侯爵令嬢は限界です

まる

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前編

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「とても残念だよグラツィア。私が不慣れな事を不憫に思い気にかけていた事に嫉妬し、ここにいるリザベルタ嬢に度重なる嫌がらせをしてきたそうではないか」


何言ってんだこの馬鹿。
いけない。例え心の中であろうとも常に淑女に相応しい…。


「侯爵家だからと傲慢な態度に嫌がらせ!貴女の様な女は私に相応しく無い!グラツィア・レピエトラ侯爵令嬢、この場をもって婚約を破棄する!!」


本当に何言ってんだこの馬鹿。
しかし婚約破棄はありがたい。めっちゃ嫌だったんだもの、五体投地の全力感謝です。


「婚約破棄は承りました。リザベルタ嬢にわたくしが嫉妬をし苛めていたという事ですが」

「その通りだ」

「殿下に恋愛感情など全く抱いておりませんのでリザベルタ嬢に嫉妬いたしません」


は?と呟いて固まってる。当たり前だろうに。
初対面で「こんなのが俺の婚約者だと?」なんて言ってくる人間に好意何て持つわけないだろうが。その後定期的に茶会を開かされてその度に暴言を吐いてくる輩に歩み寄りもする気は無いわ。
後々の強制茶会は無言でただ時間が来るのを待ってる拷問タイムになってたのに覚えてないの?そういえば6~7回目辺りでこの男が来なくなって、1人お茶会だったわ。


「で、でもグラツィア様はわ、私と顔を合わせる度に厳しいお言葉を…」

「それは廊下を走らない。下のものから話しかけてはならない。婚約者でもない異性に必要以上に近寄らない、婚約者がいる男性に親密に取られる様な態度は取らない。と貴女に申し上げた事でしょうか」

「ひ、ひん。でも、私そんなつもりなんかなくて」


なんでこんな女にこの人達恋愛感情持てたの?
私の事傲慢とか言ってたけどこの女の方が傲慢じゃないの?
貴族社会のルール、平民社会のルール、その当たり前全てをこの女は学ばない。いや、聞きかじった事を都合よく解釈して気にくわない事は全部「ひどい」で突っぱねる。これこそ傲慢なんじゃないの?獣だって群れで生きる為にルールを守るっていうのに。獣ですらないこの女はなんなのよ。


「それと嫌がらせをわたくしがしたとの事ですが」

「そ、そうだ!嫉妬をしてリザベルタ嬢の私物を盗み出し、或いは壊したそうではないか!」

「制服も切り刻まれたり、教科書もノートもボロボロにされて私…。ひっく、ふぅう、酷いです!」

「する意味も必要もありません。先程も申し上げましたが殿下に愛情など一欠片もありませんので嫌がらせは致しません。逆にわたくしは落ち着く様皆様にお声掛けしておりました。淑女として自分を家を貶める様な事はなさらない様にと。それはリザベルタ嬢を守る意味でもあったのですが…。どうやら不要だった様ですわね」


関わり合いたく無かったけど、私の学年では女生徒の中で1番高位だったから仕方なく言ってたけどさ。本当はあんたらがどうなろうと知ったこっちゃなかったわよ。
本当にされたのか自作自演だか知らないけど、私達の学年は間違いなくやってないわよ。私のやる気ない死んだ魚の様な目での忠告に、皆様哀れみ向けられてたもの。もちろん私もしないわよ。嫌がらせに労力使うくらいなら裏からその女の家潰した方が有意義だもの。


「そ、それに私階段から突き落とされました!池にも落とされたりして…本当に怖かったんです!」

「リザベルタ嬢…」


だから!さっきから!私じゃないつってんの!!なのになんでこの人達私がやった前提で話してんの?
そもそもこれだけ爵位に差があって、通常の法律だとせいぜい注意されて罰金払うぐらいよ?事実であればね。しかもさっきからずっと証拠も無しで本人の証言だけでこんな事してるだなんて本当にすごいわ。殿下は文句無しの馬鹿でこの女は没落希望なのね。よし任せろ、承った!


「先程からわたくしにそうお2人はおしゃっておりますが、この様な人前でという事でしたら勿論確固たる証拠があるのですわね?」

「何を言う!貴女以外には有り得ない!!」


やっぱり証拠は無いのかい。こんのすっとこ馬鹿殿下が!反射神経のみで生きてるのか、脳みそ働かせろや!!


「仕方がございませんね。それでは裁判で決着をつけましょう」

「「え?」」

「当然の事でしょう?この様に名誉を著しく傷付ける様な事を証拠もなく決め付けでおっしゃるのですもの」

「私はただ一言謝っていただければそれで…」


何言ってんの人間である事を放棄した女が。
謝るわけないでしょうが。やってもいない事を!それにしても顔色悪くなってきたけどもやっぱり自作自演か。もしやその男が役に立つとでも思ってるのかしら。王家が誇れない、母子揃っての不良品に何か出来るわけないでしょうが。
母親である側妃も頭パヤパヤの金食い虫、息子の第3王子は頭ほやほやで実務能力0だからこそレピエトラ侯爵うちに王命使って無理矢理婿入りさせようとしたんだぞ?


「してもいない事に下げられる頭はありませんわ。ではわたくしはこれで失礼いたします」

覚悟しときなさいよ。








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