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第二章 ロルフとリリアの危険な冒険!?
第10話 輝け!リリアの秘めたチカラとは!?
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◇◇◇
「じゃあロルフはこれからリリアちゃんとフェンの三人でパーティーを組むんだな?」
騎士団の誘いを断り続けていたロルフだが、パーティを組むとなると本格的に騎士団に加入することは難しくなる。アデルは残念そうに肩をすくめたが、ロルフの意思は固かった。
「そうだな。実はまだフェンがどの位力があるかも分かっていないんだ」
フェンリルの契約者となったリリアはロルフに頼らなくてもいいのかもしれない。しかし、フェンの実力が分からない以上、二人だけで冒険させることはためらわれた。何より単純に、ロルフはリリアのそばにいたかった。
「ギルドでランクアップテストを受けなかったのか?」
アデルは意外そうに声を上げる。どんな冒険者も少しでも可能性があるならと、大抵ランクアップテストを受けるものなのだ。しかも相手は伝説の神獣フェンリルである。その強さを知りたいと思ってしまうのはしかたのないことだろう。
「下手に目立ちたくないからな。フェンはEランクからのスタートだ。実をいうとリリアもまだEランクだしな」
「そうなのか?」
「まずは魔物をテイムすることを優先させていたせいで、薬草採取なんかの初心者向けクエストもやってないんだよ」
「あー、なるほどなぁ。じゃあ、今日一緒にやっていくか?」
「そうだな」
日が落ちるまではまだ時間がある。ロルフはアデルの提案に乗ることにした。二人の話が落ち着いたのを見てリリアとティアラが近づいてくる。
「アデルお兄様、お話は終わりましたか?」
「ああ、待たせてすまないな。こっちは大丈夫だ。ティアラはリリアちゃんと何を話してたんだ?」
「フェンリルとの生活についてのアドバイスと簡単な魔法の使い方かな?」
リリアはなにやら真剣な顔で考え込んでいる。
「リリア?大丈夫か?」
「あ、ああロルフ!大丈夫だよ。ティアラ様から色々教えて貰ってたんだ!フェンのご飯とか、力の分け与え方とか」
「そんなのまで知ってんのか……すげえな」
ティアラはロルフににっこり微笑むと、
「フェン君おいでー!」
とフェンに向かって手を振った。フェンはしっぽをブンブン振りながらティアラの前にやってくる。
「よーしよしよし!いいこだねー」
目をキラキラさせて撫でられる様子を見ると、どっちが契約者だかわからない。
「なあ、神獣は契約者にしか服従しないんじゃなかったのか?」
ロルフがぼそっと呟くと
「僕は女神様の眷属です!女神様が最優先です!」
ときっぱり言い放つ。フェンの中でティアラはすっかり女神認定されているようだ。
「あはは、女神様じゃないよ。ティアラって呼んでね?」
ティアラがフェンの頭をなでながら優しくお願いすると、フェンは真っ赤な顔でこくこくと頷く。
「はいっ!女神ティアラ様!」
「ティアラだよー?」
「はいいい!!!」
「おい、フェン、姫様が好きなのはわかったから取りあえず落ち着け」
ロルフが呆れたようにフェンの頭をポンポンと叩く。
「えっと、リリアさん、さっき言ったことフェン君に試して貰えますか?」
「は、はいっ!フェン、ちょっといいかな?」
「なんですか?」
「フェンに聖なる加護を!」
リリアの言葉と同時にフェンの体が光に包まれる。
「これはっ!?」
「ほ、ほええ?僕、どうなったの?」
光はしばらくすると収まったが、フェンは、自分の手や体を不思議そうに眺めている。
「リリアさんはフェン君と契約を結んでいるけど、まだ加護を与えてないみたいだったから。契約者に加護を与えられることで契約者の能力も使えるようになるんだよ」
「リリアの能力?」
「えーと、やっぱり回復魔法が使えるみたいなの」
リリアがロルフにこっそり耳打ちする。
「じゃあ、フェンも回復魔法が使えるようになったってことか!」
思わず大きな声を出してしまったロルフにリリアが慌てるが、アデルはすでにセバスとエリックの元に行っており、聞こえてはいないようだ。ティアラはにこにこしながら説明を続ける。
「フェン君の場合は人の傷を癒すことはまだ無理だけど、自分の傷はある程度癒せるようになったと思います」
「それは凄いな……」
「フェンリルといえどまだ力の弱い子どもですからね。しかも一度与えた加護はフェン君が死ぬまで消えることはありません。神獣の巫女との契約はフェンリルにとってとても役立つんですよ」
「私にも役立てることがあって良かった。この先守って貰ってばかりじゃ心苦しいもん。ティアラ様!本当にありがとうごさいます!」
「あ、ありがとうございます!」
「フェン、リリア、良かったな。姫様、感謝する」
「どういたしまして」
話を終えたティアラたちは早速薬草採取のクエストに取り掛かる。すでにセバスとエリックがかなりの量を採取していたため、ティアラはリリアとフェンの分を手伝うことにした。
「じゃあロルフはこれからリリアちゃんとフェンの三人でパーティーを組むんだな?」
騎士団の誘いを断り続けていたロルフだが、パーティを組むとなると本格的に騎士団に加入することは難しくなる。アデルは残念そうに肩をすくめたが、ロルフの意思は固かった。
「そうだな。実はまだフェンがどの位力があるかも分かっていないんだ」
フェンリルの契約者となったリリアはロルフに頼らなくてもいいのかもしれない。しかし、フェンの実力が分からない以上、二人だけで冒険させることはためらわれた。何より単純に、ロルフはリリアのそばにいたかった。
「ギルドでランクアップテストを受けなかったのか?」
アデルは意外そうに声を上げる。どんな冒険者も少しでも可能性があるならと、大抵ランクアップテストを受けるものなのだ。しかも相手は伝説の神獣フェンリルである。その強さを知りたいと思ってしまうのはしかたのないことだろう。
「下手に目立ちたくないからな。フェンはEランクからのスタートだ。実をいうとリリアもまだEランクだしな」
「そうなのか?」
「まずは魔物をテイムすることを優先させていたせいで、薬草採取なんかの初心者向けクエストもやってないんだよ」
「あー、なるほどなぁ。じゃあ、今日一緒にやっていくか?」
「そうだな」
日が落ちるまではまだ時間がある。ロルフはアデルの提案に乗ることにした。二人の話が落ち着いたのを見てリリアとティアラが近づいてくる。
「アデルお兄様、お話は終わりましたか?」
「ああ、待たせてすまないな。こっちは大丈夫だ。ティアラはリリアちゃんと何を話してたんだ?」
「フェンリルとの生活についてのアドバイスと簡単な魔法の使い方かな?」
リリアはなにやら真剣な顔で考え込んでいる。
「リリア?大丈夫か?」
「あ、ああロルフ!大丈夫だよ。ティアラ様から色々教えて貰ってたんだ!フェンのご飯とか、力の分け与え方とか」
「そんなのまで知ってんのか……すげえな」
ティアラはロルフににっこり微笑むと、
「フェン君おいでー!」
とフェンに向かって手を振った。フェンはしっぽをブンブン振りながらティアラの前にやってくる。
「よーしよしよし!いいこだねー」
目をキラキラさせて撫でられる様子を見ると、どっちが契約者だかわからない。
「なあ、神獣は契約者にしか服従しないんじゃなかったのか?」
ロルフがぼそっと呟くと
「僕は女神様の眷属です!女神様が最優先です!」
ときっぱり言い放つ。フェンの中でティアラはすっかり女神認定されているようだ。
「あはは、女神様じゃないよ。ティアラって呼んでね?」
ティアラがフェンの頭をなでながら優しくお願いすると、フェンは真っ赤な顔でこくこくと頷く。
「はいっ!女神ティアラ様!」
「ティアラだよー?」
「はいいい!!!」
「おい、フェン、姫様が好きなのはわかったから取りあえず落ち着け」
ロルフが呆れたようにフェンの頭をポンポンと叩く。
「えっと、リリアさん、さっき言ったことフェン君に試して貰えますか?」
「は、はいっ!フェン、ちょっといいかな?」
「なんですか?」
「フェンに聖なる加護を!」
リリアの言葉と同時にフェンの体が光に包まれる。
「これはっ!?」
「ほ、ほええ?僕、どうなったの?」
光はしばらくすると収まったが、フェンは、自分の手や体を不思議そうに眺めている。
「リリアさんはフェン君と契約を結んでいるけど、まだ加護を与えてないみたいだったから。契約者に加護を与えられることで契約者の能力も使えるようになるんだよ」
「リリアの能力?」
「えーと、やっぱり回復魔法が使えるみたいなの」
リリアがロルフにこっそり耳打ちする。
「じゃあ、フェンも回復魔法が使えるようになったってことか!」
思わず大きな声を出してしまったロルフにリリアが慌てるが、アデルはすでにセバスとエリックの元に行っており、聞こえてはいないようだ。ティアラはにこにこしながら説明を続ける。
「フェン君の場合は人の傷を癒すことはまだ無理だけど、自分の傷はある程度癒せるようになったと思います」
「それは凄いな……」
「フェンリルといえどまだ力の弱い子どもですからね。しかも一度与えた加護はフェン君が死ぬまで消えることはありません。神獣の巫女との契約はフェンリルにとってとても役立つんですよ」
「私にも役立てることがあって良かった。この先守って貰ってばかりじゃ心苦しいもん。ティアラ様!本当にありがとうごさいます!」
「あ、ありがとうございます!」
「フェン、リリア、良かったな。姫様、感謝する」
「どういたしまして」
話を終えたティアラたちは早速薬草採取のクエストに取り掛かる。すでにセバスとエリックがかなりの量を採取していたため、ティアラはリリアとフェンの分を手伝うことにした。
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