32 / 43
もふって就職!
◆もふって決着!1
しおりを挟む
風を切って空を駆ける。目の前には壁と言われても納得してしまうほどの大きさの魔物、ランクーレが立ち憚る。それ目掛けて一直線に進む舞はさながらミサイルの様だ。
《Ooooooooooaaaaaaa!!!!》
かつてないほどの叫びを上げる。最早、声で威嚇などの思考は頭になく、ただ向かってくる舞に応戦するために、力を溜めているようだった。
そして、それを察した舞は直進をやめて一度降下する。地に足がつくと同時に今度は地面を駆ける。身体強化を施しているため空を駆けるのよりも速い。
足を雪の中から引き上げると、雪は一瞬のうちに空中で分解され溶けていく。
ランクーレは近づいてくる舞に危険を感じ取ったのか、足元の雪を蹴り上げ大きな壁を作る。
「視界を塞がれた! 無機追尾監視魔法も!?」
完璧に視界を遮断された舞はその場で立ち止まるを得ない状況に陥った。ただ構えは解いていないが四方八方、どこから攻撃が飛んできてもおかしくない。ひょっとしたら、下級アンデットで攻撃を仕掛けてくるやもしれない。
気配の察知はできないが、音は察知できる。目を閉じ、精神を統一させ、耳を澄ませる。
──ォォ…
「!」
吹雪の吹き付けるこの山でその音が聞こえなくなった。聴覚を遮断されたかと一瞬焦るが、すぐさま自分を持ち直して冷静になる。
(聞こえなくなったのは風上………真後ろ。横からは音が聞こえる…ってことは、ランクーレは今、後ろ!)
瞬時に無機追尾監視魔法を自分の背後に飛ばし、視界を確保する。すぐそこまでランクーレの拳が迫ってきているのを確認してから回避行動に移る。
すんでのところで避け切ることができた。と、上手く行くはずもなく、掠ってしまったのだろうか、肌がぱっくりと割れてそこからは血が溢れていた。
「うわ……ありえないって……!」
止血しようにも回復魔法である光魔法は使ったことがなく、とりあえず出血を手で抑え、その場を離れる。ランクーレの視界から外れようとするが、その望みは叶わずにランクーレが目の前に現れた。
「は!? いや、まって、さっきあっちに居なかったっけ…!?」
大量に流れる血液は自身を冷静にさせるどころか、目の前に敵を認識して焦りを加速させる。嫌な汗が頬を伝い、その雫が雪に溶けた瞬間、ランクーレは再び拳を放つ。
当たったらゲームオーバーのデスゲーム。焦りを感じつつも舞はこの状況を楽しんでいたのかもしれない。その表情には薄っすらと笑が見て取れた。だが、その目は依然として見開かれたままで、ランクーレの瞬間移動の術に驚きを隠せていない。
「あの巨体であの速さはずるいって…!」
避けるだけで中々反撃に移ることができない。恐らく、ランクーレはこの雪山全体を移動できる。そう仮説を立てた舞は、下手に攻勢にでれば以降の攻撃が当たらなくなる可能性があると考え、自身の攻撃手段を隠しているのだ。
止血をしっかりとする為に一旦思い切って距離を取る。そのまま物陰に隠れて止血を始める。自らの傷口に軽く氷を張り、血を固めるとふぅと一息ついて頭を回し始める。
「…あの速さって一体……さっきのところには山があったけど、どうにもヒントにならなさそうだしなぁ…うーん…」
ひたすらに思考を走らせる。対処はできるのか、その方法はなんなのか。地形、天候、気候、見た目、種族、ありとあらゆる情報を総動員して考える。
吹雪の寒さに耐えかねて、思考が一度止まる。そして、その瞬間に、一筋の可能性が見えてきた。
アンデット族である以上、どうあがいても死体や怨念などが物体化したもの、という概念は拭えない。つまり、雪の下にこれまで挑んだ冒険者の死体があるとするならば、それを媒介に自らの姿を形成することもできなくはないはずだ。
だが、それを確かめるには死を覚悟して雪を掘り返さなければならない。それに、もし確かめたとして、どこにどれだけの死体が埋まっているのかなどわかるはずもない。
「確かにこれが有力だけど、仮説は仮説…確かめようが無いからどうにもできないよなぁ…。場所の把握もできないし……一か八かだけど、あれをやってみるべきなのかなぁ……?」
顎に手を当てて悩む舞。少しうつむき加減になっている。そのせいか、自分の周りに影が落ちていることに気が付かなかった。顔を上げた時、目の前に壁がありふと上を見上げると、そこにはランクーレがこちらを見下していた。
「……へ? なっ……くそっ!」
直ぐ様立ち上がり跳躍する。今度は、背を向けて逃げるでも、背を向けずに逃げるでもなく、むしろその逆、ランクーレに向かって飛び込んでいく。
懐に潜られたランクーレは危険を察知したのか体勢を崩して自ら雪の中へと倒れ込む。その瞬間、大量の雪が中を舞い、地響きが鳴り響き、これでもかという大きさの地割れが起こり、谷が顔を見せた。
《Ooooooouu………》
起き上がれずにうめき声をあげるランクーレは、今の舞からすればいい的だ。舞はすぐに高密度のフレアをランクーレに向かって放つ。
これはいわば牽制。起き上がろうとしてついた腕に集中して当ててもう一度背中を雪に沈ませる。逃げる時間を作った舞は踵を返しもといた山の方向に向かう。
「……ランクーレの足…あれって…っ! 風が強い!」
向かい風で少しだけ進みが遅くなる。それが欠点となり、気がつけば目の前にはランクーレ。発動条件のわからない瞬間移動に舞はたじろいでしまう。
《Aaaaaaaaaaaa!!》
それに加えてランクーレは先程転ばされたことに腹を立てているようで、どこからか湧いてきたアンデットたちを舞へと群がらせる。
数の利には敵わない。数的不利、多勢に無勢とはよく言ったもので流石に一人でこれの対処は厳しい。幸いにもランクーレ以外は瞬間移動も使えないようなので距離を離そうと試みる。
「………! こっちも……!」
だが、逃げようとする方向全てにランクーレが現れる。厄介極まりない能力で手は詰まり、どうしようもない状態に陥る。
「まだ魔法にも幅がないってのに…どう対処しろって言うのかなぁ!?」
逃げ道がないか念入りにあたりを見回す。しかし今更そんな抜け道などが見つかるはずもなく焦りは加速していく一方。鼓動が早くなり血液の巡りが過剰なほど良くなる。
「……?」
すると、一筋の光明が舞に射してきた。確証のない仮説はあくまで仮説。確証を得るためにすることは──
「──実証!」
そう叫び、舞は真上に跳躍した。先ほどまでのように斜め上や真横ではなく、真上に。舞の仮説が正しいとするならば、ランクーレは空中には転移できない。
そして、その舞が立てた仮説はこうだ。まず第一に倒れた時すぐに瞬間移動を使わなかったことと、足の裏の魔法陣。この2つから発動条件は足が地面についていること。そして第二、風上に転移してきた時、あのときランクーレは舞の真上に転移していれば潰せた可能性が高い。知能が低いと考えるには焦りなどを見せたことによって証拠が不十分だ。つまり、足のつく場所にしか転移できない。
自身の立てた仮説を信じて真上に飛んだ舞。生死のかかった一世一代の賭け。ベットは命のギャンブルに舞は打ち勝った。
ランクーレは上を見上げるだけで、何もしてこない。
「あれ…? ランクーレって頭上に目が……っ! まずっ、無機追尾監視魔法!」
誤って目を開けたままランクーレの目を見てしまい、舞の顔から焦りの色が中々落ちない。なんとか術式が発動する前に目を瞑り無機追尾監視魔法を発動させる。
「ふう…危なかった…。さて、ここらで攻撃しておきたいんだけどなぁ、目が弱点だけど、流石に二回目はそう簡単に攻撃は通らないよね…」
弱点部位である目を確認するが、そこはすでに透明な厚い膜によって覆われていて攻撃が通りそうな様子ではなかった。
《Ooooooooooaaaaaaa!!!!》
かつてないほどの叫びを上げる。最早、声で威嚇などの思考は頭になく、ただ向かってくる舞に応戦するために、力を溜めているようだった。
そして、それを察した舞は直進をやめて一度降下する。地に足がつくと同時に今度は地面を駆ける。身体強化を施しているため空を駆けるのよりも速い。
足を雪の中から引き上げると、雪は一瞬のうちに空中で分解され溶けていく。
ランクーレは近づいてくる舞に危険を感じ取ったのか、足元の雪を蹴り上げ大きな壁を作る。
「視界を塞がれた! 無機追尾監視魔法も!?」
完璧に視界を遮断された舞はその場で立ち止まるを得ない状況に陥った。ただ構えは解いていないが四方八方、どこから攻撃が飛んできてもおかしくない。ひょっとしたら、下級アンデットで攻撃を仕掛けてくるやもしれない。
気配の察知はできないが、音は察知できる。目を閉じ、精神を統一させ、耳を澄ませる。
──ォォ…
「!」
吹雪の吹き付けるこの山でその音が聞こえなくなった。聴覚を遮断されたかと一瞬焦るが、すぐさま自分を持ち直して冷静になる。
(聞こえなくなったのは風上………真後ろ。横からは音が聞こえる…ってことは、ランクーレは今、後ろ!)
瞬時に無機追尾監視魔法を自分の背後に飛ばし、視界を確保する。すぐそこまでランクーレの拳が迫ってきているのを確認してから回避行動に移る。
すんでのところで避け切ることができた。と、上手く行くはずもなく、掠ってしまったのだろうか、肌がぱっくりと割れてそこからは血が溢れていた。
「うわ……ありえないって……!」
止血しようにも回復魔法である光魔法は使ったことがなく、とりあえず出血を手で抑え、その場を離れる。ランクーレの視界から外れようとするが、その望みは叶わずにランクーレが目の前に現れた。
「は!? いや、まって、さっきあっちに居なかったっけ…!?」
大量に流れる血液は自身を冷静にさせるどころか、目の前に敵を認識して焦りを加速させる。嫌な汗が頬を伝い、その雫が雪に溶けた瞬間、ランクーレは再び拳を放つ。
当たったらゲームオーバーのデスゲーム。焦りを感じつつも舞はこの状況を楽しんでいたのかもしれない。その表情には薄っすらと笑が見て取れた。だが、その目は依然として見開かれたままで、ランクーレの瞬間移動の術に驚きを隠せていない。
「あの巨体であの速さはずるいって…!」
避けるだけで中々反撃に移ることができない。恐らく、ランクーレはこの雪山全体を移動できる。そう仮説を立てた舞は、下手に攻勢にでれば以降の攻撃が当たらなくなる可能性があると考え、自身の攻撃手段を隠しているのだ。
止血をしっかりとする為に一旦思い切って距離を取る。そのまま物陰に隠れて止血を始める。自らの傷口に軽く氷を張り、血を固めるとふぅと一息ついて頭を回し始める。
「…あの速さって一体……さっきのところには山があったけど、どうにもヒントにならなさそうだしなぁ…うーん…」
ひたすらに思考を走らせる。対処はできるのか、その方法はなんなのか。地形、天候、気候、見た目、種族、ありとあらゆる情報を総動員して考える。
吹雪の寒さに耐えかねて、思考が一度止まる。そして、その瞬間に、一筋の可能性が見えてきた。
アンデット族である以上、どうあがいても死体や怨念などが物体化したもの、という概念は拭えない。つまり、雪の下にこれまで挑んだ冒険者の死体があるとするならば、それを媒介に自らの姿を形成することもできなくはないはずだ。
だが、それを確かめるには死を覚悟して雪を掘り返さなければならない。それに、もし確かめたとして、どこにどれだけの死体が埋まっているのかなどわかるはずもない。
「確かにこれが有力だけど、仮説は仮説…確かめようが無いからどうにもできないよなぁ…。場所の把握もできないし……一か八かだけど、あれをやってみるべきなのかなぁ……?」
顎に手を当てて悩む舞。少しうつむき加減になっている。そのせいか、自分の周りに影が落ちていることに気が付かなかった。顔を上げた時、目の前に壁がありふと上を見上げると、そこにはランクーレがこちらを見下していた。
「……へ? なっ……くそっ!」
直ぐ様立ち上がり跳躍する。今度は、背を向けて逃げるでも、背を向けずに逃げるでもなく、むしろその逆、ランクーレに向かって飛び込んでいく。
懐に潜られたランクーレは危険を察知したのか体勢を崩して自ら雪の中へと倒れ込む。その瞬間、大量の雪が中を舞い、地響きが鳴り響き、これでもかという大きさの地割れが起こり、谷が顔を見せた。
《Ooooooouu………》
起き上がれずにうめき声をあげるランクーレは、今の舞からすればいい的だ。舞はすぐに高密度のフレアをランクーレに向かって放つ。
これはいわば牽制。起き上がろうとしてついた腕に集中して当ててもう一度背中を雪に沈ませる。逃げる時間を作った舞は踵を返しもといた山の方向に向かう。
「……ランクーレの足…あれって…っ! 風が強い!」
向かい風で少しだけ進みが遅くなる。それが欠点となり、気がつけば目の前にはランクーレ。発動条件のわからない瞬間移動に舞はたじろいでしまう。
《Aaaaaaaaaaaa!!》
それに加えてランクーレは先程転ばされたことに腹を立てているようで、どこからか湧いてきたアンデットたちを舞へと群がらせる。
数の利には敵わない。数的不利、多勢に無勢とはよく言ったもので流石に一人でこれの対処は厳しい。幸いにもランクーレ以外は瞬間移動も使えないようなので距離を離そうと試みる。
「………! こっちも……!」
だが、逃げようとする方向全てにランクーレが現れる。厄介極まりない能力で手は詰まり、どうしようもない状態に陥る。
「まだ魔法にも幅がないってのに…どう対処しろって言うのかなぁ!?」
逃げ道がないか念入りにあたりを見回す。しかし今更そんな抜け道などが見つかるはずもなく焦りは加速していく一方。鼓動が早くなり血液の巡りが過剰なほど良くなる。
「……?」
すると、一筋の光明が舞に射してきた。確証のない仮説はあくまで仮説。確証を得るためにすることは──
「──実証!」
そう叫び、舞は真上に跳躍した。先ほどまでのように斜め上や真横ではなく、真上に。舞の仮説が正しいとするならば、ランクーレは空中には転移できない。
そして、その舞が立てた仮説はこうだ。まず第一に倒れた時すぐに瞬間移動を使わなかったことと、足の裏の魔法陣。この2つから発動条件は足が地面についていること。そして第二、風上に転移してきた時、あのときランクーレは舞の真上に転移していれば潰せた可能性が高い。知能が低いと考えるには焦りなどを見せたことによって証拠が不十分だ。つまり、足のつく場所にしか転移できない。
自身の立てた仮説を信じて真上に飛んだ舞。生死のかかった一世一代の賭け。ベットは命のギャンブルに舞は打ち勝った。
ランクーレは上を見上げるだけで、何もしてこない。
「あれ…? ランクーレって頭上に目が……っ! まずっ、無機追尾監視魔法!」
誤って目を開けたままランクーレの目を見てしまい、舞の顔から焦りの色が中々落ちない。なんとか術式が発動する前に目を瞑り無機追尾監視魔法を発動させる。
「ふう…危なかった…。さて、ここらで攻撃しておきたいんだけどなぁ、目が弱点だけど、流石に二回目はそう簡単に攻撃は通らないよね…」
弱点部位である目を確認するが、そこはすでに透明な厚い膜によって覆われていて攻撃が通りそうな様子ではなかった。
0
お気に入りに追加
189
あなたにおすすめの小説
別れてくれない夫は、私を愛していない
abang
恋愛
「私と別れて下さい」
「嫌だ、君と別れる気はない」
誕生パーティー、結婚記念日、大切な約束の日まで……
彼の大切な幼馴染の「セレン」はいつも彼を連れ去ってしまう。
「ごめん、セレンが怪我をしたらしい」
「セレンが熱が出たと……」
そんなに大切ならば、彼女を妻にすれば良かったのでは?
ふと過ぎったその考えに私の妻としての限界に気付いた。
その日から始まる、私を愛さない夫と愛してるからこそ限界な妻の離婚攻防戦。
「あなた、お願いだから別れて頂戴」
「絶対に、別れない」
私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです
こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。
まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。
幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。
「子供が欲しいの」
「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」
それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。
婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました
Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。
順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。
特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。
そんなアメリアに対し、オスカーは…
とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
彼を追いかける事に疲れたので、諦める事にしました
Karamimi
恋愛
貴族学院2年、伯爵令嬢のアンリには、大好きな人がいる。それは1学年上の侯爵令息、エディソン様だ。そんな彼に振り向いて欲しくて、必死に努力してきたけれど、一向に振り向いてくれない。
どれどころか、最近では迷惑そうにあしらわれる始末。さらに同じ侯爵令嬢、ネリア様との婚約も、近々結ぶとの噂も…
これはもうダメね、ここらが潮時なのかもしれない…
そんな思いから彼を諦める事を決意したのだが…
5万文字ちょっとの短めのお話で、テンポも早めです。
よろしくお願いしますm(__)m
【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断
Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。
23歳の公爵家当主ジークヴァルト。
年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。
ただの女友達だと彼は言う。
だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。
彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。
また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。
エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。
覆す事は出来ない。
溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。
そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。
二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。
これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。
エルネスティーネは限界だった。
一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。
初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。
だから愛する男の前で死を選ぶ。
永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。
矛盾した想いを抱え彼女は今――――。
長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。
センシティブな所へ触れるかもしれません。
これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。
「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵から溺愛されています。
木山楽斗
恋愛
第二王女のエリームは、かつて王家と敵対していたオルバディオン公爵家に嫁がされた。
因縁を解消するための結婚であったが、現当主であるジグールは彼女のことを冷遇した。長きに渡る因縁は、簡単に解消できるものではなかったのである。
そんな暮らしは、エリームにとって息苦しいものだった。それを重く見た彼女の兄アルベルドと幼馴染カルディアスは、二人の結婚を解消させることを決意する。
彼らの働きかけによって、エリームは苦しい生活から解放されるのだった。
晴れて自由の身になったエリームに、一人の男性が婚約を申し込んできた。
それは、彼女の幼馴染であるカルディアスである。彼は以前からエリームに好意を寄せていたようなのだ。
幼い頃から彼の人となりを知っているエリームは、喜んでその婚約を受け入れた。二人は、晴れて夫婦となったのである。
二度目の結婚を果たしたエリームは、以前とは異なる生活を送っていた。
カルディアスは以前の夫とは違い、彼女のことを愛して尊重してくれたのである。
こうして、エリームは幸せな生活を送るのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる