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〇28 背中を押す理由 屋上

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 私は勇気を出せない彼女の背中を押したかった。

 彼女は何をするのにでも臆病で、すぐには行動できない。

 見ている人間はとてももやもやしてしまう。

 それは私も同じ。

 私は今まで見ているだけで、彼女を手助けしなかったけれど。

 いい加減反省したわ。

 今度という今度こそは、彼女を助けてあげないといけない。

 だから私は、彼女の背中を押す事にしたのだ。

 この、両手で。

 どんっと強く。

「いつまでぐずぐすしてんの? はやく死ねよ」

 背中を押された彼女は、どんと突き飛ばされて、そこから落下した。

 この場所は校舎の屋上。

 きっと生きてはいられまい。

 ずっとあんたの背中を押したかったんだよね。

 毎日こんな場所にきて、うじうじ悩んでたのは知ってたんだから。


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