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〇81 一方的に婚約破棄されたからって言って可哀そうなフリしてるけど、それ全部自業自得だからね?私、そんな友達を持ってるのが恥ずかしいよ。

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 私の名前は、マカ。
 貴族の家のお嬢様。

 ちょっと気の弱いところのある私だけれど、とっても友達想いの良い子なの。
 えっ?
 自分で言う事じゃない?
 そうかもしれないね。

 でも、私は本当に友達を大事にしてるんだ。

 例えば私の目の前にいる、フレンダちゃん。
 同じ貴族の家の出身の女の子。
 その子の事もとっても大事にしてるの。

 フレンダちゃんは素直で、優しくて、でもちょっと思い込みが激しい子。
 その場で騒動を起こした後、色々な事で悩んじゃうから、相談に乗ってあげるんだ。

「はぁ、またドライン様と喧嘩しちゃったわ。どうしてドライン様と一緒にいるときは、態度がつんけんしちゃうのかしら」

 フレンダちゃん、素直になれない性格だから、婚約者の男性と苦労してるみたい。

 一緒にお出かけしたり、一緒にお買い物したりしてても、つい意地を張っちゃうみたい。

 だからね「フレンダちゃんはそのままが一番だよ。ありのままのフレンダちゃんがきっと、世界で一番かわいいよ」って言ってあげるの。

 そしたら、フレンダちゃん調子に乗ってどんどん、悪女みたいになっちゃった。

 あはは。

「人の顔色を窺わないととこが恰好いいよ」って言ったら、人の話を聞かない子になっちゃった。

「人に媚びずに堂々としている所がいいよ」って言ったら、我儘で傲慢な子になっちゃった。

「人の意見に耳を澄ませる必要なんてない、フレンダちゃんは正しいよ」って全肯定してあげてたら、私以外の友達いなくなっちゃったね。

 それでも、婚約者のドラインさんだけは、フレンダちゃんを見捨てなかったみたい。

 だから言ってあげたの。
 このままでいいのかなって悩むフレンダちゃんに。

「ドライン様はフレンダちゃんがどんな人でもきっと味方になってくれるよ。だから変わる必要なんてないんだよ」って。

 そしたら。悪女街道まっしぐら。

 他の男をたぶらかして貢がせたり、ドライン様にかまってもらいたくてまとわりついたりしてた。

 で、そんな事が続いたら、やっぱりそうなるよね。

「お前とは一緒にいられない。だから婚約を破棄したんだ」

 それはお互いの両親だけで、決められた事みたい。
 フレンダちゃんは、さぞ驚いただろうな。

「どうしてっ、ドライン様! こんなのひどいですわ!」

 フレンダちゃんはショックをうけて、可哀そうな女の子になってるけど、落ち込む権利なんてないと思うな。

 私、ずっとフレンダちゃんの傍にいたから、フレンダちゃんがどんな事してきたか全部見てきたもの。

 ドライン様、一年前くらいからすっごく冷たい目になってたな。

 それで婚約破棄された影響で、家族から勘当されちゃった、フレンダちゃん。可哀そう、可哀そう。

 でも。

「自業自得だよ、フレンダちゃん」

 もう良い歳だもんね。

 人に言われてやったなんて、そんなみっともない事いわないよね。

 だって、私の好きなフレンダちゃんは、親友である私には優しいし。

 だからフレンダちゃんがやったのは、全部自分の責任。

 フレンダちゃんだけのせい。





 私、貴族の人が気に食わないんだ。

 だって、生まれた時から恵まれてるから。

 頑張ってようやく成り上がった私みたいな子の苦労、フレンダちゃんには分からないだろうね。

 ねぇ、友達って「相手の気持ちを分かってあげられる人の事」を言うんだよね。

 じゃあ、私とフレンダちゃん。

 友達なんかじゃなかったのかもね。

 まともな思考の人だったら、友達にできたとしても、しないかも。

 だって、フレンダちゃんみたいな友達持ってたら、恥ずかしくなっちゃうだろうし。






 でも私は優しいから。味方のいなくなったフレンダちゃんを助けてあげる事にしました。

「ねぇ、マカは私を捨てたりしないわよねっ。友達よねっ!」
「フレンダちゃんが、私の事を友達だと思ってくれるなら捨てたりしないよ。私を信じて。私がフレンダちゃんを救ってあげる」

 可哀そうなフレンダちゃんに、お金を手に入れる方法とか、お仕事する方法とかしっかり教えてあげたよ。

 フレンダちゃんは頭悪いけど、頑張り屋さんだもんね。

 だから、だいじょうぶ、そのお店の人達も気に入ってくれるよ。

 えへへ。

 ほら、この先に真っすぐ向かって。

 え?

「こんな薄暗い路地にお店なんてあるの」って?

 あるよ。

 だって私がフレンダちゃんに嘘ついた事ないでしょ?
 だから、また一から頑張ろう。

 大丈夫、私はずっとフレンダちゃんにとって「の」友達だから。

「マカの姉さん。この女が例のなんですか? 見てくれは悪くないですね。じゃあ、これいつもの報酬のお金です。いつも通り販売材料の提供ありがとうございやす」


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