二人の交差点

第10話

　寝転んで荒くなった息を整えていると、腰にタオルを巻いた彼がやってきた。
　彼はそのまま私に覆いかぶさって唇に唇を押しつけてくる。すぐに伸びてきた舌を受け入れ絡ませ合った。
　タオルに手をかけてめくりながら、唇や頬、耳とキスをしていく彼。首筋から舌を這わしていく彼が乳房を掴んだ。
　あらあらしく揉みしだく手に、手を重ねた。前のように少し乱暴に抱かれるのだろうか。そんな疑問がかすめ口を開いていた。
「あのね、信じてもらえないかもだけど、前した時本当に初めてだったんだよ。今まで付き合った人とできなくて。それで、今日は優しく抱いて欲しいな」
　彼からの反応はない。
　乳首に吸いつかれて、体がピクリと跳ねる。
　舌先で先端や乳輪をなぞられ、片方は指先でこねられた。
「んぅ……ひゃぁっ……あっんぅ……」
　抑えきれずに声が出てしまう。
　彼の舌が下へ下へと這っていく。へその横や脇腹を通り黒々とした茂みを避けて足の付け根を通っていき、足を開かされる。
　あらわになった秘部に彼が口を近づけていく。
「やっ、恥ずかしい……」
　思わず手を伸ばし、彼の頭を押したが止めることができない。
「あぁっ」
　一番敏感なところを舐められ、痺れるような快感が体中を駆け巡る。
　左右に開いた割れ目に舌が侵入する。溢れんばかりの蜜を彼が啜る。
「んあっ……」
　指が中に入り、上の方をぐっと押してはたまに撫でるように優しく動いた。
　クリトリスは舌で舐め上げられたり軽く吸われたりし、腰が勝手に動いてしまう。
「あぁっ、あ、ダメ……。イキそうっ」
　その声に彼は愛撫を辞めて、ベッドの近くにある鞄を手に取り立ち上がった。
　鞄の中から長方形で薄めの箱を取り出した彼は、自分の腰に巻くタオルに手をかける。タオルが外れて床に落ちる。
　彼のモノが少し膨らんで横向きになっている姿があらわになった。
「俺のもしてくれる？　舐めるだけでいいから」
　箱の表面にごく薄とか書かれているから中身はコンドームだろう。私はベッドに四つん這いになって彼の元へ近づいたものの、初めてのことにどうしたものかと目の前の少し元気のないモノに視線を送る。
　ピクピクと少し大きくなったそれを、舌を出して思い切って舐めるとぐぐぐっと天井を向いた。
　舌をチロチロと這わすたびにそれはピクピクと跳ねまわり、舐めにくいことこの上なく、私は根元を掴んで動きを止めると濡れて光っている先端に舌を這わした。
「あっ、気持ちいい……」
　少ししょっぱかった。彼が気持ちがいいのならと思い切って奥までくわえ込んでみる。
「あぁっ」
　亀頭に舌を這わせて舐め回し、前後に頭を振りつつ、竿を舌で包む。
「ちょっ、待って。さっきの話し的にはこれも始めてとかじゃないの？」
　私の動きが予想外だったのか彼が慌ててそういった。彼のモノから口を離し、そうだけどと呟く。
「それ以上されたら信じられなくなりそう。素質あるんじゃない」
　そういいながら箱を開けて連なっている正方形の袋の一つを切り離した彼は、袋を破いて中のゴムを取り出し、モノに被せる。
「見てないで真ん中に寝転んどけよ」
　そうやってつけるんだなとじーっと観察していたらそういわれしまい、私はベッドの真ん中に移動して寝転んだ。
　ちゃんと用意してくれてるってことは大切にしようと思ってくれているということだろうか。俺の女になるかとは聞かれたものの、好きといわれたわけでもなく、真剣に交際するのか、セフレってことなのか、自信を持って判断ができない。セフレを作るような奴だとは思ってないけれども、振った時みたいに曖昧な言葉で付き合うんじゃなくてちゃんとした言葉にして欲しかった。
　じゃないと今まで気まずくなるかもと抑えてきた気持ちを、口に出していいのかわからない。
　彼がベッドに乗り足の間に陣取ろうと、立てた私の足の膝に手をかける。開こうとする力に抵抗した。
「どうした？」
　心配そうに見下ろす彼に、一つ息を吐いてから出した声は震えていた。
「私のこと好き？　好きっていってくれなきゃ、足開かない」
「無理に開くこともできるけど、ちゃんといわなきゃだめ？」
　彼の目を見つめて大きく頷いた。
　目をそらすと彼は手にグッと力を入れて、容易く私の足を開く。
　覆いかぶさってきた彼は、耳元で小さな、本当に小さな声でいう。
「皐月のこと好き」
　体を起こして肉棒に手を添えて中に入ってこようとする彼の顔は真っ赤で、多分私の顔もそれくらい真っ赤なんだろうなってくらい熱くて、顔を隠したいけど珍しい彼の顔から目が離せなかった。
　彼がゆっくりと中に入ってきた。膣が再びの彼の訪問に喜んで絡みつく。
「あぁ、はぁん……んぅ……」
　奥まで入ると二人して息を吐いた。少しして動き出した彼に手を伸ばすと繋いでくれた。
「好き。沼田のことずっと好きだったんだよ」
　溢れる思いが口からこぼれる。
「これからもずっと好き。大好き」
　やっと思いっきりいえたからか涙まで溢れだして、私は拭うこともできず、彼の激しくなる突きを受け止めていた。