目を潤ませていたため、ミハエルが代わりに言葉を繋ぐ。
「エスドラドの現状と周辺諸国への警戒。後は魔物の異常発生に対して、教会が何らかの関与をしている可能性がある……ってところかな」
「教会の関与……」
魔物の発生にアリステア教会の関与を示唆され、考え込むティアラ。アリステア教会は、回復魔法こそ女神の祝福を受けた至高の魔法としている。そのため、各地に誕生する聖人や聖女を保護名目で囲い込み、これまでに力を付けてきた。
ティアラにも、これまで何度となく教会に帰依するように勧告がきた。その力を教会に捧げないのは罪であると言わんばかりに。
そのたびに、父や兄たち、エリックが退け、助けてくれたのを知っている。だからこそ、回復魔法が特別なものになりすぎないように、ポーションの開発を急いだのだ。誰でも気軽に怪我を治せるように。
様々な病に聞く薬草の開発も進み、この数年でアリシア王国の医学は劇的に進化を遂げた。後は、栽培方法と製造方法を広めれば、今よりもっと多くの命が助かるはずだ。
だが、教会にとって、果たしてそれは良いことだったのだろうか……。誰もが教会に助けを求めずにはいられない状況こそ、教会が望む民との関わりなのだとしたら。
「それが本当なら、なんて、愚かなの……」
思わずポツリと漏らしたティアラの言葉に、誰もが口をつぐんだ。
♢♢♢
「はいあなた、あーん」
「こらこら、客人がいらっしゃるんだぞ?」
「あら、いけない!私ったらつい、いつもの癖で……」
その夜、ぜひ食事をともに、と誘われたティアラとアデルは、国王一家とともに晩餐の席についていた。本当は久し振りの一家団欒を邪魔したくなかったのだが、なぜか二人に一緒にきて欲しいと頼まれたのだ。
ちなみにエリックとセバスはそれぞれ用事があると出掛けてしまった。
「はぁ。相変わらずですね」
「だから嫌だったんだ。なんのために師匠とティアラを呼んだと思ってる。いい加減恥ずかしいからやめろ」
しかし、息子たちの冷えきった視線をものともしない、仲睦まじい国王夫妻の様子に、ティアラはほっこりしていた。
「いいじゃない。ご夫婦がお互いを想い合うのは素敵なことでしょ」
「限度があんだよ」
「仲が良いのは結構だけど、年がら年中見せ付けられると流石に……」
息子たちの苦言にも、リアナ王妃は涼しい顔だ。
「あら、自分達が好きな子に相手にされていないからって、僻むのはやめて頂戴」
ピシャリと言われて、うぐっと言い澱む二人。笑ってはいけないと思いつつ、つい笑ってしまうと、「お前が笑うな!」「誰のせいだと思ってるの?」と軽く睨まれてしまい、慌ててすました顔を作る。
ノイエ王国での時間は、和やかに過ぎていった。
♢♢♢
「でも寂しいわ。せっかく逢えたんだもの。もう少しゆっくりできたら良かったのに」
飛竜に乗ったティアラたちを、国王夫妻と宰相、わずかな護衛の兵が見送ってくれる。数日後、慌ただしくノイエ王国での調査を終えた一行は、次なる地を目指して旅立つことになった。
「申し訳ございません、王妃様。事態は一刻の猶予も許さないようです。教会の動きも気になる今、一刻も早くアリステア王国に向かう予定です」
「うむ。何かあればノイエ王国としても支援を惜しまない。ジャイル、ミハエル。己が信じる道を行け」
「おう。またな」
「父上と母上も、身辺十分お気を付け下さい」
「なに、案ずるな。この国ひとつ、守れずして何が王か」
「私たちは大丈夫。でも、ちゃんと小まめに連絡を寄越すのよ。こちらから連絡してもちっとも出ないし、城にも帰ってこないし。本当に息子なんて薄情なんだから。あなたたちはいつも……」
「ストップ!分かったよ。もっとちゃんと連絡する」
「……絶対よ?」
まだ言い足りないと言わんばかりのリアナ王妃の肩を、ノイエ国王がそっと抱く。
「リアナ、大丈夫だ。息子たちは良い男に育っている。案ずるな。なすべきことを果たせば、いずれ戻る。今は、笑顔で送ってやれ」
「あなた……はい。行ってらっしゃい、二人とも。必ず、帰ってらっしゃい」
「ああ」
「ありがとう母上」
「本当に、愛想も無いんだから」
リアナ王妃はそっと涙を拭うと、笑顔で手を振る。
「ティアラちゃんも。また絶対に逢いましょうね」
リアナ王妃の言葉に瞳が揺れる。
「……ええ。きっと。そう、願っています」
王妃たちは、空高く飛び立った飛竜を、いつまでも見送っていた。
「また行ってしまったわね」
「ああ。寂しいもんだな」
「本当に、子どもなんてあっという間に大きくなるのね。好きな子を見付けたら、親なんて放ったらかし」
「息子たちのことは責められんな。私もお前の側はいつだって離れがたい」
「……あなたったら。愛しているわ。息子たちにも、いつか愛する人が微笑んでくれると良いわね」
「ああ」
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