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〇54 悪役令嬢が気に入らない人間を必殺ノートに書きこんでいったら、なぜか改心していた

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 私の名前はノエル。
 ノエル・フロイヤーよ。
 そこそこの財力がある、プリティーな女の子。

 可愛くて優秀でとってもすごくて、何でも持っているように見えるけど、友人には恵まれていないのよね。

 私の家の、名家な気族の力を利用するだけ利用して、それで私がちょっと怒ったらすぐ逆ギレ、開き直り。
 ほんっと、最低だわ。

 ここ、乙女ゲームの世界で、私は悪役令嬢に転生してるんだけど。

 原作の悪役が闇落ちしちゃう気持ち、すっごくわかる。

 だから、今日からこのノートに、気に入らない人間の名前を書き込んでいく事にするわ。

 だって、社交界に参加すると、ものすごくむかつく子たちがいるから、むしゃくしゃしちゃうのよ。

 私は悪役令嬢。将来、邪神と合体してラスボスになるすごい女の子なんだから。

 あとで大逆襲しちゃうんだから。

 その時に悪い子たちを成敗するため、忘れずに書き記ておかないと!





 そういうわけだから、私は今日から必殺ノートに書きこんでいくわ。

 一人、二人、三人。うふふ。楽しくなってきちゃった。

 私の家が数年前まで落ちぶれた家だったからって、よく馬鹿にしてくれたわね。

 貴族の端っこの端っこのような存在ってなによ!

 ありんことか、みじんことか言ってられるのも今のうちよ!

 馬鹿にしすぎじゃない!?

 言われた方はずっと覚えてるんだから、大きくなったら邪神と融合してぺちゃんこよ! 覚えてなさいよ。

 うふふ、さーてどうやってお料理してあげましょうかしらねー。

 断罪方法もついでにおまけに書いちゃうんだから。






 わたしはあーくやく、れーいじょうー。

 とってもすりりんぐー、でばいおれんすー。

 前世の記憶というものは便利ね、未来の事が色々分かるから、流行を先取りよ!

 ちょっと、おかげで私の家家は力をだいぶつけてきたわ。

 うふふ、もう貴族らしくない貴族とか言わせないんだから。

 みすぼらしい端っこ貴族だなんて言わせないんだから。

 私のお家を馬鹿にしてきたやつがいたら、家の権力と財力を使って、ぎったんぎったんにしてやれるわよ。

 けれど、それでもまた生意気言う子がいるものよね。

 あいつらの名前はちゃーんとは覚えてるんだから、この必殺ノートに書きこんでやるわ。

 百一人、百二人、百三人……。

 え?

 数が多い?

 そんなに気に食わない人間がいるのかって。

 権力とかお金を持つと、そういう人たちが多くなるものなのよ。

 ほんと、困っちゃうわ。

 わっ、私の心がせまいわけじゃないんだからね!







 ふぅ、もうすぐ原作が始まる頃だわ。
 
 邪神と融合するのも時間の問題ね。

 もうすぐすごく強くなって、今まで馬鹿にしてきた奴を、震え上がらせるの!

 そして、土下座して謝罪してる人たちを、まとめてぎったぎたにしてやるわ!

 今まで陰口叩いてきた人間を、コテンパンにできるってなんてすばらしいの。
 
 待ち遠しい!

 うーん。でも、前世の記憶って全部思い出せていないのよね。

 おとめげえむの悪役令嬢は最後どうなったのかしら?

 ここのところ、前世の記憶を思い出す回数が減って来たから、次はいつ思い出せるのかしらね。

 ……。

 考えても分かんないからまあいっか。

 なんとかなるでしょ。

 とりあえず恒例の必殺リストをつけなくちゃ。

 千一人、千二人、千三人……。

 え、やっぱり多いって?

 そんな事ないわよ。

 これくらい普通、普通。







 ええええええ、何でそうなるの!

 邪神と、融合できない!

 嘘でしょ?

 邪神を封印していた祠にいってみたけど、何も起きないじゃないの?

 お留守になっちゃってるじゃないの!?

 どうなってるのよ。

 これじゃあ困っちゃうわ。

 私の計画が!

 華麗なる逆襲計画が!

 何で?

 原作と何が違うのかしら。

 やっぱりお金をもうけちゃった事かしら?

 それで、お家を大きくしすぎちゃった事かしら。

 その影響で、ちょっと困った人たちに施しとかしちゃったせいかしら。

 そのついでに、病院とか建てちゃったりしたせいかしら。

 原作にあった悪役令嬢っぽさがなくなっちゃったのかも。

 うわああああん。邪神と合体するの楽しそうだったのに。

 はぁ、これからどうしよう。

 まあ起っちゃった事はしょうがないわ。

 気持ちを切り替えていきましょ。

 幸いにも、原作と違って私のおうちはそこそこの大きさ。

 お金の力と権力を使えば、自力で何とかなるでしょ!






 乙女ゲームのシナリオが結構進んでいるけど。

 これは非常事態よ!

 うっそー。

 敵が、いない。

 悪い子が、いない・

 ちょっと、どうなってるのよ!

 ちょっと前まで、千人くらいいたでしょ。

 リストにずらずら書く、くらいいたでしょ。

 なんで皆、改心しちゃってるの?

 私の味方側になっちゃってるの?

 あの時は間違っていましたとか、やり直しますとか。

 人間のゴミみたいだった人まで、目がキラキラしちゃってる。

 おかしいでしょ。

 楽しみに待ってたのに。

 やり返すの、悪役令嬢っぽいくどうやろうって、ずっと練ってたのに。

 こんなのあんまりだわー。

 ヒロインはにこにこだし、攻略対象達は順調に攻略されてるし、邪神はなぜかいないし。

 もう、原作がめちゃくちゃよ!







 俺、必殺ノート。

 転生したら、なんか悪役令嬢のノートになってた。

 こういうのって、普通悪役令嬢の使用人とか幼馴染とか、ダチに転生するのがセオリーなんじゃね。

 なんで無機物なんだよ。

 はぁ、っつっても転生しち待ったもんは仕方がない。

 さくっとノートライフを送って、快適な生活を追求してみるか。

 さてさて、ノートな俺は何ができるんだ?

 必殺ノートスキル?

 ふむふむ。そんなのがあるのか。

 このノートに名前を書かれた人間は、改心します。

 ノートスキルを使えば使うほど善人になっていきます。

 ノートに転生した人間が、一日一回頭の中で人名をとなえるとスキルを重ね掛けすることができます。

 ふむふむなーるほど。

 どうせ暇だし、ノートだし動けないし。

 適当にやってみるか。

 みょんみょんみょん。

 なんてやってたら、悪役令嬢が書き込む内容が、だんだん困ったものになってきたな。

 まあ、いいじゃん。

 邪神なんてもん、合体しないに越したことないんだし。

 おっ、あたらしいスキルがゲットできたぞ。

 なになに。

 改心した者達の現状を確認できます?

 むっ、脳裏に映像が浮かんでくる。

 へー、この世界ってこんな風になってるのか?

 魔法学園に、魔物に、聖獣に。

 改心した一人は旅をしているみたいだな。

 あっ、なんか祠っぽいものの一部をもって、神社っぽい場所に向かってる。

 あー、これかあ。

 悪役令嬢が書いてた邪神の奴。

 祠っぽいものの一部、めちゃくちゃ浄化されて、黒い靄が少なくなっていってるな。

 うん、まああれだ。

 終わりよければすべてよしだ。

 良かった良かった。




「どうしてこうなるのよおおお、私の夢にまで見た悪役令嬢ライフ、誰か返しなさいよおおおお!」



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