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〇10 赤、赤、赤
しおりを挟むその家は、一目で異様だった。
赤く塗られているからだ。
台所も、居間も、トイレも、玄関も、廊下も。
「安いけれど異様な内装です。それでもいいですか?」
お金がなかったある男は、住む家を格安で探していた。
多少のおかしさは、のみこむつもりだったが、あまりの惨状に案内されたときに声を失った。
「なんでこの家はこんなに赤いんですか?」
「それはわかりません。前の住人が精神に異常をきたしていたらしいですが、おそらくその関係でとしか」
案内役の男は理由を詳しくは言わなかった。
見るといった手前、すぐに出ることはできず、男はそれからも家を見回っていく。
壁も、床も、天井も、やはりいたるところが赤かった。
分厚い塗料のそれは、ペンキで塗られているようだった。
そしてすべて見終わった後、玄関で振り返った。
どうしてそうしたのか分からなかったが、男は振り返った。
すると、
「うわああああ!」
そこには血まみれの男と女、小さな子供、ペット、がいた。
「あの家で犯罪でもあったんですか。さっ、殺人事件でも!?」
「いいえ、そんな話はありませんよ」
「そっ、そうですか」
男と案内役の男は次の家へとむかっていく。
まだ、ほかに見なければいけない家があったので、男は時間を使わないようにとそれ以上追及しなかった。
「まあ、前の前の住人にはそんな事件がありましたが」
「えっ、なにか言いましたか?」
「いいえ、なにも」
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